今日のMSN産経ニュース(11/18分)(追記あり)

■【正論】中国に呑み込まれる少数民族 防衛大学校教授・村井友秀 
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131118/chn13111803170003-n1.htm

19世紀後半の東トルキスタン*1再征服は、欧米列強の侵略に苦しむ清朝には一大慶事であった。遠征軍の司令官は(注:中国共産党が評価する)太平天国革命*2の圧殺者であったにもかかわらず、中国の英雄として中国共産党からも高い評価を受けている。

 ちなみにウィキペディアに寄れば遠征軍司令官は左宗棠と言う人物です。左宗棠はビン浙総督(浙江省福建省の総督)、陝甘総督(陝西省甘粛省の総督)、両江総督(江蘇省安徽省江西省の総督)など要職を歴任しました(ウィキペディア「左宗棠」参照)。ただし太平天国鎮圧の功労者は「左宗棠」よりもむしろ湘軍を率いた「曽国藩」*3や淮軍を率いた「李鴻章*4でしょう。

1862年に中国西北部イスラム教徒の反乱が勃発し、東トルキスタンは一時、中国本土から完全に切り離された。しかし、76年に清朝東トルキスタンの再征服に着手する。遠征軍は77年12月にイスラム教徒の最後の拠点を制圧し、84年に「新疆省」を設けた。

 このイスラムの反乱のことを「ヤクブ・ベクの乱」と言います(ウィキペ「ヤクブ・ベクの乱」参照)。この乱を鎮圧したのが左宗棠です。

駐華ソ連大使が仲介を申し入れて、45年10月に国民党政府と「東トルキスタン共和国」の和平交渉が開始され、46年1月に双方が参加する新政府を作る合意が成立し、「東トルキスタン共和国」独立の旗は降ろされた。

 東トルキスタン側は「ソ連支援」をあてにしていたので、ソ連側が「和平」を主張すれば受け入れざるを得なかったようです。

中国共産党政権が中国人(漢民族)に支持される最大の根拠は、中国史上、漢民族国家として(異民族国家の元*5と清*6を除いて)最大の領土を実現した点にある。仮に少数民族地区*7が分離独立すれば、中華人民共和国の領土は半分以下になり、共産党は中国人に支持される根拠を失うことになる。

 「最大の根拠」かどうかはともかく「チベット、新疆ウイグル内モンゴルは中国の領土、独立は認めない」という施策が中国人多数派に支持されてることは事実なのでしょうね。要するに「中国共産党が下野しても」それだけでは状況が変わらないわけです。

中国共産党は建国以来、多数の漢人移民を少数民族地区へ送り込んだ。その結果、内モンゴル自治区では、人口の9割以上が漢人になった。
(中略)
新疆ウイグル自治区でも同様の状況が生まれつつある。現在、ウイグル人が人口の4割にまで構成比率を減らしているのに対し、漢人は4割を占めるまでになっている。
(中略)
なお、今も依然としてチベット人が人口の9割を占めているチベット自治区でも、青蔵鉄道の開通など移動手段の発達によって、漢人の移住は加速されている。

 まあ、こうした移住に「独立運動阻止」という側面があることは村井氏の言うとおりでしょう(もちろんそれオンリーでもないでしょうが)。
 ただ、「まだ9割が現地住民のチベット」はともかく内モンゴルや新疆ウイグルの状況は今更どうにもならないでしょう。今更、少数民族自治区から、強制的に漢民族を排除するというのもおかしな話でしょう。
 仮に独立するとしても「漢民族の扱いをどうするか」という問題を解決する必要があるわけです。まあ、平和共存しかないでしょうが。


■韓国「信用できない」7割、「賠償金支払うな」8割 産経・FNN世論調査
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131118/stt13111812150003-n1.htm

慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野談話」を裏付ける公的資料が見つかっていないとして、談話見直しを求める声があることについては、「見直すべきだと思う」が55%で、「思わない」の27・5%を大きく上回った。

事実なら絶句ですね。見直せるわけがないでしょう。日本人には国際的常識はないんでしょうか。そんな愚行には国際社会から孤立して亡国へと突き進んだ「戦前への道」が待っているだけです。「安倍を首相にするような社会」の末路とでもいうべきでしょうか。


■「首相はチャンピオン」 国連の性暴力対策高官
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131118/plc13111817480013-n1.htm

 国連で紛争下の性的暴力問題*8を担当するバングーラ事務総長特別代表が18日、官邸に安倍晋三首相を表敬訪問した。同氏は9月の国連総会演説で首相が女性の社会進出支援や紛争地での性暴力対策を進める意向を示したことに触れ、「首相はこの件についてチャンピオンだ」と評した。首相は「戦時下における女性への性的暴力が絶えないのは大変残念だ。根治に向けて国際社会と協力する」と強調した。

 安倍が河野談話を撤回しない可能性がますます強まった、そういうニュースです。慰安婦とは国際社会の常識では「戦時下における女性への性的暴力」の一種です。
で安倍曰く

戦時下における女性への性的暴力が絶えないのは大変残念だ。根治に向けて国際社会と協力する

わけです。ここまで言いきった以上「河野談話撤回」などやったら「アホか?」と国際社会から認識されるのは言うまでもありません。安倍もそこまでのバカではないでしょう(少なくとも安倍の周囲はそこまでのバカではないでしょう。現在進行形の「女性への性的暴力問題」で国連に金銭支援して慰安婦問題をごまかそうという案は外務省当たりが考え出したのでしょうが、それなりに名案とは言えるでしょう。そして動機の腹黒さはともかくこうした金銭支援それ自体は勿論悪いことではありません)。
 しかしリップサービスとは言え、そして安倍が「女性への性的暴力」問題で国連に多額の支援をする意向を表明している以上、悪口雑言も言えないのでしょうが「安倍さんはチャンピオン」なんて国連関係者に言われると「複雑な表情」をせざるを得ません。「安倍がチャンピオンの名に値しないこと」は常識人なら皆わかっているからです。
 安倍の周辺は「やれやれ、少しは状況が良くなった」と思ってるのでしょう。一方、安倍はああいう男ですから「これで慰安婦問題も片がついた、国連は日本の味方だ」と勘違いしてるかも知れません。もちろんそんなに世の中、甘くないでしょうけど。


■【産経抄】11月18日
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131118/chn13111803150002-n1.htm
 「中国の一人っ子政策のやり方は乱暴ではないか」といったまともな批判もありますがそれが「異常な反中国」とセットになるのが産経です。

評論家の石平さんは、毛沢東の言葉を盛んに引用し、言論統制を強めている習近平国家主席の、「毛沢東気取り」を指摘している。今回の転換も、そのひとつかもしれない。

ばかばかしいですね。その前の文章で「一人っ子政策に対し批判があること」や「少子高齢化という弊害が出てきたこと」を指摘しながらなぜ「毛沢東」云々と言い出すのか。

中国の人口は、環境、資源、エネルギーなど、あらゆる問題に関わってくる。

もちろん、そうですが「人口問題」は中国限定じゃないですよね。

幼い頃からわがままいっぱいに育てられ、「小皇帝」と呼ばれた彼らが社会を動かすようになった時、中国の振る舞いは、より粗暴になるのではないか。

さっぱり意味がわからないですね。日本も昔に比べれば「一人っ子が進んでる」んですが、「日本の振る舞いはより粗暴になった」んでしょうか?
 いや安倍外交は「昔に比べて」粗暴になったかもしれませんが一人っ子云々と関係ないでしょう。

*1:新疆ウイグル自治区のこと

*2:一般には「太平天国の乱」という

*3:両江総督(江蘇省安徽省江西省の総督)、直隷総督(直隷省(現在の河北省の一部)・河南省山東省の総督)など要職を歴任

*4:湖広総督(湖北省湖南省の総督)、直隷総督(直隷省(現在の河北省の一部)・河南省山東省の総督)、両広総督(広東省、広西省(現在の広西チワン族自治区)の総督)など要職を歴任

*5:モンゴル族

*6:満州族

*7:チベット、新疆ウイグル内モンゴル

*8:要するに国際社会において「戦時下の性暴力問題」は近年ホットなテーマなんでしょう。そういう状況下で河野談話撤回論など愚挙以外の何物でもありません。