■【仏紙銃撃テロ】中国新華社「報道の自由に制限必要」仏紙編集方針を問題視
http://www.sankei.com/world/news/150112/wor1501120061-n1.html
中国国営通信の新華社は12日までに、フランスの風刺週刊紙銃撃など一連のテロ事件について、テロを非難する一方、シャルリエブド紙の編集方針にも問題があったと指摘し「報道の自由にも制限が必要」と主張する評論記事を配信した。
記事は11日に配信。世界の宗教や民族には皆精神的なタブーがあり、互いに尊重するべきで「制限や原則のない風刺、侮辱、言論の自由は望ましくない」と強調した。
中国外務省の洪磊副報道局長は12日の記者会見で、評論記事と政府の見解が一致するか聞かれると「新華社の観点」としつつ「中国は一貫して異なる文明や宗教は互いに尊重し合うべきだと主張している」と強調した。(共同)
「バカの集団・フランス政府」とは違う「中国政府の偉大さ」に改めて感銘を受けました。いや冗談でなくてマジで。俺は「宗教」みたいなデリケートな物を「風刺」と言えば無神経に笑いものにしていいという考えに賛同しませんので。ちなみにMukkeさんも「風刺口実にチベット仏教やダライ猊下をバカにされてたまるか、宗教なめるな」と思ってらっしゃるのか、「シャルリエブド紙の編集方針にも問題があった」という立場のようです。
kojitaken氏も『「私はシャルリー」への違和感』(http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20150112/1421023434)で新華社と同様の意見を述べています。
■【広角レンズ】あすはわが身、単身女性3人に1人、「貧困」焦点の書籍相次ぐ
http://www.sankei.com/life/news/150112/lif1501120023-n1.html
単身で暮らす女性の3人に1人が「貧困状態」。
こうした調査結果が注目され、「女性の貧困」にスポットを当てた書籍が昨年来相次いで刊行されている。労働市場で女性の活用が叫ばれる一方、社会から見えない場所で苦しむ女性は少なくない。貧困は女性だけの問題ではないが、実態が見えにくい分、議論や支援が遅れている現状がある。(戸谷真美)
国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩*1部長が平成25年国民生活基礎調査を基に分析したところ、所得格差を示す相対的貧困率は、20〜64歳の1人暮らしの女性で33・3%。男女別にみると40代以降で格差は広がり、70代の1人暮らしの女性では46・3%が貧困。女性の苦境が際立っている。
阿部部長は「日本で貧困問題が注目されるきっかけになった平成20年末の『年越し派遣村』にいたのはほとんどが男性。女性はホームレスになる前に、性産業などに取り込まれてしまうので、貧困問題は従来ほとんど議論されてこなかった」と指摘する。
◆差別の対象に
こうしたなかで昨年9月に刊行された鈴木大介さん*2のルポ『最貧困女子』(幻冬舎新書)は、出会い系サイトで売春して子供2人を育てるシングルマザーや、性産業の底辺で生きる知的障害の女性たちの悲惨な実態を描く。
「セックスワークをすれば困窮状態は一時的に緩和されるが、その時点で公的支援や分析の対象からこぼれる。貧困が自己完結して表に出ず、不可視化されてしまうんです」
ルポライターの鈴木さんは犯罪現場の貧困をテーマに、裏社会や触法少年少女らを取材し、『援デリの少女たち』(宝島社)*3、『出会い系のシングルマザーたち』(朝日新聞出版)*4などを刊行。社会の裏側や底辺を歩くなか、危険な性風俗や売春で生き、差別の対象とさえなっている「最貧困女子」に出会ったという。「いまの日本は階層社会になり、別の階層にどれほど悲惨な現実があっても人ごとのように感じてしまう。中間層が最底辺層の存在を認識することが、彼女たちの『見える化』や支援につながると思う」と鈴木さんは言う。
◆100社で不採用
一方、『失職女子。私がリストラされてから、生活保護を受給するまで』(WAVE出版)は、職を失い、100社近く不採用になった後、生活保護を申請した大和彩さんが、一連の出来事を詳細につづった記録だ。生活保護を申請する直前の一昨年4月、「鬱気味で眠れず、昨日の出来事も思い出せなくなって、備忘録的に始めた」というブログに加筆したもので、ハローワークや役所の福祉課などでの実際のやり取りが、自身の心境とともに詳しく語られている。
ブログの読者だったという担当編集者の三浦ゆえさんは「日々生きづらさを抱えている女性は今も多い。『今これを読んで、人ごとだと思える人がどれだけいるだろう』と思い、本にしたいと考えた」と説明する。
「円安や物価高*5、消費増税で家計は苦しい。手取り月収10万円台の“貧困予備軍”の女性は多く、貧困層に落ちてしまうケースも増えていると感じます」。
こう話すのは、『「貧困女子」時代をかしこく生きる6つのレッスン』(KADOKAWA)の著者で、ファイナンシャルプランナーの花輪陽子さん*6。同書では派遣切りに遭ったOLを主人公に、節約術をはじめ救済制度や保険などが漫画でわかりやすく紹介されている。
太字強調は俺の独断に寄ります。
まあ、この記事は内容的には安倍政権批判ですね。産経なので露骨に「安倍政権批判」をかましたりはしませんが「政府の貧困対策が遅れてるのは問題」「アベノミクス円安による物価高騰や消費増税が貧困を助長してる」てのは要するに安倍批判です。産経内部にも比較的まともな記者がいるという話です。一方で阿比留みたいな酷いのもいるし、阿比留みたいなのが出世する異常な会社が産経ですが。
そういう会社の異常性につきあいきれない人は福島香織みたいに会社を見限って、外に出て行くわけです。まあ、まともな会社なら阿比留より、この記事の書き手(戸谷真美記者)を出世させるでしょうけど産経ですからね。
参考
■紙屋研究所「鈴木大介『最貧困女子』」
http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20141103/1414971642
■琥珀色の戯言「【読書感想】失職女子。〜私がリストラされてから、生活保護を受給するまで 」
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20141218
■日本経済新聞『「貧困女子」時代をかしこく生きる6つのレッスン』花輪陽子氏
http://www.nikkei.com/money/features/31.aspx?g=DGXNMSFK21013_21012013000000
■【日本の議論】「10代少女と遊びたいなら長野。捕まらないから」建前論では性被害食い止められぬ…“淫行処罰規定”なし、長野県が上げた重い腰
http://www.sankei.com/premium/news/150112/prm1501120017-n1.html
個人的には「制定してもええんと違うか」とは思いますが、とは言え産経の「制定積極論」にも何というか違和感が。
(注:淫行処罰規定の制定に消極的な)信濃毎日新聞や県弁護士会などの主張は、大人による子供の性被害が急増している実態から目を背けた議論としか言いようがない。「権力は法律を使って常に人民を抑圧する」という時代錯誤的な思考が、その根底にあるのではないだろうか。
太字強調は俺の独断に寄ります。
いやいや「権力は法律を使って人民を抑圧することがある」てのは時代錯誤どころか今だって深刻な問題ですよ。産経って「下野ナウ」とか公言するほど自民と癒着してるからその辺りの危機感がなさ過ぎるんじゃないか。
■【産経抄】戦争のこと教えて 1月12日
http://www.sankei.com/column/news/150112/clm1501120004-n1.html
そりゃウヨ団体役員(「英霊にこたえる会」会長、国家基本問題研究所理事、日本会議代表委員、日本教育再生機構代表委員、「あたらしい歴史教科書をつくる会」顧問*7)である中條高徳*8、*9に「あの戦争のこと」を聞けば「聖戦」「自衛戦争」などといった極右的寝言しか出てこないでしょうね。
ただし戦前世代でも、家永三郎氏*10、藤原彰氏*11、不破哲三氏*12、水木しげる氏*13、山中恒氏*14など*15はあの戦争に批判的なわけです。結局、あの戦争を「当時の日本人」がどう評価するかは「その日本人が、あの戦争時、どんな境遇にいたか*16」「どんな価値観、思想信条か*17」が大きいでしょう。
そしていずれにせよ「あの戦争の美化」は国際社会で通用しないし、日本も「あの戦争への国際社会の否定的・批判的評価」を受け入れて国際社会に復帰(独立回復と国連加盟)したわけです。今さらあの戦争の美化が許されるわけもない。
「君たちが生きているのは、天皇陛下の終戦のご聖断があったからだ。本土決戦になっていたら、君たちは生まれていなかったんだよ」。昨年ある会合で同席した同僚記者は、中條さんのこの言葉が忘れられないという。
ばかばかしいですね。そもそも「戦争を開始しなければ」問題は最初からなかったわけです。
かつあの時点で「降伏」以外にどんな選択肢があったのか。本土決戦なんかやったって勝ち目はありませんよ。単に昭和天皇が自分の保身で降伏しただけじゃないですか。
大体「降伏する」なら遅くともドイツ降伏時(1945年5月)にでも早期降伏すべきだったでしょう。そうすればたとえば「広島・長崎の悲劇」はなかった。
「ソ連を仲介にした和平」なんて妄想にすがった判断ミスがそうした悲劇をうみ、「ソ連参戦」でそうした妄想が崩壊し、昭和天皇は降伏したわけです。
*1:著書『子どもの貧困:日本の不公平を考える』(2008年、岩波新書)
*2:著書『家のない少年たち:親に望まれなかった少年の容赦なきサバイバル』(2010年、太田出版)、『家のない少女たち:10代家出少女18人の壮絶な性と生』(2010年、宝島SUGOI文庫)、『振り込め犯罪結社:200億円詐欺市場に生きる人々』(2013年、宝島社)など
*3:2012年刊行
*4:2010年刊行。後に加筆訂正し『再貧困シングルマザー』(2015年、朝日文庫)として刊行
*5:「円安や物価高」は、正確には「アベノミクス円安も一因の物価高」でしょう。
*6:個人サイト(http://yokohanawa.com/)。著書『大増税時代を生き抜く共働きラクラク家計術』(2012年、朝日新書)、『30代で1000万円貯める!共働き夫婦のマネー術』(2014年、日本経済新聞出版社)など
*7:以上の中條の肩書きは「産経の中條訃報」「ウィキペディア『中條高徳』」、「各右翼団体のサイト」を参照。なお対立してるはずの「再生機構(八木秀次グループ)」と「つくる会(藤岡信勝・西尾幹二グループ)」双方に中條が役員として名を連ねてるのは「彼が『どちらも愛国保守団体だから支持したい』というアバウトな性格であり」かつ「中條が財界の大物のため、誰もそのアバウトさに駄目出しできない」ということなのだろう。
*8:アサヒビール常務営業本部長、副社長、アサヒビール飲料(現・アサヒ飲料)会長などを経てアサヒビール名誉顧問。著書『おじいちゃん戦争のことを教えて: 孫娘からの質問状』(1998年、致知出版社)、『魂を抜かれた日本人: 歴史に学ぶ日本人の生きざま』(2000年、文化創作出版)、『おじいちゃん日本のことを教えて:孫娘からの質問状』(2001年、致知出版社)、『子々孫々に語りつぎたい日本の歴史』(渡部昇一との共著、2005年、致知出版社)、『「靖国」のことを語ろう』(小野田寛郎との共著、2010年、ワック文庫)など。アサヒビールの元役員がウヨてのはさっぱりわかりません。もちろんアサヒは中韓にも進出しているからです(キリン、サッポロ、サントリーもそうでしょうが)。
*9:ちなみに朝日、読売、毎日、日経の訃報が中條の肩書きとして「アサヒビール名誉顧問」を記事タイトルに使ってるのに対し、産経の訃報が「英霊にこたえる会会長」を記事タイトルに使ってるのは実に産経らしいところです(もちろん産経も記事本文ではアサヒビール名誉顧問と書いていますが)。そもそも産経以外の訃報は中條を「常務営業本部長時代にスーパードライでドライビールブームを仕掛け、キリンから業界トップの座を奪ったやり手経営者」として描き、中條の右翼活動には全く触れていません。
*10:東京教育大学教授、中央大学教授を歴任。著書『戦争責任』(2002年、岩波現代文庫)、『太平洋戦争』(2002年、岩波現代文庫)など
*11:一橋大学名誉教授。著書『南京大虐殺』(1985年、岩波ブックレット)、『昭和天皇の15年戦争』(1991年、青木書店)、『南京の日本軍:南京大虐殺とその背景』(1997年、大月書店)、『餓死した英霊たち』(2001年、青木書店)、『中国戦線従軍記』(2002年、大月書店)など
*12:日本共産党書記局長、委員長、議長を歴任。アジア・太平洋戦争をテーマとした著書に『ここに『歴史教科書』問題の核心がある』(2001年、新日本出版社)、『歴史教科書と日本の戦争』(2002年、小学館)など
*13:漫画家。代表作「ゲゲゲの鬼太郎」。アジア・太平洋戦争をテーマとした著書に『総員玉砕せよ!』(1995年、講談社文庫)、『水木しげるの娘に語るお父さんの戦記』(1995年、河出文庫)、『水木しげるのラバウル戦記』(1997年、ちくま文庫)、『敗走記』(2010年、講談社文庫)、『姑娘』(2010年、講談社文庫) など
*14:作家。代表作「あばれはっちゃく」、「おれがあいつであいつがおれで」。アジア・太平洋戦争をテーマとした著書に『子どもたちの太平洋戦争』(1986年、岩波新書)、『暮らしの中の太平洋戦争』(1989年、岩波新書)、『ボクラ少国民』(1989年、講談社文庫)、『ボクラ少国民と戦争応援歌』(1989年、朝日文庫)、『すっきりわかる「靖国神社」問題』(2003年、小学館)、『アジア・太平洋戦争史』(2005年、岩波書店)など
*15:もちろん他にもあの戦争に否定的・批判的な戦前世代はいます。
*16:たとえば水木氏はあの戦争で南方戦線で片腕失うほどの酷い目にあうわけです。
*17:悲惨な境遇にいれば批判的見方は強まるでしょうが、境遇で全てが決まるほど簡単な話でもありません。