今日の産経ニュース(10/1分)(追記・訂正あり)

■「中国ショック」で先行き不安、9月日銀短観 投資、賃上げ努力求める安倍晋三政権
http://www.sankei.com/economy/news/151001/ecn1510010044-n1.html
 タイトルだけで内容は分かります。
 要するに『「中国ショック」で先行き不安』だから『内需を拡大したい』、そのために『企業に賃上げ努力求める安倍晋三政権』つうわけです。
 ただ「お願いだから上げて下さい(安倍)」で上げるほど企業もお人好しではないでしょう。
 当然「賃上げを引き出すための政策」が必要ですが、まあ、そんな高尚なもんは産経にも安倍にもないでしょう。


■特定失踪者の藤田さんと大澤さん、平成24年に生存情報 松原元拉致担当相、在任当時に 「拉致を確信した」
http://www.sankei.com/affairs/news/151001/afr1510010020-n1.html
 ブクマもつけましたが松原仁は恥知らずきわまりないですね。「大臣在任中に確信してた」のなら何で大臣在任中に拉致認定しなかったのかてことです。ここまで酷いデマカセてのもなかなかお目にかかれないですね。まさに「民主党のお荷物=松原仁」と言っていいでしょう。安倍ですら「松原と比べたら」まともに見えるほどです。


■【わかやま国体】「銃剣道」に軍隊のイメージ? 競技者減少
http://www.sankei.com/west/news/151001/wst1510010050-n1.html
 ブクマもつけましたがこっちでも突っ込み。普及が進まない「主たる理由」は「旧日本軍のバイオレンスイメージ*1」ということではなく
1)柔道、剣道、弓道、空手などと違い歴史が浅いマイナー競技(明治以降、フランス式銃剣術を元に日本で開発)
2)レスリング、ボクシングなどと違い「日本で発明された競技」のため、国際性にもかける(柔道のような国際的普及に失敗)
3)道具無しで活用できる柔道、空手と違い、木銃という道具が必要なため「実戦性にかけ、護身術などとして役立たないイメージがある」
つうことじゃないんですかね。

 和歌山県銃剣道連盟の木下晴夫副会長は「歴史はほかの競技に引けを取らないし、礼儀や精神を鍛えられる」と話している。

 「礼儀や精神を鍛える」つうのは「剣道、柔道、弓道合気道、空手」などほとんどの武道が売りにしてますし、はっきり言って銃剣道ってこれらに比べたら全然歴史は浅いんじゃないですかねえ。


インドネシア「9・30事件」から50年 歴史の闇に埋もれ、謝罪いまだなく 惨劇味わった住民「川は血で真っ赤だった」と証言
http://www.sankei.com/world/news/151001/wor1510010006-n1.html

 インドネシア建国の父、スカルノ初代大統領の失脚と大虐殺の端緒になった1965年の「9・30事件」から、30日で50年となった。陸軍左派の反乱を鎮圧したスハルト少将(当時)は権力を奪取して、32年に及ぶ長期独裁に道を開いた。国軍は、スカルノ氏に接近して勢力を広げていたインドネシア共産党PKI)のクーデターとみなして掃討を進め、住民による党員粛清も奨励し、全土で50〜200万人が虐殺されたとされる。虐殺に加わった住民らは誰一人処罰されておらず、民主化が進んだ現在も被害者側は抑圧に苦しんでいる。
(中略)
 スハルト氏は精鋭部隊を現地に送り込む一方、「共産主義者は残虐だ」との宣伝活動を展開。脅威を感じた自警団のような住民たちが、あいまいな調査で疑いが浮かんだ人を次々と殺害していった。
 国軍内部でも不当な粛清が断行された。元兵士のブロントさん(87)は自宅から突然連行され、15年間投獄された。食料も満足に与えられず、仲間が連日、餓死していった。妻が子供6人を育てながら月に一度、差し入れをし、何とか生き延びた。
「投獄の理由については何の説明もなかった。PKIとも関係ない。おそらくスカルノ信奉者だったからだろう」

 産経とは思えないまともな記事です。なお「9/30事件」に全く関心がないのが例の「アジア自由民主連帯協議会」(http://freeasia2011.org/japan/)なる自称「アジアの民主主義を考える団体」です。まあ本当は「民主主義を口実に中国を攻撃する極右団体」ですからね。

 東南アジアで共産主義が勢力を広げる「ドミノ」現象を恐れた当時の日本を含む西側諸国も、見て見ぬふりをし、(注:産経新聞を含む、ほとんどの西側)メディアも反応してこなかったのが実情だ。

 何もこれはインドネシアだけでなく「韓国の朴チョンヒ」「チリのピノチェト」などもそうした「反共主義」を理由にその独裁や人権侵害を西側諸国(日本&欧米)は黙認してきました。今も「ミャンマー」「サウジアラビア」「中国」などといったさまざまな独裁的国家を「経済的利益から」黙認してるわけです。

 歴代トップと違い、軍とは全く関係ないソロ出身*2のジョコ*3現大統領が昨秋就任したことで、「初めて犠牲者に謝罪するのでは」と期待する声もある。

第二代大統領・スハルト退陣後の大統領は
・第三代のハビビ:スハルト政権で副大統領
・第四代のワヒド:スハルト政権時代、インドネシア最大のイスラーム組織ナフダトゥル・ウラマー(NU)議長
・第六代のユドヨノ(ジョコ氏の前任者):スハルト政権時代、軍の要職を歴任
ということで第五代のメガワティ(スハルトの長女)以外は「スハルト政権と何らかのしがらみがあった」わけです。

 だが、現地で長年研究にあたる慶応大学の倉沢愛子*4名誉教授は悲観的だ。今年初め、ジョコ氏が謝罪するとの「噂」が流れただけで、政権内で反対論が巻き起こったという。
(中略)
 社会の分断につながりかねない事件を蒸し返さず、歴史の闇に埋もれさせようとする力が働く。特に加害者側には、政権や社会の中枢で活躍する人が多い。
(中略)
 古い傷をえぐられたくない加害者はまだ大勢、存在している。

 スハルト政権が崩壊したとは言え「スハルト派残党」が今も政府中枢に残り無視できない政治力を有してるという話です。
 日本においても
・「東条*5内閣商工相の岸信介
 戦後、自民党幹事長(鳩山*6総裁時代)、石橋*7内閣外相、首相。
・「近衛*8・東条内閣蔵相の賀屋興宣
 戦後、自民党政務調査会長(池田*9総裁時代)、池田内閣法相。
・「東条、小磯*10内閣外相の重光葵
 戦後、改進党総裁、日本民主党副総裁(総裁は鳩山一郎)、鳩山内閣外相
などと言ったように戦前勢力は戦後一定の政治力を保有し続けました。
 その結果「日本の戦争犯罪を矮小化しようとする安倍晋三が首相」なのですからインドネシアの話は全く他人事ではありません。


■【国際情勢分析】中国が2022年に五輪&アジア大会をW開催 「労民傷財(無駄遣い)」批判はねのけ 欧米主導の国際秩序にクギ刺す狙いも
http://www.sankei.com/premium/news/151001/prm1510010004-n1.html

 アジア・オリンピック評議会(OCA)は9月16日、トルクメニスタンのアシガバートで開いた総会で、2022年アジア大会を中国浙江省杭州*11で開催することを決めた。
(中略)
 「杭州アジア大会」は、景気が減速傾向にあるとはいえ、国際スポーツ界の“中国頼み”が加速していることを、改めて浮き彫りにした。
(中略)
 22年アジア大会の開催に手を挙げたのは、杭州だけだった。北京が開催権を獲得した22年冬季五輪も、欧州の有力都市が財政懸念や市民の猛反対のために次々と招致から撤退した。最終選考に残ったのは北京とアルマトイカザフスタン)の2都市だけという異常事態に陥った。
(中略)
 国際的に、巨額の開催費用を要する国際競技大会の招致に対する国民や市民の反発が高まる中、反対意見を封殺できるという点でも、中国に対する依存度は今後も高まる可能性がある。

 まあ産経は「こうした中国の存在感アップ」が気にくわないようですが「招致に手を挙げる都市が全然ない」のでは仕方がないでしょう。
 この状況を変えるには
1)かかる費用を大幅削減し、中国以外も「財政負担を恐れることなく」招致に手を挙げられるようにする
2)いっそ開催都市が開催費用をほぼ全額負担するのではなく、開催団体のほぼ全額負担にする(開催団体の負担で可能な範囲で開催)
するしかないでしょう。


■【産経抄高速鉄道物語の結末
http://www.sankei.com/column/news/151001/clm1510010004-n1.html

 2011年に浙江省で起きた死傷者200人を超す追突、脱線事故にもひるむことはなかった。原因究明はそっちのけで、海外進出を急いだ。クライマックスが、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道計画をめぐる、日中の受注合戦である。
インドネシア政府は、(注:日本案にしたい、中国案にしたい、いったん白紙にしたいなどと)方針を二転三転させた後、3年前から環境などの調査を進めてきた日本を退け、中国案を採用した。どんな密約が交わされたのか*12、定かでない。ともかく、日本から巨額のODA(政府開発援助)を受け取ってきた両国に、まんまとしてやられた形である。
▼日本に比べて安全性の確保に問題がある中国に、運行システムを任せて大丈夫なのか。そもそも、大統領在任中の3年後に完成させるという計画自体に無理はないのか。今後の展開は、予断を許さない。もはや物語から放り出された日本にとって、知ったことではないが。

 反中国・産経らしい完全な捨て台詞ですね。

もはや物語から放り出された日本にとって、知ったことではないが。

なら黙ってろって話です。産経的には「インドネシアは間違ってる、日本の売り込みに問題などない」なんでしょうがそう言う事言っても何がどうにもなりませんからね。「今後何か問題が起こって」インドネシアが日本に頭を下げて「日本に高速鉄道を改めて依頼する」と言う事態でもない限り。

*1:そう言う理由もあるかも知れませんがメインじゃないでしょう。

*2:ジョコ氏はソロの元市長

*3:ソロ市長、ジャカルタ特別州知事を経て大統領。

*4:『日本占領下のジャワ農村の変容』(1992年、草思社)、『ジャカルタ路地裏フィールドノート』(2001年、中央公論新社)、『「大東亜」戦争を知っていますか』(2002年、講談社現代新書)、『インドネシアイスラームの覚醒』(2006年、洋泉社)、『戦後日本=インドネシア関係史』(2011年、草思社)、『資源の戦争:「大東亜共栄圏」の人流・物流』(2012年、岩波書店)、『9・30、世界を震撼させた日:インドネシア政変の真相と波紋』(2014年、岩波現代全書)などインドネシア近現代史についての著書多数。

*5:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、近衛内閣陸軍大臣などを経て首相。東京裁判で死刑判決。

*6:田中義一内閣書記官長、犬養、斎藤内閣文相などを経て首相

*7:吉田内閣蔵相、鳩山内閣通産相を経て首相。

*8:貴族院議長、枢密院議長、首相を歴任。戦後自殺。

*9:吉田、石橋内閣蔵相、岸内閣通産相などを経て首相

*10:平沼、米内内閣拓務大臣、朝鮮総督などを経て首相。東京裁判終身刑判決を受け服役中の1950年に病死

*11:浙江省省都

*12:もちろん「密約がある」なんてのは産経の勝手な決めつけです。「表に出ている話」では「インドネシアの財政負担が小さい(大部分中国がかぶる)」ということが決定理由だそうです。一方日本は「そんなダンピングはできない」とインドネシアの要望を拒否したわけです。