高世仁に突っ込む(2022年7/23日分)(副題:前川告発に「人間万事塞翁が馬」と思う)

統一教会と近い政治家が安倍政権で出世した - 高世仁のジャーナルな日々
 高世仁に突っ込む(2022年7/21日分) - bogus-simotukareのブログで取り上げた統一教会の摘発を止めた「政治の力」 - 高世仁のジャーナルな日々の続きです。

 「1997年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めて来た。実体が変わらないのに、名称を変えることはできない、と言って断った」
 これは文部科学省事務次官だった前川喜平*1が2020年12月にツイッターに投稿したもの。前川氏は1997年7月から1年間、文化庁文化部宗務課長をつとめていた。

 前川氏も「加計告発」「統一教会告発」と二つも「安倍の不正告発」に関わることになるとは、「その日が来るまでは」全く思ってなかったでしょう。
 そして「加計告発」への報復として「出会い系バー」云々で前川氏を社会的に抹殺しようとした安倍らはそれに失敗(例えば前川前次官の出会い系バー通いの真相 - 高世仁のジャーナルな日々参照)し、一方で皮肉にも安倍は暗殺され「統一教会との癒着」が表面化しました。
 「人間万事塞翁が馬」というか何というか。
 今回の前川証言については以下の記事を紹介しておきます。

「旧統一協会」の名称変更/文化庁 安倍政権下で方針転換/政治圧力 可能性も/前川氏が指摘
 「私が文化庁宗務課長だったときに統一協会が名称変更を求めてきたが拒否した」。
 前川喜平・元文部科学事務次官はそう証言します。
 前川氏は1997~98年の1年間*2、宗教法人制度の運用を担当する文化庁宗務課の課長でした。ところが宗務課は2015年8月26日に認証します。なぜか。
◆「文化部長決裁」
 宗務課に確認すると、「書類が整ったので変更を認証した。以前、断った経過は当時を知る職員がいないので分からない*3」との回答でした。認証変更を決裁したのは文化部長だといいます。
 前川氏は「行政は継続性、安定性が大事。部長レベルでは方針変更を決定できない。しかも旧統一協会自民党の関係はみんな知っているからより慎重になる。政治的圧力があった可能性が高いと思う」と指摘します。
文科相は下村氏
 当時の文科相自民党下村博文*4衆院議員です。下村氏は文科相当時、旧統一協会系の「世界日報」のインタビューに複数回登場しています。下村氏は自身のツイッター文化庁に確認したところ、「大臣に伺いを立てることはしていない。今回の事例も最終決裁は、当時の文化部長」などとする回答があった、としています。

 どう見ても偽装工作でしょう。こんな偽装工作をして「下村の関与」を隠そうとすること自体が全く異常です。
 ちなみに有田芳生氏のツイートによれば

有田芳生リツイート
◆おのたくや(ボーガス注:有田氏が参院議員だったときの元政策担当秘書、現在は北海道北見市議(立憲民主党))
 これは有田さんの指示で僕が文化庁に質問したもの。注目は、宗教法人*5の名称変更について「本件については大臣に事前に説明いたしました」という点。

ということで以前、有田氏が「名称変更許可」について、2015年に文化庁に問い合わせたときは「勿論、最終決裁権者の下村大臣には事前に説明している」と答えたそうですから「有田ツイートが事実」ならば「おいおい(呆)」ですね。今回の説明大臣に伺いを立てることはしていない。と完全に矛盾している。もしかしたら「下村が決裁した文書がある」のに「嘘をついてる」のではないか。「下村大臣は決裁してないというならば決裁文書の写しを出せ」と野党やマスコミにいわれて果たして表に出せるのか?。それともまた「森友」のように公文書を改ざんするのか(皮肉のつもり)。
 それにしても、拉致被害者家族会も「統一教会なんて邪教に便宜を図る一方で、拉致が解決しないのはどういうことなのか!」「安倍さんにとって私ら拉致被害者家族より統一教会の方がそんなに大事か!(マジな話、安倍にとってはその通りだと思います)」と安倍に怒ってもおかしくないでしょうに、「未だに安倍万歳」だから変な連中です。

【統一教会】前川喜平氏が明かす「統一教会」名称変更の裏側【前編】文化庁では教団の解散が議論されていた|日刊ゲンダイDIGITAL
◆前川
 問題のある宗教法人の名称変更を認めれば、社会的な批判を浴びかねないという意識はありました。
 1996年9月に改正宗教法人法が施行されました。僕が(ボーガス注:課長として)1998年7月まで在任していた文化庁文化部宗務課でも、所轄する統一教会(現・世界平和統一家庭連合)について議論になりました。公序良俗に反する宗教法人を解散させることはできないものかと。
 オウムに対しては、当時の所轄庁だった東京都知事らが東京地裁に解散命令を請求。地裁の決定により、1996年1月に解散命令が出されました。
 宗教法人法第81条に基づく請求でした。
 こうした経緯からも、統一教会が求める名称変更を文化庁が認証したのは、方針の大転換だったのです。20年近く押し返してきたわけですから。
(後編につづく)

【参考:出会い系バー云々】

第1部 講演(6)「出会い系バー」…ありがたかった文春砲 | 新聞労連(日本新聞労働組合連合)
 私にアプローチがあったのは週刊文春ですね、「文春砲」と言われる。私も週刊文春が来た時には身構えましたね。ついに来たか、週刊文春と。2017年の4月ごろですけど、アプローチがありまして。
 どういう話だったのかといえば「前川さんが新宿の出会い系バーに行ってる話がある」と。それはホントなんです。私は行ってましたから。「そういうことを聞いたんだけど、それを書くつもりはない」と言ってきたんです。「それよりも前川さんは加計学園のことを知っているでしょう。そっちを話してくれ」と言われて「そっちだったら話すよ」ということで応じたわけです。「加計学園獣医学部の新設の経緯について話してほしい」と言われたので、これは話す意味があるということでお話ししました。
 これは私が記者会見した日に発売の号で載ったんですね。ですから、私の記者会見の時の映像を今から見てみると、週刊文春を持ってやってるんです。週刊文春の記事に載った中身について自ら解説しているという、そんな記者会見をやってましたね。これが2017年5月25日のことでした。
 週刊文春は、新宿のバーのことは書かないと言ってたのですが、あとで書いたんですよね。書かないと言ってたのに、私がその店で話をしていた女性を見つけ出してきましてね。ずっと前の話なんですけども、仮称A子さんという人を探し出してきて、その証言を取って記事にしたんですね。
 彼女は殊勝というか立派なことを言ってましたけどね。そんな立派な子だったかなという気もするんだけども「前川さんによって救われた」とも言ってるわけです。確かに「真面目に勉強するか、仕事するかしたほうがいいよ」という話をしたことは覚えてますけどね。実際に彼女が就職したというので、「よかったね」と言ってお祝いしてあげたこともあった。
 そのA子さんという女性を見つけ出して、その証言を取って記事にしてくれた。これはまあ、ありがたかったですね。相当ひどいことを言われてました、特に菅さん*6官房長官)あたりから。菅さんの私に対する発言は、誹謗だと言っていいと思います。これに敢然と立ち向かってくれたのは、(ボーガス注:東京新聞の)望月衣塑子さん*7や(ボーガス注:朝日新聞の)南さん*8しかいなかった。

*1:著書『これからの日本、これからの教育』(共著、2017年、ちくま新書)、『前川喜平、教育のなかのマイノリティを語る:高校中退・夜間中学・外国につながる子ども・LGBT・沖縄の歴史教育』(2018年、明石書店)、『前川喜平「官」を語る』(2018年、宝島社)、『前川喜平が語る、考える。 学ぶことと育つこと、在日とアイデンティティー、あなたと私。』(2018年、本の泉社)、『面従腹背』(2018年、毎日新聞出版)、『権力は腐敗する』(2021年、毎日新聞出版)、『コロナ期の学校と教育政策』(2022年、論創社) など

*2:文部大臣 - Wikipediaによれば 当時の文相(橋本内閣)は町村信孝(その後も森内閣文科相、小泉、第一次安倍内閣外相、福田内閣官房長官衆院議長など歴任)

*3:「そんなわけねえだろ」ですね。「当時の人間がいないから分からない」が本当なら行政機関としてまずすぎです。

*4:第一次安倍内閣官房副長官、第二次安倍内閣文科相自民党選対委員長(第二次安倍総裁時代)、政調会長(菅総裁時代)を歴任

*5:統一教会のこと

*6:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官、首相を歴任

*7:著書『武器輸出と日本企業』(2016年、角川新書)、『新聞記者』(2017年、角川新書)、『報道現場』(2021年、角川新書)など

*8:著書『安倍政治100のファクトチェック』(望月氏との共著、2018年、集英社新書)、『報道事変:なぜこの国では自由に質問できなくなったか』(2019年、朝日新書)、『政治部不信:権力とメディアの関係を問い直す』(2020年、朝日新書)、『黙殺される教師の「性暴力」』(2022年、朝日新聞出版)