■【中国ネットウオッチ】台湾の「鳥居再建=媚日批判」論争にみる「台湾人」「中国人」アイデンティティの“大きな差”
http://www.sankei.com/premium/news/150513/prm1505130002-n1.html
台湾・台中市の林佳竜市長がこのほど、台中公園内に横たわる日本統治時代に建立された台中神社の鳥居を、200万台湾元(約780万円)を投じて建て直すと発表した。市の新たなランドマークとして位置づけるという。これに対し、中国のネットユーザーは、“媚日”行為だとして反発し、台湾人に対し、激しい批判を浴びせた。
まあ「日本に媚びてる」と非難されるべき行為かどうかはともかく「日本人観光客を呼ぶことが目的」なのは間違いないんでしょうね。産経辺りは「台湾は親日」と言いたがるでしょうがそういうことでもないでしょう。
■【主張】慰安婦問題で声明 偏見抜きの史実で議論を
http://www.sankei.com/column/news/150513/clm1505130003-n1.html
まあ、そういうことです。声明参加者には「ジャパンアズナンバーワン」のエズラ・ボーゲル氏など「反日」とは到底言えない人、世界的学者もいるのですがそんなことは無視する産経です。
声明は、韓国側が「20万人以上」とする慰安婦の数を「恐らく永久に正確な数が確定することはない」と明示せず
日本は資料なんか残さないでがんがん焼却処分してたんですから「正確な数字が分からない」というのは確かです。 何も「正確な数字は出ない、推定しかできない」てのはこれに限った話ではなく戦争被害なんてそんなもんばっかです。加害者は証拠なんか残さないし、一方、被害者は多くの場合「証拠集めしてる余裕なんかない」わけです。大体こういう問題は数の問題じゃないでしょう。しかも第三者が言うならともかく加害者が居丈高に言うなんて非常識です。
「韓国と中国の民族主義的な暴言にもゆがめられてきた」との記述もある。
誰かの妄想・はてな版『「韓国と中国の民族主義的な暴言」って一体何のこと?』
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20150508/1431108978
によれば「韓国、中国側に問題は全くないと言えないかも知れないがそれを割り引いても日本の方が酷い」という「AバットB」という話であり、ポイントは「割り引いても日本の方が酷い」と言うところなのですから産経の「中韓に責任転嫁する」言い分は成り立ちません。まあ、個人的にはこんな事は声明文に書くべきでなかったと思いますけど。
日本側が否定する「強制性」については、「特定の用語に焦点をあてて狭い法律的議論を重ねること」は「広い文脈を無視すること」と判断を避けた。
判断を避けたのではなく「連行時の強制性のみ重視するのはおかしいよ」「法的に強制かどうかばかり論じるのはおかしい」「全体として強制かどうか、一般常識的な意味で強制かどうか判断しろよ」と言う話でしょう。で全体として判断すれば廃業の自由もなかったし強制売春だと判断したと。法的に強制かどうかはともかく世間一般常識で言えば充分強制だろうと。
慰安婦の証言を集めた代表的な文書は国連人権委員会の「クマラスワミ報告書」だろう。同報告書は、朝日新聞が誤報を認めて記事を取り消した吉田清治氏の証言を採用しており、他にも一方的な証言*1が多い。
一応お断りしておけば、クマラスワミ報告は「吉田証言を紹介しただけ」で採用はしていません。秦郁彦の吉田証言批判も「紹介している」し「どちらが正しいか判断はしてない」のでぶっちゃけ報告には何の問題もありません。
まあ、仮に「クマラスワミ氏が吉田証言を採用していた」としても
1)吉見義明氏など多くの研究者は採用してない
2)クマラスワミ報告は吉田証言のみを根拠にしてない
3)「慰安婦問題は吉田証言が崩壊すれば日本が無罪になる性格のものではない」
ので単に「クマラスワミ報告の吉田証言採用部分のみ訂正の必要が生じる」だけですが。
朝日新聞は慰安婦問題について個別の記事の誤りや誤用を認めながら、「本質直視を」「核心は変わらず」などと問題をすりかえた。研究者らによる声明の筋立ては、これに酷似していないか。
「酷似してる」としたらそれは「朝日の主張こそが国際的常識にかなったもの」というだけです。産経や自民党右派議員の無茶苦茶な朝日叩きは「このままでは日本のジャーナリズムが危ない、河野談話が危ない」と危惧する「欧米人研究者の慰安婦声明」という産経にとってまさにやぶ蛇となりました。しかし今さら「朝日叩きをやめられない産経」は「欧米人研究者は歪んでる」呼ばわりするさらなる迷い道に進むわけです。
【追記】
■スーパーゲームズワークショップエンタテイメント『アメリカの「日本の歴史家を支持する声明」はそんなに素晴らしい内容なのか?』
http://roodevil.blog.shinobi.jp/Date/20150508/
アメリカの歴史学者たちが発表した例の「日本の歴史家を支持する声明」とやらについて、とりあえず筆者の感想を簡潔に記しておきたい。
一言で言ってクソである。
小生は「糞」などとは思いませんが一方で「過大評価も禁物だろう」とは思っています。
つうのもこの共同声明「賛同者をできる限り増やすため最大公約数的なところ(慰安婦は違法行為だ、日本は慰安婦問題に誠実に向き合え)で落としてることが明白」だからです。
安倍を批判するかどうかでは安倍に対して「適切な対応を望む」としており糞味噌には批判してない。適切な対応が何かも明確ではありません。おそらく「河野談話の堅持」「河野談話の歴史認識を教育の場などで普及に努めること」「韓国政府や元慰安婦、慰安婦支援団体との話し合いでの政治決着」そんなところでしょうけど。
これでは「安倍をもっと手厳しく批判しろ」と思う人間にとっては物足りないでしょう。
■スーパーゲームズワークショップエンタテイメント『「日本の歴史家を支持する声明」は訳が問題なのではない』
http://roodevil.blog.shinobi.jp/Date/20150512/
このエントリについての感想を言えば「糞云々」と言う罵倒は支持しないものの、一面の真理ではあります。
つうのはそもそも「最大公約数的な文章で落とした」ため訳し方によって意味がかなり変わるという玉虫色文章になったんじゃないか、それ自体が一つの問題じゃないか、訳だけの問題なのかと言う事です。
「どう都合良く訳そうとしても意味が変わりようがない」文章なら問題ないわけですから。まあ、「それができれば苦労しない(声明文案を考えた関係者)」というのも一面の真理なのでしょうが「訳だけが問題じゃない」と言うのもまた一面の真理でしょう。
なお、「スーパーゲームズワークショップエンタテイメントの中の人(以下、中の人)」は「声明文の日本語訳に訳者の一人として関与したという」浅野豊美*2が無神経にも
新たな防衛協力・安全保障枠組みに先だって、こうした歴史に根ざした問題を避けずに、むしろ、先駆けて積極的に解決にむけて努力して欲しいと願わずにはいられない。
とまるでこの声明文が「日米軍事協力の露払いであるかのようにネット上で表現していること」に憤激しています。まあ、俺もハト派として同感です。慰安婦問題とはそう言う話じゃない。つうかそう言う話を無神経にできる浅野が理解できない。
「ハト派として同感」ですが「浅野なんかに翻訳作業に関与させた米国人学者(例:小山エミ氏)も同様のタカ派だろう(中の人)」というのは邪推が過ぎるんじゃないですかね。「浅野なんか関与させるなんて無神経だ、人を見る目がない」というならともかく。