今日の産経ニュース(5/31分)(追記・訂正あり)

■【モディのインド(上)】対中抑止の「近交遠交」 ブータン、モンゴルなどと関係強化
http://www.sankei.com/premium/news/150531/prm1505310025-n1.html
 産経って本当に中国嫌いなんだなと改めて実感。

 モディ氏が最初の訪問国に日米などの主要国ではなく、中国とインドに挟まれたヒマラヤの小国ブータンを選んだことに国際社会は意表を突かれた。だが、そこには「まずは近隣諸国との関係を固める」という戦略的計算が隠されていた。当時、中国への接近を探っていたブータンに、経済や安全保障をインドに依存している現状を再確認させ、中国になびかないようクギを刺す意図があったのだ。
 インドはかつて、もう一つのヒマラヤの国ネパールとの外交で苦杯をなめたとの思いがある。ネパールでは2008年、インドと関係が深い王室が廃止され、インドの強い影響下にあったネパールは中印の支援をてんびんにかけ始めた。モディ氏のブータン重視には、中印の緩衝地帯であるブータンの「ネパール化」を防ぐ狙いがある。

 ネパールについて言えば「王政時代インドべったりだったか」と言えばそんな事もないと思いますけどね。
 またネパールの王政廃止について言えば

 1990年に民主化運動の声に押されて、議会制度を導入したのに、マオイストによる内戦状態を口実に2002年に国王が非常事態を宣言。議会を解散して国王独裁を復活しようとした(ウィキペ「ネパール」参照)

ために「王室はふざけるな」と言う反感買ったのが大きいわけです。ある意味、王室の自業自得です。
 まあネパールにしてもブータンにしても「インドべったり」「中国べったり」てわけにもいかずうまくバランスを取ることを目指すんじゃないですかね。ある意味当然の話です。

 今月14〜16日の初訪中。カシミール地方の中印実効支配線などでの中国の「領土拡張主義」に関する批判の調子を弱め、インドの高速鉄道建設を含む経済協力などで合意した。
(中略)
 「領土問題を棚上げし、投資増と貿易赤字削減への道筋を付けようとするインドの外交努力が反映された」(ネール大のビベク・ミシュラ研究員)ともいえる。
 さらに浮上したのが、中国との関係維持を図りつつ、域内の他国と手を結んで中国抑止を狙う「近交遠交」戦略だ。
 モディ氏は訪中に続いてインド首相として初めてモンゴルを訪れ、「戦略的パートナーシップ」の強化を確認した。中国とロシアに挟まれたモンゴルとの関係を強め、逆に中国を挟み込んで牽制するのが狙いだ。

 モディ氏のモンゴル訪問を「反中国」で理解する産経ですが、どうなんですかね。


■日本企業、キューバに照準 テロ支援国指定解除 医療機器など進出ラッシュも
http://www.sankei.com/economy/news/150531/ecn1505310008-n1.html
 まあ基本、企業てのは金儲けしか考えてないですからね。北朝鮮に対する制裁が解除されれば似たような状況になることは充分考えられると思います。そして、その方が「北東アジアの安定や拉致解決」と言った面で望ましいとも思います。


■【書評】評論家・宮崎正弘*1が読む『日本人が目覚めた 国難の日本史』(藤岡信勝*2著)
http://www.sankei.com/life/news/150531/lif1505310012-n1.html

 第1に、国際的には河野談話慰安婦強制連行の証拠とされている以上、朝日新聞の訂正を機に、河野談話は撤回されなければならないこと*3
 第2に、慰安婦を「性奴隷」とした国連のクマラスワミ報告*4は、吉田氏の著書が基本資料となってつくられた嘘の上塗りだから国連の委員会はただちにこれを撤回すること。
 第3に、クマラスワミ報告を基になされた米国議会の非難決議はただちに取り消すべきで、カナダやEU議会なども同様であること。
 第4に、韓国や米国に建てられた慰安婦像は根拠がなくなったゆえ、撤去すべきであること。
 第5に、以上の嘘を基に書かれた米国の教科書の記述も削除すべきであること。
 第6が、日本の全教科書から「慰安婦」の記述を一掃するように、文部科学大臣は教科書の訂正を全教科書会社に求めるべきであること。

 産経の考えは改めてよく分かりますが「2の実施主体=国連」「3の実施主体=米国議会、カナダ議会、EU議会」、「4の実施主体=韓国や米国の自治体」、「5の実施主体=米国教科書会社」なんだから日本側がどうこうできる話じゃありません。日本が何を言おうと国連その他が過去の言動を変更することはないでしょう。
 「1の河野談話撤回」「6の教科書からの慰安婦記述の排除」はまあ、「実施主体=日本政府」ですので安倍がやろうとすればできますが、外交上とてもできる話ではないでしょう。


■【日本の議論】PTAは必要か?…暗黙ルール「全員参加」の酷、「平日お掃除会」「ハンドベル」とは、高まる議論
http://www.sankei.com/premium/news/150531/prm1505310019-n1.html
まあ内容的には
■Mukkeエントリ『PTAってもう存在自体が害悪な気がしてきた』
http://d.hatena.ne.jp/Mukke/20150525/1432537968
に似た内容です。産経が「PTAの現状っておかしくね?」と言うとは驚きですが、時々産経には「右翼論調とは違った記事」が「社会面や家庭面」にのります。ちょっと長いですが大幅引用してみます。

 「PTAなど、なくなってしまえばいい」。
 中学1年と小学2年の子供がいる兵庫県の会社員、上田裕子さん(44)=仮名=は憤懣(ふんまん)やる方ない様子だ。
 「しなくていいことを、わざわざしています。小学校では学期に一度、授業時間を使って保護者が子供や先生と親睦を深めるイベントを委員が企画します。月1回の『おそうじ会』では保護者が学校の掃除。手間をかけて作られるフルカラーの広報誌は学年便りなどで知っていることばかり」
 腹立たしいのは、こうした集まりが全て平日に開かれること。自身は働いているうえ、夫は単身赴任中。もしお鉢が回ってきたら、欠席を続けるほかなさそうだという。役職は本部役員に始まり、役員選びの選考委員や公民館委員、地区委員、クラス委員、補導係…。選考は「ポイント制」で、会長や副会長をすれば2ポイント、各委員は1ポイントを付与され、在学中に子供1人につき1ポイントを稼ぐ決まり。必ず一度は役員・委員が回ってくるというわけだ。
 「積極的にしたい人はいないから結局、くじ引き。脱会したいですが、(注:それを理由に子どもがいじめられたり)近所で変な評判が立っても困りますし。子供や家を人質にとられている気がします」と上田さん。
(中略)
 原則、任意加入であっても、都市部では子供の在学中に必ず一回は(注:役員を)引き受けるのが暗黙のルールとなっているところが多いようだ。
 活動が平日でも、共働き家庭が免除されるわけではない。小学6年の1人息子がいる東京都の会社員、小林加代さん(49)=仮名=もクラス委員を経験した。
「大変なのは平日の委員会。専業主婦のお母さんたちは平日に集まろうとする」。
 小林さんが平日の会合を乗り切れたのは、クラス委員が1学級2人体制だから。もう1人が同じように働く母親だったので、都合の悪いときはカバーし合うことができたという。
(中略)
 不要と思われる活動が多い点を指摘する意見もしばしば聞かれる。地域の自治会長や議員、首長も参加した新年会で本部役員たちがハンドベルを演奏したことを広報誌で知り、「余興の練習に時間を費やすなら絶対に役員をしたくない」という母親もいる。
 「PTAが何のためにあるのか分からない。保護者同士のコミュニケーションを図っているだけで、子供に還元されない」と話すのは奈良県の教員、田中明子さん(46)=同=だ。
(中略)
 「PTA(注:の幹部)に逆らってはいけない空気があり、何か提案するとメールで陰口が回るなど、『いじめ』のようなこともある」など人間関係の難しさもある。コミュニティーのしがらみが希薄な都市部では、委員に決まっても会合に出席しない保護者もおり、役員が出席者集めに苦労する地域も少なくない。
 一方、長女が小学5年だった4年前に広報委員を経験した東京都の会社員、阿部寛子さん(45)=同=は「広報誌は無駄といわれがちですが、保護者だけでなく行政機関や地域の青少年団体などに学校とPTAの取り組みを伝える重要なツール」と、目的意識を持つ重要性を説く。
 PTA活動を意義のあるものにするためには、阿部さんが指摘するように会員の意識向上も重要な要素だが、保護者の間では活動内容への批判の方が多いようだ。NPO法人、教育支援協会が政令市の元・現PTA役員や現会員の保護者を対象に平成21年に行ったアンケート(有効回答者3285人)で、「PTAがより活性化するための取り組み」(複数回答)を尋ねたところ、「もっと気楽に参加できるような組織にする」(39%)「どんな活動が必要かを検討しなおす」(35%)と改革を望む声が、「会員の意識向上を図る」(20%)を上回った。
 同調査は、生涯学習に関する20年の中央教育審議会答申*5で保護者のPTA離れが指摘され、学校・家庭・地域を結ぶPTAの充実が求められたのを受け、文部科学省の委託で実施。「PTA組織は必要か」を委員経験回数別に尋ねた設問では、経験なし▽1回▽2〜5回▽6回以上−のいずれでも「必要である」と答えた人が過半数を占め、PTAを「必要ではない」とした人は全体の4%だった。
 同協会はPTAの課題として「関わりたい人が少ないのではなく、関わりにくいシステムのまま」である点を報告書で指摘し、「PTA活動は参加したい人だけが行い、保護者全員が関わらなければならないことは保護者会で引き受けるというように明確に区別する」ことを活性化策の一つとして示している。
(中略)
 PTA活動が主に母親の負担となっている状況は変わっていない。父親や地域の人々が参加しやすい仕組みづくりが求められている。

 いろいろと「へえ」とか「は?」とか感じる文章ですのでコメント。

 中央教育審議会答申で保護者のPTA離れが指摘

 別に中教審が指摘しなくても周知の事実でしょうが、そう言う指摘が公的になされたことはやはり大きいでしょう。

 PTA活動は参加したい人だけが行い、保護者全員が関わらなければならないことは保護者会で引き受けるというように明確に区別する

「PTAと保護者会て一緒と違うの?」て思いますけど、文科省的には「PTAと保護者会は事実上、一緒のことが多い」が、本来は「PTA=任意の組織、なくてもいい」「保護者会=絶対に必要」という区分けがあるようです。
 ちなみにググって見つけた俺的に面白い記事。

http://blog.goo.ne.jp/yamyam00/e/3d3e111aeb46f469017fe99f7011e0dd
■日P*6会長コメントにモノ申す(150524デジタル朝日)

朝日
 会費の使い方に対する疑問の声も多かったです。学校の予算の一部のように扱われているという指摘もありました。
会長
 それはおかしい。変えなければいけませんね。会費はPTA活動のために使うべきです。
朝日
 では、会費の使い方を指導しているのですか。
会長
 それぞれのPTAが決めたことに入っていくことはできません。

 確かに行政は、PTAに対しては、ノーサポート・ノーコントロールが原則です。主権在民のごとく、主権は単P*7にあるのも原則です。ですが、建前上かもしれませんが日Pは、PTAの組織トップですよ?。指導とはいわないでも、助言やヘルプデスクの設置位、してもいいのではありませんか?。というか、日Pさんがやらずに誰がやるの?

http://blog.goo.ne.jp/yamyam00/e/b27898628fd60afdea181c35e9fd4675
■平成22年2月11日(木・祝)に開催されたシンポジウム「これからのPTAのあり方について」の発言の一部引用
寺脇研*8京都造形芸術大学教授、元文科省官僚)
 10年くらい前までだったら、文部省に問い合わせがあったら、(注:PTA加入は)任意であるとは言わない(注:で当たり障りのないことを言ってごまかす)。(注:たぶん文部省本省の幹部職員では)私が初めてそれを言った。文部省に名古屋のおかあさんから電話がいきなりかかってきて「なんでPTAって義務なんですか、私は納得がいきません」と言う*9から私は「義務じゃあないんですよ」と。誰もそんなこと言わないですよ。それは生涯学習振興課長の時で10 年くらい前ですね。文部省は言わない。(注:PTAの全国組織)日本PTA全国協議会ももちろん言わない。だって会費収入で成り立っているのだから、できるだけ入ってもらおうと思っている。当事者ができるだけ入って欲しいと思うのは当然だと思いますよ。
 それは文部省が一番客観的にそれが言える立場なんだからそこが(注:PTAは任意加入ですと)言わなきゃ誰も言わないじゃないですか。
(中略)
吉田博彦(NPO法人教育支援協会代表理事
 (注:会場の)全員の方にご意見をお聞きします。任意参加なんだということをちゃんとはっきり通知して、そこからそれによってものすごく組織率が下がったりいろいろな問題が起ころうが、まずはそのことをやった方がいいと思う方は黄色、そうじゃない方は緑を上げてください。
(会場、緑と黄色のカードをあげる)
 ありがとうございます。およそ見てる限りちょっと黄色が多いけれど、緑も半分くらいですね。どうですか?神代さん。
神代浩*10文部科学省生涯学習政策局社会教育課長)
 (注:会場の方も黄色と緑半々で迷っておられますが私も)やっぱり迷うところですね。
寺脇研京都造形芸術大学教授、元文科省官僚)
 迷うもなにもないところ。任意か任意でないかといえば任意だという事実があるわけだから、地球が(注:太陽の周りを)回っているとか1+1が2だと同じことなんだから、そこで迷うってことはおかしい。だけど(注:任意だと言う事について文科省が)発表することに迷うってことはよく分かります。当然、そんなことを言ったらうるさい人たちがいる*11わけだよ。うるさい人たちっていうのは政治家とか保守的な人たちが、そんなこというからPTAにみんな行かなくなるんだ、つまり任意だってことはPTAに入らなくてもいいと文科省が言ったという話になることが辛い。しかし事実は事実なんだから、それは(中略)キャンペーンをはるってことはできるはず。文科省ができないのであれば、私がはってもいいですけどね。(笑)
吉田博彦(NPO法人教育支援協会代表理事
 そういう方が文科省を追い出されている*12という事実がある、なかなか難しいですよね。
寺脇研京都造形芸術大学教授、元文科省官僚)
(中略)
 今カードあげられた方だって、(注:任意加入の積極広報に)ご心配の向きは、任意加入が間違っているとは誰も思ってないと思うけれど、任意加入であることがあまり明らかになると誰も入ってこないで困るなという。でも(注:任意加入の積極広報に)賛成された方は本気でやろうって人だけが(注:PTA活動を)やれば、今までのように(注:やりたくない人に)足ひっぱられることもなくやれるんじゃないかという思いもあるわけですよ。一般的なNPO活動というのは、やりたい人がいる。やりたくない人が入っているNPO活動というのは大体においてうまくいかないっていうことがあるわけですよ。
吉田博彦(NPO法人教育支援協会代表理事
 校長先生、どうですか?。PTAは任意だということを明確にするということについて。
小正和彦(横浜市立つつじが丘小学校校長)
 任意であるということを全体に向けて言ったことはないですね。
吉田博彦(NPO法人教育支援協会代表理事
 でも、皆さん任意だと分かってて入っているのではないでしょうか。
小正和彦(横浜市立つつじが丘小学校校長)
 どうでしょう、それの認識もおそらくないと思います。ただ、基本的には任意にして参加率が減ってPTAの活動が止まるのだったら一度止めたほうがいいのではという気がします。それによってどういうことが起こるかだと思うのですけど。
(中略)
寺脇研京都造形芸術大学教授、元文科省官僚)
 校長の立場としては、全員が加入している親の団体があるのはいろんな意味で便利ですよね。いろんなことがあった時に、インフルエンザ(注:の予防接種を)どうしましょうかなんていう時だって相談できる。それはそれで(注:PTAとは別に)別に(注:保護者会を)作りゃあいいんですよ。
(中略)
 それこそ保護者にはいろんな諸連絡があるじゃないですか、今年の遠足はこうしますとか。いろんなことについて保護者の意見を聞くっていう意味での保護者会はあるわけですよ。今まであいまいに包括的にPTA活動って言ってきたものの中に、保護者会的部分とその学校を良くするための社会運動的部分があるわけだからそこを整理しなければいけないんで、その保護者会的部分に参加すると困るとかそこが問題ってことは(注:おそらく)ないわけでしょ。結局、社会活動的部分についてやりたくないとか、大変だとかいろんな要素が出てくるから問題なんじゃないの。

一点だけコメントしておくと

うるさい人たちっていうのは政治家とか保守的な人たちが、そんなこというからPTAにみんな行かなくなるんだ、つまり任意だってことはPTAに入らなくてもいいと文科省が言ったという話になることが辛い。

の「政治家とか」が具体的に誰を指すかをはっきり言わない辺りは、寺脇氏もそれなりに気を遣ってるんでしょう。
 当初小生はこの政治家を「与党自民党の政治家」と思ってそういう注記をしてしまったんですがコメ欄でid:Bill_McCrearyさんのご指摘があるようにこのシンポジウムの時の与党は「民主党」ですね。
 お粗末で済みません。ただ言い訳させてもらえば「自民党は最大野党であり、政権復帰の可能性もあった(まあ、今実際に復帰してるわけですが)」「長きにわたり政権の座にあり、そのときに築いた教育現場への影響力は無視できない」と言う意味では寺脇氏が一番想定してるのはやはり「自民党の極右政治家」なんでしょうね。


■【花田紀凱の週刊誌ウォッチング】〈516〉密告者まで処刑してしまう…側近が『週刊現代』に明かした「金正恩の狂気と真実」
http://www.sankei.com/premium/news/150531/prm1505310018-n1.html

週刊現代』(6/6)のトップは「スクープ告白! 側近幹部が『命がけ』で初めて明かす『私が見た金正恩の狂気と真実』」。
 また『現代』の飛ばしかと思ってページを開くと近藤大介*13さん(同誌編集次長)の署名記事。語学に堪能で北京駐在経験もある近藤さんの『日中「再」逆転』*14講談社)は面白く読んだ。近藤さんのリポートなら信用できよう。

 「近藤のレポートだと信用できる」という花田の判断根拠が意味不明ですね。
 『習近平は必ず金正恩を殺す』(2014年、講談社)なんて本を出す近藤が評価に値するのか。「殺す」が「物理的殺害」だったらもろにとんでもですが、仮に「政治的打倒」だとしてもそれはないでしょう。
 近藤本をトンデモと批判するアマゾンレビューを紹介してみましょう。

■ひとことで言うと、「荒唐無稽!」 でしょうね。
(投稿者: 風不死3番、 投稿日:2015/1/8)
 (注:「習仲勲*15の息子」という二世政治家とは言え地方周りも経験し、政治闘争にも勝ってきた)習近平*16が(注:そうした経験のない)金正恩をバカにして、徹底的に毛嫌いしていることはホントに事実だ(注:と思う)。
 しかしその彼が、中国国内に存在している各種の矛盾や人民の不満を解消する為に、「ガス抜きの効果」 を狙って国民の関心事を国外に向けさせようとすることだけの目的で、何としても周辺国との「対外戦争」を考えているというような発想をしているというのは、いかにも週刊誌記者出身の人が考えそうなウケを狙った 「ホントのようなデマ」だと言えよう。
 私も中国とは30年近い取引関係があり、仕事の為に年間のべ120日以上滞在している。
 その体験を踏まえた上で述べるのであるが、一般的に言って中国人は、「北朝鮮のことなどには関心があまりない」 のが実情である。
 日本人は北朝鮮の指導者の名前(金正恩*17金正日*18金日成*19など)をよく知っているが、一般的な中国の人民は、ほとんど90%以上の人がその名前すら正確に知らないのである。
 もし知っているとすれば、その人はかなりのインテリで国際情勢に詳しい勉強家であろう。
 中国は大国である。北朝鮮は小国である。
 中国は北朝鮮と取引などしなくてもやっていけるが、北朝鮮は中国の援助・取引が無ければ、成り立たない構造になってしまっている。
 したがって中国は北朝鮮のことは、適当にあしらっておいて良いワケだ。せいぜい 「死なない程度」に援助しているに過ぎない。
 中国が積極的に動くとすれば、「中国の国益」が大きく損なわれるような場合だけである。
 したがって1950年に勃発した「朝鮮戦争」のような大規模な軍事行動に出ることはまず考えられないであろう。
 (注:仮に正恩政権打倒を目指すとしても)あくまでも 「限定的な外科手術」でもって 「金正恩体制」を取り除き、「中国の国益」に十分配慮してくれるような「親中国政権」を作ることを目指すと考えられる。
 中国は北朝鮮問題については、基本的に「現実重視(現状維持)」の考えである。
 だから中国が北朝鮮と積極的に戦争するということは全く現実的ではなく、したがって この本の内容は 「荒唐無稽!」 と言われても仕方がないであろう。

 まあ「ホロコースト否定論(マルコポーロ)」で文春を事実上首になり、その後も「土井たか子在日デマ(ウィル)」なんかかました花田に何か言っても空しいですが。

 4月1日から訂正、おわびを一括掲載している朝日新聞。たしかに多いとは思っていた。
 早速『週刊新潮』(6月4日号)が「いい大人は呆れて見ている『朝日新聞』の『訂正・おわび』掲載率39%」。

 「朝日襲撃犯人の自白記事(後にデマと判明)」(週刊新潮)、「ホロコースト否定論」(花田)が良くもふざけたことが言えるもんです。
 こういうのは「そのお詫び訂正がどのレベルのものか(単なる誤字脱字レベルか、誤報虚報レベルか)」かが重要です。
 「いい大人は呆れて見ている」のは週刊新潮の方でしょう。まあ「まともな大人」は「南京事件否定論」「河野談話否定論」を平然と掲載するあの雑誌を読んだりはしませんが。

【追記】
 花田が評価するという近藤ですがぶっちゃけ週刊誌記者らしいトンデモだと思います。

■現代ビジネス『本誌既報通り やっぱり、この男はイカれている 金正恩側近大臣を公開「丸焼き」処刑の衝撃』(近藤大介)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43425
 「この男」とは北朝鮮トップ「金正恩国防第一委員長」であり、いかれてると近藤が非難する理由は

朝鮮日報』によれば玄永哲人民武力部長を飛行機を撃墜するための高射砲で射殺したから

だそうです。もうここで脱力ですね。
 先ず第一に玄部長については「粛清否定説(左遷説)」も有力です。
 第二に仮に処刑自体が事実だとしても「高射砲で射殺」てのはあまりにも非常識すぎて「本当かよ?。ネガキャンと違うのか?」と普通なら思うでしょう。それが事実だという根拠が何かあるのか。
 結局「売れりゃいいんだよ、俺達はジャーナリズムじゃなくてただの商売なんだから」つう話なんでしょうが酷すぎて呆れますね。

*1:著書『人民元大崩壊:中国発「世界連鎖恐慌」の衝撃』(1998年、徳間書店)、『中国から日本企業は撤退せよ』(2006年、阪急コミュニケーションズ)、『北京五輪後、中国はどうなる?:中国崩壊これだけの理由』(2008年、並木書房)、『上海バブルは崩壊する:ゆがんだ中国資本主義の正体』(2010年、清流出版)、『中国が世界経済を破綻させる』(2012年、清流出版)、『中国バブル崩壊が始まった』(2013年、海竜社)、『「中国の時代」は終わった』(2014年、海竜社)など反中国本多数。

*2:著書『自由主義史観とは何か』(1997年、PHP文庫)、『「自虐史観」の病理』(2000年、文春文庫)、『汚辱の近現代史』(2001年、徳間文庫)、『教科書採択の真相:かくして歴史は歪められる』(2005年、PHP新書)など

*3:河野談話は「吉田証言を根拠としていない」のでデマも甚だしい。これは河野談話だけでなくクマラスワミ報告も米国、カナダ、EU議会の決議も、慰安婦モニュメントも、米国教科書会社の記述も「全て吉田証言を根拠としてない」ので以後の、藤岡の非難は端的に言って全てただのデマです。

*4:クマラスワミ報告後に作られたマクドガル報告に触れない理由はよく分かりません。

*5:『新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について〜知の循環型社会の構築を目指して〜(答申)』(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1216131_1424.html)のこと

*6:日本PTA全国協議会の略称

*7:「学校を単位とする個々のPTA」の意味

*8:著書『それでも、ゆとり教育は間違っていない』(2007年、扶桑社)、『韓国映画ベスト100:「JSA」から「グエムル」まで』(2010年、朝日新書)、『ロマンポルノの時代』(2012年、光文社新書)、『文部科学省:「三流官庁」の知られざる素顔』(2013年、中公新書ラクレ)など

*9:本当ならスゴイお母さんですよねえ。いきなり文部省に電話ですか?

*10:著書『困ったときには図書館へ:図書館海援隊の挑戦』(2014年、悠光堂)

*11:話がかわりますが外務省が拉致で日朝交渉路線になかなかシフトできなかったのも「政治家とか保守的な人たち」がうるさかったからですね。今回「うるさい人の一人・安倍首相」が方向転換したので交渉が始まりましたが。

*12:田中均氏といい寺脇氏といい少なくとも建前では「追い出されてるわけじゃない」ですがやれ「日朝交渉は間違ってる、田中はおかしい」「ゆとり教育は間違ってる。寺脇はおかしい」とさんざん自民党筋に叩かれた上での早期退職ですから世間は「追い出した」と見るわけです。まあ、追い出したかどうかはともかく「いったんは政府でゴーサイン出したもん(日朝交渉やゆとり教育)」で野党ならまだしも与党が官僚を叩くってのはすごく変ですよね。

*13:著書『「中国模式」の衝撃:チャイニーズ・スタンダードを読み解く』(2012年、平凡社新書)、『習近平は必ず金正恩を殺す』(2014年、講談社)、『金正恩の正体:北朝鮮・権力をめぐる死闘』(2014年、平凡社新書) など

*14:2013年刊行

*15:副首相、全国人民代表大会常務副委員長など歴任

*16:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*17:国防第一委員長、朝鮮労働党第一書記、朝鮮人民軍最高司令官

*18:国防委員長、朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官

*19:国家主席朝鮮労働党総書記、朝鮮人民軍最高司令官