今日の産経ニュースほか(9/26分)(追記・訂正あり)

■中国人の皇室コンプレックスくすぐる、ニセ“日本皇室”商法
http://www.sankei.com/world/news/150926/wor1509260057-n1.html

 中国最大のEC*1タオバオ」で、「日本皇室御用」(御用はご用達の意)と検索すると、500近い商品がヒットする。

 日本人ならまだしも中国人がそう言うものに魅力を感じる理由がよく分かりません。
 いや仮に魅力を感じたところで「本当に御用達かたぶんわからない」わけで危うさを感じないんでしょうか。それとも「お手頃価格なら嘘でもええやん、買ってみたら後で話の種になるし面白いやないか」というノリなのか。
 なお、以前ワイドショーで指摘していましたが昔は「宮内省(戦後は宮内庁)指定の皇室御用達認定」と言う制度がありましたが今はありません(1959年に廃止)。
 従って皇室御用達自称が「全くのデマカセ、詐欺(つまり皇室に納品など1度もない)」でないとしてもそれは
1)過去に「宮内省宮内庁)指定の皇室御用達認定」を受けたことがあるか
2)「宮内省宮内庁)指定の皇室御用達認定」を受けたことは残念ながらないが、何度か皇室に品物を納めたことがあるので「皇室御用達を自称しても問題ないだろう」と業者が勝手にセルフ認定してるか
のどっちかでしかありません。もはや御用達は公式制度ではない。
 そう言う意味では「昔ほどの信頼性はない」わけです(ウィキペ「御用達」も参照)。
 ただ「御用達」でググると、鮫島敦『宮内庁御用達商品購入ガイド』(松葉仁氏との共著、2001年、河出書房新社)、『宮内庁御用達』(松葉仁氏との共著、2001年、NHK生活人新書)、『これが宮内庁御用達だ、こだわりの名品50』(2005年、日経ビジネス人文庫)、『皇室ゆかりの逸品厳選47』(2013年、辰巳出版)、日本文化再発見研究室『皇室御用達ものがたり:ロイヤルブランドの技と心』(2001年、祥伝社)なんて本がヒットしますからそう言うのが好きな人は今でも日本にいるんでしょうね。


■【シリア情勢】テロ組織に装備渡す 米訓練のシリア反体制派
http://www.sankei.com/world/news/150926/wor1509260051-n1.html
 アメリカもイラクやアフガンなどで何度「自分に都合のいい政権をつくるために反体制派を支援して政権転覆を画策」→「かえってテロの温床になり、国際社会どころか米国も大被害」を繰り返したら気が済むんでしょうか。全く愚かきわまりない国だと思います。その意味ではロシアやイランなどの『シリアのアサド現政権』支援は「動機が何でアレ」結果的には米国の無法を阻んでいる「善行と言える」と思います。


■【お金は知っている】爆買いブームはいつまで続くか 八方ふさがり*2の習政権なら規制もありうる(田村秀男)
http://www.sankei.com/premium/news/150926/prm1509260016-n1.html
 田村秀男*3が何言ってるかと言えば「景気刺激策として国内消費を増やすため、中国政府による爆買い規制(国外への資金持ち出し規制)があるかもしれない」つうことです。
 実際、爆買い規制*4があるかどうかはともかく問題は「爆買い規制されたら日本経済にダメージだ」ということです。
 田村が「まともな人間なら」、
1)「中国政府に爆買い規制しなくてもいい景気刺激策(爆買い規制に変わる景気刺激策)を提案する」か
2)「爆買い規制されたときに備えた日本政府の経済刺激策を考える」か
するでしょう。ところがこの記事にはそうした指摘は何一つありません。単に「今後爆買い規制があるかも知れない」と言う指摘しかしていない。
 田村は「爆買い規制したら中国経済が弱ってるって事だ。中国ざまあ」とでも思ってるのか。
 日本経済のかなりの部分が「爆買いに頼ってる」以上、爆買い規制は「ざまあ中国」で済む話じゃないんですけどね。アンチ中国をこじらせるとその程度の常識もなくなるんでしょう。


■【米中首脳会談】サイバー攻撃では民間標的の抑制で妥協? 中国「影の存在*5」が異例の事前調整
http://www.sankei.com/world/news/150926/wor1509260014-n1.html

 こうした事前協議の流れは、従来の米中関係では見られなかった。米中は新たな関係構築を模索する過程にあるとみられており、この点でも首脳会談の成果が注視されている。

 要するに中国の言う「新型大国関係論」と言う主張に米国もある程度、配慮していると言う事でしょう。中米関係には勿論対立もあるが、産経の極右記者(例:阿比留)が希望するような「米中冷戦」なんてありえないわけです。
 そして阿比留のような極端な反中国ウヨ記者はともかくこの記事の書き手のようにある程度まともな記者はそうした「新型大国関係論への米国の配慮」について認識しているわけです。

参考
人民日報
■『新型の大国関係の手本を示す習主席*6の訪米』
http://j.people.com.cn/n/2015/0909/c94474-8947720.html
■『世界に寄与する中米の新型の大国関係』
http://j.people.com.cn/n/2015/0911/c94474-8948679.html
■『中米の新型大国関係、経済・貿易分野の充実化に期待 商務部部長』
http://j.people.com.cn/n/2015/0921/c94476-8952884.html
■『WSJ紙取材、習主席「新型の大国関係の構築という正しい方向を堅持」』
http://j.people.com.cn/n/2015/0923/c94474-8954046.html

【追記】
■CNN『ダライ・ラマが訪米中止、体調理由に』
http://www.cnn.co.jp/world/35071004.html
産経新聞ダライ・ラマ「休息必要」 10月の米訪問を中止』
http://www.sankei.com/world/news/150926/wor1509260071-n1.html
 もちろん80歳という年齢を考えれば「体調不良による中止」は充分考えられますがもう一つの可能性もすぐに思いつきます。
 それは「現在進行形の習主席訪中を理由とした中止(病気は口実)」です。
 習主席の「帰国後」、数週間後にダライは訪米する予定だったようですが「習主席訪米の数週間後」では米国側の対応が「冷淡なもの」になることは当然予想できます。それを恐れてのドタキャンの可能性はあるでしょう。

 米国務省の報道担当者は米国訪問が取り消されたことについて「ダライ・ラマは尊敬される世界的な人物であり、米国は常に歓迎している」と述べた。

と言う米国国務省関係者の言葉は単純に「真意の表明」と受け取ることはできないでしょう。
 習主席がオバマに会えたのにダライは会えなかったというのではダライの面目が立たないわけです。


■【主張】新国立の責任 これがけじめといえるか
http://www.sankei.com/column/news/150926/clm1509260002-n1.html
 産経曰く「今頃、下村文科大臣と河野*7JSC(日本スポーツ振興センター)理事長が辞めるのなら、当時の山中*8事務次官と久保スポーツ・青少年局*9が辞めた時点で一緒に辞めれば良かった」「傷がつかないよう、理事長任期満了時点(JSC理事長)、10月の内閣改造時点(文科相)まで辞めないというのは無責任だ」だそうです。
 おっしゃるとおりですがだったら、「事務次官スポーツ・青少年局長」が辞めた時点で「文科相とJSC理事長の辞任」を主張すべきでしょうが当時産経はそう言わなかったと思います。
 また下村の辞任は「任命者の安倍が下村を更迭すれば済む話」なのですが産経は安倍批判はしません。そう言う意味では中途半端な内容です。

下村氏の辞任を求められた際、安倍首相は「責任は私にある。五輪を成功させることで責任を果たしたい」と述べた。意気込みは結構だが、首相を最終責任者とすることは、本来の責任のありかをあいまいにさせる。

 別に最終責任者は安倍でいいんですよ。問題は安倍のその発言が「下村を更迭しないことの言い訳」でしかなく、最終責任者として何か責任を取るわけでもなく「総理の私も、下村大臣も今後頑張ることで責任を果たす」ととんでもない事を言い出すことです。「今後頑張ることで責任を果たす」で済むのなら、事務次官スポーツ・青少年局長も辞める必要はどこにもなかったでしょう。


■【主張】「GDP600兆円」 目標裏付ける具体策示せ
http://www.sankei.com/column/news/150926/clm1509260003-n1.html
 安倍応援団・産経ですら「具体策も無しに目標値だけぶち上げられても応援のしようがない、無理に応援しても笑いものにしかならない」「アベノミクスが効かなくなってる上に中国の経済停滞が直撃したのにどうやってこんな目標を達成するのか」と批判してる点が興味深い。産経としては「早く具体策を出せ、出せば応援できる」という叱咤激励のつもりでしょうが安倍にとっては批判と変わらないでしょう。
 具体策が出せる物ならとっくに出してたでしょうから。結局「とにかく大風呂敷広げればいい」程度の話じゃないのか。無責任きわまりない男です。

【追記】
■人民日報『財源は? 安倍首相の経済目標を真に受ける人いない』
http://j.people.com.cn/n/2015/0928/c94476-8956472.html

 日本紙「中国新聞」は25日付の記事で、国内総生産GDP)を600兆円に膨らませるとの目標について、「どこまで真剣に考えた目標なのか」と疑義を呈した。記事は、「ただ話を聞く限り、実現性には不安を抱く。何より昨年度の名目で490兆円だった国内総生産GDP)を600兆円に膨らませるとしたことだ。バブル期並みの名目3%成長が続かないと達成できない数字であり、……ここまでの成長を可能にするとは思えない」といい、新たな「三本の矢」の説明も非常にあいまいであり、「むしろ国民の不安を高めるばかりではないだろうか。というのも、現実には『第1ステージ』のアベノミクスが行き詰まりつつあるからだ」と指摘し、さらに「『第2ステージ』と胸を張る前に、これまでの経済政策を謙虚に検証するのが先ではないのか」としている。
(中略) 
 米国のNBC放送は、安倍首相はあらためて経済に力を注ぐとし、野心に満ちたGDP目標値と「新三本の矢」をうち出し、ここから「アベノミクス第2ステージ」の構想がうかがえるが、問題はこれが「実現不可能な途方もない約束」であることだと報じた。富士通研究所シニア研究員のマルティン・シュルツさんも、「GDP600兆円の目標を真に受ける人はほとんどにない。政治家のうわべだけの言葉に過ぎない。現在の日本社会は何もかも衰退しており、この目標を達成することは絶対に不可能だ」との見方を示す。

*1:電子商取引(Electronic Commerce)のこと

*2:田村が言うほど八方ふさがりではないでしょう。いずれにせよ「中国経済が八方ふさがりなら」日本経済にもダメージですが「ざまあ中国」位にしか思ってないらしい田村はどうしようもないバカです。

*3:著書『人民元、ドル、円』(2004年、岩波新書)、『アベノミクスを殺す消費増税』(2013年、飛鳥新社)、『消費増税の黒いシナリオ:デフレ脱却はなぜ挫折するのか』(2014年、幻冬舎ルネッサンス新書)、『人民元の正体:中国主導「アジアインフラ投資銀行の行末」』(2015年、マガジンランド)など

*4:もちろん中国景気に動向によっては「規制がなくても自然に爆買いが減ること」もありえます。

*5:孟建柱・党中央政法委員会書記のこと

*6:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て現在、国家主席、党総書記、国家中央軍事委員会主席、党中央軍事委員会主席

*7:JOC(日本オリンピック協会)理事、日本アンチ・ドーピング機構会長などを経てJSC理事長

*8:旧文部省出身。文部科学省高等教育局私学部長、スポーツ・青少年局長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官(文教担当)などを経て事務次官

*9:旧文部省出身。文部科学省大臣官房人事課長、大臣官房審議官(高等教育局担当)、東京大学理事などを経てスポーツ・青少年局