今日の産経ニュース(11/13分)(追記・訂正あり)

もんじゅ運営主体変更勧告、文科相が直接受け取り拒否
http://www.sankei.com/affairs/news/151112/afr1511120040-n1.html
 その結果、

代わりに文科省の局長が受け取る。

と言うのだからわけがわかりません。「誰が何と言おうが、俺は絶対にもんじゅは辞めない」という馳大臣以下、文科政務三役の政治的アピールなんでしょうか。仮にそうだとしても大人げない馬鹿げた話です。受け取った上で「勧告については異論がある」とその場で言えばいいだけの話ですから。
 「大臣が(多忙で?)受け取れないので来ました」と言って応対させられる局長もいい迷惑です。

【追記】
 と馳批判をかましてしまった俺ですが既にマスコミ報道でご存じの方もいるでしょうが

馳大臣は田中委員長から勧告を受け取っています

のでこの産経記事は完全な虚報です。馳大臣には「産経報道を信用して非難して申し訳ありませんでした」と謝罪しておきます。
 さて産経はこの「虚報について」何と言ってるか。
■【もんじゅ勧告】「私の空手チョップ恐れているのか」 馳文科相、事務方と一悶着 「拒否」一転、直接受け取り
http://www.sankei.com/affairs/news/151113/afr1511130032-n1.html

 規制委によると、勧告は規制委始まって以来の重要案件のため、田中俊一委員長が直接、馳氏に手渡すことを打診。ところが、文科省側は「日程の都合が合わない」と回答し、代わりに同省の局長が規制委に出向くことを告げた。
 馳氏はこの日早朝、その事実を知り、「事務方が私の日程に配慮した。これ(勧告)以上に重要な日程はあるのかといったら、事務方は真っ青になった」と暴露。
(中略)
 馳氏は早速、事務方に13日のスケジュール案を複数つくらせた上で、規制委との面会日程をねじ込んだ。当初は地元の石川県で政務日程が入っていたという。
 困ったのは規制委側で、文科省の局長に対し、原子力規制庁の次長*1が対応する当初の予定を変更。田中委員長が急遽(きゅうきょ)、文科省に勧告文を持参することを決め、文科相側の突然の変更に合わせる形になった。

 大臣に了解も取らずにマスコミに「些末な問題ならともかくこんな重要問題について」文科官僚が回答するとか、ちょっと信じられないですけどねえ。馳氏に善意に理解すれば「官僚の暴走(あるいは官僚に善意に理解すれば凡ミス)」、悪意に理解すれば「『俺は受け取らないから』と君らに言ったけど、世間の批判が強いようで失敗した、悪いけど君らが勝手に回答したことで俺は知らなかったことにしてくれ」ということで官僚に責任転嫁してるということでしょう。どっちにしろ問題なので野党はこれ、それなりに追及した方がいいでしょう。
 まあ、「私は本当に知らなかった、嘘などついてない」「官僚のコントロールができてないと言われればわびるほかない、今後はこういう事がないようにする、ご迷惑をおかけした規制委など関係者に深くお詫びする」「ただこの件は大臣を辞任するほどの問題とは思わない」と言われると「馳氏が事前に了解してたのに、官僚に責任転嫁して嘘をついてる」という動かぬ証拠でも出ないと、それ以上追及はしづらいですが。
 今回は「規制委も文科省も産経に対し『馳氏は受け取らない』と回答していた」のでいつもの虚報とは違い「産経は悪くない」とは思います。


■【西論】「気概」なき国は滅ぶ 大人の「事なかれ主義」なら問題…組み体操見直し
http://www.sankei.com/west/news/151113/wst1511130003-n1.html
 「組み体操を辞める気概」ではなく「組み体操を続ける気概」だそうです。呆れて二の句が継げません。

 実は、私の子供*2も小学校時代に組み体操を経験している。

 もちろん産経記者なので「子どもの成長に感動しました!」で終わり。組み体操で怪我をしたらどうしようとは少しも考えないようです。
 「組み体操好きが何故か多いらしい」ウヨ読者に媚びてるのではなく「記者の本心」なら子どもがかわいそうです。

「けがをさせてもいいのか」という意見には反論しにくい。だが、組み体操に限らずスポーツ全般にけがはつきもの。それを忌避しては体育の授業は成り立たないのではないか。

 暴論ですね。もちろん「スポーツに怪我はつきもの」ですが、「危険なスポーツとそうでないスポーツ」「実用性のあるスポーツとないスポーツ*3」はあるわけです。
 組み体操はスポーツ(?)として「特に危険な上」、その危険度を上回るメリット(体力がつくとか)も別にないからこそ廃止論が唱えられることがどうして分からないんでしょうか。
 こんなんで、組み体操が正当化出来るのなら「小学生を連れて冬の日本アルプス登山挑戦」だの「台風で暴風雨の中、小学生を連れて海で遠泳」なんて「死亡事故発生がほぼ確実な行為*4」も「スポーツには危険がつきものだ」でOKになるでしょう。

評論家、谷沢永一は司馬文学は日本人の「気概」に対する賛歌だと評価する。

 谷沢や司馬が「組み体操は日本人の気概を示してる」と言ったのでなければこんな「組み体操正当化の駄文」で谷澤や司馬を持ち出すのは非礼の極みです。おそらく谷澤や司馬が生前組み体操を賛美していたなんて事実はどこにもないでしょう。



■【正論】馬総統の「危うい」対中首脳外交 拓殖大学総長・渡辺利夫*5
http://www.sankei.com/column/news/151113/clm1511130001-n1.html
 中国嫌いなので中台トップ会談は当然否定しますといういつもの産経です。
 「支持率で国民党をリードしてる民主進歩党の候補が総統選に勝てば状況は変わる(産経)」て勝ったって産経が希望する形では変わらないでしょう。まあ馬総統時代に比べ「多少、中国に距離を置くにしても」反中国なんて馬鹿な事はやれるわけもないでしょう。


■【産経抄】戦闘機をめざす女性たち 11月13日
http://www.sankei.com/column/news/151113/clm1511130004-n1.html
 「戦闘機云々」というタイトルでありながら

・日本女性で最初の飛行家
・5年前、日航で初の女性機長が誕生して、話題となった。ただ、国内の航空会社で働く約5000人のパイロットのうち、女性は1%の約50人にとどまっている。
・折しも、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の初飛行が成功した。「日の丸ジェット」のコックピットにも、女性の姿が目立つようになるだろう。

などと戦闘機と関係ない事が記事のかなりのウェイトを占めるいつもの産経です。
 小生だったらこの記事にタイトルをつけるとしたら「空を目指す女性たち」ですかねえ。だって戦闘機オンリーじゃない記事ですから。


■【主張】憲法と緊急事態 国民守れぬ欠陥をただせ
http://www.sankei.com/column/news/151113/clm1511130003-n1.html
 産経と安倍の馬鹿さにはうんざりします。
 緊急事態条項つうのはわかりやすく言えば戒厳令です。
 日本では過去に
1)日露戦争ポーツマス条約で賠償金がないことに反発した暴徒が起こした日比谷焼き討ち暴動
2)関東大震災
3)226事件戒厳令が発動されました(また米騒動で戒厳発動が検討されたと言われる)。
 ちなみに海外の戒厳令発動ケースとしては「中国の第二次天安門事件」「台湾の228事件」「韓国の光州事件」があるようです(ウィキペ「戒厳」参照)。
 まあ、海外の事例がわかりやすいように思いますが戒厳というのは「民衆運動弾圧に使われることが多い」わけです。そういう危険性があるから日本の憲法には戒厳規定(緊急事態条項)がないのでしょう。
 と同時に今の日本で戒厳が必要な事態なんかあるのか。阪神大震災東日本大震災戒厳令なんかなくて対処できたわけです。阪神大震災東日本大震災も戒厳なんか発動したら「現地住民のパニック」「外部の人間の偏見(もう阪神や東北は終わったんじゃないか)」を助長しただけでしょう。
 戒厳が必要な天災ってのは考えがたいんじゃないか。むしろそんな事を考えるより「現状の法制度で天災をどう封じ込めていくか(まあ防災技術開発とか防災体制の整備充実とかですが)」を考えるべきじゃないか。
 原発事故云々というならやるべきことは
1)「戒厳が必要になるような原発事故の防止」
2)「そんな事は無理だというなら原発稼働することに意味があると思えないので早急な廃炉脱原発)」だと俺は思いますね(まあ俺個人は原発事故が仮になくても放射性廃棄物問題で原発に反対の立場ですが)。
 戒厳が必要なレベルの民衆暴動*6や「本土での地上戦*7」てのも考えづらい。つうかそう言う事態になったら「戒厳発動しないと行けない状態になるなんてどんだけ日本政府は無能だ」と日本の国際的イメージも大ダメージで戒厳以前の問題でしょうが。
 また産経は「戒厳はいいことづくめ」みたいに書いてますがそんな事はない。既に書きましたが戒厳を発動すれば「発動された場所のパニック」や「部外者の偏見」を助長する危険がある。仮に戒厳規定があったとしてもそうそう戒厳なんか発動すべきじゃないし実際発動なんかできないでしょう。

*1:大臣だと委員長で、局長だと次長が対応という「格付け」があるわけです。

*2:子どもを絶対に「子供」と書くのが産経の様なウヨ連中でありだからこそ俺はあえて「子ども」と書きます。個人的にはあまり表記にこだわりはないのですが。これについては以前『「下村の政治介入」という事情も分からない癖に文科省「子供表記」統一を「当然」と放言するMukke(追記あり)』(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20141122/5234241756)でも触れました。

*3:水泳なんかは「水難に遭わない」と言う意味で実用性があるでしょう。一方組み体操なんて大人になったら普通やりません。

*4:まあだからこそ誰もそんなことはしませんが。

*5:著書『社会主義市場経済の中国』(1994年、講談社現代新書)、『中国経済は成功するか』(1998年、ちくま新書)、『新脱亜論』(2008年、文春新書)、『台湾経済読本』(編著、2010年、勁草書房)、『アジアを救った近代日本史講義:戦前のグローバリズム拓殖大学』(2013年、PHP新書)など

*6:本当にそんな暴動が起こったら戒厳以前に大失政でしょう。

*7:もちろん「尖閣での小競り合い」程度では戒厳という話にはなりません。アメリカだって世界中で戦争してますが「米国本土上陸作戦」の危機があるわけでもなし、戒厳なんか発動しないわけです。そもそもどこが日本上陸を狙って攻めてくるんだって話です。