川村学園女子大が学部と大学院の譲渡へ協議 実現すれば閉学へ:朝日新聞
川村学園女子大が18日、文学部と生活創造学部、大学院人文科学研究科を2027年春に、医療創生大(千葉県柏市、福島県いわき市)に譲渡する*1協議を始めたと発表した。譲渡が実現すると、川村学園女子大は学生募集を停止している教育学部の全学生が卒業した段階で閉学する見込みだ。
「女子大、閉校(あるいは学生募集停止、共学化)」でググるとヒットする以下の記事で分かるように
「日本栄養大学」に校名変更を発表 埼玉・坂戸にキャンパスがある「女子栄養大学」 2026年度から共学化|埼玉新聞|埼玉の最新ニュース・スポーツ・地域の話題2025.1.25
名古屋柳城女子大が2026年度以降の学生募集停止 2025年4月入学者や在学生卒業後に閉校:中日新聞Web2025.2.18
京都ノートルダム女子大学 来年度以降の学生の募集停止へ | NHK | 少子化2025.4.25
この春入学した学生が卒業する2029年以降に閉校する見通しです。
仙台白百合女子大、2027年から共学化…少子化で志願者減少「男女問わず門戸開放」 : 読売新聞2025.7.8
兵庫 武庫川女子大学 2027年度から共学化 正式発表 | NHK | 兵庫県2025.7.29
「閉校を前提とした学生募集停止」(京都ノートルダム女子大学、名古屋柳城女子大学など)や共学化(女子栄養大学(共学化の後、日本栄養大学に改名予定)、仙台白百合女子大学(共学化により仙台白百合大学に改名予定)、武庫川女子大学(共学化により武庫川大学に改名予定)など)の報道が相次ぐ女子大でまた「閉校報道」です。
女子大が厳しい状況にあることが改めて窺えます。
失礼ながら女子大も「女子の大学進学が難しい時代」には存在意義があった物の、もはや「近い将来はともかく、遠い将来にはいわゆる有名女子大も含めて、消えてゆく存在」ではないか。
お茶の水女子大学の人物一覧 - Wikipedia参照
◆辻村みちよ(1888~1969年:東京女子高等師範学校時代のOB)
お茶の水女子大学名誉教授。実践女子大学名誉教授。日本初の女性農学博士。茶カテキンを初めて分離するなど、緑茶の化学成分に関する研究で知られる。
◆二階堂トクヨ(1880~1941年:東京女子高等師範学校時代のOB)
日本女子体育大学の前身に当たる「日本女子体育専門学校」の創設者。NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年放送)では寺島しのぶが演じた。日本初の女性五輪メダリスト「人見絹枝*2(1928年アムステルダム五輪で銀メダル(女子800メートル走)*3)」は「日本女子体育専門学校」卒業生。
津田塾大学の人物一覧 - Wikipedia参照
◆中根千枝(1926~2021年:津田塾専門学校時代のOB。津田塾卒業後、東大文学部に入学し卒業)
女性初の東大教授(1970年に教授に就任)。女性初の日本学士院会員(1995~2021年)。また文化系でない、学術系としては女性初の文化勲章受章者(2001年に受賞。文化系では上村松園(日本画家、1948年受賞(女性初の文化勲章受章者))、野上弥生子(小説家、1971年受賞)、小倉遊亀(日本画家、1980年受賞)、円地文子(小説家、1985年受賞)、片岡球子(日本画家、1989年受賞)、四代目井上八千代(日本舞踊、1990年受賞)、杉村春子(俳優、1995年受賞(但し受賞辞退))、森英恵(ファッションデザイナー、1996年受賞)、秋野不矩(日本画家、1999年受賞)、大久保婦久子(皮革工芸家、2000年受賞)といった女性が中根以前に受賞)。著書『タテ社会の人間関係』(1967年、講談社現代新書)等。
◆森山眞弓(1927~2021年:津田塾専門学校時代のOB。津田塾卒業後、東大法学部に入学し卒業)
1950年4月にキャリア官僚として労働省に入省。労働省労政局労政課長、労働省大臣官房国際労働課長、労働省婦人少年局長等を歴任。1980年(昭和55年)に労働省を退官し、政界(参院議員(1980~1996年)→衆院議員(1996~2009年))入り。海部内閣環境庁長官、官房長官、宮沢内閣文相、小泉内閣法相等を歴任。
田中内閣科技庁長官、大平内閣運輸相等を歴任した森山欽司衆院議員は夫。
→中根や森山がずば抜けて優秀なのは確かでしょうが、津田塾も勿論名門女子大学です。
といった著名人を輩出した「お茶の水女子大学」「津田塾大学」などの名門女子大も果たしていつまで残るかどうか。
【追記(最近の共学化:大学以外)】
その後、大学以外(小中高校)の「比較的最近(2025年)の共学化記事」をいくつか見つけたので紹介しておきます。
“県内最後の女子中学校”共学化へ…桜の聖母学院中、小中一貫の共学校に 26年3月から 福島 | 福島のニュース│TUF (1ページ)2025.1.23
福島市にある私立の女子中学校「桜の聖母学院中学校」が、来年4月、現在の中高一貫の女子校から小中一貫の男女共学校となることが発表されました。
これに伴い、県内最後の女子中学校は来年3月でなくなることになります。
なお、「桜の聖母学院中学校」の系列校である「桜の聖母短大」も2026年4月から共学化予定です(福島 桜の聖母短大が共学に 来年度から男子学生受け入れへ|NHK 福島県のニュース(2025.5.7)参照)。
校長「歴史の転換点」、松蔭中・高が制服ズボン導入…26年度一部共学化:地域ニュース : 読売新聞2025.2.5
松蔭中学・高校(神戸市灘区)は、2026年度から一部のコースで共学化することを決めた。これに伴い、原形が1925年に採用された伝統のワンピースの制服に加え、新たにジャケットとズボンの制服も導入。女子生徒も選択できるようにする。
男子生徒を受け入れるのは、中学がグローバル・ストリーム(30人)、高校はグローバルリーダー・コース(若干名)、アスリート&アーティスト・コース(30人)。女子生徒のみのコースも残すという。
女子高からこの春男女共学に 山口中村学園で初めての入学式|NHK 山口県のニュース2025.4.8
県内で唯一残っていた女子高校からこの春、男女共学化した山口市の「山口中村学園」で初めての入学式が行われました。
県内唯一の女子高校だった中村女子高校はこの春から「山口中村学園」と名前を変え、5つの学科のうち看護科、調理科、福祉科が共学化しました。
女子はセーラー服のまま男子はスーツタイプに 比治山女子中・高校が男女共学へ 学校説明会で新制服発表 広島 | RCC NEWS | 広島ニュース | RCC中国放送 (1ページ)2025.4.27
来年度から男女共学になる「比治山女子中学・高等学校」で26日、学校説明会が開かれました。
学校側からは来年度から共学となり、学校名が「比治山学園中学・高等学校」に変わることなどが説明されました。
D&Iを重視し、世界に通じる人材育成へ/26年4月、男女共学化の中村学園高|【西日本新聞me】*42025.5.19
学校法人・中村学園(中村紘右理事長、福岡市城南区)は、運営する中村学園女子高校、女子中学校を2026年4月から、男女共学化する。共学化によって新たに生まれる中村学園高校、中学校の魅力や教育方針、学校づくりについて、中村理事長と石丸篤志校長にそれぞれ語ってもらった。
(以下略)
広い敷地に音楽棟や理科棟 試行錯誤から創造性を育む 明法中学校 |中学受験情報 朝日みつかるナビ2025.6.16
明法中学校(東京都東村山市)は昨年創立60周年を迎えた中高一貫校です。長く男子校でしたが、(ボーガス注:2019年に共学化された)高校に続いて中学も今春(2025年4月)共学化され、一段と活気づいているようです。学校の特色や教育方針について、岡田貴之校長(写真右)と新井一騎教頭(写真左)にうかがいました。
(以下略)
仙台白百合学園小、27年4月共学化 共同参画社会など念頭 | 河北新報オンライン2025.9.17
学校法人白百合学園(東京)は17日、仙台白百合学園小(仙台市泉区)が2027年4月に女子校から男女共学へ移行すると発表した。男女共同参画の広がりや共学志向の高まりなどを受け、学校教育の規模を確保するのが狙い。併設の仙台白百合学園中高は女子校として継続する。
仙台白百合学園小の姉妹校は全国6都道県にあり、東北では盛岡白百合学園中高(盛岡市)が2026年4月、仙台白百合女子大(仙台市泉区)が2027年4月の共学化がそれぞれ決まっている。
福岡 大牟田 中高一貫の女子校 明光学園 共学化を発表|NHK 福岡のニュース2025.9.18
少子化による生徒数の減少*5が進む中、大牟田市にある中高一貫の女子校、明光学園は2年後の2027年度から男子生徒を受け入れ、共学化すると発表しました。
今後、中学校と高校でそれぞれ男子生徒を募集することにしています。
【福岡県内の女子校・共学化の動き】
少子化が進む中、女子校を共学化する動きは各地で進められていて、県内の公立高校では福岡市立福岡女子高校が2027年度に共学となることが決まっています。
これにより2027年度以降は、県内の公立高校のすべてが共学となります。
一方、福岡県によりますと私立では、福岡市にある中村学園女子高校が来年度から共学化されることが決まっています。
*1:「何で医療大学に譲渡するの?」と思いましたが、医療創生大はこれを契機に「総合大学」をめざし、大学名称も変更する方針でしょうか?
*3:五輪陸上競技の日本女子メダリストはバルセロナ五輪(1992年)女子マラソンで有森裕子が銀メダルを獲得するまで「1928年の人見の銀メダル獲得」から64年間出現しなかった(人見絹枝 - Wikipedia参照)。なお、女性の五輪メダリストなら「1992年の有森以前」に「1932年ロス五輪(200m平泳ぎ銀メダル)、1936年ベルリン五輪(200m平泳ぎ金メダル:日本初の女性の五輪金メダル)の前畑秀子」、「1960年ローマ五輪(100m背泳ぎ銅メダル)の田中聡子」、「1964年東京五輪の日本女子バレーボール(いわゆる東洋の魔女、金メダル獲得)、女子体操団体(銅メダル獲得)」、「1972年ミュンヘン五輪(100mバタフライ金メダル)の青木まゆみ」、「1984年ロス五輪の元好三和子(シンクロナイズドスイミング銅メダル)」、「1988年ソウル五輪の長谷川智子(スポーツピストル銀メダル)、小谷実可子(シンクロナイズドスイミング銅メダル)」などがいる。
*4:記事タイトルに「D&I(ダイバーシティ・アンド・インクルージョン:多様性の受容)」とあるように本文では共学化において「多様な価値観の重視(別学により、異性の価値観に触れる機会が少ないのは良くない)」「女性活躍」「男女共同参画」「ジェンダー平等」と言った面が強調されています。そうした主張が「全くの嘘だ」とまでは言いませんが、「共学志向の高まり」にあまり触れないのはいかがな物かとは思います。