今日の産経ニュース(1/24分)(追記・訂正あり)

■【iRONNA発】台湾は日米と「対中トライアングル」、中国には大打撃 児玉克哉(社会貢献推進機構理事長)
http://www.sankei.com/world/news/160124/wor1601240024-n1.html
 実に産経らしい記事です。今回の台湾選挙結果、「与党国民党への厳しい評価」とは言えるでしょうが、それを「台湾独立派の勝利」と言えるか疑問でしょう。興味深いのは「民主進歩党過半数を超える大勝利)と時代力量(今回初出馬の新党で5議席)」の躍進の煽りを受けて台湾団結連盟が「全ての議席を失った事(選挙前3議席)」を産経記事が無視してることでしょう。今回の選挙結果について言えば民主進歩党以外の「国民党」「親民党」「台湾団結連盟」が議席を減らし、新党「時代力量」が5議席獲得*1したことを考えると「既成政党不信」と言う要素がかなりあったのではないかと思いますね。
 まあ、民主進歩党は国民党を「中国寄り過ぎる」と批判していたようですから、中国にとってはその点が当然不安でしょう。とはいえ、台湾と中国の経済関係が既にかなり深いものになっています。積極的に中台交流をすすめるということは当面なくなるかもしれません。しかし露骨に中国を敵視する路線も到底とれないでしょう。当面は民主進歩党、中国共に「様子眺め」じゃないですかね。

アメリカ大統領選挙も、私の予想では次は共和党候補者が大統領になると予想している。

 何を根拠にこういうのかさっぱりわかりません。今の共和党は「ダークホースだったはずの」トランプに引っかき回されてる状況で誰が候補になるかさっぱり分からない状態です。明らかに選挙戦で共和党のイメージは落ちてるでしょう(トランプが候補になるとは思いませんがなったら確実に負けるでしょう)。一方、民主党は「ほぼクリントンで決まり」の状況で「少なくとも現状では」民主党共和党とどちらが有利か言うまでもないでしょう(勿論、民主党です)。さすが産経文化人らしい、とんちんかんさです。

蔡英文氏の人気の要因の一つはクリーンなイメージである。
・若者の失業や貧困化への不満は強く、それが民進党の躍進につながった。

 というのであれば「民主進歩党躍進」は対中外交がメインの理由ではないのだから、到底無茶苦茶な反中国政策はとれないでしょう。と同時に「いわゆる格差問題」「政治とカネ問題」への対応が不十分なら「民主進歩党への不満→国民党への期待(国民党の今後の対応にも寄りますが)」となる可能性も充分あるでしょう。


宜野湾市長選、普天間飛行場の移設促進派の現職が再選確実*2
http://www.sankei.com/politics/news/160124/plt1601240023-n1.html
 出口調査分析による予想に過ぎませんので、実際、どうかはわかりませんが、事実なら残念なことです。小生も沖縄の政治状況など分かりませんが、宜野湾市というのはあまり「米軍基地移設問題が関係ない場所」なんでしょうか。もちろん現時点では「その見込み」なので、見込みが裏切られることを希望していますが不幸にして敗戦だったとしても、沖縄の基地批判派の皆さんには頑張って欲しい、そう願います。不幸にして敗戦の場合、安倍一味が「我々の主張が沖縄に受け入れられた」と強弁*3することは目に見えてますが、翁長氏当選や、衆院選での自公批判派当選で分かるように、今回不幸にして敗戦だとしてもそれは「宜野湾市限定」に過ぎないわけです。


■【主張】宜野湾市長再選 基地移設を着実に進めよ
http://www.sankei.com/column/news/160125/clm1601250002-n1.html
 産経らしい主張ですが「移設先は名護市」なのだからある意味関係ない話です(「選挙結果無視」と言う意味ではなく、あくまでも「名護市住民の同意がなければ意味ないだろ」と言う意味での「関係ない」ですが)。
 「宜野湾市長選結果を受け入れて名護市民は基地受入を認めろ」なんてそんな変な話はないわけです。


■【宜野湾市長再選】移設反対派、共産党含む「オール沖縄」戦略が裏目に…参院選での野党共闘に暗雲
http://www.sankei.com/politics/news/160125/plt1601250009-n1.html
 産経らしいアホ記事で呆れて物も言えません(産経も故意の強弁だと言う事は自分でも理解しているでしょうが)。沖縄において「共産党を含まない移設反対派」というのがあり得るのか。普通に考えてあり得ないわけです。県知事選でも衆院選でも「共産党を含む共闘」だったしそうでなければ勝てないでしょう。理由が何なのか知りません*4が、単に「宜野湾市ではオール沖縄でも勝つことが難しい」というだけの話です。
 「野党共闘に暗雲」て別にこの選挙で移設反対派が仮に勝ったとしても「民主党執行部の共産に対する冷たい態度」はあまり変わらないでしょう。
 なにせ

 民主党岡田克也*5代表は22日の記者会見で「新たな移転先が見つからないまま『現在のプランがだめだ』というのは、鳩山由紀夫政権と同じ過ちを犯すことになる」と語り、党本部として市長選に関与しない姿勢を重ねて示していた。

なんて言うんだから(共産としては共闘の成果をアピールし、民主の冷淡な態度を批判出来たのでその点でも残念ではあるでしょうが)。彼らは選挙勝利を「沖縄の特殊事情だ」と強弁するでしょう。実際、沖縄の最大野党は「民主ではなく」共産*6であり、沖縄にはある種の特殊事情があるわけです。
 そして、自公や産経の方も「沖縄の特殊事情だ」と同様の強弁をしたでしょうね。


■【日曜に書く】急増する訪日客 地方へ誘導し地域振興を 論説委員・井伊重之 
http://www.sankei.com/column/news/160124/clm1601240007-n1.html

 訪日客の急増が止まらない。昨年は約1974万人と前年より5割近くも増え、3年連続で過去最多を記録した。JTBの予測では今年の訪日客は2350万人に達するという。
(中略)
 アベノミクスが停滞感をみせ、株価の下落傾向が続く中で、訪日客の増加は政府には力強い限りだろう。
(中略)
 外国人旅行者というと、昨年の流行語大賞にもなった「爆買い」に対する期待が大きい。外国人による昨年の旅行消費額は、前年比7割増の3兆5千億円に達した。これは自動車部品の輸出額に相当するという。
 日本製の化粧品や電化製品などを大量に購入する中国人旅行者は、小売業界にとってありがたい存在だ。東京・銀座の百貨店では、訪日客向けの免税品売り上げが全体の2割以上にのぼる店舗もある。このうちの6割は、中国からの訪日客が占めているという。

■1兆4千億円「爆買い」中国人呼び込め 中国版LINE「WeChatペイ」で一発決済 競合参入で“場外乱闘”も
http://www.sankei.com/premium/news/160124/prm1601240011-n1.html

 訪日中国人旅行客らの“爆買い”需要を狙い、中国版LINE(ライン)のスマホアプリ「WeChat(ウィーチャット微信)」を用いたモバイルサービスの導入が進んでいる。
(中略)
 テンセントが、そのWeChat Paymentの日本進出を発表したのは昨年7月。代理店のネットスターズ(東京)が普及を進め、約5カ月後の同12月には、大丸松坂屋などの百貨店や外食チェーン店、宝飾品店など約50店舗で利用できるようになった。
(中略)
・訪日中国人旅行客
 日本政府観光局(JNTO)や観光庁のまとめでは、中国からの旅行客数は円安などを追い風に2015年の1年間で約499万人と過去最高を記録。訪日客全体の4分の1を占めた。同年の旅行消費額は過去最高の約3・5兆円だったが、中国だけで1兆4174億円を占め、爆買いが数字で裏付けられた形だ。

 一部の産経ウヨ記者が「中国を敵視しても」それがいかに非現実的であるかが、こうして皮肉にも産経の記事で明らかになるわけです。


■【書評】実はGHQが関与していた 日本医師会会長、横倉義武*7が読む『日本の少子化 百年の迷走 人口をめぐる「静かなる戦争」』
http://www.sankei.com/life/news/160124/lif1601240016-n1.html
 まあ書評を信じる限りバカバカしい本ですね(本の著者は産経記者)。よくもまあ新潮社もこんな駄本を出すもんです。こんな馬鹿げた本を仮にも「日本医師会会長」の肩書きを持つ人間が好意的に紹介するのにも呆れますが。まさか本気ではないでしょう。「産経への媚び=自民への媚び」でしょうがどっちにしろ医師会会長がやるべき行為じゃない。
 別にGHQ少子化に関与なんかしてないわけです。何に関与したかと言えば「出産制限」ですね。GHQが統治した時代というのは有名な「第一次ベビーブーム」時代だったわけです。このときに生まれた人を俗に「団塊の世代」といいますが小生の両親なんかはこの世代です。
 一方、当時、日本の経済はズタボロだった。「出産ががんがん増えたら貧乏人がやたら増えて対応に困る」事をGHQは危惧したわけです。
 しかしGHQがそんな事をしたところで当然ながら多少、出産減少は起きたかも知れませんが「少子化なんか起きなかった」わけです。当時はそう言う時代じゃない。あえて言えば当時の日本は「トウ小平一人っ子政策を始めた時代」に当たる時代だったわけです。ちなみに1970年代には「第二次ベビーブーム」というのがあります。「団塊の世代の出産」があったわけでこの世代を俗に「団塊世代の子ども」と言う意味で「団塊ジュニア」といいます。アラフォーの小生なんか団塊ジュニアです。
 とにかく1945年以降しばらくは日本で少子化なんか起こってません。いわゆる「1990年ショック(出生率1.57ショック)」になって初めて「少子化問題」がクローズアップされるわけです。それで何で「GHQの出産制限」なんて話が出てくるのか。
 そしてこれまた少子化について知識のある人なら常識ですが「経済が近代化すると少子化になる」というのはこれは欧米でもアジアでも経験的に認められることです。最近中国が「一人っ子政策を辞めた」のもそういうことのわけです。
 じゃあどうすれば子どもは増えるのか。赤川学子どもが減って何が悪いか!』(2004年、ちくま新書)のように「政策で増やせるか疑問*8」 「むしろ増えないことを前提にした政策をすべき」という考えもありますが一般には「出産や育児の負担を減らしたらどうか」などさまざまな「少子化克服のための政策提言」がされてるわけです。いずれにせよこの産経記者本はあまりにトンデモ過ぎてまともな検討の対象にはなりません。

*1:もちろん「ぽっと出の」時代力量が「選挙民の期待を裏切れば」こんな議席はすぐに次の選挙で消えてなくなるでしょう。そんな事は時代力量側も理解してるわけで今後の彼らの動きに注目ですね。

*2:追記:残念ながら実際にそのような結果でした。当選確定後の記事もこのエントリでいくつかコメントします。

*3:もちろん連中だって内心では自分らの強弁を「本心で信じてるわけではなく」、強弁だと理解しているでしょう。

*4:「とにかく普天間の基地をどっかに移して欲しい、名護市などどうでもいい」という理由ならそれは「基地が迷惑施設扱いされてる」ということであり「政府が支持された」と単純に言えることではないでしょう

*5:民主党幹事長(鳩山代表時代)、菅、鳩山内閣外相、野田内閣副総理・行政刷新担当相、民主党代表代行(海江田代表時代)を歴任

*6:民主が最大野党になれないのは基地問題への態度が大きな原因でしょう。かつ彼らは「沖縄で最大野党になれなくてもいい」と沖縄をバカにしてるのでしょう。

*7:ウィキペディア「横倉義武」によれば「日本会議代表役員」だそうですから、まともな人間ではないのでしょうが。こんな人が医師会会長かと思うと絶句しますね。

*8:ただし世評に寄れば赤川氏も「育児や出産の負担軽減それ自体」には異論はないようです。彼が問題にしてるのは「それが目だった出産増をうむか疑問」ということのようです(小生は赤川本を読んだことはありませんが)。