珍右翼・高世仁に突っ込む(2023年9/19日分)

日本の仏教界はなぜ戦争に協力したのか - 高世仁のジャーナルな日々
 高世は偉そうなことを抜かす前に手前が「救う会、家族会の幇間太鼓持ちだったこと」を反省しろと言いたいですが、それはさておき。
 「宗教の戦争協力」については、以前の拙記事新刊紹介:「歴史評論」2021年8月号 - bogus-simotukareのブログを紹介しておきます。
 なお、何も戦争協力したのは「戦前日本の仏教界」だけではない。
 新刊紹介:「歴史評論」2021年8月号 - bogus-simotukareのブログでも紹介しましたが
日露戦争におけるキリスト教徒の葛藤 ― 近代日本の宗教≪16≫ 石川明人氏(1/2ページ):中外日報日露戦争時の日本キリスト教界)
戦争と文化(17)――聖書には「汝、殺すなかれ」とあるのに、どうして、ユダヤ=キリスト教は戦争や暴力行為を後押ししてきたのか? | 大正大学(欧米のキリスト教界)
等、古今東西、多くの宗教が戦争協力してきましたし、「プーチンロシア下のロシア正教」等、今もしています。
 なお、新刊紹介:「歴史評論」2021年8月号 - bogus-simotukareのブログで紹介しましたが

浄土真宗(刊行年順)】
◆菱木政晴*1浄土真宗の戦争責任』(1993年、岩波ブックレット)
◆大東仁*2『お寺の鐘は鳴らなかった:仏教の戦争責任を問う』(1994年、教育史料出版会
◆大西修編『戦時教学と浄土真宗ファシズム下の仏教思想』(1995年、社会評論社
◆大東仁『戦争は罪悪である:反戦僧侶・竹中彰元の叛骨』(2008年、風媒社)
◆大東仁『元来宗教家ハ戦争ニ反対スベキモノデアル:反戦僧侶・植木徹誠*3の不退不転』(2018年、風媒社)

ということで「浄土真宗の戦争協力」についてはかなりの研究蓄積があるようです。
 またググれば他にも

【日本宗教の戦争協力(仏教関係が多い:刊行年順)】
◆西山俊彦『カトリック教会の戦争責任』(2000年、サンパウロ
一戸彰晃*4曹洞宗の戦争』(2010年、皓星社
◆小河原正道*5『近代日本の戦争と宗教』(2010年、講談社選書メチエ)、『日本の戦争と宗教・1899-1945』(2014年、講談社選書メチエ)
◆小林惇道『近代仏教教団と戦争』(2022年、法蔵館
◆鵜飼秀徳*6『仏教の大東亜戦争』(2022年、文春新書)
【宗教の戦争協力一般】
◆石川明人*7『戦場の宗教、軍人の信仰』(2013年、八千代出版)、『人はなぜ平和を祈りながら戦うのか?:私たちの戦争と宗教』(2014年、共著、並木書房)、『キリスト教と戦争:「愛と平和」を説きつつ戦う論理』(2016年、中公新書)

といった「日本宗教と戦争協力」「宗教の戦争協力一般」に関する研究書がヒットします。

 日本の宗教界の戦争協力と反省については以下を参照されたい。まだ反省していない宗派も多い。

 「無反省の典型」は神社本庁靖国神社等、右翼宗教でしょう。反省が不十分であるにせよ、多くの宗教は神社本庁ほど無反省ではないでしょう。

参考

「韓国政府も感謝した」青森の僧侶 仏教の戦争責任を懺悔し続けた一戸さん その足跡をたどる映画製作中:東京新聞 TOKYO Web2023.7.31
 日本の仏教が朝鮮半島などに進出した戦争責任を懺悔し続け、3月に73歳で亡くなった僧侶、一戸彰晃さん=青森県五所川原市=を偲しのぶ会が今月3日、東京都内のホテルで行われた。現在、一戸さんが取り組んだ「仏教の戦争」の歴史検証や草の根の日韓交流の足跡をたどった映画が製作されている。
 一戸さんは「曹洞宗の戦争*8」「曹洞宗は朝鮮で何をしたのか*9」などを出版。植民地や戦争の関連史料を収集してきた。ソウルの植民地歴史博物館に寄贈され、妻の伸衣さんに感謝状が贈られた。
 韓国の金大鉉(キム・デヒョン)監督は一戸さんと宗さんが韓国併合の負の歴史に学び、交流する姿を描いたドキュメンタリーを製作の最中だった。会場ではその一部が上映され、「来年、韓国と日本で公開したい」と話した。

*1:同朋大学特任教授、真宗大谷派僧侶。著書『非戦と仏教』(2005年、白澤社)、『市民的自由の危機と宗教:改憲靖国神社政教分離』(2007年、白澤社)、『極楽の人数:高木顕明『余が社会主義』を読む』(2012年、白澤社)、『平和と平等の浄土論:真宗伝統教学再考』(2020年、白澤社)

*2:真宗大谷派僧侶。著書『大逆の僧高木顕明の真実:真宗僧侶と大逆事件』(2011年、風媒社)

*3:植木徹誠については例えば、赤旗植木等の父、反戦僧侶、植木徹誠とは?参照

*4:1949~2023年。曹洞宗僧侶(雲祥寺住職)。著書『曹洞宗は朝鮮で何をしたのか』(2012年、皓星社

*5:慶應義塾大学教授。著書『西南戦争』(2007年、中公新書)、『小泉信三』(2018年、中公新書)、『明治日本はアメリカから何を学んだのか』(2021年、文春新書)、『日本政教関係史:宗教と政治の一五〇年』(2023年、筑摩選書)、『福沢諭吉』(2023年、ちくま新書)等

*6:浄土宗僧侶(正覚寺住職)。著書『ペットと葬式』(2018年、朝日新書)、『仏教抹殺:なぜ明治維新は寺院を破壊したのか』(2018年、文春新書)、『絶滅する「墓」:日本の知られざる弔い』(2023年、NHK出版新書)等

*7:桃山学院大学教授。著書『キリスト教と日本人』(2019年、ちくま新書)、『宗教を「信じる」とはどういうことか』(2022年、ちくまプリマー新書) 等

*8:2010年、皓星社

*9:2012年、皓星社