今日の産経ニュース(4/27分)(追記・訂正あり)

■【世界を読む】「歴史を直視しろ」はこっちのセリフ 中国とポル・ポトの関係は…大量虐殺に加担した史実を隠すな
http://www.sankei.com/west/news/150427/wst1504270001-n1.html

まずは拙ブクマの紹介。

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.sankei.com/west/news/150427/wst1504270001-n1.html
 自民党政権が政府主催のイエンサリ副首相歓迎パーティーまで開いた癖にそう言うこという?。/参考:『自民党ポル・ポト政権を支持していた』http://d.hatena.ne.jp/claw/20100703

 もはや「中国が批判出来れば論理的整合性はどうでもいい」ようです。
 さすが「佐藤栄作政権がベトナム戦争を支持したこと」を棚上げして「ベトナムで軍が虐殺した韓国が日本批判するな」と言った産経だけのことがあります(大体それ言ったら米国も「ソンミ事件」とか虐殺やらかしてますし。米国に同じ事が言えますか?。言えませんよねえ。)。
 ご存じの方もいるでしょうが「欧米と日本は当初、ポルポト政権を支持しました」。そこには
1)ベトナムカンボジア侵攻し、樹立したヘン・サムリン政権に対抗するため、シアヌークが「敵の敵は味方」と言う党利党略でポルポトと手を握ったから(そもそもポルポトシアヌークは激しく敵対していたのですが)
2)当時の欧米や日本は「中国を使ったソ連封じ込め*1」を画策しており、そのために「中国が支援するポルポト」に好意的態度をとり「ソ連に近いベトナム」に敵対的態度を取った
と言う党利党略がありました。
 また言うまでもなく当時も今同様中国の巨大市場は欧米や日本にとって大変魅力的でした。もちろんこの巨大市場という問題が「ダライさんノーサンキュー」「我が国に来ても政府首脳は会わないからそのつもりで」「もちろんチベット独立なんか支持しませんよ、当たり前じゃないですか」「我が国にとって中国市場は重要なんですから」という世界各国のダライへの冷たい態度と関係してることは言うまでもありません。
 もちろん「ポルポトの非道」が明白*2になり、国際的批判が高まったり、ポルポトが「中国からも冷たい態度を取られたり」することによって欧米や日本はそうした態度を変えはするのですが。
 ちなみに「反共のはずの自民党が党利党略でポルポトとごろごろニャンニャンしていた*3」頃、「日本共産党」は「中国共産党との敵対関係*4ベトナム共産党との友好関係」もあって「ポルポトを激しく批判」していました。
 不破哲三*5は1999年の演説で

http://www.jcp.or.jp/jcp/etc_kaigi/990725_jcp77th_fuwa.html
 最近、こっけいなことがありました。六月に東京・足立の区長選挙*6があったでしょう。あのときには、相手は自自公に民主党が加わっての大激戦で、反共攻撃がほんとうにひどかったのですが、公明党の党首(代表)代行が、なんとカンボジアポル・ポト政権の問題をもちだして日本共産党攻撃をやったのです。「日本共産党がめざす体制とはなんなのか。カンボジアポル・ポト体制とどうちがうのか、真っ正直に説明すべきである」。こんなことをいったのです。
 ポル・ポト体制というのは、カンボジアの国民を百万人単位で殺したというたいへんな犯罪体制でした。それをひっぱりだして攻撃をする。私はあとでこれをきいてあきれました。なにをあきれたかというと、この方が自分の党の歴史をなにもご存じないことにあきれたのです。
 実は、日本の政界では、八〇年代のはじめごろに、ポル・ポト政権への応援というのが盛んだったのですね。「救援センター」をつくるとか、ポル・ポト政権支援の「国際会議」をひらくとかが、ずいぶんやられました。当時は、中国がまだ毛沢東時代の名残がつよいころで、ポル・ポト政権の背景に中国がいることをみんな知っていますから、各党が(注:巨大市場を持つ中国に媚びるために)”われもわれも”とこの運動に参加し、(注:自民、公明、社会、民社、社民連と、何と反共のはずの自民、民社も含めて)日本共産党を除く全会派が応援団の仲間入りをしました。
 自国の国民を大量に殺したポル・ポト派の非人道ぶりを告発したのは、日本共産党だけでした。公明党もその応援組織に副委員長などを送りこんだ、れっきとしたポル・ポト応援派であります。その公明党が、ポル・ポト問題をもちだして日本共産党を攻撃するとは、よくもいえたものだというのが、私があきれかえった真相であります。(大きな拍手)
 反共攻撃をやるにしても、もっと歴史の勉強をしてもらいたい(笑い、拍手)。まあ、日本共産党の歴史とまではいいません。自分の党の歴史ぐらいは勉強してやってもらいたいというのが(笑い、拍手)、私がいいたい点であります。

と言ってますがまあそう言うことです。例のI濱女史なんかも「中国はポルポトを支援した」とか抜かしてましたけど、不破氏が指摘するようなことは故意にスルーするんだからあの女史は本当にどうしようもない人です。
 なお、このポルポト問題でも日本が「正式にポルポトの政府承認を取り消す」のは「米国が取り消したあと」であり、その頃、英仏独などヨーロッパ諸国はとっくにポルポトの政府承認なんか取り消してました。
 日中国交正常化でも、「日本が正常化した」のはニクソン訪中後でその頃、英仏独などヨーロッパ諸国はとっくに中国を国家承認してました。
 北朝鮮についても「1990年代後半〜2000年代前半」にかけてヨーロッパ諸国は北朝鮮との国交を樹立しましたが、未だ日本は「米国の顔色をうかがって」樹立できないままです(まあ、この問題について言えば「救う会」「拉致議連」など、国内の反北朝鮮右翼の顔色もうかがってるわけですが)。
 そして今回のAIIBでも日本は「英仏独伊」が参加表明しても「米国が不参加なら参加できない」と「米国の顔色をうかがってる」わけです。過去も現在も「外交の自主性」がないにも程がありすぎで日本人として本当に恥ずかしい。
 まあ、それはともかく。「韓国はベトナムで軍が虐殺した」「中国はポルポトを昔支援した」っていってもそれで日本軍の中韓に対する蛮行がチャラになるわけもない。大体そんな事は「韓国とベトナム」「中国とカンボジア」の問題で日本関係ないし。「韓国や中国はベトナムカンボジアに謝罪したのか」というのなら「日本は中韓にきちんと謝罪したんですか?。かなり最近批判浴びてるようですけど?」「少なくとも韓国・ベトナム間、中国・カンボジア間は今の日中、日韓関係ほどには冷え込んでないようですけど?」などと皮肉られるのが落ちでしょう。


■【正論】新局面開く首相のバンドン演説 東洋学園大学教授・櫻田淳
http://www.sankei.com/column/news/150427/clm1504270001-n1.html
 産経が安倍をべた褒めするのはいつものことですが「新局面」というものは何もないでしょう。
 確かに安倍は「戦争の反省」について極めて曖昧な態度を取り中韓の批判を浴びました。
 ただ露骨に「反省なんかしねえよ」なんて態度もとれなかった。産経にとって大絶賛できるような内容じゃないし、「何か新鮮みがあるか」と言ったら何もないわけです。
 習主席との当地での会談は演説と関係ないし、時間は短時間だし、「会談しないよりは良かった」程度の話でしかありません。


■【統一地方選】対決型市区長選は自民2勝、民主2勝
http://www.sankei.com/politics/news/150426/plt1504260048-n1.html
 まあそういうことです。地方選ですので「国政の対立」と言う要素は少ないのでしょう。結果、自民大勝とか民主大勝とかにならないと。


■【統一地方選】東京・大島町長選 土砂災害対応の現職敗れる
http://www.sankei.com/politics/news/150426/plt1504260045-n1.html
 共産支持者の小生としては数少ない党員首長の大島町長が敗れたことは残念ですが、再起を期待したいところです。なお共産は議員選挙においては「前半戦同様」、ささやかながら議席を増やし、一方民主党はやはり一人負けしたようです。

参考
赤旗県都の長崎・甲府・徳島 宇都宮・福井で全員当選 京都など全員当選の府県も』
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-04-27/2015042701_01_1.html


■【統一地方選】渋谷区長選 同性パートナー条例推進派の長谷部氏が当確
http://www.sankei.com/politics/news/150426/plt1504260047-n1.html
 推進派つうか「条例を議会に提出し成立させた前職が後継指名した人」ですね。何も選挙の争点は「パートナー条例」じゃあるまいに産経らしいタイトルです(民主系対立候補は条例支持ですし、自公系対立候補すら「見直しはあり得る」としながらもはっきりと条例反対とは主張していません)。


■【統一地方選】市議選で自民が議席
http://www.sankei.com/politics/news/150427/plt1504270009-n1.html
 前半戦結果を見れば残念ながらある程度予想できたことではあります。自民最大のライバル民主が議席減のていたらくですからね。共産が多少躍進しても追いつかないわけです。


■【統一地方選】「都構想」に周辺自治体巻き込めず 維新系3市長選敗北
http://www.sankei.com/west/news/150427/wst1504270009-n1.html
 もはや「維新ブーム」にもかげりが見られるということでしょう。アンチ維新の小生としては大変嬉しいことです。

 自公推薦の新人、後藤圭二氏が、現職で維新推薦の井上哲也氏を破った吹田市長選で(中略)後藤氏は最終盤になって、訴えの中心を都構想批判に切り替えた。税収が豊かな吹田市は「吹田区になれば、大阪都のなかで(行政サービスが)平均化されてしまう」との訴えに手応えがあったためだという。

というのだから「都構想住民選挙への影響」は避けられないんじゃないか。これで「都構想が住民投票で否決されて完全におだぶつになり維新が着実に衰退する」と大変嬉しいですがどうなるか。

*1:当時の中国はいわゆる「中ソ対立」をまだ引きずっており、中ソ関係は最悪でした。

*2:当初は明白ではなかった

*3:産経も当時は反共主義者、反ベトナム主義者、自民党シンパとして、自民批判やベトナム応援するわけにもいかず、とはいえ反共主義者、反中国主義者としてポルポトを褒めるわけにも行かず適当にこの件はお茶を濁していたと思います。

*4:文革の評価を巡って敵対関係に突入していました。党関係が正式に修復されるのは1998年のことです。

*5:共産党書記局長、委員長、議長を歴任

*6:当時、足立区長は共産党が支援する吉田万三