【張成沢失脚後の】今日の北朝鮮・韓国最新ニュース(7/4分)(追記・訂正あり)

7月の日付で8月記事と大幅に日付がずれていますが連続更新の形にしたいので。
■神奈川新聞『時代の正体(18)拉致問題考 再調査を前に(上) 「解決」のゴール見えず 被害者家族・蓮池透さん*1に聞く』
https://www.kanaloco.jp/article/76351/cms_id/96915
 最近では珍しい蓮池透さんの「拉致についての意見」です。救う会除名後はメディア取材もあまりありませんし、家族会除名に「家族会の人達は何言っても無駄」と懲りたのか、ツイッターでも「原発問題への意見」などほかのことがほとんどで「拉致についての意見」はあまりありません。
 もちろん神奈川新聞の取材での発言が自らを不当にも除名した救う会、家族会に対して距離を置いた発言であることは言うまでもありません。少し引用してみましょう。

 (注:蓮池さんが)引っ掛かりを覚えるのは、(注:救う会事務局長時代には)自身も口にしていたであろう勇ましい言葉だ。例えば古屋圭司拉致問題担当相の発言。
「すべての拉致被害者を取り戻す」
 再調査の対象は政府認定の拉致被害者のほか、行方不明者、残留日本人・日本人配偶者、日本人遺骨だ。
 では、すべての被害者とは誰を指すのか。行方不明者には、警察庁が拉致の疑いが排除できないとする860人全員*2が含まれるのか。そもそも取り戻すとはどういうことか。
 「誰かが亡くなっている、ということを言っているわけではない」と念を押しつつ、続ける。
 「私だって(注:拉致被害者が)死んでいることを前提にはしたくはない。だが(注:本当に死んでいる可能性もあるわけで)タブーにしていいのか。タブーとなった結果、死亡なんて報告は許さないという風潮が日本国内にある。それでは北朝鮮は出す情報も出さなくなる。真実は隠され、あるいは捏造(ねつぞう)されるかもしれない。向こうは死亡したと言い、こちらはうそをつくなと言い、互いの主張はぶつかり合う。そして拉致問題が一歩も前へ進まなかったこれまでと同じ轍(てつ)を踏むことになる」
 (注:小泉訪朝後)無為に流れた時間の長さを思ったか、語気がにわかに強くなる。
 「(注:拉致被害者が)生存していれば日本に戻す。亡くなっていると言ってきたら、(注:北朝鮮が提出した)証拠を検証する。真相を明らかにし、生存、死亡にかかわらず(注:生存拉致被害者や「死亡拉致被害者の遺族」に日本政府が)補償する。解決とは何かをあらかじめ定義*3し、相手と合意し、それを国民に示し、理解を得ておく。それができるのは首相という立場をおいてほかにないはずだ」
 問題を先送りしてきた不作為、あるいは利用さえしてきた政治の思惑への抜きがたい不信がにじんだ。
(中略)
 「被害者*4が感情的になるのは仕方ない。だが、政治が同じレベルでいいのか。被害者感情に引きずられ、あるいは家族の望み通りに制裁しているのだ、と自らの不作為への言い訳にし、その正当化のため時に世間の被害者意識をあおり、結果、解決は遠のいてきた」

■神奈川新聞『時代の正体(19)拉致問題考 再調査を前に(下) 「和解」見据えているか 被害者家族・蓮池透さんに聞く』

https://www.kanaloco.jp/article/76398/cms_id/97086
 (注:蓮池さんは家族会事務局長時代は)はっきり言って調子に乗っていた、と打ち明けた。
 北朝鮮による拉致の被害者家族、蓮池透さん(59)の独白。
 「あんなことを言って大丈夫だったろうかと自問することは次第に増えていった」。
 2003年5月3日、拉致発覚翌年の憲法記念日、招かれた集会で聴衆に問い掛けた。
 「弟は北朝鮮に突然自由を奪われ拉致された。平和憲法を唱えるこの瞬間も日本人の人権は侵されている。憲法9条が足かせになっているなら由々しきことだ」
 保守系の識者らが主催した公開フォーラムだった。
 登壇前、やはり講演者の1人だった故・中川昭一*5に聞いた。
 「何をしゃべればいいんですか」
 「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」(拉致議連)の会長を務め、政界きっての右派、改憲論者として知られた中川氏は言った。
 「(注:拉致解決に)9条が邪魔だと言ってくれ」
 「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)を離れたいま、振り返る。
 「当時は『はあ、そうですか』と言われるまましゃべっていた。一方、自分は被害者だから何を言っても許されると思っていた」
(中略)
 「私も確かに(注:制裁など)強硬姿勢で臨むべきだとは主張した。ただ、制裁は(注:制裁のための制裁ではなく拉致被害者救出の為の制裁で)やるなら戦略的に、と言ってきたつもり。しかし、拉致問題は少しも進展しないまま、まったく別の方向へ政治利用されてしまった」
 率直な物言いに悔悟がにじんだ。
 集会に顔を出せば、記念撮影をと政治家が列をなし、襟元には決まってブルーリボンバッジ*6が光っていた。
 しかし続く膠着(こうちゃく)。疑問が頭をもたげた。
 「政治家にとってあのバッジは踏み絵か票集めのためのものでしかなかった。あるいは、制裁することしかできず、北朝鮮とのタフな交渉に向き合おうとしない自分たちへの免罪符か」
 (注:疑念や不信感を蓮池さんが感じたのは)政治家だけではなかった。
 「こちらはとにかく(注:北朝鮮の)情報がほしい。そこへさも見てきたように、(注:救う会は)言う。あの国はもう持たない。(注:日本の経済制裁で)この冬で崩壊する*7。そうすれば被害者は帰ってくる、と。もっとも、毎年同じことを言われ続けることになるのだが」
 (注:救う会への)違和感が決定的になったのは04年、当時の小泉純一郎*8首相の再訪朝に反対するデモだった。横断幕を手に先頭を歩くのが常だったが、交渉するための再訪朝反対がなぜなのか、家族会、救う会の方針に疑問を抱き、後列に回った。
 「右翼風な人や軍服にゲートルを巻いた人までいて、打倒北朝鮮と叫んでいた。救出してほしいと訴えていたはずなのに」
(中略)
 解決を阻んできたものは何か。
(中略)
 思い返す弟、薫さんの言葉。
 「日本は過去に何万人と朝鮮人を拉致したんだから、20人やそこら拉致して何の問題があるんだ、と北朝鮮では言われてきた」
 相殺はあり得ない。過去は過去、拉致は拉致であり、個別に問いたださねばならない。
 「だが、相手を問うなら、自らも問わねばならない」。
 朝鮮半島を植民地支配した負の歴史に向き合う必要がある*9と考えるようになった。
 (注:薫さんは)こうも言った。
 「北朝鮮が憎いというのは分かるが、あの国に住んでいる人すべてが憎い、というのは違うぞ」
 けしからん国、何をしでかすか分からない国、そこに住まう貧しく劣った人々。対話の相手とさえ見られないまなざしが映し出す、自分たちの国は正しく、われわれは優れているという優越意識。そして、それこそは、かつて植民地支配を正当化するために用いられた国家の論理であると気付く。
 しかし−。
 「安倍首相こそは過去を正当化しようと試みる1人ではないか」。
 その口からは拉致問題解決への意欲のみが語られ、再調査の合意文書にある過去の清算、その先の国交正常化への道筋は語られない。
 感じてきたことがある。
 「戦後の日本はアジアから加害国と責められ続けてきた。拉致問題は唯一、被害国だと国際社会で胸を張って主張できる事件だ。そのカードを失いたくないという政治家が少なからずいる」
 北朝鮮を名指しし、安倍首相が踏み切った集団的自衛権の行使容認*10にその一つの帰結をみる。
 いまなら、こう言える。日本の植民地支配があり、敗戦があり、東西冷戦の最前線としての南北の分断があり、敵対の果て、拉致は引き起こされた。
「歴史を俯瞰(ふかん)した上でこの問題を解決した先にこそ、本当のゴールが見えてくると思うのだが」
 互いの不信を解き、二度と過ちは繰り返さないと誓い合う、和解という名のゴール。
 なぜなら、と続けた。
 「早くに国交正常化がなされ、日朝関係がいいものであったなら、拉致事件そのものが起きなかったといえるのだから」

いや、実に率直に救う会と「安倍、中川らウヨ政治家」への違和感を語っていますね。
「今年の冬にも日本の経済制裁北朝鮮は崩壊すると救う会の奴ら、何度言えば気が済むんだ。小泉訪朝から何年経っても崩壊しないじゃないか」
「小泉再訪朝に反対って、北朝鮮に残された、弟たち帰国拉致被害者の家族をどうやって取り戻すつもりなんだ、そもそも取り戻す気持ちが救う会にはあるのか」
「九条改憲って言ってくれって、中川さんは拉致議連幹部のくせに俺達拉致被害者家族を単に改憲の道具としか思ってないんじゃないか」
 その結果が救う会批判であり、そして蓮池さんを邪魔だと認識した救う会は「蓮池氏の家族会からの除名」へと動きます。しかしその結果、蓮池氏は完全に開き直り、こうした巣くう会批判をするわけです。
 マスコミは巣くう会におびえてか批判をあまりしませんが、時々こうした批判が「それなりに気骨のあるメディア」によってなされるわけです。


NHK境港市長が北朝鮮を訪問へ』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140819/k10013903471000.html

 かつて北朝鮮との貿易が盛んだった*11鳥取県境港市の市長が、経済視察を目的に北朝鮮北東部のラソン経済特区を訪問する予定であることが分かり、政府が北朝鮮への渡航の自粛要請を解除したあと自治体のトップが北朝鮮を訪問するのは初めてとみられます。
 これは、北朝鮮ラソン経済特区に詳しい関係者や鳥取県境港市が明らかにしたものです。それによりますと、境港市中村勝*12市長は、(注:8月)20日に中国・吉林省で開かれる国際会議に出席したあと、21日に北朝鮮と国境を接する吉林省(注:延辺朝鮮族自治州)琿春市*13の担当者と共に日帰りで北朝鮮ラソンを訪問する予定だということです。そして、日本海に面したラソンの港を視察し、地元当局者から港の設備などについて説明を受けることにしています。
 境港市にある境港では、かつて北朝鮮水産物や中古車などの貿易が盛んに行われ、2006年に日本が北朝鮮に制裁措置を科すまでは、北朝鮮籍の船が頻繁に入港していました。境港市は、今回の市長のラソン訪問は境港と中国東北部*14を結ぶ新たな国際物流ルートを検討するためだとしています。

 「ついにココまで来たか」と感無量ですね。いやまだまだこんなことでは「救う会によって破壊された日朝外交」の修復にはほど遠いでしょうが。境港と北朝鮮間に貿易が行われてるわけではない。
 しかし、民間団体ならともかく境港市長がここまでやる。救う会全盛期には考えられなかったことです。もちろん事前に政府、与党、外務省に了承は得てるでしょう。


【追記】
NHK北朝鮮訪問の境港市長「申し訳ない」と陳謝』
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140823/k10014021001000.html
■読売新聞『北朝鮮視察の市長陳謝、拉致問題「思慮欠いた」』
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140823-OYT1T50113.html?from=ytop_ylist
 陳謝が本当なら*15馬鹿げていますね。まあ、巣くう会と家族会の圧力でしょうけど、連中はどれほどバカなのか。むしろ「交易関係を作った方が情報が出るかも」といった考えすらないのかと。

*1:巣くう会批判を始めてからの著書として『拉致:左右の垣根を超えた闘いへ』 (2009年、かもがわ出版)、『拉致〈2〉:左右の垣根を超える対話集』(共著、2009年、かもがわ出版)、『拉致問題を考えなおす』(共著、2010年、青灯社)

*2:いわゆる特定失踪者のこと。そのほとんどが「拉致の可能性があるとはとても言えない」ことは拉致認定されないことで明白だろう。

*3:「解決の定義」とは、要するに「これ以上どんどん特定失踪者増やすのは政府は辞めてくれ」ということでしょう。「小泉訪朝後も拉致がある」なんて救う会の暴論を政府が野放しにしてたら、いつまで経っても拉致は解決しません。

*4:家族会のこと

*5:小渕内閣農水相小泉内閣経産相麻生内閣財務相などを歴任。麻生内閣財務相をいわゆる「酩酊記者会見問題」で引責辞任。酩酊記者会見問題の影響で落選し、失意の中病死。

*6:救う会が販売し資金源にしていた。

*7:これに対し、和田春樹・東大名誉教授などは「中国、ロシアが支援してるからそう簡単に崩壊しない、韓国も当面崩壊しないという判断から開城工業団地をやってるし、そういう判断からエジプトの携帯電話会社オラスコムは北朝鮮に進出した」と救う会を批判していました。

*8:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*9:もちろんそうは考えないのが拉致議連平沼赳夫松原仁)や巣くう会(西岡力島田洋一、荒木和博)と言ったウヨです。蓮池氏が救う会と対立したメインの問題はもちろん「救う会のやり方で拉致が解決するのか」「そもそも救う会に拉致解決の意思があるのか」「彼らの目的は改憲など、拉致解決と別にあって自分たちは単に政治利用されてるだけじゃないか」という不信感、疑念ですが、歴史認識問題も、サブの問題としてあったわけです。

*10:この文章から考えるに理由が「解釈改憲などおかしい」という手続き論か「集団的自衛権を認めることは間違ってる」という内容論かはともかく蓮池氏が安倍の集団的自衛権に否定的なことは明白でしょう。かつ蓮池氏は「安倍は集団的自衛権容認など、自分がやりたいことをやるためには出世しなければならないと考えた。その出世の道具が拉致で自分らはマンマと安倍に政治利用された」という不快感があるのでしょう。

*11:ウィキペ「境港市」によれば1992〜2006年まで北朝鮮元山市と姉妹都市関係にあった。

*12:境港市市民生活部長、総務部長などを経て市長

*13:ウィキペ「境港市」によれば現在、「琿春市」とは姉妹都市関係にある。なお、ググったら投資を呼びかける琿春市サイト(http://www.searchnavi.com/~hp/hunchun/index.html)を見つけました。

*14:遼寧省吉林省黒竜江省の東北三省のこと

*15:まあ本当なんでしょうが