最初は新刊紹介:「歴史評論」2025年10月号 - bogus-simotukareのブログの
の紹介で書いていたのですが、長くなったのでこちらに移します。
山上光治 - Wikipedia
1945年(昭和20年)11月、山上*2は広島駅猿候橋口の闇市に姿を現すようになり、多少英語が出来た山上は進駐軍からキャメルやラッキーストライクなどの洋煙草を手に入れるとバラにして、闇市で売り始めた。山上の洋モクは評判となり瞬く間に売り切れた。
闇市のショバ代を要求されたが、支払いを拒否したため、村上組の村上正明*3らに側頭部をピッケルで刺されるなど激しい暴行が加えられた。しかしその現場には岡組組員が集まってきており、岡組組長・岡敏夫*4が村上らの暴行を止め、瀕死の状態に陥っていた山上を岡組が介抱した。怪我が完治すると山上は岡組の若衆となり、岡に村上正明への報復を直訴したが許可は得られなかった。
1946年(昭和21年)11月10日、岡組と村上組の間で、いわゆる「第一次広島抗争」が勃発した。それ以降、山上は「第一次広島抗争」の中心人物となり、村上組幹部の菅重雄、村上組組員の山口芳徳(岡組組員で村上組預かり)、吉川輝男(岡組組員で村上組預かり)を射殺した。1948年(昭和23年)3月23日午後5時、広島市猿猴橋町の日劇で映画観賞中に、山上は広島東警察署の捜査員2人に発見された。山上は逃げ込んだ酒店の五右衛門風呂の風呂釜の中で、右こめかみを拳銃で撃って自決した。
仁義なき戦い 広島死闘篇 - m-sic@m-nn.org2005.11.10
山中(北大路欣也)が命を捧げる相手と信じた村岡組組長(名和宏*5)は、軍国日本がそうであったように、若い山中に黒い因果を含ませ利権争いの手駒として利用していく。欣也と恋に落ちた梶芽衣子は、愛する男が国家の戦争(戦死した夫)とやくざの抗争(山中)により相次いで「犬死に」する悲劇に泣き崩れる。日本社会の縮図が、ヤクザ社会の中に激しく(ときに滑稽に)投影されているのが『仁義〜』という映画の魅力だ。
【仁義なき戦い 広島死闘篇】感想 - 暇人の感想日記2017.10.22
今作は山中*6の話です。モデルは伝説のヤクザとされる山上正治。広島抗争の中心人物で、「殺人鬼」のあだ名に代表されるように、ヒットマンとして人を殺しまくったそうです。
山中は復員兵で、特攻隊崩れです。
彼は最初の殺人と自決の時に口笛を吹きます。それが有名な「予科練の歌」です。これは戦意高揚映画として作られた「決戦の大空へ」の主題歌で、当時の若者の心を掴んだものと言われています。歌詞も御多分に漏れずな感じです。これを口笛で吹くんですね。つまり、戦意高揚の歌を最初の殺人で吹いているのです。これは自分への鼓舞ではないでしょうか。ここから、この抗争そのものが「戦争」の様相を呈してきます。
抗争は前作のように血みどろです。そして、そこで描かれる暴力は「ひどいこと」「虚しいこと」としてしか描かれません。
結局、何も生みだしてませんからね。しかも、山中が殺した人は、基本的に彼個人の動機というよりも、ほとんどは(ボーガス注:村岡組組長の)村岡に命令されてしたものです。彼は村岡に乗せられ、靖子*7とも別れ、無意味な死を生みます。
「上の人間が下の若い人間を使って殺しをさせ、権力を貪る」
これは前作と同じです。ですが、今作では山中という個人に絞ったことで、それがより鮮明に描かれています。そして重ねられる戦争のイメージ。考えてみれば、戦争も似たようなもんですよね。上の人間の判断で若い命が消える。大義なんて基本的に見せかけでしかない。
ラスト、(ボーガス注:山中の)葬式ですが、広能*8と「権力を得ている人間」が対照的です。村岡やその他は、自決した山中を「立派な奴だ。(ボーガス注:村岡組の)誰にも迷惑をかけずに自決した」と言います。そしてそれを苦虫を噛み潰したような表情で見る広能。彼は我々の気持ちを代弁しています。何という無責任か。山中と大友*9の死闘の果てには何が残ったか。無駄に死人を出して終わりです。そんな虚しさを残す映画でした。
後、(ボーガス注:山中の恋人「上原靖子」を演じた)梶芽衣子ですね。若い時美人すぎだろ。今の姿しか知らんかったからびっくりした。
「仁義なき戦い 広島死闘編」感想:勝利の主役を食う存在感 - 映画狂凡人(映画感想ツイート倉庫)2019.2.19
「仁義なき戦い・広島死闘編」は「仁義なき戦い」シリーズの第2作です。広能*10も山守*11もほとんど出てこないので、続編というよりは外伝的な位置付けになっています。主演は北大路欣也。ヤクザの世界で破滅していく男・山中*12を演じています。彼の生き様が、愚かで切ない。
あと、やっぱり見どころは千葉真一の怪演でしょうか。千葉演じる大友勝利*13のあまりに不条理で無軌道な言動に「なんだこいつ!?」状態になることを請け合いですし、(ボーガス注:異常性をアピールするために普段より甲高い声にしている千葉の)妙に高い声も耳に残ります。ボートで男を引きまわして拷問したり、死体を標的にして銃撃の腕試しをしたり、とてつもない残虐性をみせてきたりするわけです。ほんとに凄まじいキャラでした。
あと、(ボーガス注:村岡組組長「村岡常夫(岡組組長・岡敏夫がモデル。演:名和宏)」の姪で、山中の恋人「上原靖子」を演じた)梶芽衣子も半端なくきれいでした。あの眉毛!。いつも少し困ったような顔をしていて、生きづらそうな美人という印象です。これだけのオーラを放つ女性なら、山中が暴走してしまうのも、なんとなく納得してしまいますね。
仁義なき戦い 広島死闘篇 (1973年) | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう2021.10.27
北大路欣也さん演じる山中正治は、当初、かなり自暴自棄で、死を恐れていない印象。
だからこそ組に入って、殺し屋となっていくのに適していた人なんですけど、人を殺めたあと、自分でも驚いてるふうに思えたんですけど、同時にまた殺すことに喜びも感じているようで、そうとう危険な性格に思えました。
北大路欣也さんの目が怖い。ぜんぜんソフトバンクのお父さんではないですね。
しかし女性を愛する気持ちに嘘偽りはないようですし、自分と上原靖子*14の仲を許してくれた組長さんに深く感謝するなど、純情、且つ、いちずな一面もある。
私は、人を殺す山中は好きではないけど、そうではない山中には同情しました。
上原靖子は登場してきた時には「鉄火肌」な女性に思えるんですけど、山中と相思相愛になりし後には恋をした女の弱さも出てましたね~。
そこらへん、どうしても映画で描かれる画一的な女って感じもありますが、しかし物語上、そうないとアカンし、何よりもそりゃ人を好きになり、ああまで振り回されたら、どうしようもないですね。
仁義なき戦い 広島死闘篇 - おじさんの映画三昧2022.9.9
山中*15の葬儀が村岡*16組長によって大々的に営まれる。
弔問に訪れた広能*17が山中を「任侠の鑑」と褒め称えて高笑いする山守*18たちを醜く感じ、彼が見せる「悲しく死んでいった山中を偲ぶ表情」も捨てがたい。
*1:名古屋工業大学准教授。著書『広島・復興の戦後史』(2020年、人文書院)
*2:映画『仁義なき戦い・広島死闘篇』(1973年4月公開)の主人公「村岡組組員の山中正治(演:北大路欣也)」のモデル
*3:『仁義なき戦い 広島死闘篇』(1973年4月公開)の「大友組組長」大友勝利(演:千葉真一)のモデル。大友は『仁義なき戦い・完結篇』(1974年6月公開)にも登場(演じたのは宍戸錠)
*4:『仁義なき戦い・広島死闘篇』(1973年4月公開)の村岡組組長・村岡常夫(演:名和宏)のモデル
*5:1932~2018年。1973年1月公開の『仁義なき戦い』(シリーズ第1作)では、菅原文太が演じる山守組組員「広能昌三」(山村組組員・美能幸三がモデル)に射殺される呉市の土居組組長「土居清(土岡組組長「土岡博」がモデル。但し実際に土岡を暗殺した山村組組員は美能ではない)」として、1973年4月公開の『仁義なき戦い・広島死闘篇』(シリーズ第2作)では、広島市の村岡組組長「村岡常夫(岡組組長・岡敏夫がモデル)」として出演(名和宏 - Wikipedia参照)
*6:村岡組組員「山中正治(岡組組員・山上光治がモデル。演:北大路欣也)」のこと
*7:村岡組組長「村岡常夫(岡組組長・岡敏夫がモデル。演:名和宏)」の姪で、山中の恋人「上原靖子(演:梶芽衣子)」のこと
*8:広能組組長「広能昌三(美能組組長・美能幸三がモデル。演:菅原文太)」のこと
*9:大友組組長・大友勝利(村上組組長・村上正明がモデル。演:千葉真一)のこと
*10:広能組組長「広能昌三(美能組組長・美能幸三がモデル。演:菅原文太)」のこと
*11:広能の親分である山守組組長「山守義雄(山村組組長「山村辰雄」がモデル。演:金子信雄)」のこと
*12:村岡組組員「山中正治(岡組組員・山上光治がモデル。演:北大路欣也)」のこと
*13:大友組組長(村上組組長・村上正明がモデル)のこと
*14:村岡組組長「村岡常夫(岡組組長・岡敏夫がモデル。演:名和宏)」の姪(演:梶芽衣子)で、山中の恋人
*15:村岡組組員「山中正治(岡組組員・山上光治がモデル。演:北大路欣也)」のこと
*16:村岡組組長「村岡常夫(岡組組長・岡敏夫がモデル。演:名和宏)」のこと