新刊紹介:「前衛」2024年1月号(追記あり)

 「前衛」1月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れています。「俺の無能」のため「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
◆日本の原子力政策の転換をいまこそ:上関中間貯蔵施設の建設ストップを(笠井亮*1
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/使用済み核燃料/矛盾広げる原発推進をやめよ2023.8.4
核燃中間貯蔵施設 中止に追い込む意義強調/党中国ブロック学習会 笠井氏が講演/山口・柳井市2023.10.9
核燃中間貯蔵施設止めよう/笠井氏、大平・垣内比例予定候補が調査/山口・上関町2023.10.9


◆希望の提案:「非正規ワーカー待遇改善法」(日本共産党・非正規雇用問題検討チーム(大門実紀史*2/川野純平/佐藤萌海/岩藤智彦)) 
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/非正規の待遇改善/権利守るルール 法制化が急務2023.10.17
非正規ワーカー待遇改善法の提案を発表/人間らしい労働条件とジェンダー平等の働き方実現/田村政策委員長が会見2023.10.19
「非正規ワーカー待遇改善法」の提案/――パート、派遣、契約社員、非正規公務員、ギグワーカーの皆さんへ/明日に希望が持てる、人間らしい労働条件とジェンダー平等の働き方の実現へ/2023年10月18日 日本共産党2023.10.19


◆ガザの人道危機をどう解決するのか(宮田律*3
(内容紹介)
 オスロ合意のような「共存を目指す方向性」しか解決の道はないとしながらも、欧米各国(特に米国)がイスラエルの無法を容認する状況で道は険しいとしている。


特集「上からの自治体デジタル化は何をもたらすか」
◆政府が進めるデジタル化で市民生活が向上するのか:デジタル行財政改革の狙いと問題点(中山徹*4
◆デジタル化で問われる自治体のあり方(久保貴裕*5
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
自治体の窓口は重要/伊藤氏「対面サービス守れ」2022.4.5
デジタル化強制 懸念/伊藤氏質問 「規制改革」法案巡り/参院審議入り2023.6.6


◆ 「こども政策」をどう充実させるか:子どもの権利影響事前評価とこども大綱策定の民主的統制(中嶋哲彦*6
(内容紹介)
 「子どもの権利影響事前評価」と「こども大綱策定」に対する民主的統制が論じられていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆現代の低所得層子育て家族に必要な支援は何か(野坂優)
(内容紹介)
1)低所得層子育て家族への支援として「生活支援(特に居住環境の整備:例えば葛西リサ*7『母子世帯の居住貧困』(2017年、日本経済評論社)参照)」
2)「貧困の再生産」をしないための「教育の無償化(子どもが生計を立てるための職能を身につけるという意味合い)」の重要性が主張されている。
 なお、「貧困世帯においては職能を身につける」と言った場合「女子高校生」の場合「幼稚園教諭」「保育士」「看護師」と言った職(歴史的に女性が多い職)を望む傾向が親子ともに強い(進学先も四年生ではなく短大)為、「ジェンダー的観点」から悩ましいものの、そうした意向を全く無視することもできないだろうとしている。


◆ 「カルテル問題」「ビッグモーター事件」「代理店への優越的地位の濫用」:揺らぐ損害保険産業と再生への展望(松浦章*8
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
カルテル問題】
主張/損保カルテル疑惑/不適切な価格調整 徹底解明を2023.8.24
【ビッグモーター事件】
損保癒着か 徹底解明を/ビッグモーター 政府に小池議員2023.7.29
ビッグモーター社長辞任1カ月/保険会社競わせる構造/収益第一「持ちつ持たれつ」/損保出身の男性語る2023.8.26

業者と癒着断つ制度へ/損保代理店問題考える院内集会2023.12.9
 損害保険代理店問題を考える「第5回損保代理店院内集会」が8日、参院議員会館で開催されました。
 兵庫県立大学松浦章客員研究員が基調報告。
 松浦氏は、人件費削減で利益を追求したのがビッグモーター事件だと指摘。「不正排除などは二の次となり、あらゆる損害サービス部門で不正請求事案への対処力が大きく損なわれる。利益至上主義による補償機能の劣化が露呈した」と語りました。

【代理店への優越的地位の濫用】
損保が代理店いじめ/大門氏 優越的地位の乱用追及2021.3.30
強制的契約解除や手数料減額/損保大手の横暴正す/代理店の声聞き質問10回 大門議員2022.3.10

地域の安全網担う損保代理店/保険会社と公正な関係を/大阪損保革新懇がシンポ2022.5.29
 松浦章大阪損保革新懇世話人は、(中略)一方的な手数料減額を可能にする「手数料ポイント制度」の問題点にふれ、「代理店と保険会社の公正な関係を求め、広く社会に発信していこう」と呼びかけました。

手数料ポイント是正を/損保代理店問題 小池氏、国に要望2023.6.28

代理店食い物許すな/大阪損保革新懇シンポ 小池・大門氏が報告2023.7.2
 損害保険代理店の苦難軽減に取り組む「大阪損保革新懇・代理店プロジェクト」は6月30日、大阪市内で業界の健全な発展へ「損保代理店シンポジウム」を開き、全国から損保代理店の経営者ら127人が参加しました。
 松浦章大阪損保革新懇世話人が基調報告で代理店プロジェクト発足15年の運動の到達について語り、顧客本位の代理店制度実現へ「諦めず、声を上げ続ければ『山は動く』を教訓に運動を広めよう」と訴えました。

主張/損保大手と代理店/公正な関係で安全網を支えよ2023.7.18
“ポイント制”是正迫る/損保代理店など公取委に申告2023.7.22


シリーズ「戦争と平和の岐路に問う」
◆女性画家たちと戦争(吉良智子*9
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。なお、吉良氏については以前、新刊紹介:「歴史評論」2022年7月号 - bogus-simotukareのブログで『視覚文化研究における私のジェンダー史的アプローチ』(吉良智子)を紹介したので改めて拙記事を紹介しておきます。
参考

【女性芸術家たちは、自分達の地位を上げるためにプロパガンダを描いた】ETV特集「女たちの戦争画」 - ブックワームのひとりごと
 非常につらい話でした。
 戦時中、物資が不足する中で、画材を手に入れるには手っ取り早くプロパガンダ絵を描いてしまうのが早かったのです。
 その上、女性芸術家は周囲に侮られ、男性の作ったものと常に比較される運命にありました。
 そんな時代の中、長谷川春子*10は「男性にも負けない作品を」と他の女性芸術家に呼びかけ、戦時中の女性たちを描いた絵を作り上げます。
 絵の中にはさまざまな働く女性たちが描かれています。
 戦争の絵でなければ、働く女性を賛美したい、という思想は悪くなかったのかもしれません。
 戦後、多くの戦争画が焼かれましたが、この絵は残っています。
 もちろん歴史的な価値が高いからこそです。しかし、自分がプロパガンダに協力した過去が、いつまでも残っているのはつらいだろうなあと思います。
 表現することは楽しいばかりではないですが、過去の自分の作品が自分を責める、というのは深い絶望だったでしょう。
 やるせなさの残るドキュメンタリーでした。

「女性活躍」の欲望と思惑 女性画家が描いた戦時中の労働を読み解く | 毎日新聞2023.10.22
 吉良さんは新著「女性画家たちと戦争」(平凡社)で、19443年に女性美術家約50人が結成した奉公隊と、その記念碑的作品「皆働之図」に光を当てた。2015年刊行の新書「女性画家たちの戦争」(平凡社)を基に、新出資料や新たな知見を盛り込んだ一冊だ。
 奉公隊のメンバーには、リーダー的存在だった洋画家の長谷川春子(1895~1967年)、そして同じく洋画家の三岸節子*11(1905~1999年)、前衛画家の桂ゆき*12(1913~1991年、当時はユキ子)らが名を連ねた。陸軍省の依頼を受け、桂の下絵をもとに総勢約40人で「皆働之図」を制作。場面ごとにタッチが異なるため全体の統一感に欠けるものの、衣服の模様など細部まで描き込まれ、時代を記録しようという描き手たちの熱意が伝わる。
 「戦後の感覚からすれば、戦争にのめりこむなんて良くないこと。なのにどうして女性画家たちはこのような絵を描き、戦争遂行を支えたのか。そこには理由があるはずで、それを考えたかった」と吉良さん。

第二次世界大戦下の女性たちの労働を描いた《大東亜戦皇国婦女皆働之図》が伝えること——『女性画家たちと戦争』著者インタビュー(前篇)|じんぶん堂
 第二次世界大戦中、画家たちは「戦争画」を描いた。それらは戦後長らく、忘れるべき存在であった。それ以上に歴史の中に埋もれていたのが、女性画家による戦争画だ。男性画家たちが戦地に赴いてその様を描く一方、女性画家たちの多くは銃後などを描いた。女性画家たちが関わった作品の中でとりわけ存在感を放っているのが《大東亜戦皇国婦女皆働之図》である。本作品を中心に当時の女性画家たちの活動や女性画家として代表的な存在であった長谷川春子三岸節子、桂ゆきにフォーカスしたのが『女性画家たちと戦争』(2023年、平凡社)である。著者である吉良智子氏に本書のよみどころなどをうかがった。
吉良
 大学3年になった時、馬渕明子*13先生(前国立西洋美術館館長)の西洋美術史のゼミに入りました。ジェンダーと絵画の両方をもっと学びたいという気持ちが徐々に膨らみ始めました。1995年、ちょうどその年は「戦後50年」という大きな節目の年でした。戦争画を研究する人が増えてきて、戦争画集なども刊行されるようになってきた頃でした。それまでは「戦争画」の「せ」の字すらタブーだった雰囲気がありましたので、だいぶ空気が変わってきた時期でした。
記者
 《大東亜戦皇国婦女皆働之図》(春夏の部)(秋冬の部)はどういう経緯でその存在を知ったのでしょうか。
吉良
 大学3年生のとき、「戦争とジェンダー卒業論文のテーマにしたい」と、ある方に相談したことがありました。その方が、「靖國神社の遊就館に行ってみたらどうかしら。すごい絵があるわよ」とアドバイスしてくださったのです。そして「秋冬の図」のそばに説明書きがあり、そこにこの絵を描いたのは「女流美術家奉公隊(以下、奉公隊)」であるという内容が記載されてありました。授業でも書籍でも目にしたことも、耳にしたこともない名称でしたので、絵だけではなく、この奉公隊についても興味が湧きました。この絵と奉公隊についてどなたかがご存じかもしれないと思い、戦争画を研究されている先生にお尋ねしたところ、「団体とその作品は知っているけれどそれ以上は知らないなあ」ということでした。だったら私がこの絵を研究しようと思ったのです。
記者
 「春夏の部」はいつ頃ご覧になったのですか。
吉良
 大学4年生の夏に初めて「春夏の部」を見ました。当時は現在の所蔵先である筥崎宮(福岡県福岡市)ではなく、福岡県春日市にある自衛隊の資料館に保管されていました。筥崎宮自衛隊に寄託していたのです。
 その後大学院に進学し、さらにこの絵と奉公隊について調査しました。さらに過去に刊行された『美術年鑑』をもとに戦時中や戦後の美術展、それも奉公隊だった方々が出品しそうな展覧会を探し当てる作業を行いました。それらの展覧会のほとんどは新聞社が主催しておりますので、展覧会の記事が載っているのではないかと新聞記事にもあたりました。まとまった史料が残っておりませんでしたので、非常に骨が折れる作業の連続でした。しかし、わからないことが次第に明らかになるという面白さのほうが勝っていました。
 ただ、さきほども申しましたように、「戦争」と「ジェンダー」という「厄介者」扱いをされているテーマでしたので、「なんでこんな研究をしているんだ」と不思議がられることも少なくありませんでした。ただ、戦時中の史料が残っていないのならば、戦後の美術関係史料にあたってみてはどうかとのアドバイスを大学の先生にいただいたり、少数ですが「よくやるね。すごい」という言葉をかけてくださったり、単純かもしませんが、そういうことが本当に研究の励みになりました。
 次第に文献だけで調査するスタイルに限界を感じるようになりました。女性アーティストは周縁化されているので史料や記録が残りにくいのです。そこで文献ではなく、奉公隊だった方たちに話を聞きにいくしかない、と。拒まれても、怒鳴られても仕方ないけどとにかく会って、話を聴くことにしたんです。
記者
 どのようにして奉公隊の方たちを探し当てたのでしょうか。
吉良
 女流画家協会の名簿を頼りに手紙を出しました。この女流画家協会は1947(昭和22)年に三岸節子や桂ゆきによって設立された団体です。
 そんな手探りの状態でも、次第に光が見え始め、最初に話を聴きに行ったのが、木下寿々子さんでした。その後、高木静子さん、それから石村五十子さん、岡田節子さん*14にお話を伺いました。

第二次世界大戦下の女性たちの労働を描いた《大東亜戦皇国婦女皆働之図》が伝えること——『女性画家たちと戦争』著者インタビュー(後篇)|じんぶん堂
記者
 今回の本では、奉公隊にも関わっていた長谷川春子、桂ゆき、三岸節子という3人の画家も焦点をあてています。なぜこの3人を取り上げることにしたのでしょうか。
吉良
 戦時中から戦後にかけての女性画家たちの活動を語る上で欠かせないものは何だろうかと考えていたところ、「世代」と「生き方」という2つのキーワードに行きつきました。長谷川は三岸よりも10歳年上、三岸は桂よりも10歳年上なんですね。今の時代もそうですが、10歳も年が離れていると、触れてきた文化などが異なるので、物事の捉え方に違いが出てくることがしばしばあります。今で言うと、ミレニアル世代とZ世代との違い、というようなことです。長谷川と桂だと20歳も離れており、画家になるまでに経験してきたことが違うので、それが絵画制作にも影響を与えているのではないかと思ったのです。
 「生き方」に関しては、古い言い方にはなりますが、長谷川は姉御肌のバリバリのキャリアウーマンでした。その一方で三岸は三岸好太郎の妻で、離婚し、シングルマザーになりました。2人の後の世代である桂は長谷川や他の女性画家たちとうまく距離をとりつつ、という感じでした。成長してお嫁に行って、子どもを産んでというのが女性の生き方であると思われていた時代ですが、実際には女性ひとりひとりが違う生き方をしていたんです。そういうことを頭の中に入れておくというのは、作品と向き合ううえで欠かせないと思うのです。
 「世代」と「生き方」という2つ視点から、3人の戦時中の様子についてみてみると、それぞれに違いが出てきて興味深いのです。姉御肌な長谷川は女性であっても戦地に行って絵を描くのもあり、だと思っていました。むしろ、「これはチャンスなんだから活かさないと」と考えていたのかもしれないですね。桂は長谷川に促されるままに奉公隊に入り、《大東亜戦皇国婦女皆働之図(以下、皆働之図)》も描きました。一方で三岸は奉公隊の活動に気が進まず、メンバーに名を連ねたものの、実際の参加からは遠ざかりました。
 こういったように3人それぞれキャラクターが違い、もちろん作品のテイストも異なる3人が、《皆働之図》や奉公隊に関わっている。戦時中ではなかったら、もしかするとありえない組み合わせだったと思います。戦争と向き合うスタンスもそれぞれでした。誰がいけなくて、誰が正解だったのか、ということではありません。
記者
 《皆働之図》のどういったところを読者のみなさんに観ていただきたいですか。
吉良
 この作品には戦闘機や砲弾の生産から田植えや養蚕など42もの労働が描かれています。戦時中はどうしても男性の活躍、いわゆる、戦地で彼らがどのように戦ったのかなどということばかりがフォーカスされます。しかし戦争が進むにつれて国内の男性の数が少なくなり、女性たちも駆り出されるようになりました。男性たちが戦地で使用していた兵器は女性たちがつくり、女性たちは不可欠な存在だったのです。そういったことから「女だって戦争に参加しているんだ」という声が聞こえてくるようでなりません。
 また興味深いのは、この《皆働之図》は東アジアの伝統的な図式である、日月山水図という形式がベースになっているところです。この日月山水図は、春夏秋冬のなかに太陽と月を描くというものです。戦時中の様子を描いているのにもかかわらず、四季が意識されていて全体的にどこか牧歌的な雰囲気が漂っているのはそういうことが影響しているのだろうと思っています。
記者
 学生時代にこの絵と出会い、さまざまな調査を経て新たにわかったことの中で印象深いものはありますか。
吉良
 「秋冬の図」の右のほうに描かれている羽布張りですね。アイロンをかけているようにしか見えなかったのですが、1944年の「朝日新聞」の記事を読み、飛行機の補助翼の羽布張りだということがわかりました。あとは、これも「秋冬の図」なのですが、右下に描かれている郵便配達の場面です。よくよく見ると看板に小さく「公共待避所」と書かれており、ここを描いた画家の性格といいますか、細かいところまでこだわるなあと。そういう味わいのようなものが伝わってきます。それから、「春夏の部」の真ん中上部あたりの海外放送調整室を描いた部分でしょうね。この部分は話をお聞きしに行った髙木静子さんが描いています。ここも細かく描かれていて、通信機材には「伯林(ベルリン)」、「ジャカルタ」と描かれています。
記者
 ずっと見ていると、女性だけの楽園のように見えてきます。
吉良
 そういう「女たちだけの楽園」の雰囲気が醸し出されているからか、男性からするとこの絵は「萎える絵」だそうです。「俺たちがいなくても世の中はまわるのかもしれない」と感じてしまうようで。兵士たちからしてみれば、健気な女性を守るためにも闘うぞ、という想いもあって、女性が祈る姿を描いた絵や母と子を描いた絵のほうが戦時中の美術展覧会や雑誌では好まれました。
 でも女性から見れば、男たちだけが活躍しているのではないよ、という気持ちのほうが大きい。事実、子どもの面倒を見たり、負傷兵のケアをしたり、そういう見えない場面では女性たちの労働力が必須でした。この《皆働之図》は女性画家たちの「本音を語る絵」なんです。東京美術学校(現東京藝術大学)を受験できるは男性のみという美術教育のジェンダー格差や画壇での不当なジェンダー差別がありました。そういう背景なども踏まえると、この《皆働之図》は女性画家たちが描いた大きなサイズの絵という単純な見方をすることはできなくなってくると思います。見る人によって、時代によって、さまざまな見方ができ、捉え方もできる絵です。それこそ、本来の美術、絵本来の姿ではないでしょうか。だからこそ奉公隊や《皆働之図》がなぜ生まれて、私たちに何を問いかけているのか、考えてもらいたいですね。


シリーズ『社会変革と真実の報道へ 赤旗記者ここにあり』
◆国際:戦時下の欧州、平和をめざす人々とともに(吉本博美*15
(内容紹介)
 吉本氏の記事紹介(NATOウクライナ戦争関係等)で代替。
「軍事費増のため祝日廃止するな」/デンマーク5万人抗議/賃金と自由奪ってはならない2023.2.7
核廃絶 取り組み強く/国連・中満氏主張 NPT再検討会議準備委2023.8.2
核兵器の役割縮小を/NPT再検討準備委 議長勧告/総括案の採択は見送り2023.8.13


◆社会:大正関東地震*16の教訓、最新の知見を知らせ、生かす(原千拓*17
(内容紹介)
 原氏の記事紹介で代替。

大正関東地震の教訓に立って、最新の知見を知らせ、生かす | 「しんぶん赤旗」記者募集(『前衛』2024年1月号記事の転載)の一部紹介
 1923年9月1日に神奈川県西部で発生した大正関東地震から今年でちょうど100年がたちました。関東一円を襲ったマグニチュード(M)7・9の巨大地震による関東大震災は、死者・行方不明者10万5000人以上と、日本の自然災害史上で最多の犠牲者を出しました。科学班所属の私は、大正関東地震はどんな地震だったのか、その発生メカニズムや最新の地震研究について取材しました。
 大正関東地震震源域は、陸の北米プレートと相模トラフ(海盆)から沈み込むフィリピン海プレートの境界です。
 専門家はM7級の地震の発生頻度は、これまでの100年間よりも今後の100年間で増える傾向になると予想しています。
 首都圏では、大正当時はなかった多くの高層ビルや大型の架橋などが点在し、東京の人口はこの100年間で400万人から1400万人へと増加しています。現在の関東でM7級以上の地震が発生した際、大型構造物や密集した住宅街にどんな被害が及ぶのか不安がよぎります。
 取材を通して、〝巨大地震は繰り返し発生する〟というメカニズムを前提に関東の地下の状況や過去の大地震の形跡について様々な分野から調査・研究が行われていることを知りました。一つは、GPS(全地球測位システム)を使った最新の観測法です。プレート間の変動をなんと、1年あたり数ミリメートルの精度で計測できるというのです。解析結果から、大正と元禄の関東地震の際にすべったプレート境界の主な領域や、その領域では現在、ひずみの蓄積が進んでいることなどが分かってきました。
 また地下の断層を捉えるために、宇宙線ミューオンを利用した新しい観測方法の開発を目指す研究チームもいます。宇宙線ミューオンは、地上に降り注ぐ素粒子の一つ。物体を透過する能力が高く、ピラミッドのような巨大な構造物でもレントゲン写真のように透視することができます。その性質を利用して、地下にある詳細な断層の情報をつかもうという試みです。
 海底においては、地震津波の高さなどをいち早く正確にとらえるために、高感度の地震計と水圧計が北海道から房総半島沖、紀伊半島沖と四国沖に設置され、観測網の整備が進められてきました。
 「巨大地震がいつ起こるかの予測は難しい」と専門家はいいます。一方で、これまでの研究や調査から、どのような地震津波が起こり得るかはわかってきており、その被害予測は、次来る巨大地震に対する備えにつながると力を込めます。研究成果に基づいた知見から防災・減災の取り組みの必要性を訴える専門家たちの言葉に重みを感じます。
 地震津波など自然災害の科学的な理解や最前線の研究、過去の災害からの教訓、被災者に寄り添いながら暮らしや生業を取り戻すための施策などあらゆる角度でとらえ、多くの人たちに伝えていきたいです。


◆くらし・家庭:「赤旗電話相談」〝ゆっくり待つ、じっくり聞く〟を第一歩に(徳間絵里子*18
 徳間氏の記事紹介で代替。

「赤旗電話相談」──〝ゆっくり待つ、じっくり聞く〟を第一歩に | 「しんぶん赤旗」記者募集(『前衛』2024年1月号記事の転載)の一部紹介
 「しんぶん赤旗」には「電話相談」の窓口があります。1978年3月1日、「読者のみなさんのくらしの相談に専門家が直接こたえる」企画としてスタートし、今年45年目を迎えました。
 分野は「法律」「年金・社会保険」「税金」「マンション・住宅」「子ども・教育」「障害児教育」「医療福祉」の七つ。弁護士、社会保険労務士、税理士、一級建築士、元教員、元医療ソーシャルワーカーなど約40人の専門家が回答者を務めています。
 さまざまな悩み事に、専門家が直接電話で答えてくれるのは、他紙にはない独自のサービスです。
 「人生相談の老舗である新聞はいかに悩みに答えてきたか」という週刊誌の特集に、こう紹介されました。
 「その形式自体が特徴的なのが、赤旗。人生相談というコーナーを設けているのではなく、電話相談の回線を作り、掲載も相談者と回答者の対談形式。悩みを12種類に分類し、その対応も的確だ。中でも人気が高いのは、赤旗読者らしく法律、年金、税金」(『SPA!』1995年7月12日号)
 私はこの赤旗電話相談を担当して26年たちます。主な仕事は二つあり、一つ目は電話相談の受け付け担当として、相談者と回答者のやりとりを記録する業務です。相談内容を記録したノートは150冊になりました。
 もう一つの仕事は、相談内容を記事にまとめ紙面で紹介することです。寄せられた相談は、日刊紙のくらし・家庭面「くらしの相談室」、日曜版「赤旗相談」欄に毎週掲載しています。


◆論点『インボイス反対運動の広がりを「廃止」の力に』(中山眞*19
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
減税なら消費税こそ/インボイスは廃止を/各界連2023.10.25
主張/インボイス増税/苦難は明らか 直ちに中止せよ2023.11.22


メディア時評
◆新聞『蛮行に加担、二重基準の罪悪』(千谷四郎)
(内容紹介)
 勿論タイトルは『(イスラエルのガザ攻撃という)蛮行に加担、(ロシアを非難しながら、拒否権発動などでイスラエルは擁護する米国の)二重基準の罪悪』と言う意味です。
参考

志位和夫
 人道的停戦を求める安保理決議案を、米国ただ一国が拒否権を発動して葬ったことは許し難い。日本政府は米国政府が無法な態度を改めるよう厳しく求めるべきだ。

志位和夫
 アメリカのとった態度は犯罪的です。日本政府として厳しく抗議し、是正を迫るべきです。
ガザ危機・談話 即時停戦決議案への米国の拒否権行使を糾弾する│声明・談話・発言│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会2023.12.9
 国連安保理は8日(日本時間9日早朝)、国連事務総長の要請に応じて、即時の人道的停戦などを要求する決議案を討議したが、米国の拒否権行使により、採択できなかった。ほぼ100カ国が共同提案国となったこの決議案には、英国が棄権にまわった以外、他のすべての安保理理事国が賛成した。日本共産党は、ジェノサイドというべきガザの破局的事態を回避しようとする国際社会の一致した努力を踏みにじった米国の責任を厳しく糾弾する。


◆テレビ『評価に値する報道』(沢木啓三)
(内容紹介)
 評価に値する最近の報道として以下を紹介
【1】
いわゆる「大川原化工機冤罪事件」を報じたNHK番組が紹介されてます。「やはり報道のNHK」「民放にはできないことを平然とやってのける、そこにシビれる!、あこがれる!(元ネタ:そこにシビれる!あこがれるゥ! (そこにしびれるあこがれるぅ)とは【ピクシブ百科事典】) 」と言うべきでしょうか。
 沢木氏は「中国の脅威」を理由に「経済安保法制」が云々される中「重要な放送」と評価すると共に、この事件での起訴は単に「警察、検察が手柄を焦った(多くの冤罪事件の発生理由)」のではなく「経済安保法制」を正当化するための「政治への忖度がなかったか」との疑念を呈しています(但し、NHK報道では『事件は冤罪である』と言う指摘に留まり、そうした「政治的忖度の疑い(場合によっては「安倍のモリカケ桜疑惑」のような「起訴しろ」という政治家の直接的介入すらあったのではないか)」を指摘しなかったことが残念と沢木氏は評価している)。
【2】埼玉県「留守番禁止条例案」の撤回に大きく貢献したとされるテレ朝「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」の条例批判報道
【参考:埼玉県「留守番禁止条例案」】

「登校も外遊びもNG」に驚愕 ザワついた「留守番禁止条例」スピード撤回の舞台裏テレビ朝日スーパーJチャンネルデスク 溝上由夏)
 私はスーパーJチャンネルでデスク(ネタを選び、切り口やその長さなどを決める人)をしていて、年齢は42歳。小学校6年生の娘と保育園の年長の息子を育てる母親でもある。夫は単身赴任で双方の実家も遠方で頼れないため、「お留守番禁止条例」の話は完全に自分事で、こういった条例で決まった場合、生活が成り立たなくなる家庭が山のように出てくることも瞬時に想像がついた。
 「お留守番禁止条例」の情報をキャッチしたのは10月5日(木曜)。
 出勤途中の大江戸線の中だった。
 この時点で「お留守番禁止条例」を詳しく報じていたのは東京新聞のみ。
 どうやら翌6日(金曜)の委員会で採決されてしまうらしい、という情報も入ってきた。
 その10月6日(金曜)、たまたま自分がスーパーJチャンネルのデスクを担当していた日だったため、委員会採決を取材すれば当日のニュースになるのでは?と考え、会社に到着後はすぐに取材チームを編成。
 報道ステーションの当日デスクが、普段から取材やニューストピックの相談をしている女性だったので、彼女にも声をかけ、議会取材をスーパーJチャンネル報道ステーションで一緒に行うことになった。
 ここまでの動きは10月6日(金曜)の、朝10時ごろまでの話。
 ただ、体制は組んだものの、この時点でテレビ朝日としては何も取材ができていない状態だったため、「何が虐待に該当するのか」などを自民党県議団に確認する必要があった。
 情報のウラが取れなければニュースで報じることもできない。
 ここで自民党側に断られたら、情報の確認が煩雑になり、素早く報じる事ができないリスクがあった。一方で、当初から条例案のキーマンと聞いていた自民党県議団の田村琢実団長の取材については確信があった。
 以前、選択的夫婦別姓を巡る話題(田村議員は賛成派で、自民党内では少数派)で、スーパーJチャンネルでインタビュー取材に応じてもらった事があった。
 この経験があったので、例えセンシティブな話題であったとしても、カメラでの取材に応じるだろうという確信だ。
 実際、真正面から取材を申し込んでみると、予想通り、あっさりOKが出たためテレビ朝日だけのインタビューが実現した。
 このインタビューでカメラを回したディレクターが引き出したのが
「Q:子ども一人のお留守番は虐待ですか?」
「A:もちろんです*20

という田村団長による核心となる発言だった。
 非現実的な法案に懸念を示す子育て世代である当事者たちの感覚とは著しくズレていた。にもかかわらず、自民党県議団側はこの「ズレ」にひどく鈍感なように見えた。
 この時点でまだ大きく報じられていなかった「お留守番禁止条例」を取り上げるにあたっては、自民党県議団と子育て世代との「ズレ」が明確に提示できればいいと考え、両者の声を対比させる形で、6日(金曜)夕方のニュース番組で放送を行った。
 同じ日、夜には報道ステーションもこの話題を大きく報じた。
 3連休明けの10月10日火曜日には自民党県議団が撤回を表明。
 13日金曜、ヤジが飛び交う中、本会議でお留守番禁止条例案は正式に撤回された。
 集まったネット署名は最終的に10万筆を超え、野沢さん、天野さんらの団体は自民党県議団の田村団長に直接、反対署名と意見書を手渡した。
 意見書の手渡しに現れた田村団長は、1週間前の自信満々の表情から打って変わってどこか戸惑ったような表情に見えた。
 番組の報道から正式な撤回までわずか1週間。
 私自身、これまでも杉並区の保育園一揆騒動や、隠れ待機児童問題、埼玉県所沢市の育休退園問題など子育てに関わるニュースを追ってきたが、ここまでのスピード感で物事が動いたのは初めてだった。

 テレ朝の報道が10/6(金)、7~9(9日はスポーツの日)の三連休で急速に批判が広がり、連休明けの10日(火曜)には撤回表明に追い込まれ、13日(金)には正式に撤回とは、沢木氏も指摘するようにテレ朝の報道の影響が窺えます。


【参考:大川原化工機冤罪事件】

“冤(えん)罪”の深層〜警視庁公安部で何が〜 - NHKスペシャル - NHK2023年9月24日
 なぜ「冤罪」は起きたのか。3年前、軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして横浜市の中小企業の社長ら3人が逮捕された事件。長期勾留ののち異例の起訴取り消しとなった。会社側が国と東京都に賠償を求めている裁判で今年6月、証人として出廷した現役捜査員は「まあ、ねつ造ですね」と語り、捜査の問題点を赤裸々に語った。公安部の中でいったい何が起きていたのか。法廷の証言と独自資料をもとに徹底取材で検証する。

立川談慶*21
 NHKスペシャル「冤罪の真相」、なんの罪もない横浜の機械メーカーが警察内部の点数稼ぎ*22のために訴えられてしまう経緯が詳細に描かれていた。そしてのその中心人物たちは今もなお保護されているとは。戦前かよと思う出来事だ。これは受信料を払う値打ちがある番組だよなあと納得。

「大川原化工機」起訴取り消し裁判 捜査員が当時の対応批判|NHK 首都圏のニュース
記者のこだわり:なぜ現職警察官は「捏造」と証言したのか 起訴取り消しの舞台裏 | 毎日新聞

「立件方向にねじ曲げ」警視庁内部文書に記載 起訴取り消しで地検が指摘 | 毎日新聞2023.12.6
 軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機(おおかわらかこうき)」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された問題で、東京地検が2021年7月、警視庁公安部に起訴取り消しの方針を伝えた際のやり取りを記録した警察の内部文書を毎日新聞が入手した。地検は、公安部が法令解釈を「意図的に、立件方向にねじ曲げた」と裁判官に捉えられるリスクがあると指摘し、公判を維持できないと通告していた。
 この問題を巡っては、違法な逮捕・起訴があったとして同社が国家賠償訴訟を東京地裁に起こし、捜査に携わった現職の警視庁警部補が2023年6月の証人尋問で、事件を「捏造」と証言する極めて異例の事態となっている。
 文書に記載されているやり取りが公安部と地検との間であったのかについて、警視庁は「係争中につき、お答えを差し控える」、地検は「具体的な公判活動に関わる事柄である上、係争中であることから、お答えを差し控える」とコメントした。

大川原化工機起訴取り消し 国家公安委員長「コメント控える」 | 毎日新聞2023.12.8
 松村祥史国家公安委員長は8日の閣議後記者会見で、軍事転用可能な装置を不正輸出したとして外為法違反に問われた化学機械製造会社「大川原化工機」の社長らの起訴が取り消された問題の検証の必要性などを問われたが、「本件事案は国家賠償請求訴訟で当事者からそれぞれ主張・立証が行われ、訴訟継続中であり、私からはコメントすることを差し控える」と述べるにとどめた。
 この問題を巡っては、違法な逮捕・起訴があったとして同社が国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こし、12月27日に判決が言い渡される予定になっている。

日本弁護士連合会:大川原化工機事件
連載「冤罪はこうしてつくられた 大川原化工機事件を追う」一覧 - A-stories(エーストーリーズ):朝日新聞デジタル
「まぁ、捏造です」「捜査員の個人的な欲でこうなってしまった」警部補が驚きの証言…大川原化工機が国を訴えた「冤罪事件」の行方 | 文春オンライン
警視庁公安部のお粗末すぎる捜査…国賠訴訟を起こした大川原化工機幹部が語る「中国不正輸出冤罪事件」全真相 | デイリー新潮
「判断間違ってない」「謝罪しません」…起訴取り消し巡る国賠訴訟で証言した担当女性検事の正体 12年前との落差に驚き | デイリー新潮
現役捜査員も「捏造だった」と証言、捜査を仕切った関係者らは事件後に昇進 女性を自殺未遂に追い込んだ警視庁公安部の暴走 | デイリー新潮
公判4日前に起訴取消し、それでも「謝罪はしません」と強弁した東京地検・女性検事の行状【大川原化工機冤罪事件】 | デイリー新潮
エコノミストリポート:犠牲者が出た大川原化工機事件 現職警官が「捏造だった」と証言 粟野仁雄 | 週刊エコノミスト Online
女性検事「間違いあったと思っていない」 13年前の「正義の検事」が“冤罪”事件で謝罪拒む | 概要 | AERA dot. (アエラドット)
【追記】

NHK「ETV特集」公式
Dec 23
 今夜の #ETV特集 は「続報 "冤罪"の深層~新資料は何を語るのか~」
 #大川原化工機 の"#冤罪"事件はなぜ起きたのか。反響を呼んだ #NHKスペシャル の続編完成!警察の捜査方針を経産省はなぜ追認したのか。検察はなぜ起訴したのか。その内幕に新たな資料で迫る! 12/23(土)夜11時

宮本徹*23
 ETV特集、大川原化工機をめぐる冤罪について。警察の内部資料も入手し、NHKスクープの連打ですね。
 警察関係者の証言「韓国や中国でネタを挙げれば喜ぶ政治家もいる。これがアメリカへの輸出だったらこうはならない」、政権の「経済安全保障」への忖度が、冤罪の背景に。

田村智子*24
 大川原加工機事件、国と都に賠償命令の判決。勝訴は当然。しかし経済安保を理由とした見込み捜査が、どれほどの人権侵害をもたらしたか、警視庁も国も反省が全くない。経済安保の問題として、政治の場での追及が必要。

山添拓*25
 大川原化工機への冤罪事件、警察の捜査も検察による起訴も違法と東京地裁
 警視庁公安部が「ねつ造」と認めるほどに、事件ありきの異常な経過。「経済安全保障」が大義名分とされ、警察庁は取締り強化の典型例としてきた。同様の事態がまた起こりかねない。政治の責任も重大。

毎日新聞
【速報】警視庁と地検の捜査は「違法」 起訴取り消し訴訟、国・都に賠償命令
 約11カ月に及ぶ勾留後に起訴を取り消された「大川原化工機」の社長らが5億円超の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は「捜査は違法」と認め、都と国に賠償を命じる判決を言い渡しました。

TBSラジオニュース
 【速報】軍事転用可能な機材を輸出したとの疑いをかけられ、機械メーカーの社長らが逮捕された「えん罪事件」をめぐり、社長や(ボーガス注:獄中で病死した社員の)遺族らが国などに対し、損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁は27日、国と都に対し、賠償金を支払うよう命じました。

【2024.1.10追記】
 マスコミ報道に寄れば東京都(警視庁)と国(検察)が控訴の方針とは怒りを禁じ得ません。


ジェンダー覚書:The personal is political『性別変更要件をめぐる二つの司法判断』(坂井希*26
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/手術要件は違憲/自認する性別尊重する社会を2023.10.19
性別変更 手術要件は違憲/生殖能力規定 最高裁全判事が一致2023.10.26
性別変更 最高裁大法廷判断/生殖不能要件 違憲大きな意義/外観要件 差し戻しは残念/弁護団会見2023.10.26
人権の見地に立った重要な判断/性別変更の手術「違憲」 志位委員長コメント2023.10.26
性別変更の手術要件「違憲」/倉林党ジェンダー平等委責任者が談話2023.10.26
主張/性別変更司法判断/人権尊重の流れが社会動かす2023.10.28
性別変更 法改正早く/手術要件撤廃求め当事者ら/最高裁判断受け2023.11.28
性別変更/生殖不能手術なしでも受理/法務省 最高裁決定受け事務連絡2023.12.3


文化の話題
◆音楽『ビートルズ〝最後の曲〟をめぐって』(小村公次*27
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。しかし無知なので、恥ずかしながら今回の前衛記事でこの事実を初めて知りました。

ビートルズ「最後の曲」11月2日発売へ 「ナウ・アンド・ゼン」:朝日新聞デジタル2023.10.26
 1970年に解散したビートルズの「最後の曲」が11月2日に発売されると26日、ユニバーサルミュージックが発表した。ジョン・レノンが生前に残したデモ音源をもとにした「ナウ・アンド・ゼン」。最新技術でレノンの声をクリアによみがえらせたといい、ポール・マッカートニーは「僕たち全員が参加した本物のザ・ビートルズのレコーディングだと言える」とコメントしている。
 ビートルズ名義での新たな曲の発売は、解散後の90年代に過去の映像や音源をまとめたプロジェクトの一環の「リアル・ラヴ」(1996年)以来、27年ぶりとなる。ユニバーサルによると、70年代後半にジョンが弾き語りで残した「ナウ・アンド・ゼン」のデモ音源は、94年、妻のオノ・ヨーコさんからポールらメンバーに手渡された。曲として仕上げようと試みたが、ノイズが多い上、当時の技術ではボーカルとピアノを分離できず、頓挫していたという。

ビートルズ“最後の新曲”発売「ナウ・アンド・ゼン」AIを活用 | NHK | 音楽2023.11.3
 1960年代に世界を席けんしたイギリスのロックバンド「ザ・ビートルズ」の新曲が発表されました。メンバーだったジョン・レノンさんが生前にテープに残した曲の音源に、AIを活用するなどして完成させた“最後の新曲”だということで、3日発売されたレコードを多くのファンが買い求めています。
 レコード会社によりますと、今回の新曲は1980年に凶弾に倒れてこの世を去ったメンバーのジョン・レノンさんが、亡くなる数年前にテープに残していた曲「ナウ・アンド・ゼン」だということです。
 テープの音源はジョン・レノンさんのピアノの弾き語りで、雑音などが多く混ざっていましたが、楽器の音や歌声を別の音源から学ばせたAIを使って、ピアノの伴奏や雑音を取り除いて、ボーカルだけを取り出したということです。
 そのうえで、メンバーのポール・マッカートニーさんとリンゴ・スターさん*28が新たに演奏を加えるなどして、今回、曲を完成させたということです。
 国内では3日からレコードの販売も始まり、東京渋谷の「タワーレコード渋谷店」の6階の売り場には特設スペースが設けられ、3日朝、入荷したばかりのレコードが陳列されました。
 購入した70代の男性は「60年来のファンで、ザ・ビートルズはもはや体の一部のように感じています。レコードはどうしてもほしかったので買えてよかったです」と話していました。
 また、40代の女性は「配信ではあえて聞かずに、我慢して買いに来ました。家族全員がザ・ビートルズのファンで、このあと実家に帰って一緒にこのレコードを聴くので楽しみです」と話していました。
 タワーレコード渋谷店のレコード売り場のフロア責任者の武田晃さんは「若い方から年配の方まで買っていただいていて、ザ・ビートルズは改めて別格だと感じます。これを機会にさらにファンが増えることを期待しています」と話していました。

ビートルズ、“最後の新曲”「ナウ・アンド・ゼン」全英1位に ビートルズ初の全英1位「フロム・ミー・トゥー・ユー」から約60年 | TBS NEWS DIG2023.11.11
 今月リリースされたザ・ビートルズの「最後の曲」が、イギリスの音楽チャートで1位を獲得しました。
 1963年、初めて全英1位を獲得したシングル「フロム・ミー・トゥー・ユー」から60年と6か月の時を経て再び首位を獲得したことから、「ナンバーワンを記録した最初と最後のシングルの間の期間が最も長いバンド」として記録を更新しました。
 また、イギリスの公式音楽チャートはメンバーのポール・マッカートニーさん(1942年生まれ*29)が81歳、リンゴ・スターさん(1940年生まれ*30)が83歳であることから、シングル曲で全英1位を獲得した史上最高齢のバンドだとしています。


◆スポーツ最前線『「機密費でIOC委員に贈答品」馳知事発言の波紋』(和泉民郎)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
機密費使いIOC贈答/馳知事発言 安倍氏「いくらでも」/東京五輪招致2023.11.19
機密費で贈答 解明を/「馳知事の招致必要」/小池氏2023.11.22
主張/五輪招致と機密費/「国策の闇」封印は許されない2023.11.23
五輪招致 馳氏「機密費」発言 ブログと一致2023.11.24

*1:衆院議員。党国際委員会副責任者(党常任幹部会委員兼務)。著書『政治は温暖化に何をすべきか』(2008年、新日本出版社

*2:党中央委員。著書『「属国ニッポン」経済版』(2003年、新日本出版社)、『新自由主義の犯罪』(2007年、新日本出版社)、『ルールある経済って、なに?』(2010年、新日本出版社)、『カジノミクス』(2018年、新日本出版社)、『やさしく強い経済学』(2022年、新日本出版社

*3:現代イスラム研究センター理事長。著書『現代イスラムの潮流』(2001年、集英社新書)、『物語イランの歴史』(2002年、中公新書)、『イラクと日本』(2004年、集英社新書)、『中東がわかる8つのキーワード』(2005年、平凡社新書)、『中東イスラーム民族史』(2006年、中公新書)、『イラン』(2007年、光文社新書)、『中東危機のなかの日本外交』(2010年、NHKブックス)、『「ユダヤ人とイスラエル」がわかれば「世界の仕組み」が見えてくる』(2012年、ワニブックスPLUS新書)、『オリエント世界はなぜ崩壊したか』(2016年、新潮選書)、『イスラム10のなぞ』(2018年、中公新書ラクレ)、『イスラムがヨーロッパ世界を創造した』(2022年、光文社新書)、『人口からみた宗教の世界史』(2023年、PHP新書)等

*4:奈良女子大学教授。著書『地域経済は再生できるか』(1999年、新日本出版社)、『地域社会と経済の再生』(2004年、新日本出版社)、『人口減少時代のまちづくり』(2010年、自治体研究社)、『人口減少時代の自治体政策』(2018年、自治体研究社)、『デジタル化と地方自治』(共著、2023年、自治体研究社)等

*5:大阪自治労連副委員長。著書『自治体DXでどうなる地方自治の「近未来」』(共著、2021年、自治体研究社)

*6:名古屋大学名誉教授。著書『教育委員会は不要なのか:あるべき改革を考える』(2014年、岩波ブックレット)、『国家と教育』(2020年、青土社)等

*7:追手門学院大学准教授。著書『13歳から考える住まいの権利』(2022年、かもがわ出版

*8:兵庫県立大学客員研究員。大阪損保革新懇世話人。著書『日本の損害保険産業』(2014年、桜井書店)

*9:1974年生まれ。東洋英和女学院大学、京都芸術大学実践女子大学等で非常勤講師。著書『女性画家たちの戦争』(2015年、平凡社新書)、『女性画家たちと戦争』(2023年、平凡社

*10:1895~1967年。近年再評価が進み、出版社「共和国」から、著書『踊る女と八重桃の花』(2022年)、『源氏手帖』(2023年)が刊行された(長谷川春子 - Wikipedia参照)

*11:1905~1999年。1951年、第一回芸能選奨文部大臣賞(現・芸術選奨文部科学大臣賞)を受賞。1986年、秋の叙勲で勲三等宝冠章を受章。1988年、出身地・尾西市(2005年に市町村合併一宮市)の名誉市民に就任。1990年、朝日賞を受賞。1994年、女性洋画家として初めて文化功労者となる(なお、洋画でなければ女性画家はそれ以前に日本画家の片岡球子(1905~2008年:1986年受章、後に文化勲章も受章)、秋野不矩(1908~2001年:1991年受章、後に文化勲章も受章)が文化功労者となっている)。1998年、尾西市は第三者の手に渡っていた節子の生家跡を買い取って市立三岸節子記念美術館を開館。著書『花より花らしく』(1991年、ちくま文庫)、『黄色い手帖』(1992年、ちくま文庫)等(三岸節子 - Wikipedia参照)

*12:1913~1991年。死後、再評価が進み、1998年には茨城県近代美術館で「桂ゆきの世界展」が、2007年には一宮市三岸節子記念美術館で「桂ゆき展」が、2013年には生誕100年を記念して、東京都現代美術館下関市立美術館で「生誕100年・桂ゆき:ある寓話」が開催された。著書『女ひとり原始部落に入る:アフリカ・アメリカ体験記』(1962年、光文社→1963年に毎日出版文化賞を受賞)、『狐の大旅行』(正・続)(1974年、創樹社→後に『余白を生きる:甦る女流天才画家桂ゆき』と改題し2005年、清流出版)等(桂ゆき - Wikipedia参照)

*13:1947年生まれ。日本女子大学名誉教授。1993年『美のヤヌス』でサントリー学芸賞受賞。サッカー好きであり、日本サッカー協会副会長(2014年3月就任)、日本女子サッカーリーグ理事長(2015年4月就任)、日本サッカー協会顧問(2018年3月就任)を歴任(馬渕明子 - Wikipedia参照)

*14:1917~2008年。女子美術大学名誉教授(岡田節子 :: 東文研アーカイブデータベース参照)

*15:赤旗外信部ベルリン支局

*16:一般的には関東大震災と呼ぶ

*17:赤旗社会部科学班

*18:赤旗くらし家庭部

*19:消費税廃止各界連絡会事務局長

*20:脇がめちゃくちゃ甘いのは田村氏は批判されるとは全く思ってなかったのでしょう。「馳の五輪発言」並に「はあ?」ですが。

*21:1965年生まれ。本名・青木幸二。1988年4月、ワコールに入社、福岡支社に配属。福岡・佐賀地区担当の営業職についていた。その後1990年4月、オーディション番組『激辛!?お笑いめんたい子』(テレビ西日本)に参加。それがきっかけで1990年5月、吉本興業福岡事務所の1期生オーディションに合格。カンニング竹山(1971年生まれ)、博多華丸(1970年生まれ)・大吉(1971年生まれ)が同期にあたる。当時の吉本福岡事務所長の「芸人は本名ではなく芸名で」という方針で、働いている会社名からあやかり、芸名を『ワコール青木』とする。こうして平日は会社員、土曜と日曜は芸人という生活を送る。1991年4月、ワコールを退社し、吉本福岡事務所も退所。1991年5月に立川流に入門、前座名は「立川ワコール」。2000年12月、二つ目に昇進。立川談志命名により「立川談慶(慶応大卒であることから)」に改名。2005年3月、真打昇進。著書『「めんどうくさい人」の接し方、かわし方』(2016年、PHP文庫)、『人生を味わう古典落語の名文句』(2017年、PHP文庫)、『天才論:立川談志の凄み』(2021年、PHP新書)等 (立川談慶 - Wikipedia参照)

*22:但し、沢木論文は「単なる警察、検察の点数稼ぎなのか」「経済安保法制整備の正当化に加担するという警察、検察の政治的忖度がなかったか」「場合によっては政治的忖度に留まらず『安倍のモリカケ桜疑惑、レイプもみ消し疑惑(安倍が政治介入)』のような『起訴しろ』という政治家の直接的介入すらあったのではないか」と指摘している。これについては疑わしきは罰せずが建前なのに | inti-solのブログ - 楽天ブログWikipediaの「大河原化工機事件」の項目には警視庁公安部の「暴走」の背景には、公安警察暴走の背景には「第2次安倍政権における警察官僚の重用、それに伴う警察官僚と政治権力中枢の関係強化、公安警察の外事部門の存在意義のアピールなどがあったと指摘されている。」という朝日新聞2021年11月4日の記事が引用されています。いずれにしても政権の方針との関係による「政治的プレッシャー」があったことは間違いなさそうです。」として沢木氏と同様の疑念を表明している。それにしても「大川原化工機冤罪事件の捜査」で政治的圧力があったかどうかはともかく「レイプもみ消し」によってそのように警察が疑われても「自業自得」「身から出たサビ」というべきでしょう。警察について言えば最近も「木原元官房副長官の政治介入に屈服した(週刊文春報道)」という別の疑惑まで浮上しました。

*23:衆院議員。日本共産党中央委員

*24:参院議員。共産党政策委員長、副委員長(常任幹部会委員兼務)

*25:参院議員。共産党政策副委員長(常任幹部会委員兼務)

*26:1972年生まれ。党ジェンダー平等委員会事務局長(党幹部会委員兼務)。著書『就職難に気が重いあなたへ』(共著、2003年、新日本出版社)、『あなたと学ぶジェンダー平等』(2023年、新日本出版社

*27:著書『徹底検証・日本の軍歌』(2011年、学習の友社)

*28:この二人以外のメンバーが既に全員故人であることについてはビートルズ - Wikipedia参照

*29:1942年生まれの著名人としては小泉元首相、市田日本共産党副委員長、金正日北朝鮮国防委員長、胡錦濤中国国家主席など

*30:1940年生まれの著名人としては麻生自民党副総裁、王貞治元巨人監督など