木村かほるさん、金元工作員が「先生に似てる」

読売新聞(←全国紙では読売が一番早い報道らしいというのが意外。飯塚氏らは産経とは今そんなに仲良くないのか?)
 大韓航空機爆破事件の実行犯・金賢姫北朝鮮工作員が、1960年に失踪(しっそう)した青森県八戸市出身の看護学生木村かほるさん(当時21歳)の写真を見て、「日本語を教わった先生によく似ている」と証言していたことが16日、分かった。
 拉致被害者田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さん*1(72)に昨年3月、韓国で面会した際に話したもので、「特定失踪者問題調査会*2の荒木和博代表*3が16日、青森市内の講演で明らかにした。飯塚さんも本紙の取材に事実関係を認めた。荒木代表によると、金元工作員は今年7月に来日した際、日本政府関係者に同様の証言をしたという。
 木村さんは、秋田市看護学校の寮を出た後に消息を絶った。調査会は2004年、「北朝鮮による拉致の疑いが濃厚」とした。調査会によると、北朝鮮に拉致されたとされるタイ人女性3人も、「よく似た人から日本語を習った」と証言したという。金元工作員は手記で、平壌外国語大学で日本人女性「崔順」に日本語を学んだ後、「李恩恵」に教育を受けたとしている。「李恩恵」は、田口さんと判明した。

にわかには信じがたい話である。
まず第一に、昨年3月と、今年7月に来日したときに証言したのならなぜそのとき政府も飯塚氏らも表にださず、今頃出すのかと言うこと。荒木氏が代表を務める「特定失踪者問題調査会」も会のサイト上では、金元工作員の来日に意味があったか疑問とまで7/23付けで意見表明している。この会の否定的な意見表明は後に政府の情報提供か何かで変更されたと言うことなのか?
第二に失踪時期が1960年と言うこと。今のところ政府が被害者認定しているのは1970年代以降失踪した方である。
私も専門家でも何でもない素人のため、詳しくないのだが一般には「1968年の北朝鮮による青瓦台*4襲撃事件*5で韓国のガードが堅くなった」→「それを打開するため、偽造パスポート作成のための日本人拉致を始めた」と言われているようである(以上、ウィキペディア参照)。
であるのなら、1960年という時期の拉致というのは少し考えがたい。
いずれにせよ、この種の情報は偽情報が多いと思う。現時点では話半分に聞いておいた方が無難だろう。少なくとも現時点では北朝鮮に直接ぶつけて回答を求めることが出来るような代物ではなさそうに思う。
と思うのだがそう言うことをなぜかマスコミは書いてないようなんだよなあ。本当なら良かった、良かったって、記事書いてるようだけど本当なら木村かほるさんの消息が分かって良かったけど、現時点ではまだ本当かどうかわからないと思うぞ?(苦笑)
とは言え一時期に比べれば大して騒ぎになってないのが興味深い。

*1:北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)代表

*2:救う会の一部門が分離してで来た団体。特定失踪者とは「失踪する動機が見あたらない失踪者のこと」でほぼ「拉致被害者の疑いのある人」と同義。しかし政府認定拉致被害者よりもずっと数が多い上、一民間団体の認定に過ぎないのでどこまで信用できるかは疑問。ウィキペに寄れば「拉致問題とは無関係な足立区女性教師殺人事件(時効成立後、犯人が自首したようだ。犯人自首後に遺体を埋めた場所が犯人の自白によってわかり、遺体が掘り起こされた)の被害者女性を、行方不明という理由だけで認定」したことがあるという。

*3:元・北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会救う会)事務局長。国家基本問題研究所評議員というガチのプロ右翼でもある

*4:韓国の大統領官邸

*5:朴正煕大統領暗殺が目的だったが失敗に終わった