新刊紹介:「前衛」10月号

「前衛」10月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/
 以下は私が読んで面白いと思った部分のみ紹介します。(詳しくは10月号を読んでください)

【追記】

http://d.hatena.ne.jp/nessko/20120920/p2
『前衛』10月号については、「bogus-simotukareの日記」にくわしい紹介が出ています。
http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20120917/5421309876

全然詳しくないですけどね。ほとんど「赤旗の似た内容の記事を紹介する」「イベントについては公式サイト紹介」でお茶を濁してますので。

10月号の「暮らしの焦点」は、江原雅博「口腔内崩壊は何をしめすか」です。格差が拡大し貧困層で歯科治療が受けられず、結果として就職活動にも支障が出ている例が取り上げられ、国の歯科医療軽視政策を批判しています。

まあ、そういうことですね。格差拡大による医療受診抑制というのは以前からマスコミでも時々に報じられる話ではありますが、あまり報じられない歯科というところがこの記事の特徴でしょうか。虫歯や歯槽膿漏などで激痛が走れば生活に支障を来すでしょうが死ぬって事はまずないのであまり騒がれないんでしょうね。あとは「歯磨きすればいいという自己責任的な風潮」も強いのかもしれない。


■今月号グラビア「南スーダン――世界で一番新しい国の悲劇」(佐藤慧)
(内容要約)
南スーダンの現状についてはたとえば以下参照。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-01-16/2012011602_03_1.html
主張「南スーダン派兵、憲法をなんと思っているのか」
 陸上自衛隊がアフリカ南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に参加するため、同国の首都ジュバに向けて出発しています。
 野田佳彦首相は7日の派遣部隊隊旗授与式で、派兵は国際社会の「期待」に応えるためであって、自衛隊として「誇り」にとあいさつしました。派兵の強行は、「平和維持活動における日米協力を強化する」との日米合意(昨年6月)にしばられ、オバマ政権いいなりの野田政権の危険性を示しています。自衛隊の海外派兵はどんな形であれ憲法違反です。憲法をふみにじって派兵を強行するのを絶対に認めるわけにはいきません。
(中略)
 昨年7月に独立したばかりの南スーダンは治安情勢が著しく悪化してきています。隣接するスーダン軍は南スーダン北部地域を爆撃し多くの犠牲者をだしています。南スーダン内でも部族間紛争が拡大し深刻さを増しています。首都ジュバは「問題ない」という政府の説明にはまったく根拠がありません。実際、東部地域に根拠地を置く「南スーダン人民解放運動・軍」の指導者が「1カ月以内に首都ジュバへの攻撃を計画している」(スーダン・トリビューン紙3日付)と表明さえしています。
 こんな危険なところに自衛隊を送り込むのはPKO法に規定されているPKO参加5原則にも反します。5原則とは停戦合意、受け入れの同意、中立性、以上のいずれかが崩れた場合は撤収、武器使用は隊員の身体・生命防護に限る、というものです。PKO参加は憲法違反との批判をかわすために政府が持ち出したものですが、南スーダン派兵はそれにすら違反しています。南スーダン政府は受け入れているものの、南スーダン内部の紛争当事者の同意はありません。南スーダン派兵がPKO参加5原則に反するのは明白です。政府が自ら決めた原則すらほごにするのは許されません。
(中略)
 独立した南スーダンの国づくりに日本が憲法を守り非軍事的・平和的な役割を果たすのは国際社会の一員として当然です。憲法の原則を明確にしたうえで国連加盟を申請し認められた日本は、軍事的活動を基本とするPKOとは一線を画し、非軍事的な活動での協力に限定するのが当たり前です。「平和維持」という名前だけでPKOに参加するのは許されません。
 政府は自衛隊の派兵は憲法で禁止されていることを国連にきっぱり伝え、南スーダンPKO参加の政府決定を撤回すべきです。


■「消費税増税ではない「別の道」――確信、展望広げる「経済提言」:大増税の実施ストップへ共同の発展を」(小池晃*1
(内容要約)
・次期総選挙で「消費税問題」が一大争点となることが予想される中、共産党が2月に発表した「消費税大増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-08/2012020803_01_0.html)を改めて説明するという話。
 ポイントは「応能負担の原則」と「社会保障の充実」だろう。「消費税増税に反対する」のは当然だが、それだけでは不十分。共産党は「消費税増税はしない」といいながら「社会保障カット」をすすめ「法人税大減税」を改めようとしない「小沢一派やみんなの党、維新の怪、減税日本」などの路線は取らないと言うことである。そもそもこれら政治党派の主張する「消費税増税反対」自体、本気か疑わしいのだが。


■特集「オスプレイ配備の無謀」
【沖縄と本土の連帯したたたかいで危険なオスプレイ配備をやめさせよう(赤嶺政賢)】
(内容要約)
・赤嶺氏の質問についての赤旗記事紹介で内容要約の代替。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-10/2012071003_01_1.html
論戦ハイライト、住民の命より安保か オスプレイ、赤嶺議員が追及 衆院予算委
 9日の衆院予算委員会で、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの沖縄配備問題を取り上げた日本共産党赤嶺政賢議員。アメリカいいなりに国民を危険にさらす政府の姿勢が浮き彫りになりました。
 森本敏防衛相が米国のオスプレイ配備方針を沖縄県に伝えたのは、米側から通報があった翌日の6月30日でした。
 赤嶺氏は、53年前のこの日に、現うるま市の宮森小学校に、米軍のジェット機が墜落し、児童を含む18人が犠牲になったことに言及。「県民には戦闘機墜落という死の恐怖の記憶が残っている。そんな日に危険なオスプレイの配備を通告するなど、政府の姿勢は間違っている」と怒りを込めて批判しました。
 赤嶺氏は、オスプレイが開発過程で4回の墜落事故を起こし、30人の犠牲者を出していると告発。4月にはモロッコ、6月には米フロリダ州でも墜落事故を起こしていると迫りました。


 赤嶺 『オスプレイの分析官が「ボタンをさわっただけで機体を墜落させる可能性がある」と指摘している。この機体が極めて墜落しやすい構造ということではないか。』
 防衛相『最終的な事故調査報告書を待っている。しかし、米国は引き続き、事故後も同機を運用していると聞いている。』


 赤嶺氏は、「『米軍が訓練を中止していない』という理屈は、何の安全の証明にもならない」と反論。他党の議員からも、「やめてよ。そんな危険な飛行機を持ってくるのは」との声が飛びました。
 赤嶺氏は、日本の航空法が、墜落防止のオートローテーション(自動回転)機能のないヘリの飛行を禁止していると追及。羽田雄一郎国土交通相はその通りだと認めました。


 赤嶺 『専門家が「オスプレイのオートローテーション機能は一度も実証されたことがない」と述べ、メーカーも同機能に「頼らない」としている。実証されているのか。』
 防衛相『アメリカからは、オスプレイがオートローテーション機能を持っていると聞いている。』
 赤嶺 『わたしがきいているのは、実際の試験や訓練で、きちんと実証されているかということだ。』
 防衛相『オートローテーションが確認できるかどうかは、私が乗っていないのでなんとも言えない。』(注:この赤嶺質問の時点では例の試乗パフォーマンスはやっていなかった)
 赤嶺 『「乗ったら実証できる」などという理屈で配備を進めるのは大問題。欠陥ヘリを飛ばすことなど許されない。』


 赤嶺氏は事故率でも現在、普天間基地に配備されているCH46ヘリの2倍に上り、空軍のオスプレイをあわせると4倍になることを指摘。墜落しやすい構造、オートローテーション機能の欠陥、事故率の高さ―オスプレイの危険性が浮き彫りになりました。
 もう一つの重大問題は、日本全国でオスプレイの訓練を行う計画です。赤嶺氏は、米軍が実施した環境レビューを示し、東北から信越、四国、紀伊半島、九州・沖縄まで六つの低空飛行訓練ルートでオスプレイが飛び回る計画になっていることを告発しました。


 赤嶺 『政府は同意しているのか。』
 防衛相『この通りに訓練するとは聞いていない。』
 赤嶺 『テレビで「認める」といっていた。』
 防衛相『六つのルートで訓練する可能性はありうるといった。
 赤嶺 『「ありうる」というのは訓練を認めるということだ。』


 赤嶺氏は、ルートの下には集落や市街地、学校、病院もあると指摘し、迫りました。


 赤嶺 『これらの上空で低空飛行訓練を行うことは、99年の日米合意にも違反する。』
 防衛相『実際に行う場合には日米合意を順守し、住民の安全・安心に最大限配慮するよう働きかける。』
 赤嶺 『低空飛行訓練を受け入れる前提での答弁だ。』


 赤嶺氏は、ワイヤ切断事故(奈良県十津川(とつかわ)村・87年)、早明浦(さめうら)ダムでの墜落事故(高知県・94年)、爆音に驚いた地鶏の大量圧死(秋田県・10年)、衝撃波による土蔵の崩壊(岡山県・11年)など繰り返される被害をあげ、「さらに欠陥機を配備し、低空飛行訓練を野放しにしていいのか」と批判。森本防衛相は「米軍が能力の発揮に必要な訓練を行うことは、日米安保体制の趣旨に従うもの」と述べ、アメリカいいなりにオスプレイによる低空飛行訓練を容認する姿勢を示しました。


アメリカで問われ続けるオスプレイの欠陥(坂口明*2)】
(内容要約)
 アメリカでもオスプレイの安全性が疑問視されてることについての指摘。

(参考)

http://www.jcp.or.jp/akahata/web_weekly/2012/09/09-week/
米国ルポ オスプレイ 本土でも訓練先送り ニューメキシコ
 米空軍は今年6月、住民の強い反対を受け、米西部ニューメキシココロラド両州でのオスプレイなどの低空飛行訓練を先送りすると発表しました。ハワイでは米海兵隊オスプレイの訓練の一部中止を決定していますが、米本土でも反発が強いことを示しています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-18/2012071801_05_1.html
主張「欠陥オスプレイ、安保優先の配備強行するな」
 オスプレイの開発に携わったレックス・リボロ氏はオートローテーションについて「実証のための試みもされていない。危険すぎると考えられたからだ」(13日付「しんぶん赤旗」)とのべています。安全が実証されていないのに、オスプレイが「緩やかに降下する」(森本敏防衛相)とのうその説明で配備を強行するのは許されません。

http://www.jcp.or.jp/akahata/web_weekly/2012/07/15-week/
オスプレイ 危険すぎる真実 米元主任分析官が本紙に証言
 日米両政府が「安全だ」と繰り返す米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイ―。米国防総省の国防分析研究所で同機の分析に携わったレックス・リボロ元主任分析官が本紙のインタビューに応じ、断言しました。政府の説明は「真実ではない」と。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-08/2012070801_01_1.html
オスプレイ オートローテーション欠如、米国防総省文書に明記
 米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが2000年に墜落して19人が死亡した事故を受けて、米国防総省の「国防分析研究所」(IDA)が03年12月にまとめた内部文書に、同機はエンジン停止時でも安全に着陸できる「オートローテーション(自動回転)能力」が「欠如している」と明記していることが分かりました。
 文書は「V22の払しょくできない安全性への懸念」という題名で、海兵隊大尉だった軍事評論家のカールトン・メイヤー氏が内部告発で入手。同氏は本紙の取材に対して、「IDAに所属していたレックス・リボロ氏が執筆した」と明らかにしました。リボロ氏は09年に米議会公聴会で証言し、オスプレイの欠陥を指摘したことで知られています。
 文書は、オスプレイは試験飛行では「自動回転」できたものの、「エンジン出力を徐々に低下」させており、現実的ではないと指摘。回転翼を真上に向けたヘリモードでの突然のエンジン停止の場合、「自動回転」状態にするまでに時間がかかるため、高度2000フィート(約600メートル)以下だと緊急着陸できないとしています。
 「オスプレイはエンジンが2機あり、同時に停止することはない」との見解に対しては「過去のデータを見ると、二つのエンジンを有する海軍・海兵隊のヘリは燃料の不純化により3〜4年に1回、(同時に)出力が停止している」と反論しています。
 また、同文書は、回転翼機特有の失速現象である「ボルテックス・リング状態」(下降する際、回転翼の先端に渦巻き状の気流が発生し、機体を押し下げる状態)に陥った際、左右の回転翼に不均一な形で渦巻き状の気流が発生するため、通常のヘリと比べて制御不能に陥りやすいなど、六つの問題点を指摘。これらは(1)機体の左右に回転翼がある(2)回転翼の角度を頻繁に変える―といったオスプレイの構造自体に起因するとの見方を示しています。
 米国防総省は、改善措置をとったとして07年からオスプレイを実戦配備しましたが、最近も墜落事故が相次いでいます。
 メイヤー氏は「配備強行の背後に米議会や軍需産業の圧力がある。米軍最大のスキャンダルだ」と憤ります。


【米国の「戦略的転換点」と「日米同盟」の展開(山根隆志)】
(内容要約)
 オスプレイ配備それ自体への批判ではなく、その背景にある「日米安保」のさらなる軍事化への批判。
(参考)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-02/2012050201_05_1.html
主張「日米同盟強化、世界も国民も求めていない」
 野田佳彦首相が民主党政権の首相としてはじめてアメリカを公式訪問し、オバマ大統領と共同声明を発表しました。
 「未来に向けた共通ビジョン」と題する共同声明は、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安全保障、安定の「礎」だとのべ、日米が「あらゆる能力を駆使することにより、我々の役割と責任を果たす」とうたいました。軍事面だけではなく経済面でも同盟を強化するというものですが、日米同盟で世界を動かせるというのも、国民に恩恵をもたらすというのも、まったくのごまかしです。
 共同声明は、「日米同盟は日本の安全保障と、アジア太平洋地域の平和、安全保障、経済的繁栄に必要不可欠」といいますが、世界はいまや二国間の軍事同盟で動かせるものではありません。アジアでも世界でも、国連が中心になり、平和の地域共同体をめざす流れが大勢です。
 過去に侵略戦争を進め反省もしていない日本が、日米軍事同盟を強化し、軍事的対抗主義を強めるのではアジア諸国の支持がえられるはずもありません。アジア地域の平和と発展にとっても有害無益です。憲法で戦争を放棄した日本は、軍事力ではなく、憲法9条を生かし、アジアの平和の共同体づくりにこそ貢献すべきです。
 共同声明は日米同盟を絶対視する立場から、米軍と自衛隊の「動的防衛協力」の強化など、日米同盟強化の方向を打ち出していますが、それこそ日本国民に重大な犠牲を強いるものです。オバマ政権のアジア太平洋重視の新国防戦略と、中国を念頭におく野田民主党政権の軍拡路線を連動させ、共同訓練や警戒監視・偵察、基地の共同使用を進展させています。日米軍事一体化を、新たな段階に押し上げるものです。
 沖縄の名護市辺野古での新基地建設への言及をさけながらも、首脳会談直前に発表した在日米軍再編計画見直しの新たな合意を確認したのは見過ごせません。新合意は普天間基地の「県内たらい回し」を認めています。沖縄県民の意思にもとづいて新基地建設計画をやめ普天間基地を無条件撤去せよと、大統領に伝えもしなかった野田首相の責任は重大です。


■「橋下「維新の会」を撃つ(中):時代に逆行する勢力は、国民の願いの受け皿になりえない」(小松公生)
(内容要約)
(上)の続き。(上)だけでも正直おなかいっぱいなのだが。
(上)ですでに橋下の問題点として

http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20120817/5421309876
1)「福祉教育切り捨てのネオリベ路線」
2)「つくる会とつるむような極右路線」
3)「その他」
「その他」の具体例としては
 ・「言ってることがころころ変わる(大飯原発再稼働問題や野田の消費税増税問題でのでたらめな態度)」
 ・「気にくわない人間を平気で恫喝したり誹謗したりする」
 ・「道頓堀プール計画など現実性があると思えないことを平気で言う無責任体質(しかも具体案は役人やブレーンに丸投げ)」
 ・「既得権がどうこう言いながら政調費を私物化したり、維新の飲酒ひき逃げ市議に議員辞職勧告決議もしなかったりする身びいき、ダブスタぶり」といったところ。小松氏も指摘しているが「ネオリベ」「極右」は価値観の問題としても「その他の問題点」は「価値観の違い」で許容できるような代物ではない。
・「新しい政治」をアピールする橋下だが、ブレーンやつきあいのある政治家の顔ぶれを見ると
 「老害で極右、暴言王の石原慎太郎(つい最近も「欧米の柔道はけだものの喧嘩」とかアホ発言が出た)」
 「箱物を創るしか能がなく、道頓堀プール計画の提案者でもある堺屋太一(小渕政権で経企庁長官)」
 「河野談話を非難するごりごりのウヨ・安倍晋三
 「親学条例の黒幕・つくる会元幹部の高橋史朗」と新しくもないし、まともでもない危ない連中が目白押しだ

といった指摘がなされている。
で、今回の(中)。(上)とも一部かぶるのだが橋下の異常性のうち、「独裁性」「極右性」を示すものとして、「日の丸、君が代押しつけ」「思想調査問題」「捏造リストによる組合攻撃」「市役所職員の政治活動を規制する市条例」を取り上げている。


(参考)
君が代・日の丸問題】
赤旗
「「君が代」条例強行の暴挙、大阪市議会で維新・自・公。共産党は反対」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-01/2012030101_03_1.html
「大阪「君が代」斉唱 教員の口元を監視、橋下市長友人の校長が指示 和泉高」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-15/2012031501_04_1.html


【思想調査問題】
赤旗
大阪市 思想調査データ廃棄、共産党府委 これで幕引き許されない」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-07/2012040701_07_1.html
違憲調査 大阪市を提訴、市職員「精神的苦痛受けた」」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-31/2012073104_01_1.html


【捏造リスト問題】
赤旗
「橋下市長、無責任すぎないか、労組攻撃材料の捏造問題 大阪、「組合が脅している」と断言 思想調査の口実にも」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-28/2012032801_03_1.html
「橋下市長 「維新」市議をかばう、ねつ造リスト 共産党議員が批判」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-04-13/2012041304_01_1.html


【市条例問題】
赤旗
大阪市議会 政治活動制限条例可決、歴史に逆行する暴挙」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-29/2012072904_01_1.html
「職員の政治活動を制限、大阪市 違憲の条例で運用指針」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-08-22/2012082201_03_1.html


■「今こそ、真に民主的な選挙制度を」(小沢隆*3
(内容要約)
 赤旗記事紹介で代替。

赤旗「民意反映の選挙制度に」
http://www.jcp.or.jp/akahata/web_keyword/key372/

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-23/2011102301_05_1.html
主張「選挙制度改革、比例中心の制度に改めてこそ」
(前略)
 もともと小選挙区制は、大量の投票が議席に結びつかない「死に票」になり、大政党に有利で小政党に不利な、民意をゆがめる非民主的な制度です。選挙区が小さくなるだけ、地縁・血縁や金権で選挙結果が左右されやすくなるなど、政治の劣化も大問題です。全国を300の選挙区に細分するから、市町村の境界でさえ人為的にくっつけたり切り離したりし、人口の変動ごとにその変更が必要になるのです。田中角栄元首相が小選挙区制で「カクマンダー」*4といわれる恣意的な区割りを導入しようとしたなど、党略的な区割りも問題になってきました。民主的な選挙制度をめざすなら、まず小選挙区をやめることが大前提です。
 これに対し、得票に応じて議席が配分される比例代表は、民意を直接議会の構成に反映させ、いわゆる「死に票」の問題も大本から克服できる制度です。比例代表には全国を1区とする方法やいくつかのブロックに分ける方法などがありますが、「1票の格差」は極めて少ない制度です。
 「1票の格差」を解消して民主的な選挙制度をめざすなら、小選挙区制を続けるのではなく、比例代表中心の制度に転換することぬきでは、改革の名に値しません。


■「男女平等の社会へ、社会進歩の歴史にかさねて(下):女性の権利拡大の流れと日本社会の変革」(広井暢子*5
(内容要約)
・まず、国連女性差別撤廃委員会が日本に対してどのような指摘をしたかという指摘。
参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-01/2011120104_07_1.html
民法改正「1年以内に」、国連女性差別撤廃委が勧告
 国連女性差別撤廃委員会は日本政府に対し、選択的夫婦別姓制度の導入などの「民法改正法案の採択」のとりくみを今後「1年以内」に国連に報告するよう求める勧告を11月30日までに出しました。報告・勧告の制度は、女性差別撤廃条約にもとづくとりくみを促進するためのものです。
 女性差別撤廃委員会は、2009年8月の勧告で、日本政府に(1)民法改正の実施、(2)さまざまな分野での女性の意思決定参加引き上げの積極的差別是正措置の実施について、2年以内の追加報告を求めていました。委員会はこの10月、政府の追加報告(8月)をもとに、09年勧告の実施を審査。民法改正については、10年の通常国会への内閣提出予定法案としながら、国会提出のための閣議決定がされなかったことを重視しました。
 具体的には、民法改正法案(婚姻年齢を男女とも18歳に統一、選択的夫婦別姓制度の導入、婚外子と婚内子の相続分の同等化)の採択(国会提出のための閣議決定など)について講じた措置を1年以内に報告することを求めました。また、政府の民法改正法案に含まれていなかった、女性のみに課せられている6カ月の再婚禁止期間の廃止についても法規定と1年以内の報告を求めています。
 女性の意思決定参加引き上げの積極的差別是正措置については、2年後の定期報告に詳細な情報を盛り込むよう勧告しました。


 日本婦人団体連合会・堀江ゆり会長の談話 民法改正について再報告を求められたのは当然で、これで1年以内に進展がなかったら、政府は条約履行の姿勢そのものを問われることになります。積極的差別是正措置については、第3次男女共同参画基本計画の具体的な成果の報告を求めており、「計画」の実効性が問われています。この勧告を力に運動を広げていきたいと考えます。

・次にヨーロッパでの女性差別撤廃の歴史について簡単に説明。
参考

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-09/2011010902_01_1.html
 ヨーロッパでは、欧州連合(EU)の男女平等関連指令を力に各国が法整備をすすめ、改善をはかっています。日本では正規雇用でも女性の賃金は男性の6割台ですが、EU各国では、平均15%の男女賃金格差打開のための挑戦がおこなわれています。男女がともに子育てできる社会へ労働時間、育児休業の改善、保育所整備などの改善もすすんでいます。女性議員比率も、北欧は比例代表選挙制度と政党の努力で平均41・6%です。

・最後に女性平等についての日本共産党の取り組みや考えについての説明。
参考
2009年 総選挙政策「12 女性」世界でも異常な女性への差別をなくし、「両性の平等」を社会に徹底します
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2009/syuuin/bunya/bunya_12.html


■鼎談「『マルクスエンゲルス書簡選集』(全三巻)を語る:理論活動の全領域をふくむ、現代に生きる“宝”が豊かに〈上〉」(石川康*6山口富男不破哲三*7
(内容要約)
 鼎談はうまく要約できそうにないので「マルクスエンゲルス書簡選集」でググってヒットしたエントリを参考までに紹介してみる。

http://blog.goo.ne.jp/mutuzawat/e/abf0645f94f545f5226fcfdb266733a2
 不破哲三さんによる「マルクスエンゲルス書簡選集全3巻」の発売案内が、新日本出版社からありました。
 私は、古典を読むとき、ほとんど、解説とか、資料とかを読まないで来たのですが、最近は、不破哲三さんの、古典は時代背景とマルクスエンゲルスの認識の発展の中で読むという指摘もあり、読むようになりました。
 彼らの書簡も全くよんだことがありませんでしたが、新日本出版の「経済学批判への序言・序説」のかなの、マルクスの書簡をよんで、その時代の雰囲気やマルクスの人柄みたいなものが感じられました。
 「妻は原稿を清書しているのだが、・・・家庭や金銭の苦労が多すぎた」・・・(そうか、マルクスも奥さんの協力があったのか。)
 「鉄道事務所にはいることになっていました。幸か不幸か、私の悪筆が原因で私はその職につけませんでした」・・・・(そうか、私と同じようにマルクスも悪筆だったのか・・・すみません、比較する方がおかしいのですよね。)
などなど、その時代のマルクスに会えるような気がします。もっとも、翻訳ではなくて、原文が読めれば良いのでしょうけれども。

http://blogs.yahoo.co.jp/kumagoro_sasayama/44220852.html
 マルクス・エンゲルスがお互いにやり取りしたり、第三者に出した書簡は膨大なものが蒐集されていて、マルクスエンゲルス全集では、第27巻〜第39巻などに合計3878通が収録されています。私は全集を別巻の一部をのぞいてほぼ全巻もっています。しかし、主な論文を読むのが精一杯で、書簡などは私には到底高嶺の花と思っていました。
 今年不破哲三氏がそれらの書簡の中から「これだけはぜひ読んでほしい」というものを選んで、『マルクスエンゲルス書簡選集』(写真上中下三巻・新日本出版社)を刊行しました。不破氏の簡潔な解説がついていて、時代背景や書簡が書かれた事情、内容の特徴などがわかるようになっています。面白そうなところからの拾い読みではありますが、書簡への関心を持つことができました。
 これまで、全集の書簡部分は本棚ではなく箱に入れて倉庫においてありました。今回、書簡選集に取り組んだことをきっかけに、他のあるシリーズ本と入れ替えに書架に復帰させました。そして、まず『資本論』第一部の完成をエンゲルスに知らせた前後の書簡などを全集で読んでみました。すると、やはり連続的なやりとりなどかわかり、臨場感が全然ちがうことに気がつきました。選集で、この辺は大事そうと思ったら、その周辺を全集で調べてみるというのが有効なような感じです。
(中略)
 書簡でいま心を打たれているのは、『資本論』第一部完成をめぐる一連のやりとりです。まずエンゲルスが、バンザイと言わずにいられなかったといいつつ、原稿をもって発行元にいくマルクスに、先立つものが不足しないようにと送金する心配り、そしてマルクスエンゲルスに、「もし君がいなかったら僕は到底この仕事を完結させることは出来なかっただろう。そして、君に断言するが、絶えず僕の良心の上に悪魔のようにのしかかっていたのは、君が自分のすばらしい能力をほとんど僕のために商売に浪費し錆びつかせて、おまけに僕のつまらない苦労までいっしょにきりぬけなければならなかった、ということだ」と深い感謝の言葉を書き送っています。
 事実、エンゲルスは親の残したマンチェスターの共同経営の会社の経営に当たり、その収益からロンドンのマルクスの活動、研究、生活を支えるために仕送りを続けたのです。科学的社会主義創始者の一人は、その事業のためにブルジョアとして働き、資金的に支えたのです。そういう意味では歴史的に皮肉な人生をおくり、そのブルジョアとしての生活の中でも、とくに夜間には科学的社会主義の研究に励み、多くの労作を残しているのです。
 退職後、念願の『資本論』全三巻の読破は一回やりましたが、また、書簡を読むという新しい、マルクスエンゲルスの読み方の新しい分野が開けてきました。
 最後に、一言だけ付言すると、書簡選集では書簡の抄録について明記されていないようですが、やはり必要ではないかと思います。


■「全てのアスベスト被害の救済を:国・企業の責任を問う」(伊藤明子)
■「建設従事者のアスベスト被害根絶と全面補償を:建設アスベスト訴訟がめざすもの」(清水謙一)
(内容要約)
 アスベスト問題については以下の赤旗その他の記事紹介で内容要約にかえる。訴訟での勝利を願っているが本来、国が責任をもって救済措置をすべきなのであり、訴訟を起こされても「訴訟での国勝利を目指す」、要するに「法的に救済義務がなければ救済しない」「訴訟中に患者が死ねば御の字」などという態度を取り、敗訴しても控訴する民主党政権の態度は人間として最低最悪のクズと言える。
 こうしたこと一つとっても民主党の「国民の生活が第一」はデマであるし、こうした問題には何らコミットしようとしない小沢一派の「国民の生活が第一」もデマであることは明白だ。

まずは建設労働者のアスベスト被害。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-01/2012090104_02_1.html
石綿被害 補償基金創設ぜひ、首都圏本部 党国会議員団に要請
 首都圏建設アスベスト訴訟統一本部は31日、建設アスベスト石綿)訴訟の早期解決と被害者補償基金制度の創設を求め、衆院第2議員会館日本共産党国会議員団と懇談しました。
(中略)
 建設現場でアスベスト被害を受けた建設労働者と被害者の遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めている訴訟は、5月に横浜地裁で原告の請求を棄却した不当判決がありました。9月26日には東京地裁で東京、埼玉、千葉の建設労働者と遺族が起こした訴訟の判決が出ます。
 東京、埼玉、千葉の各都県の参加者は訴訟の早期解決とともに、国と建材メーカーなどが拠出する「被害者補償基金制度」の創設を検討してほしいと口々に要請。統一本部の清水謙一事務局長(東京土建労組書記次長)は「提訴後の4年余で74人もの原告が亡くなっている。こうした実態もふまえ、いますぐ補償制度を確立してほしい」と述べました。
 塩川議員は「国と建材メーカーが被害の責任をとるのは当然。補償基金制度の実現でしっかりとした救済策をとるのは政治の責任」と激励しました。

アスベスト工場周辺住民の健康被害

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-08-08/2012080801_04_1.html
アスベストによる住民被害、企業責任 初の認定、神戸地裁
 大手機械メーカー「クボタ」の旧神崎工場(兵庫県尼崎市)周辺の住民が中皮腫で死亡し、「クボタ」工場のアスベスト飛散が原因だとして2遺族が同社と国に損害賠償を求めていた兵庫尼崎アスベスト訴訟で7日、神戸地裁(小西義博裁判長)で判決がありました。1遺族について大気汚染防止法にもとづき、クボタの責任を認め、3195万円の賠償を命じました。公害として、周辺住民のアスベスト被害について企業の法的責任を認めた全国初の司法判断です。

医療従事者の健康被害

http://mainichi.jp/feature/news/20120827dde001040005000c.html
アスベスト:元准看護師石綿労災認定 「手袋の粉吸引で」−−山口労基署
 山口県防府市の元准看護師、河村三枝さん(52)が中皮腫になったのは、病院で手術用のゴム手袋にまぶしていた粉末「タルク」に混入していたアスベスト石綿)が原因だとして、山口労働基準監督署が先月、労災認定していたことが分かった。医療現場での作業を原因とする看護師・准看護師石綿労災認定は初めて。外科や産婦人科などの現場では、かつてゴム手袋の再利用時にタルクが広く使われており、被害が拡大する可能性がある。

最後にアスベスト問題を取り上げたエントリの紹介。
vanacoralの日記「【アスベスト訴訟】「公正判決を求める署名」にご署名を」
http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20100601

下に紹介するのは2週間ほど前、勝訴を勝ち取った原告の方々の声であります。これらの人たちの気持ち、さらには亡くなられた被害者の無念の気持ちを踏みにじって、鳩山政権の面々は恥ずかしくないのでしょうか。

 恥ずかしくないんだろう。ゲスだから。こういうゲスが「国民の生活が第一」と良くもふざけたことが言えたものだ。


■特集「アメリカの現在」
【よりましな選択か、新たな模索か:二〇一二米大統領選挙で問われるもの(薄井雅子*8)】
(内容要約)
いわゆるリベラル派においては「ティーパーティーが幅をきかせる共和党候補」では「ロムニーに限らず」誰が大統領であっても激しい反動化が予想されると言うことから、「共和党候補(ロムニー)は絶対当選させてはならない」ということで意見は一致しているようだ。問題は現時点では、リベラル派がオバマ支持で統一されていないこと。オバマに失望した人も少なくなく、最終的にはともかく、現時点ではオバマとは別候補に投票する可能性が否定できない。1996年、2000年の大統領選で、ラルフ・ネーダーを擁立した緑の党などから、候補の擁立の動きがあるらしい。


オバマ政権四年間のアメリカ経済を振り返る(山下康生)】
(内容要約)
 オバマはこの4年間で失業率の低下などにおいて目立った成果を上げられなかった。このため、オバマ人気も一時に比べれば落ち込んでおり、共和党も攻勢にある。
 「共和党とは違った政策をしてほしい」という期待に応え、「共和党の攻勢」をかわし、その上でどう景気回復するのか、オバマの手腕が問われている。


【中東・西アジアと米覇権主義(河口聡)】
(内容要約)
 イラン、シリア問題において米国は軍事介入オプションを完全に捨ててはいない。しかし本当に両国に軍事介入したら中東情勢は恐ろしいことになるだろう。米国の軍事介入オプションを封じつつ、シリアの内戦状態、イランの核問題をどう解決していくか、国際社会の知恵が問われている。なお、イランの核保有疑惑を批判する欧米がイスラエルの同様の疑惑を批判しないことはダブルスタンダードであり問題である。


■論点
福島原発 労働者の権利と安全の確保は緊急課題(渡辺博之)】
(内容要約)
 原発労働の現状には様々な問題があるためそれを改めるべしという内容。具体例は以下の通り。

http://nikkan-spa.jp/276476
スパ
原発労働の実態】被曝隠し、ピンハネ構造に電力会社は黙認!?
 「被曝線量を隠すことは、特に原発事故以降、多くの作業員の間で行われていると思われます」と語るのは、渡辺博之・いわき市議会議員。事故以前から原発の被曝労働や多重派遣問題について追及を続けてきた渡辺議員に、原発労働の実態についてインタビューした。


「上司の命令で鉛の板で線量計を隠したという一件がありましたけど、多くは労働者自らが被曝量を隠してしまうんです」


 渡辺議員は、福島第一原発で働いていたある作業員の被曝記録を取り出した。


「これは私が相談を受けたAさんのケースです。Aさんは事故前から原発で働いていた優秀な人なんですが、事故直後から最前線での作業を続けていたところ、5か月の間に被曝量が40ミリシーベルトを超えてしまいました。当時の基準では40ミリを超えれば次の年の4月まで原発で働けなくなってしまうので、20ミリを超えたときに親方に『このまま働いていていいのか』と聞いたら、何とも答えてくれなかった。しかしここで働けなくなってしまったら次の仕事がない。そこで、自ら被曝線量を隠すようになったそうです。線量計をこっそり外して現場に行き、記録上は『被曝ゼロ』の日を何日もつくっていったのです。Aさんだけが特別に被曝量が多いということはありませんから、こうしたことは多くの原発作業員の間でも日常的に行われているでしょう。作業員は解雇されたくないためにどんどん被曝を隠すようになりますし、雇う側も解雇すればまた人を集めなければならないのでそれを黙認する。そのため、その実態がなかなか表に出てきません」


 さらに、事故以前から横行している「多重派遣」も、原発作業員の環境を悪くしていると渡辺議員は指摘する。


「これは7月26日に多重派遣を告発した元福島第一原発作業員、Bさんの契約書です。Bさんの場合、契約書や放射線管理手帳には『大和エンジニアリングサービス』という社名が書いてありますが、実際はそのひ孫請けである『前田工業』という会社から給料をもらっていました。日当は約1万1000円。ところが、『大和エンジニアリングサービス』は労働者1人あたり、日当2万4000〜2万5000円プラス危険手当を支払っているんです。つまり、間に入った会社がピンはねした結果、Bさんにはその半額以下で危険手当もつかなくなってしまった。Bさんのように多重派遣構造の下層にいる作業員のほとんどは、社会保険などもありませんし、危険手当がつくことも知らない人が多い。そして最前線に送られ、短期間に高線量の被曝をして解雇されていくのです」


 多重派遣構造は7次8次請けまで続いているケースもあるという。「大和エンジニアリングサービス」も「日栄動力工業」という会社の下請けだ。


「『発注側の東京電力は1日いくら出しているのか』とある社長に聞くと、『事故前の話だが、東電社員は1人あたり5万円と言っていた』、また別の社長は『10万円と聞いたことがある』と話す。これが末端までいくと、事故後でさえ日当5000円という人も出てくる。1日1万円ピンハネして100人送り出せば、それだけで日収100万円。この多重派遣構造は上にいればいるほど儲かります。事故処理でさらに人員が必要となったため、多くの会社がこれに群がり維持しようとしている。電力会社はこの構造を知りながら黙認してきました。最前線にいる原発作業員の待遇を改善するためには、政府自ら調査して改善させることが絶対に必要です」


渡辺博之・いわき市議会議員(日本共産党
共著書に『「最先端技術の粋をつくした原発」を支える労働』(学習の友社)など。http://jcphiro.exblog.jp/

http://www.asahi.com/national/update/0904/TKY201209040203.html
朝日新聞
厚労相「労災認定に不利益ないよう」 線量計未装着問題
 福島第一原発の事故直後の昨年3月、東京電力が被曝線量を測る線量計「APD」を作業員につけさせずに働かせていた問題で、小宮山洋子厚生労働相は4日の閣議後記者会見で、厚労省は昨年3月31日に事案を把握していたとした上で、作業員の労災認定は「原発事故後の復旧作業に従事したという事情も考慮して、労働者に不利益にならないように適正に判断を行いたい」と述べた。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012082502000123.html
東京新聞
被ばく隠し 作業員いての原発処理
 東京電力福島第一原発で作業員の被ばく線量がごまかされていた。多重の下請け構造で、労働者の命や健康が脅かされている。国は事業者に対し、被ばく線量管理や偽装チェックを徹底すべきだ。
 本末転倒の犯罪的行為だった。
 東電の孫請け会社の役員が、作業員の線量計放射線を下げる効果のある鉛カバーで覆い、実際の線量よりも低く見せ掛けようと命じた。労働安全衛生法はもちろん、刑法にも触れかねない。
 作業員の被ばく線量は年間許容量が定められ、上限になると働けない。現場では以前から線量のごまかしが行われていたとされ、発覚したのは氷山の一角である。
 ほかのケースで従事した作業員は証言している。「高線量の場所で警報が鳴らないように線量計のスイッチを切った」「線量計を身につけずに作業場の外に出していた」。これまで目を向けられてこなかった現場の実態と問題が浮かんでくる。
 東電は不正発覚を受け、福島第一原発で昨年六月以降、線量計を紛失したり、装着していなかったケースが二十八件あったという調査結果を公表した。ずっと偽装は見て見ぬふりをされて、対策は怠られてきた。
 原発作業は、東電をトップに約四百社がピラミッドをつくる。プラントメーカー、子会社、孫請け、小規模事業者、一人親方…。下へ、下へと降ろされる間に手数料がピンハネされ、末端で働いているのは多くが立場の弱い日雇いの労働者だ。
 作業員が集まりにくいと暴力団を使った強引な人集めもはびこることになる。発覚した例も、派遣許可のない業者から送り込まれたり、口利き業者が絡んだ違法な多重派遣だった。これでは作業員が病気になっても事業者の責任はあいまいにされてしまう。労災を申請しようにも被ばくの証明が難しく、救済できなくなる。
 3・11事故で高線量の作業が増え、一人一人の被ばく線量を足しあげた「被ばく総線量」は、事故前の十六倍に跳ね上がっている。健康に対する不安は増すばかりである。
 今後四十年かかる廃炉も中心を担うのは末端の作業員だ。許容線量が上限に達した作業員が雇用保険もなく、雇い止めにされる問題もある。国は事業者に被ばく線量と健康の管理を徹底させ、作業員が安心できる生活保障の道筋をつくっていってもらいたい。

【過労自死裁判が問う学校のしんどさ、そして希望(堤由紀子)】
(内容要約)
 赤旗シリーズ連載「教員の過労自死を追う」を担当した堤記者の回想。

参考

http://hajimari2271.blog.fc2.com/blog-entry-182.html
日本共産党 横須賀市議会議員 大村洋子のブログ
 先月7月中旬に「しんぶん赤旗」で「教員の過労自死を追う」という5回シリーズの記事が載った。学校の先生が忙しいというのは以前から聞いていたことだったが、現場は想像以上に大変らしい。知り合いの息子さんの同級生が今年から小学校の先生になり、知り合いに半ばグチのようにあまりの忙しさを訴えていたという。
「その人と会わせてくれないかな。直接話を聴いてみたいから。」
 知人にはお願いしてある。実現するかな。実現させたい。
 文部科学省が今年の1月22日付けで出した「教員のメンタルヘルスの状況」という資料を見ると、驚かざるを得ない。在職者に占める精神疾患による病気休職者の割合は10年間で3倍になっている。
 教育委員会の教職員課と懇談して横須賀市の状況も聴いた。休職とは90日以上休んでいる人にだけ使われるのだそうだ。2,3日の風邪引きには使えないし、1か月の入院とその後1か月の自宅療養にも当てはまらない。90日とは3か月だ。学校を出て、社会人になった人はそうそう3か月も休まない。ましてや、志を持って教師となった方々が3か月も休むとはただならぬことだ。平成22年(2010年)のデータでは全国の精神疾患休職者は5407人。これは1,000人に約6人いるという割合。横須賀の場合は現在、全国よりも出現率は低い。しかし、遡ってデータを確認すると全国よりも高い割合だった年もあった。かなり年度によってばらつきがあるのだ。
 大津市でいじめられて自殺してしまった生徒をめぐって、教育委員会も学校現場もいじめを放置したということで、大問題になっている。「いじめがあったか?」とのアンケートに教職員は誰一人として「いじめがあった」との答えを書いた人はいなかった。「あった」と書けば「わかっていて、なぜ放置した。」となるからだろう。しかし、いじめは確かにあり、それを知らぬ存ぜぬで、押し切った教員や教育委員会、教育長や市長にまで批判が強まっている。
 教育現場が大問題だったことは否めない。しかし、その背景には教師の多忙化があるのではないかと私は思う。忙し過ぎて生徒にしっかりかかわる余裕がないのではないか。だとすれば、それはかなり異常なことだ。そして、多忙化が教員の心まで蝕む。90日間で休職扱い、それでデータとして数字に上がってくるのだから、潜在的にはもっと苦しみもがいている教員がいるのかもしれない。教師がつらい目に合うということが結局子どもたちに悪影響を及ぼすのだ。
 この問題は今後も掘り下げて考えていきたい。厳しいテーマだ。

http://www.labornetjp.org/news/2012/0510hokoku
レイバーネット日本「速報 : 新人教員自死、故木村百合子さんの公務災害認定裁判、勝利が確定」
 地方公務員災害補償基金(以下「基金」)は、東京高裁での控訴請求棄却(7月19日)を受け、最高裁に控訴しないことを決めた。このことで、故木村百合子さんの自死が公務災害であることが最終的に確定した。
 2004年9月静岡市磐田市で新人教師、木村百合子さんは通勤途中に自ら命を絶った(享年24歳、当時新人教員)。「基金」は3年後に「公務外」と認定、再審査請求も棄却された。ご両親は、「公務外処分取消」を求め2008年に静岡地裁に提訴した。
 裁判は3年余に及び2011年12月15日「公務外災害認定処分取消」の勝利判決が出された。しかし、被告「基金」は控訴、裁判は舞台を東京高裁に移されたが7月19日、東京高裁(東京高裁第24民事部、三輪和雄裁判長)は、公務員災害補償基金の控訴請求を棄却した。
 今回の一連の判決には、学校現場の過重労働に歯止めをかけることができうる内容がいくつか述べられている。
 ひとつは、経験の浅い百合子さんがクラス運営に「苦悩しながらもできる限りの努力や責任感を持って対応した」ことを認め、困難を極めた児童への指導では「新規採用教諭に対し高度の指導能力を求めること自体酷」と認定し、新採教師に対して「十分な支援が行われていたとは到底認められない」断じた点である(2011年12月15日、静岡地裁判決)
 ふたつめは労働職場では、「最も脆弱なもの」を基準にすべきであるという原判決を再度認めたことである。(2012年7月19日、東京高裁判決判)
 みっつめは、「うつ病に発症した後の業務内容をしん酌することは、公務と本件自殺との因果関係を考察するにあたって、意義がある」と認めたことである(東京高裁判決)。この点については、厚生労働省がこれまでうつ病の発症以降の過重労働を、労災や公務災害の審査対象としてこなかった経緯があることから重要である。
 学校現場では「物言えぬ無権利」状態が深刻化している。その中で、個々の教育労働者の「努力」を支える周囲の支援が必要であるという基準は極めて重要である。故百合子さんの母和子さんが「学校の状況を、少しでも良い方向に変えてもらいたい」と語るように、この勝利を全国の学校現場の労働条件の改善につながるとりくみにつなげていきたい。(湯本雅典)


■暮らしの焦点
【口腔内崩壊は何をしめすか(江原雅博)】
(内容要約)
 民医連の報告書「歯科酷書」の説明。

(参考)

http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/genki/220/genki220-02.html
特集1/口から貧困がみえる/「歯科酷書」民医連歯科の告発
 このレポートは、全国九八カ所にある民医連歯科のメンバーに呼びかけ、まとめました。とりくみのきっかけは、「どうしてこんな状態になるまで来院されなかったのですか?」と、歯科医師たちが問いたくなるほどボロボロになった口でやってくる患者さんたちがいたからです。そんな患者さんたちの多くは、保険証がない、治療費が払えないため治療を控えてきた、家も仕事もない、などの問題も同時に抱えていたのです。
(中略)
 全日本民医連の歯科部長・江原雅博さんは「経済的事情から、医療機関への受診抑制が起こっている。特に生命の危機にはほとんど直結しない歯科での受診抑制は、医科よりも影響が大きく出ているといわれています。かかりたくてもかかれない状況が生まれ、口腔内の健康が急激に失われています」。
 「それでも、事例の方々は少なくとも一度は歯科を受診できた方々。私たちの目にふれる方は氷山の一角で、いまも受診がままならずにいる方はこの数千、数万倍いて、深刻な口腔内の崩壊事例がたいへんな勢いで増えているはず」と、報告をまとめた歯科委員の駒形貴さん(宮城・古川民主歯科)、庄司聖さん(島根・塩冶歯科)も。
 「現在の歯科医療界では、『歯科医師はあまっている』という議論が常識に。しかし事実はそうなのか。患者が少ないのではなく受診したくてもかかれない人たちが、子どもや若者にまで増えているのが実態。この事例集を多くの人にご一読いただき、この状況を少しでも改善させ、国民誰もが安心して歯科医療を受けられるよう、アクションを起こしていただきたい」と、歯科医師たちは語っています。

http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/genki/2012/251/251-04.html
特集2/『歯科酷書第2弾』発表/口の中から見える格差と貧困
 全日本民医連歯科部では、経済的事情から受診できずに「口腔崩壊」に至った事例をまとめ、歯科酷書として二〇〇九年一一月に発表、本誌(注:民医連の月刊誌「いつでも元気」)の二〇一〇年二月号で紹介したところ、多くの読者から反響が寄せられました。
 しかし、その後もこうした事例は後を絶ちません。
(中略)
 全日本民医連歯科部は今年六月、『歯科酷書-第2弾-』を発表しました。無料低額診療事業を実施している歯科事業所から寄せられた報告のうち、二八事例を「格差と貧困が生み出した口腔崩壊」としてまとめたものです。
(中略)
 今回の『歯科酷書』にまとめた二八事例は、いずれも受診できなかった背景に「経済的困窮」「無保険」「厳しい労働環境」などのさまざまな要因があり、「早期に受診できていれば、こんなにひどくならずにすんだ」と思われるものばかりです。


■メディア時評
【新聞:消費税増税法成立と大手紙の責任(金光奎)】
(内容要約)
・三党合意を「決められる政治」などともてはやす全国紙への批判と、全国紙とは違い、一定の批判をする地方紙への評価。
・ただし全国紙が社説や政治面、経済面では絶賛しながらも、社会面や家庭面では一定の批判をしていることを、「ある種のねじれ現象」と金光氏は指摘している。政財界人とつきあう記者たちはそうした三党合意絶賛に何の躊躇もないが、さすがに社会部や家庭部の記者には一定の躊躇があるということだろう。


【テレビ:オリンピック報道を点検する(沢木啓三)】
(内容要約)
・マスコミが「国威発揚的報道」をする事への批判。オリンピックは少なくとも建前では「選手は国家を背負っているわけではない」し、そうした「国家万歳的態度」は最悪の場合「円谷幸吉の悲劇」を産むだろう。
・一部マスコミ(例:産経)が、ロンドン五輪と「2020年東京五輪招致活動」を結びつけて報じたことはおかしい。そもそも2020年招致などすべきか、招致が可能なのか疑問である。
・またテレビ局が過剰なまでに五輪報道をし政治報道を怠ったことは批判せざるを得ない。なお、同様の批判は五十嵐仁の転成仁語「受信料を取っているNHKはニュースをきちんと報道せよ」(http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2012-08-01)もしているので参照願いたい。


■文化の話題
【演劇:不正に対する告発のメッセージ(水村武)】
(内容要約)
 劇団銅鑼の公演「遺骨」(http://www.gekidandora.com/titles/ikotsu/)の紹介。「遺骨」は内田康夫浅見光彦シリーズの一作でありドラマ化もされている。
 あらすじについてはたとえば「金曜プレステージ浅見光彦シリーズ39・遺骨」(http://mysterytuusinn.seesaa.net/article/180691329.html*9や「劇団銅鑼さんの公演と「遺骨」内田康夫その1」(http://yaplog.jp/hagiyuzuki/archive/40)などを読めばわかる。かなりネタバレだが(他にもネタ晴らし紹介サイトは見つかる)。ネタバレしないと水村氏の言う「不正に対する告発のメッセージ」の意味がわからないし、水村氏もネタバレしてるので以下俺もネタ晴らしする。ネタばらしして紹介しているサイトのオレ流要約にすぎないが。

【以下、ネタ晴らし】
『製薬会社社員龍満智仁(銅鑼の舞台では説田太郎)が何物かに殺害された。浅見(館野元彦)の調査で龍満は医者の世界の大物、現・医学会会長加賀裕史郎(鈴木瑞穂)の「黒い過去」を暴こうとし加賀サイドに謀殺されたらしいことがわかる。龍満にとって「黒い過去」を持つ加賀が医療の世界でボスとして君臨する事は許せないことだったのだ。
その加賀の黒い過去とは彼が731部隊での戦争犯罪に医師として関わったということであった』
ということらしい。テレビドラマでは「731部隊のような人体実験を足尾銅山の中国人労働者相手にやってた」ということで「中国人強制連行問題まで取り上げる」という改編がされてるようだが。つうか産経グループのフジのやるドラマか、これが?

 まあ、小説も舞台もテレビドラマも見てないので何とも評価できませんが、こうしたドラマが造られる程度には「中国人強制連行問題」「731部隊問題」が社会に知られるようになったことはいいことだと思いますし、こうした問題について地道な研究、調査報道をしてきた人々には頭が下がりますね。
 

【音楽:美術館コンサートを聴く(小村公次)】
(内容要約)
ブリジストン美術館ドビュッシー、音楽と美術」(http://debussy.exhn.jp/)、東京国立近代美術館60周年記念「Concerto Museo/ 絵と音の対話」(http://www.momat.go.jp/Honkan/concerto_museo/index.html)の紹介。
ブリジストン美術館ドビュッシー、音楽と美術」の関連イベントについては「イベント情報」(http://debussy.exhn.jp/event.html)を参照。ただし9/8の「前衛」出版時点で、「展覧会自体はまだ行われている(10/14(日)まで)」が、関連イベントは既に「イベント終了」ないし「チケットが完売」している。


【美術:美術品の海外流出と相互理解(朽木一)】
(内容要約)
ボストン美術館 日本美術の至宝」(http://www.boston-nippon.jp/)を見て「日本の美術品が大量に海外流出したことについて複雑な思いがした」と言う話。
もちろん、ボストン美術館所蔵品について今更どうこう言っても仕方がないのだが、こうした「美術品の海外流出」それ自体は今もある話であり、そうした問題についての議論は必要だろう。


■スポーツ最前線
「個人会員制度導入、登山の魅力を伝えたい」(川嶋高志)
(内容要約)
日本勤労者山岳連盟http://www.jwaf.jp/)の様々な取り組みの紹介。

*1:著書『どうする日本の年金』(2004年、新日本出版社

*2:著書『国連:その原点と現実』(1995年、新日本出版社

*3:著書『ここがヘンだよ日本の選挙』(共著、2007年、学習の友社)

*4:鳩山一郎の時の小選挙区導入論は「ハトマンダー」と呼ばれた。もともとは「ゲリマンダー」と言う言葉から生まれた言葉である

*5:著書『女性革命家たちの生涯』(1989年、新日本出版社

*6:著書『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社

*7:著書『マルクスは生きている』(2009年、平凡社新書

*8:著書『戦争熱症候群―傷つくアメリカ社会』(2008年、新日本出版社

*9:ただし原作や銅鑼の公演が浅見が事件に関わるきっかけを「金子みすゞ」の取材として舞台が山口県なのに、何故かテレビドラマはそうなってないらしいが