立ち飲み屋紹介漫画、伊藤静『すたんどあっぷ』第1巻(追記あり) - bogus-simotukareのブログの続きです。
「美味の異国飯」ですが都内にある外国料理店を食べ歩く話で収録話は以下の通り。
【第1話「ミャンマー」】
高田馬場駅近くの雑居ビル「TAK11ビル」1階にある『ノング・インレイ』の紹介。
この店については駅から5分の異国体験。高田馬場タックイレブンビルも紹介しておきます。なお、ネット上の記事によれば、『ノング・インレイ』はテレビ東京『孤独のグルメ(シーズン6)*1』にも登場した店らしい。
ダンバウ(チキンライス)とトーフジョー(揚げ豆腐:日本の豆腐と違い大豆ではなく、ひよこ豆を使う)、ビアラオ(ジャスミン米を使ったビール)が登場。
但し
ビア・ラオ - Wikipedia
ラオスには、東南アジアで一番旨いビアラオがあるんじゃないですか:朝日新聞GLOBE+2019.4.25
ラオス人の生活に欠かせない飲み物「ビアラオ(Beer Lao)」とは⁉| 活動内容 | 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)2019.5.18
ラオスの東南アジアで一番旨いビール、ビアラオの美味しさの秘密の話 | シャンティコラム | 公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)2020.1.4
ラオスのビアラオがこれほど愛される理由 3日間飲み続けて探った:朝日新聞GLOBE+2020.1.22
で分かるようにビアラオは「ラオスの酒(ビール)」であって「ミャンマーの酒」ではありません。
参考
ビルマ料理 - Wikipedia参照
◆ダンバウ
インド料理のビリヤニに相当する、多様なスパイスと鶏肉を炊き込んだ料理。
ミャンマーの国民食「ダンバウ」🇲🇲|野猿(やえん)
「ダンバウ」は、ビリヤニに鶏肉の煮込みをのせていただくミャンマーの国民食。食べた印象としては、タンドリーチキン🍗の乗ったピラフ。
【第2話「ルーマニア」】
錦糸町駅近くにある『LA・MIHAI(ラ・ミハイ)』の紹介。
サルマーレ(ロールキャベツ:生キャベツではなくザワークラウトを使う)、ママリガ(トウモロコシ粉を蕎麦がき状に練った料理)、パリンカ(果物を使ったブランデー。プラムが使われることが多く、マンガで出てきたのもプラムのパリンカ。但しパリンカはルーマニアではなく、ハンガリーの酒)が登場。
参考
第3回 ロールキャベツとサルマーレ:食べるしあわせ:かもめの本棚 online「旅の食堂ととら亭」店主・久保えーじ*2
日本のロールキャベツとの違いは、具材を包むのが生のキャベツの葉を湯がいたものではなく、ザワークラウトが使われていること。
似て異なる点といえば、お供のママリガもまた僕らにはなじみの薄い食べ物でしょう。これはトウモロコシを挽いて粉にしたコーングリッツにミルクやバターを入れ、加熱しながら蕎麦がき状に練った料理。イタリアにも全く同じといってもいいポレンタと呼ばれるものがあり、いずれも英語圏のマッシュポテトと同じような位置づけですが、量は主食のようにどっかり付いてきます。淡泊な味のせいか、これがまたサルマーレと相性抜群。
サルマーレ、どこで生まれて、どう広がっていったのでしょう?。ルーツをたどってみると、オリジナルはクミンが香る、ちょっとスパイシーなトルコのロールキャベツ、サルマだとする説が有力です。
【第3話「ベトナム」】
吉祥寺駅近くのバインミー(ベトナム風サンドイッチ)の店『バインミー・バーバー(吉祥寺店)』の紹介。
ジョートゥー(豚耳、豚タン、きくらげ、椎茸を使ったベトナム風ハム)、ティットパテ(豚肉とレバーペーストのパテ)のバインミーと練乳(コンデンスミルク)入りのベトナムコーヒーが登場。
【第4話「南インド」】
中野駅近くの『ビマラ・インドダイニング』(但し、連載当時は『南印度ダイニング』)の紹介。
中野「南印度ダイニング」が「ビマラ インドダイニング」に | b's mono-log
店名は「ビマラ・インドダイニング」。南印度ダイニングのオーナーの娘さんがときわ台*3(板橋)で同じくお店を営業していて、中野のオーナーさんが引退するにあたり娘さんがこちらに移転する形で引き継いだようです。で、「ビマラ」とはその娘さんのお名前らしい。
ということで、名前は変わったけど基本的には南印度ダイニングを継承するお店と考えてよさそうです。
品揃えは大きくは変わっていないようです。
店名が変わったからドラスティックに変わってしまったかと心配したけど、基本は同じようで安心しました。
だそうです。
南インドのカレー料理「ミールス(マンガで登場したのはバナナリーフ・ミールス)」が登場。
なお、実食レポ【南印度ダイニング】『それぞれの孤独のグルメ』第10話 カレーランチ編を聖地巡礼!【中野区】新井 沼袋氷川神社 | 【孤独のグルメ情報WEB】によれば『孤独のグルメ』のスピンオフ番組『それぞれの孤独のグルメ』第10話(2024年放送)に登場した店とのこと。
それにしてもわざわざ「南インド」と書いていると言うことは(勿論諸事情で「北インド」が登場しないまま、打ち切りの可能性はあるでしょうが)別途「北インド」が登場する予定なのか?
【第5話「エジプト」】
飯田橋駅近くにある『SPHINX (スフィンクス)』の紹介。
フムス(ひよこ豆のディップ*4)、ババガヌーシュ*5(ナスのディップ)、ファラフェル(ひよこ豆と空豆のコロッケ)、モロヘイヤスープが登場。ベリーダンスのショータイムがあるとのこと。
【第6話「ブータン」】
市ヶ谷駅近くにある『LASOLA(ラッソーラ)』の紹介。
エマダツィ(唐辛子とチーズの煮込み)が登場(エマダツィしか出てこないのが少々残念です)。
参考
「幸せの国」ブータンの国民食、トウガラシたっぷりのチーズ煮込み「エマダツィ」 - 産経ニュース2024.6.30
ブータンの国民食ともいわれる「エマダツィ」の主役は、夏が旬の青トウガラシ。たっぷりとしたチーズで煮込んだシチューのような料理で、食べると夏バテも吹き飛びそうだ。
靖国神社や北の丸公園など、都心の名所からほど近い住宅街に、ブータン料理店、LASOLA(東京都千代田区)がある。
「ブータンは世界一トウガラシを使う国で、エマダツィはまさに、トウガラシが主役の料理です」
そう語るのは、店主の村上光さん。ブータンの公用語、ゾンカ語でエマはトウガラシ、ダツィはチーズ。日本のみそ汁のように、日常の食卓に並ぶ国民食だという。
村上さんは平成23年から都内のブータン料理店でシェフとして働き始め、令和3年にLASOLAを開業した。
材料(1人分)は、青トウガラシ9本(縦半分に切る)、ショウガ、ニンニク(いずれもすりおろし)各小さじ半分弱、赤タマネギ1/4玉(薄切り)、プロセスチーズ80グラム。サラダ油と塩も各適量。水250ミリリットルを入れた鍋に全ての材料を入れ、沸騰したら蓋をして中火に。5分ほど煮込んで完成だ。
【第7話「ネパール」】
【第8話「シンガポール」】
【第9話「クロアチア」】
ネット上の無料試し読みで読みましたが、宝町駅*6近くの店。
店名は不明だが「宝町駅、クロアチア料理」でググってヒットした「Dobro (ドブロ) 」か?。
シュトゥルクリ (クロアチア料理) - Wikipediaが登場。
参考
【東京・京橋】日本でここだけ!クロアチア料理専門店「Dobro」|ゆうこ | 「ママだから無理」をなくすコンプレックス革命家
◆サルマ*7
3週間塩漬けにしたキャベツを使ったロールキャベツ!!
クロアチアの伝統料理です。
中に入っているのはもちろん豚肉なのですが、それに加えお米も入っていてモチモチ感があります。
◆パスティツァーダ
牛ほほ肉の赤ワイン煮込みです。
【第10話「チリ」】
ネット上の無料試し読みで読みましたが、新中野駅近くの店。
店名は不明だが「新中野、チリ料理」でググってヒットした「CASA DE EDUARDO」か?。
エンパナーダ(牛肉のミートパイ)、チョリソーパン(ホットドッグ風にチョリソーがパンに挟んである)、紫トウモロコシのジュースが登場。
参考
ペルー料理:国民的ジュース「チチャ・モラーダ」とチチャ酒 | 風景写真家・松井章のブログ
ペルーで愛される2つのジュースといえば、「チチャ・モラーダ」と「インカコーラ」です。
チチャ・モラーダの原料は紫トウモロコシで、ジュースやお菓子作り専用で、料理には使用されないトウモロコシです。この紫トウモロコシを、パイナップルの皮、シナモン、リンゴなどと一緒に煮込み、最後に大量の砂糖とレモンを入れたのが「チチャ・モラーダ」です。
【第11話「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」】
ネット上の無料試し読みで読みましたが、登場するのは蒲田駅近くの「平壌冷麺・食道園」。
出てくる料理は冷麺(冷麺しか出てこないのが少々残念です)。
ちなみに主人公(雑誌編集者)は岩手県盛岡市出身で「盛岡冷麺」好きと言う設定。「盛岡冷麺」の発祥は盛岡市にある「食道園」とされており、蒲田駅の店は盛岡の「食道園」がのれん分けした店とのこと。主人公の勤める雑誌社の編集長は大分県別府市出身で、別府にも「別府冷麺」があるとのこと(別府の冷麺は別府冷麺 各種多様な別府冷麺の世界へようこそ | 特集 | 別府温泉の観光・旅行情報サイト 別府たび、独自に進化した”輸入”郷土料理 「別府冷麺」 | &アンド | 西部ガスによれば「春香苑」が発祥とされる)。
【第12話「スコットランド」】
ネット上の無料試し読みで読みましたが、ハギス(ラムの内臓(レバー、心臓など)をミンチにしてタマネギ、ハーブ、オートミールと一緒にラムの胃袋につめてゆでたもの)、フィッシュアンドチップス(タラのフライとポテトフライ)が登場。
店は飯田橋駅(あるいは牛込神楽坂駅)近くの「The Royal Scotsman(ザ・ロイヤル・スコットマン)」のようです。
マンガでも指摘がありますが
ハギス - Wikipedia参照
フランスのシラク*8大統領は、2005年、ロシアのプーチン*9大統領、ドイツのシュレーダー*10首相との会談の中で、イギリス料理を揶揄し、その例としてハギスを指して「ひどい料理を食べるような連中は信用がならない」と言及したため、イギリスの大衆紙はこれに猛反発した。しかし、イギリスのストロー*11外務大臣は、「ハギスに関してなら、シラク大統領のご説はご尤も」と賛意を示した。
アメリカのブッシュ*12子大統領は、2005年の英国エディンバラでのG8の会合に「ハギス料理が出されることを懸念している」とジョークのネタにした。
ということでハギスについては好き嫌いが分かれるようです。
参考
ハギス(スコットランドの郷土料理)って知ってます…?|ノダタケオ(ライブメディアクリエイター)
飯田橋駅から歩いたところにある「ザ・ロイヤルスコッツマン(Public House The Royal Scotsman)」は「本場英国のパブの味を堪能できるスコティッシュパブ」(食べログによれば)。このお店の推しのひとつが「ハギス(haggis)」。ハギスは「羊の内臓を使ったスコットランドの郷土料理。羊のタン、レバー、ハツの内臓と肩肉をミンチにして、香味野菜とオートミールを一緒に蒸しあげています」(食べログより)だそうだ。
ハギス単体で食べるとちょっとクセあるかなーという印象もあるけど、一緒に添えられてきたマッシュポテトと一緒に食べるとさらに美味しい。さらに、ワンショットグラスに入ったウイスキーをほんのちょっとだけかける(かけずきるとつらい)とウイスキーの風味があって良き。
そして、フィッシュ&チップスのフィッシュがちょー美味しかった。
第1巻は「第1~6話」まで収録。第7話以降は2025年冬発売予定の第2巻収録です。無料配信では読めない話(【第7話「ネパール」】、【第8話「シンガポール」】については第2巻を購入し読む予定です。第2巻を購入して読んだら追記します。
なお、「異国飯」でググったところ、以下がヒットしました。
無知な俺が知らなかっただけで「異国飯」と言う表現は、伊藤マンガ以外でも、それなりに広まってるようです。
◆山谷剛史*13『移民時代の異国飯』(2022年、星海社新書)、『異国飯100倍お楽しみマニュアル:ご近所で世界に出会う本』(2025年、星海社新書)
*1:小生は食べ物関係のコンテンツ(マンガ、ドラマなど)は基本的に「大好き」なので『孤独のグルメ』も一応「好き」です(DVD・BOXを買ったり、映画を見たりするほどではなく、「年末年始の再放送」「現在放送されてる平日の再放送(平日6時台)」など「見る機会があれば見る」程度の「好き」ですが)。
*2:著書『世界まるごとギョーザの旅』(2017年、東海教育研究所)
*3:東武鉄道東上本線「ときわ台駅」のこと。東武鉄道東上本線(池袋駅から埼玉県寄居町にある寄居駅まで)は一般には「東武東上線」あるいは「東上線」と呼ばれる。
*4:フンムス - Wikipediaによれば、ゆでたヒヨコマメ、ゴマのペースト、すりつぶしたニンニク、レモン汁、塩、オリーブオイルなどで作るディップ
*5:ババガヌーシュ - Wikipediaによれば、焼きナスをゴマのペースト、オリーブオイル、各種調味料と合わせて作る前菜
*6:但し、【東京・京橋 クロアチア料理】日本で唯一⁈異国情緒たっぷり!お手頃ランチ│193go.jp(いくみごードットジェイピー)は最寄り駅を京橋駅としている
*7:名前が似ていることと言い、2話「ルーマニア」で登場した「サルマーレ(ザワークラウトを使ったロールキャベツ)」と似た料理でしょう。
*8:1932~2019年。内務相、首相、大統領等を歴任
*9:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相等を経て大統領
*11:ブレア内閣内務相、外相、ブラウン内閣司法相を歴任
*13:著書『新しい中国人:ネットで団結する若者たち』(2008年、ソフトバンク新書)、『中国のインターネット史』(2015年、星海社新書)等