「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(12/28分:荒木和博の巻)&北朝鮮最新ニュースその他色々(追記・訂正あり)

 荒木への批判以外にも色々書いています。
■【ボーガス抄】1月8日“暴言集団”家族会の「つぶやき」が日本外交に火をつける

 感情に火がつくと、人の行いは色よい果実をもたらさない。
 ▼ある農夫が、農園を荒らし回るキツネを捕まえた。前から腹に据えかねていたらしい。尻尾に火をつけて野に放っている。むごい仕打ちを見ていた神様は、七転八倒するキツネを農夫の丹精した麦畑に導いた。実りを告げる金色の穂波がどうなったかは、お察しの通り。怒りに任せた行動にはしっぺ返しが待っている。
 ▼このイソップ物語に重なるのは、直情径行を地で行く拉致被害者家族会にほかならない。「拉致被害者を日本に帰せ。さもなくば経済制裁だ」とは北朝鮮への批判だが、「従わねば火だるまに」との脅しに聞こえ、手法としては愚劣に映る。相手はキツネではない。国連加盟国である。
 ▼朝鮮学校無償化除外や「日本サッカー代表観戦平壌ツアー反対」まで放言してるから見境がない。「そんな事をしても拉致問題は解決しない」との批判は、どうやら家族会の胸に響いていない。厄介な人々に権力(?)を与えたものである。

元ネタ
■【産経抄】1月8日“暴言王”トランプ氏の「つぶやき」が世界企業に火をつける
http://www.sankei.com/column/news/170108/clm1701080003-n1.html


■朝鮮新報『権利獲得運動の一里塚/大阪補助金裁判、1月26日に判決下る:勝利を手にする日まで』
http://chosonsinbo.com/jp/2017/01/0106yd-2/
 吉見義明氏の名誉棄損訴訟でのひどい判決を見ていると本当に不安ですが、良い判決が出ることを祈念しております。もちろん良い判決が出ても安倍政権は恥知らずにも控訴するでしょうが、それでも「いい判決が出ること」は日本社会に一石を投じることになると思います。本来はこんな裁判が起こること自体がおかしいことでありとっくの昔に無償化すべきですが。


■日経『「拉致、皆さんも考えて」 写真展で横田早紀江さん』
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG05H60_V00C17A1CC1000/

 1977年に北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(失踪当時13)の写真展が5日、東京都渋谷区の新宿高島屋で始まった。母の早紀江さん(80)はジャーナリストの池上彰さんと対談し、「長い年月を悲しい思いで暮らしてきた。皆さんも真剣に拉致問題を考えて」と訴えた。
(中略)
 池上さんは、(中略)米国や中国への働き掛けが重要だと強調した。

 ぶっちゃけ「拉致に話を限定すれば」、米国への働きかけはほとんど無意味だと思います。米国は拉致に興味なんかないし、北朝鮮に対する有効なオプションもない。米国にとって拉致以上に重要な核廃棄すら実現できてないわけですから。
 ただし、中国への働きかけは意味があるでしょう。池上の「中国への働きかけが大事」発言を「反中国右翼・救う会」と野合してる横田母がどう認識したのかが気になります。


フジサンケイビジネスアイ『女性企業家らが拉致被害と震災の支援コンサート開催』
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/170109/cpd1701090500003-n1.htm

 北朝鮮による拉致被害者の救出や、東日本大震災で両親を亡くした子供らを支援するチャリティーコンサート「Messages 明日への手紙」(産経新聞社、フジサンケイビジネスアイなど後援)が8日、東京都港区のサントリーホールで開かれた。
 コンサートは漫画家で歌手としても活躍するさかもと未明さんら女性企業家が中心になって開催。

 さかもとが「歌手で女性企業家」だと知りませんでした(苦笑)。
 それはともかく、さかもとは完全に拉致問題を食い物にしていますね。


■産経【これを読めば北朝鮮の核・ミサイル問題丸分かり・特別編】北とイラクの問題を勘違い!?北の制裁サバイバルの理由は…古川勝久・元国連北朝鮮制裁委員会専門家パネル委員に聞く
http://www.sankei.com/premium/news/170108/prm1701080008-n1.html

制裁履行に非協力的な国はどこか?
 「中国やロシア、中東・東南アジア諸国など大半の国々だ。例えばマレーシア。対北決議は06年以降5本あり、加盟国は履行報告書を90日以内に提出する必要があるが、マレーシアがやっと報告書を出したのは16年3月だ。そんな国が同年末まで2年間、安保理非常任理事国を務めた。インドネシアは07年に3段落(1ページ)報告書を出しただけ。馬鹿にしている」

 単に「やる気がない」のか、はたまた「北朝鮮としがらみがあるのか」はともかく現実はそんなもんだそうです。

制裁がそもそも何たるか知らない国もあると聞く
 「国際法をよく理解できていない国は多い。アフリカには国連の北朝鮮制裁と米軍のイラク侵攻を混同し、国連専門家パネルを『米軍と一緒に突然踏み込んでくる連中』と誤解していた国もある。ある東南アジアの国連大使は『国連の捜査と米国の捜査は違うのか?』と平然と聞いてきた

 「イラクと混同してる」んじゃなくて「国連なんて米国が仕切ってる米国の飼い犬組織」扱いされてるって事じゃないんですかね?。そう言う認識が正しいかどうか、なんでそう言う認識をしてるのかはともかく。


■産経【書評】東京基督教大学教授・西岡力が読む『エクリプス』*1 エリック・ファーユ著、松田浩則訳 拉致被害者の心に迫る小説
http://www.sankei.com/life/news/170108/lif1701080029-n1.html
 ヤン・デンマン(斎藤十一*2)やポール・ボネ藤島泰輔)、イザヤ・ベンダサン*3山本七平)みたいな「偽外国人(たとえば、その正体は訳者を名乗る松田浩則)」でなくてエリック・ファーユがマジモンの外国人なら「変な人がいるもんだ」ですね。まあ、偽外国人の場合でも「バカじゃね?」ですが。
 しかし「ファーユも訳者の松田も無名」「版元の水声社も無名」とはいえこういう出来事が全然話題にならないのは「拉致の風化の現れ」でしょう。つうか拉致が風化してなかったらたぶん大手出版社が翻訳に手を出していたでしょうし。

 主人公は新潟市内で中学からの帰宅途中に拉致された「田辺菜穂子」とその両親、そして佐渡でお母さんと買い物に行った途中で拉致された「岡田節子」らだ。

 「田辺菜穂子」が「横田めぐみ」で、「岡田節子」が「曽我ひとみ」ですね。


銅像
http://araki.way-nifty.com/araki/2017/01/news23692918-3e.html
 もちろん河野談話否定ウヨの荒木が例の銅像について韓国に悪口してる代物です。
 拉致と慰安婦と全く関係ない。ただし、あえていえば「慰安婦問題で中韓を敵に回すこと」は拉致問題を解決に逆行するでしょう。拉致問題において両国の協力が得られればいい成果が期待できるからです。

 それならこっちは東京の韓国大使館や各地の総領事館の前にでも(ボーガス注:朝鮮侵攻した)豊臣秀吉加藤清正銅像でも建てたらどうか

 荒木の主張が意味不明です。もちろん「やれと言う意味では全くありません」が、そこは「伊藤博文を暗殺した安重根」など「日本に被害(?)を与えた韓国人」でないと話のつじつまがあわないでしょう。

 韓国最大手紙の「朝鮮日報」東京特派員が6日の衆議院本会議で岡田克也*4・民新党議員がこの件で質問したという記事を書きました。

「民新党」という誤記はどうでもいいとして荒木の言うように今国会は開かれていません。「一体何のことだろう?」ですね。

この勢いで北朝鮮から金日成銅像の撤去を求めるというのはどうでしょう。

 荒木の主張が意味不明です。全然関係ない。


毎日新聞ドキュメンタリー映画「太陽の下で−真実の北朝鮮−」』
http://mainichi.jp/articles/20170107/ddm/014/040/004000c
 「今さら北朝鮮が民主的じゃない」なんて「山口組は任侠団体ではなく覚醒剤も売っています」みたいな映画を作られても「その努力は評価します」が見たいとも思いませんね。
 「いや、それ今さら言われなくても知ってるし」的な。「文革当時の文革批判」ならともかく今時「中国研究者の優れた文革研究」ならまだしも「そんなん知ってる」レベルの文革批判なんか読む気にならないのと同じです。
 むしろそういう北朝鮮叩きじゃない映画の方がみたい。小生がのなかあき子*5北朝鮮行ってみたらこうなった。』(2006年、インデックスコミュニケーションズ)、ファンキー末吉*6平壌6月9日高等中学校・軽音楽部 北朝鮮ロック・プロジェクト』(2012年、集英社インターナショナル)を読んだのもそう言う意味です。
 俺的にはこの2冊はお勧めです。北朝鮮叩きがないので。もう「北朝鮮非難」なんてわかりきってることを読んでも面白くないし、ましてや三浦小太郎だの荒木和博だのウヨの北朝鮮非難なんか読んでも「お前にそんな事言う資格あんのか!(怒&呆)」と不快にしかなりませんし。


東洋経済オンライン『トランプ氏の「北朝鮮挑発ツイート」は危険だ』
http://toyokeizai.net/articles/-/152828

 専門家らは、通商問題から台湾問題に至るトランプ氏の対中強硬姿勢は、中国の協力を確保するうえで障害になりかねないと指摘する。

 指摘の通りで「北朝鮮の核廃棄を目指す」と言いながら「台湾問題で中国を挑発するかのような態度をとるトランプ」は支離滅裂です。むしろ「トランプってバカじゃね?」と北朝鮮に舐められる危険性すらあります。

 複数の米当局者が匿名で語ったところによれば、命令を受けた場合、米軍には北朝鮮のミサイル実験に対して3つのオプションがあるという。発射前の先制攻撃、飛行中のミサイル迎撃、そして発射実験を放置しておくことだ。
 先制攻撃というオプションには、誤った目標を攻撃してしまう可能性や、東アジア地域の同盟国に対する北朝鮮の報復攻撃というリスクが伴うと、ある当局者は語った。
 米モントレー国際問題研究所の軍事専門家ジェフリー・ルイス氏は、まぐれ当たりは別として、試射されたミサイルを米国のミサイル防衛システムで撃墜できるのか疑問であるとして、北朝鮮核兵器・ミサイル開発計画の破壊は、大掛かりでリスクの高い試みとの見方を示した。
 そうした取り組みには大規模な軍事作戦が必要で、かなりの期間がかかるだろうとルイス氏は述べた。

 さすがに「放置」といっても軍事対応しないと言うだけで、「外交交渉も経済制裁も何もしません」つう話ではないですが、いずれにせよ島田洋一や荒木和博のようなウヨがふかす「先制攻撃で基地破壊」だの「飛行中のミサイル迎撃」だの無理だという話です。


桜井よしこ「元記者が暴露する捏造だらけの朝日新聞 そのコア読者に嫌われるのは至上の名誉」
http://yoshiko-sakurai.jp/2017/01/07/6646
 「南京事件否定論河野談話否定論」を放言するような「阿比留や古森並みの極右歴史修正主義者」というあほな元朝日記者なんてもん(長谷川熙(はせがわ・ひろし))がいるんですねえ。
 そんなアホに「本多勝一*7南京事件報道や植村隆*8慰安婦報道は間違ってる*9、アレは捏造だ」なんていわれたところでそれこそ「その種のバカに嫌われることは至上の名誉」でしょう。 
 つうか元記者というなら「産経を辞めてった福島香織辺りに」産経についての感想を本音で語ってもらえばそれこそ「ろくでもない新聞社ですね」というと思います(苦笑)。


■産経『拉致は「日本全体の問題」 横田めぐみさんの写真展を埼玉の上田知事が訪問』
http://www.sankei.com/world/news/170107/wor1701070038-n1.html
 小池百合子*10とか上田とか「外交権限があるわけでもない」のに人気とりでこういう事をやるのはやめて欲しいですね。まあ、「拉致解決」と言う意味では糞の役にも立たない写真展で自己満足してる横田夫妻もどうかと思いますが。


■大森勝久ブログ『独裁侵略者プーチンの手先の反日の安倍首相』
http://ameblo.jp/omorikatsuhisa/entry-12235563297.html
 手先呼ばわりはともかく「島が返ってくるかわかりませんが島が帰るムードを作るためにまずロシアに経済支援します」なんてことにウヨの多くが「大森氏のようには」怒らないのは本当に不可解です。
 「拉致被害者が返ってくるかわかりませんが帰るムードを作るためにまず北朝鮮に経済支援します」なんてことやったら怒り出す癖に。

 独仏首相は12月13日、ウクライナ紛争を巡りEUがロシアに科している経済制裁の延長を支持する考えを表明し、EUは15日首脳会談を開いて、対露経済制裁の延長を決定した。
(中略)
 米国務省は13日、「ロシアやイランからの支援を受けたアサド政権の蛮行は止めなければならない」と非難した。アーネスト米大統領報道官も13日に同様な非難をした。15日ケリー米国務長官がアサド政権とロシアを「実際には虐殺にほかならないことをしている」と非難した。英外相も15日、アサド政権を支援するロシアとイランの大使を外務省に呼び出して抗議した。
(中略)
 世界中が注目している中で、安倍首相は独裁侵略者プーチンとにこやかに会談したのである。そして安倍首相がプーチンの求めに応じてロシアに提案していた「8項目の経済協力プラン」について、日露政府や企業間で68事業で合意したのだ。日本側からの投融資の総額は3000億円にもなる。
(中略)
 ロシアに対する批判は一切なかった。
(中略)
 米紙ワシントン・ポストは、CIA(米中央情報局)は大統領選挙中の民主党などへのサイバー攻撃はトランプ氏を後押しする目的でロシアが実施したものだと断定し、先週、上院指導部に対する非公開の説明会でその見方を伝えたと報じた(12月13日付読売新聞)。ホワイトハウスは12月9日、オバマ大統領がこの件で各情報機関に本格的な調査を指示し、任期切れ前に報告書をまとめるよう要請したと発表していた。12月15日、安倍・プーチン会談が始まる前に、米国CIAは大統領選挙中の民主党へのサイバー攻撃プーチン大統領の指示によると断定したと公表した。私も15日午後にラジオニュースで聞いた。12月15日(日本時間16日)、オバマ大統領はロシアに報復措置をとる。サイバー攻撃を行う*11と警告した。ところが安倍首相は、15日、16日プーチンと満面の笑みを浮べて首脳会談を行ったのである。
 保守派は長門市や東京で日露首脳会談糾弾、反日の安倍首相打倒、独裁侵略者プーチン糾弾の抗議行動をしたか?!。そんなものはひとつもなかった。
(中略)
 自民党公明党、(ボーガス注:自公の類友日本維新の会は、日露首脳会談とプレス向け声明を支持評価すると言う。民進党(ボーガス注:共産党社民党自由党)など野党は成果ゼロだ、後退だと批判したが、余程こちらの主張の方がまともだ。
(中略)
 日本人は自立した政治主体に自己形成できていない。原理原則がない。自らの党の政府と戦うことができない。だから党内で絶大な力を持つ安倍首相が、これまでの党と国の方針「北方領土での日露の共同経済活動はロシアの領土主権を認めることになるから認められない」に反する「北方4島での日露の共同経済活動に関する協議を開始する」を決めても、支持して従ってしまう。最高権力者に唯唯諾諾と従っていく。声の大きいもの(主張)に従う。日本人は政治主体として自立しておらず、だから自らの思想もなく、原理原則もない。とてつもなく醜悪な姿である。
(中略)
 こういう自民党議員だから、反日共産主義者安倍氏が保守の仮面を付けて、もっともらしい言葉(嘘)を口にして党総裁になり首相になって、謀略政治(外交)を実行していくと、「北方領土」を侵略者国家ロシアに貢ぎ、なによりもロシアの北海道への軍事侵略を準備する安倍反日外交を支持してしまうのである。
(中略)
 保守派の「識者」にとっても、安倍首相批判は大きなタブーになっている。安倍氏とその同志の「識者」たちがマスメディアを巻き込んで、「日本の国益を守っていく偉大な保守政治家・安倍晋三」という政治家像を創り上げてしまったからだ。
(中略)
 ロシアには南樺太や千島列島はもちろんのこと、北方領土4島も日本に返還する意思などさらさらない。ロシア皇帝プーチンが言っているではないか。
「これらの島々は第2次世界大戦の結果としてロシア領になったものだ。ロシアに領土問題は存在しない」と。
(中略)
 プーチンは2014年2月にウクライナを武力侵略し、3月にはクリミア半島をロシア領にしてしまった。その後は、特殊部隊等を侵入させてウクライナ東部の親ロシア派を指導して、ウクライナ政府と戦争をさせてきた。欧米はみんなプーチンのロシアを糾弾する。ひとり安倍首相だけがプーチンの味方についている。

 「安倍はロシアの手先で隠れ共産主義者だ」「ロシアは北海道侵略を狙ってる」という無茶苦茶な批判(陰謀論)はともかく「欧米がロシア批判してるのにこんなにロシアへのめりこんでいいのか?。欧米との関係がぎくしゃくしないか?」「大体、安倍の日露北方領土外交は従来の政府方針に反してないか?」「日露交渉を批判する野党のほうがましだ」「そもそもプーチンに返還の意思なんかあるの?」という大森氏の批判は珍しく正論です。むしろ「安倍におびえてるのか」日本でそういう批判がマスコミにほとんどみられないのが怖い。


■大森勝久ブログ『高齢化時代においてはより一層、皇室制度の安定・強化のために天皇の譲位制度が必要である』
http://ameblo.jp/omorikatsuhisa/entry-12235557265.html
 ウヨの大森氏なので「譲位絶対反対」と思ってたので意外です。「最悪、いわゆる植物状態とか重度の認知症でも天皇位につけるのか、それは当人にとって酷ではないのか」とのことです。

日本は皇室制度を安定・強化するために旧宮家の男性を皇族に復帰させなくてはならない

 こっちは予想通りです。「女帝でええやん」「元皇族なんか今更復帰したがるかわからんし、復帰しても国民の好意的反応が得られるかわからんし」「大体、一般人時代にやらかしたスキャンダルとか発覚したらかえって国民の反感買うやん」と俺は思いますね。


■産経『映画「君の名は。」 韓国でも初日1位を記録』
http://www.sankei.com/entertainments/news/170106/ent1701060022-n1.html
 要するに韓国は「反日じゃない」つうことですね。というか
■じゃあてめえら産経新聞社社員は、中国製品を使っていないのかという話になる』
id:Bill_McCrearyさんが

http://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/6fd3697339158aa0d9a779362a31bfcc
 ある国の政府や政策に批判的であることと、その国の工業製品を使用したり、文化(映画、絵画、文学、音楽、アニメーションのような創作物、建物、自然、歴史、食品その他いろいろありますわな)に親しんだりすることは、話の次元が違います。ベトナム戦争の時代だって、米国のベトナム撤退を叫ぶ学生だって、サリンジャーなどの米国文学を読むし、コカコーラは飲むし、米国のロックやフォークを聞いたし、米国映画も見たし、あるいはヒッピー文化にあこがれたわけです。ある国に批判的である=その国のあらゆるものを否定してその国の工業製品も使わない、なんて話ではない。
 別に話は米国に限りません。英国やフランスを私は、その歴史において民主主義に関して果たした役割を大いに評価しますし、この2国は大好きです。しかしそれは、これらの国々の植民地での行状を批判しないというものではないし、また核兵器保有などを支持するわけではない。私は英文学もフランス文学も大好きだし、ブリティッシュロックやフランスのシャンソンも好きだし、英国映画もフランス映画も大好きです。しかしそれは、たとえばフランスのアルジェリア戦争を支持するわけではない。当たり前ですが、アルジェリア戦争を推し進めた政治家や支持した人より、それに反対したフランス人のほうを支持します。

というような話の訳です。


■国企研『日米の「和解力」試す「敵対力」誇示』湯浅博(国企研企画委員)
http://jinf.jp/feedback/archives/19773
 国企研にとっての日米和解とは「日米で仲良くやっていく」という平和的なもんではなく「日米で中国をぶちのめす」という物騒な物のようです。


ランボー
http://araki.way-nifty.com/araki/2017/01/news23682816-16.html
 最近の若者はランボーとかロッキーとかスタローンとか言っても「何それ、誰それ?」なんでしょう。一応今も俳優の彼ですが「ロッキー」「ランボー」を人気などの面でこえる作品は「今のところない」でしょうし、ロッキーは「最終作が2006年」、ランボーは「最終作品が2008年」でかなり前ですし、どちらも「1970年代後半〜1990年代はじめのロッキー、ランボー作品に比べ」それほど話題にならなかったような気がします。
 1970年代後半〜1990年代はじめのスタローンは

1976年:ロッキー
1979年:ロッキー2
1982年:ロッキー3ランボー
1985年:ランボー/怒りの脱出
1986年:ロッキー4/炎の友情
1988年:ランボー3/怒りのアフガン
1990年:ロッキー5/最後のドラマ

とかなり映画に出ずっぱりなんですが。
 こういう時、自分が年取ったことを痛感しますがそれはさておき。
 このタイトルだけで「ああ、いつもの自衛隊突撃論か。そんなんで北朝鮮拉致被害者が救出できるわけねえだろ」と予想がつきます。ところがぎっちょんちょん(古い?)。意外なことに荒木は「ランボーみたいなことが北朝鮮でできると私は思ってない。自衛隊活用論とはそう言う意味ではないんだ。あくまでもハッタリ、ブラフ、フカシでしかなく、北朝鮮瀬戸際外交みたいなもんなんだ」「だいたい拉致被害者の居場所も分からないのにランボー路線なんかおいそれとできない」と言いだします。
 「お前、いい加減にしろよ、お前ら救う会が以前言ってきたことは映画の『ランボー/怒りの脱出ランボーが突撃してベトナム戦争の米軍捕虜救出)』とかランボー映画そのまんまヤン。今頃何がランボー路線じゃない、ただのフカシだから安心して下さい、だよ?(呆)」「つうか堂々とフカシだと言ったらフカシになんねえだろ?、見え透いた屁理屈も大概にしろよ」と心底呆れます。
 まあどうせ荒木のことですから、いつ言う事が変わるか知れたもんじゃないですが、どうも「安倍政権、自民党、外務省、防衛省」はもちろん、家族会、拉致議連すら荒木の暴論にドンビキしてるらしいことで弱気になってるようです。


東スポ北朝鮮が長崎・平戸を奇襲!?防衛問題専門家が“ゲリラ作戦”危惧』
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/636657/
 東スポを本気にする人はまあいませんがそれにしてもネタで許されるレベルじゃない、酷い記事だと思います。


■産経【「北朝鮮経済史」を読む】創氏改名「朝鮮が希望、日本は反対」朝鮮史研究会の欺瞞性に満ちた研究…「左翼」が作った北の近現代史
http://www.sankei.com/premium/news/170106/prm1701060004-n1.html
 タイトルから分かるように「創氏改名は韓国人が望んだ、日本の韓国統治に問題はない」という「お前、それ北朝鮮経済史と関係ないだろ?」「つうか韓国の学者は創氏改名を支持してるとでも思ってるのか。北朝鮮の学者だけが批判してると思ってるのか?。まさか、お前らもそこまでバカじゃないよな?。故意のデマか?。いつもながら本当に屑だな」という産経らしいふざけた内容で、心底呆れます。


■産経【北朝鮮情勢】「金正恩氏に合理的アドバイスをできる者が北にはいない」 韓国国立外交院・尹徳敏院長に聞く
http://www.sankei.com/world/news/170105/wor1701050004-n1.html
 タイトルからしてげんなりですね。むしろ「開城工業団地を中断」したり「金正恩除去部隊を新設」したり「サード配備」しようとしたり、対決姿勢を強めるばかりの韓国の方が「合理性のない」「異常な外交」なんじゃないか。
 まあ、韓国の態度は北朝鮮の態度に触発されたものではあるでしょうが今の韓国は明らかに異常です。「さすが崔順実ゲートの国(差別暴言?)」というべきでしょうか。いや、外交安保には崔は関係ないようですが、俺の認識ではタカ派過ぎて、あまりにも合理性がないので「外交安保版の崔(特定個人)」が崔のような異常な暴走をしてるように思えます。
 そんな韓国の異常な態度に触発されて、北朝鮮も「瀬戸際外交(軍事対応)」の度を強めていくわけです。

金委員長の出方が把握しにくい*12のはなぜか
 「金正恩氏は昨年1年間で2回の核実験と24回の弾道ミサイル発射を強行した。父の金正日(ジョンイル)氏の場合、およそ18年間で弾道ミサイル発射は16回だった。金正日氏は慎重で、回避できる道を考えながら行動していた。だが金正恩氏は違う。予測不能で何をするか分からない。彼に合理的アドバイスをできる者が北にはいない」

 やれやれですね。「お前ら金正日生前には彼のことを合理性がないとか罵ってなかったか?」ですね。
 そしてまあ、金正恩君の行為を褒める気はないですが、合理性はあるでしょう。正直、彼の路線が父親に比べて極度に軍事化したとは俺は理解していません。彼にアドバイスできる人間がいないとも思えない。
 彼を支えてる政治家、官僚グループは父・正日氏時代からの側近グループでしょう(一部彼が新しく取り立てた人間もいるでしょうが)。たとえば俺でも知ってる有名人では「副首相・外相」を長く務め、今は「最高人民会議常任委員会委員長」の金永南と言う人物がいます。こうした人間がただのお飾りかといったら違うでしょう。年齢から考えて正恩君には経験が乏しいのであり、こうしたベテラン政治家、官僚を無視して自分勝手にやる程無謀でもないでしょう。
 そもそも金正日氏時代はかなりの期間、「太陽政策金大中盧武鉉時代」でした。仮に正恩君が軍事路線に父より傾斜していたとしても「太陽政策に否定的な李明博、朴クネ時代」の金正恩君と、金正日氏は単純比較できません。

金委員長の狙いは
 「パキスタンのように、核能力を米国に認めさせたいのだ。」

 まあ国名はパキスタンでなくて、インドでもイスラエルでもいいですがそれはさておき。
 「核持ってる国(インド、パキスタンイスラエル)があって、それを米国は容認してるのに俺のときだけ否定するのは二重基準でご都合主義だ。米国が我が国の打倒を正式に廃棄してないのに核放棄なんか怖くてできない」つう北朝鮮の主張には一理あります。
 米国は「米朝国交正常化」「在韓米軍の縮小(すぐに全面撤退は政治的に困難だろうから)」「朝鮮戦争の正式な終戦」など、北朝鮮の疑念を説く方向に動くべきです。

北朝鮮朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換することを求めているが
 「北朝鮮がいう平和協定は韓国が考えるものとは違う。韓米同盟の解体や在韓米軍の撤退を意味しており、北朝鮮にとっての当事者はあくまでも米朝だ」

 「で、それが何か問題なの?」ですよね。ハト派の俺個人は「韓米同盟の解体や在韓米軍の撤退」に問題があるとは思いません。そうしたところで国力の差を考えたら北朝鮮が韓国に侵攻できるわけもない。むしろ「米軍が北朝鮮侵攻したらどうしよう」という北朝鮮の恐怖感がなくなる。
 したがってむしろ「そうすること」を希望しますが、仮に問題があったとしましょう(というかタカ派は問題だとするわけですが)。 
 「問題があるから終戦協定結ばない。交渉すらする気ない」ではいつまで経っても緊張緩和になりません。

金正恩体制は安定しているのか
 「金正日氏が死去して5年。党大会などを開き安定しているように見えるが、体制はまだ不安定だ。叔父の張成沢チャン・ソンテク)氏の処刑のような恐怖政治が続き、軍などの支配層も処刑されている。内部では相当、動揺があるとみるべきだ」

 「ええ、どこが?」ですね。金正日死後5年間、金正恩統治に体制の不安定化を感じさせる事件なんてないですが。
 「張成沢処刑は大事件だ!」。
 いやまあそうですがそれだと「林彪失脚は大事件だ!。林彪が本当に毛暗殺を考えていたのなら、中国の体制も崩壊寸前だ」とかなるでしょう。しかしそういうことは「文革当時」ですら普通言わないと思う。
 「恐怖政治してるから不安定」て、程度の差こそアレ、「恐怖政治的な行為」を全くしてない独裁者はいないでしょう。それだったら独裁じゃないでしょう。
 たとえばスターリン粛清なんか相当酷いですがそれでも体制は一応安定していたわけです。


NHK拉致問題解決へ 中国などに協力求め事態打開策探る」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170104/k10010828141000.html
 「など=韓国、ロシア」でしょうか。いずれにせよ拉致問題で中国の協力を求めるというのは当然の話です。


■産経【北朝鮮情勢】北朝鮮工作員が日本から長期不正輸出 シンガポールに迂回拠点 関係先、先月家宅を捜索
http://www.sankei.com/affairs/news/170104/afr1701040003-n1.html
 もちろん違法行為ですから不正輸出していいとは言いません。ただし不正輸出と言っても「経済制裁してるから不正輸出になる」のであって武器の密輸のような大事件じゃない。「制裁前には合法行為だった」日用品の輸出でしかありません。
 むしろ制裁は解除した方が日朝交渉の促進にもなっていいと思いますね。


加藤大
http://araki.way-nifty.com/araki/2017/01/news23672814-52.html

 加藤勝信拉致問題担当大臣は歴代(民主党政権時代も含め)拉致問題担当大臣の中で極めて珍しい拉致議連役員未経験の大臣でした。

 今さらそんな事ぐちゃぐちゃ言って何がどうなるんですかね。拉致担当相が拉致議連メンバーじゃなきゃいけないなんて理由は何処にもないし、そんな理由で加藤氏更迭を主張するわけにもいかないでしょう。
 つうかそもそも、「民主党時代も含め」そんなくだらない縛り*13(拉致担当相は拉致議連から選ぼう)をかけて救う会や家族会に歴代内閣が媚びるから拉致が解決しないわけです。まあ、安倍の場合、加藤氏任命は「家族会、救う会無視」の現れではあっても「拉致を解決したい」と言うんじゃない気がしますけどね。
 なにせ加藤氏は「一億総活躍担当大臣」「働き方改革担当大臣」で明らかに拉致はなおざりになっています。
 しかし荒木らが「加藤氏を更迭してくれ」といったら安倍はどうするんですかね。「分かりました、彼は拉致から外して、一億総活躍などに専念させます」で国家公安委員長が拉致担当相兼務になるのか。
 ただ今の松本純国家公安委員長が荒木らにとって望ましい人間かは分かりませんが。

 もともと拉致問題担当大臣というのは、国民一般の印象とは全く異なり、被害者救出にはほとんど権限を持っていません。主な任務は家族会への対応、広報活動などです。

 そりゃ仕方がないでしょう。そんなのは昔からそうです。外交交渉は外務省、捜査*14法務省検察庁)と警察庁になるわけです。
 俺の理解ではたとえば少子化担当相なんかもそれに似たところがあります。子育て支援なんかはもともと厚労省の担当の訳です。

 この間加藤大臣と話した印象や様々な人々の加藤勝信評価から考えると、加藤さんという人は無茶苦茶なことをやって現状をぶち壊すのには向いていませんが、調整能力には極めて秀でていると思いました。

 「無茶苦茶なコトをやって現状をぶちこわす」という表現が酷いですね。
 そこは「前例に囚われずに新しいことに挑む」とでも表現すべきでしょうに。
 まあ、加藤氏の担当である「一億総活躍」「働き方改革」つうのは「調整能力は勿論必要」ですが、「現状変革」も必要なわけでその辺りどうなんか、とは思います。
 ただ「変な改革」をされるぐらいなら前例踏襲の方がまだマシでしょう。
 なお、加藤氏が「制裁を解除する」「救う会とはつきあわない」つう「新しいこと」をやるのなら俺は高く評価します(できるかどうか疑問ですが)。
 もちろん荒木の言う新しいことつうのは「北朝鮮自衛隊を突っ込む」などの無茶苦茶な話の訳ですが。

 もし総理に本気で拉致問題を動かそうという気があって、そのような状況が到来すれば加藤大臣というのは極めて当たり役であり、相当な能力を発揮すると思います。もちろんそのときには兼務している他の担当大臣の役職を全部放り投げてもらわなければなりませんが。

 まあ誰が考えても安倍は、加藤氏の役職では「一億総活躍」「働き方改革」つう「兼務させてる方」を拉致より重視してるでしょう。
 もしかしたら「一億総活躍」「働き方改革」だけでなく「女性活躍担当」「少子化担当」なんて兼務も「拉致より重視」かもしれません。
 正直マスコミの扱いも今や「一億総活躍、働き方改革>女性活躍、少子化>拉致」でしょうね。
 つうかもう拉致解決の主導権つうのは完全に「日朝交渉を担当する岸田外相」に移ってるでしょう。

 問題は無茶苦茶なことをやって現状をぶち壊す役を誰がやるかです。これは加藤さんにはできないでしょうし、安倍総理にもおそらくできないでしょう。国民がやるしかありません。

 意味がわからないですね。首相の安倍、拉致担当相の加藤氏以外に拉致問題で動く人間がいるとしたらそれは「岸田外相」「菅官房長官」「二階幹事長」あたりでしょう。「国民が動く」て何の意味でしょうか。


■約束 
http://araki.way-nifty.com/araki/2017/01/news23662813-75.html

 ソウルの大使館前の慰安婦像を撤去するどころか釜山の総領事館の前にもう一つ建ててしまうとまでは思いませんでした。

 まあ、こうした事態になったのは
1)「崔順実ゲート」による朴クネの失脚
2)稲田防衛相の靖国参拝など無反省な日本側の態度
が大きな原因でしょうがそれはさておき。
 そもそも公表された日韓合意では銅像の撤去なんてもんは何処にも約束されていません。大体、ソウルの銅像を許可したのはソウル市で、釜山の銅像を許可したのは釜山市です。韓国政府にできることは何もないでしょう。韓国政府が下手なことをすれば、それこそソウル市や釜山市の行政権限侵害という違法行為になりかねません。
 荒木の言い分は全くの言いがかりです。
 また仮に銅像の撤去が日韓両政府間で約束されていたとしても*15少なくとも「北朝鮮と日本政府との間の帰国合意なんか無視していい、拉致被害者5人はそんな事を了承してないからだ、当事者の了解しない合意など政府間合意でも無効だ、無視していい。日本に帰国した拉致被害者5人は北朝鮮に戻らないで日本に滞在し続けていい」と主張した荒木ら巣くう会一味には「銅像撤去合意を守らないのは約束違反だ」と韓国政府を非難する資格はありません。
 なぜなら銅像撤去合意など慰安婦慰安婦支援団体など当事者の了解など得ていないからです。いやそれどころか「徹底した秘密主義」で、韓国与党セヌリ党内での事前の意見調整すらやってないから与党内からすら批判が出ている。
 「慰安婦銅像撤去合意は慰安婦や支援団体など当事者の合意がなくても政府間合意は守る義務があるが、拉致被害者帰国合意は当事者である拉致被害者や支援団体(救う会)の合意がないと政府間合意でも無効」などというのはご都合主義の屁理屈でしかありません。

もし約束を守らせようとするなら「守らなければ何をされるか分からない」という恐怖感が必要です。

 荒木が「日韓合意を破った*16」と非難する韓国でアレ、「ストックホルム合意*17を破った」と非難する北朝鮮でアレ、荒木は一体「どんな恐怖感を与える気」なんでしょうか。
 もちろんあまりにも馬鹿な事をすれば日朝交渉や日韓友好関係が破壊されかねませんし、最悪の場合、日本の国際的評判も破壊されます。


■「日本側主張が事実ならば、おそらくウィーン条約違反行為(中国の日本総領事館侵入)」にろくに抗議せず、「ウィーン条約違反か怪しいもの(韓国の慰安婦銅像設置)」に抗議する日本
 詳しくは
■法華狼の日記『十年以上前に日本大使館*18でのウィーン条約の適用が問題になったことを思い出した件について』
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20170107
をご覧下さい。抗議は「一応」しましたが形式的抗議で今回のように「大使一時帰国」なんてありませんでした。
 もちろん「2002年の事件当時」は安倍内閣ではなく小泉政権ですが、安倍も「小泉内閣官房副長官」という政権幹部(まあ、名ばかり幹部かも知れませんが)だし、これが「安倍政権」でも安倍はろくに抗議しなかったでしょう。
 「何でか?」と言ったら「慰安婦銅像」と違って、中国貿易の利益を犠牲にしてまで、脱北者なんぞ擁護する気なんか安倍にないからです。
 もちろん「中国の日本総領事館侵入」は法華狼氏が指摘するように「ウィーン条約違反の疑い濃厚」ですが日本にとって「脱北者なんか迷惑な存在でしかない」「脱北者の行き先を探すのが厄介」なので「中国が連行してくれる」なら願ったりかなったりの訳です。
 さすがにいくら迷惑だからと言ってやってきた人間を「迷惑だからお前ら出て行け」と追い返すわけにもいかない。中国が連行してくれれば「悪いのは中国だ」と言える。
 あとは「アリバイづくり」に適当に中国に形式的な抗議すれば終わりです。アリバイづくりだから、しつこく抗議なんかしない(なお、ウィーン条約違反ではないか、と俺は書きましたが現場の外交官がろくに抗議しないのだから「侵入に日本が事実上同意→望ましい行為ではないが、違反ではない」と見る余地はあります)。勿論日本の態度を見た脱北者は「絶対に日本の領事館、大使館には行かない、米国とかEU諸国とかの領事館、大使館にする」と思ったでしょうから日本政府にとっては何のデメリットもない。まあ、「人権意識がない」「そんなに中国貿易が大事か」と日本の評判は落ちたでしょうがそんなことたぶん日本政府関係者は気にしてない。後で紹介する関志雄氏が言うように10人とか20人とか大挙して来られても日本も困るわけです。

参考

瀋陽総領事館北朝鮮人亡命者駆け込み事件(ウィキペ参照)
 中国瀋陽*19に置かれている日本総領事館北朝鮮からの脱北者が亡命を謀った事件。
■概要
・2002年5月8日、金高哲一家など5人の亡命者は日本総領事館に駆け込むが中国人民武装警察部隊に取り押さえられた。その際、総領事館の敷地内に中国警察が無断で足を踏み入れていた疑いがあること、逮捕された亡命者が北朝鮮へと送還される可能性があったこと、当時の阿南惟茂*20・中国大使が『事件発生前、亡命者が大使館に入ってきた場合は追い返すよう指示を出していたこと』を巡り批判が起こった。
・日本総領事館の敷地に入った中国武装警官に対し、応対に出た宮下謙・副領事が、亡命者の取り押さえおよび敷地立ち入りへの抗議を行わず、武装警官の帽子を拾うなど友好的な態度に出た映像が、日本のテレビ局により報道され、批判を呼んだ。
・事件が発生した翌日の5月9日夜、抗議に訪れた阿南大使に対し、中国外務省の劉古昌*21・外務次官補は、「火災など緊急の場合においては同意を必要としない」との領事関係に関するウィーン条約第31条第2項を論拠に挙げ、同意無しの領事館立ち入りを正当化した。ただし、その後中国政府は「同意は存在した」と主張を変更。
 訪中した、現地調査チームトップの小野正昭*22・外務省領事移住部長が、羅田広*23・中国外務省領事司長と面会し、日本側職員は中国人民武装警察部隊の警官が瀋陽総領事館に入り亡命者を連行することに同意していないとの日本側調査内容を説明したのに対し、羅司長は、中国側の調査結果と食い違うとし、副領事の同意を得ていたなどとする反論を行った。
・その後韓国への亡命が認められた金高哲は、日本での講演に際して、事件の際の領事館の対応などを批判している。
北朝鮮と同盟関係にある中国は、この事態を重く見て、今後同様なことが起こらないよう、領事館の廻りを人民解放軍により厳重警備し、城壁・堀を構築するなど対応を強めている。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/shinyo/danwa.html
■日本外務省「身元不明者による日本総領事館侵入に関する談話」
(外交部孔泉*24報道官)(仮訳)(2002年5月10日)
 5月8日に発生した身元不明者による在瀋陽日本国総領事館侵入事件に対し、中国側が真剣に調査事実確認を行った結果は以下のとおり:
1.
 8日午後、身元不明者5名が正門から日本総領事館への侵入を強行しようとした。中国側の武装警察がこれを阻止するための措置を採ったが、うち2名が総領事館に侵入した。武装警察は、同館副領事の同意を得た後、入館して2名を連れ出した。その後、同館の領事が中国側から状況を聞き、中国側公安関係者が上述の5名を連行することに同意し、かつ武装警察に感謝を表明した。
2.
 「領事関係に関するウィーン条約」に基づき、中国側は、必要な措置を採って総領事館の安全を保証する義務がある。5人は正常の手続を経ず、身元も不明であり、総領事館への侵入を強行したところ、総領事館及び館員の安全に危害を及ぼす可能性があった。武装警察の上述の措置は、純粋に責任感から出たものであり、「ウィーン条約」の関連規定に合致するものである。中国側が勝手に日本総領事館に入ったとの言い方は成り立たない。日本側は冷静に事を行い、中国側の措置を善意に理解すべきであり、事態をエスカレートさせるべきではない。
3.
 中国側は日中関係を一貫して重視しており、両国間の偶発的な事件を冷静かつ慎重に処理している。1998年5月、日本の警察官多数が在日中国大使館本館に勝手に入って身元不明者を強制連行したことがあるが、中国側はまさに上述の精神に基づいて対応・処理した。

■人民日報「在日中国大使館、瀋陽総領事館事件の調査結果を発表」
http://j.people.com.cn/2002/05/14/jp20020514_17038.html
 詳しくはリンク先を見てもらえればと思いますが「日本総領事館職員は現場で抗議しないどころか感謝の意を表明した」と言う反論です。

http://www.rieti.go.jp/jp/columns/s02_0001_03.html
独立行政法人経済産業研究所瀋陽日本領事館事件から見た日本外交の建前と本音」(関志雄*25・上席研究員)
 中国の瀋陽日本領事館で起こったあの偶発的事件が、国交回復30周年という日中関係の節目に大きな影を落とす大事件にまで発展してしまった。5人の北朝鮮の難民が、海外への亡命を目指して日本領事館に突入しようとし、懸命にこれを阻止しようとする中国の武装警察が、日本の敷地に入ってしまった。この場面がカメラに撮られ、連日テレビのニュースやワイド・ショーに繰り返して流されたこともあって、事件の行方が大いに注目された。
 今回の事件を巡って、日本の政府はウィーン条約で保障されている領事館の不可侵権を根拠に、中国の「主権侵害」に対して謝罪を求めており、マスコミも政府と同調して、一斉に中国を非難している。一部の自民党の政治家に至っては「領土を侵されたのと同じで、他の国なら戦争になる」、「国家の誇りも尊厳もない」、「中国の国家権力が館内で拉致したといってもいい」という被害妄想を思わせるような暴論を展開している。他の国なら戦争になるどころか、むしろニュースにさえならなかっただろう。このように、日中関係は、いまだ信頼関係が確立されておらず、本当の意味で「正常化」していない。
 日本の批判に対して、中国は「ウィーン条約の規定によれば、我々は領事館の安全を守るために必要な措置を講じる義務を負っており、武装警察官の行為は純粋な責任感によるもので、同条約の関係規定にも合致している」と反論している。その一方で、98年5月に日本の警察官が中国大使館に「侵入」するという今回と類似している事件が起こった時に特に問題にしなかったという前例を踏まえて、「日本側は冷静になり、中国側の措置を善意的にとらえるべきで、事態を深刻にすべきでない」と訴えている。当局の意向を反映したマスコミの報道も非常に慎重である。その背景には、一部の日本人評論家のいうように中国政府の失態を国民の前にさらしたくないのではなく、靖国神社参拝問題などで高まっている国内の反日感情を煽りたくないといった配慮がある。
 このように、中国から見て、本来感謝されるべき「好意的」行動が「故意」的主権「侵害」として非難されてしまったことは、まさに「心外」であろう。中国の武装警察が、職務を放棄し、亡命者の日本領事館に侵入することを放任するなら、今回のように5人には止まらず、千人単位で亡命者が殺到するであろう。難民の受け入れの問題に加え、北朝鮮との関係悪化も避けられないことから、日本政府はこういう状況を望んでいないであろう。実際、阿南惟茂・駐中国大使が北京の日本大使館内の会議で「不審者」を大使館や総領事館に入れずに「追い返す」よう指示していたと伝えられているが、これは大使個人の失言というよりも日本政府の本音を語っていると理解すべきであろう。
 「主権」に加え、今回の対立のもう1つの焦点は「人権」に関するものである。確かに、テレビのあの画像をみると、誰もがこの5人の亡命者に対して同情の念を抱くであろう。しかし、それと同時に、我々はテレビの画面に登場するチャンスさえない百万人単位に上る彼らの同胞、ひいては、戦乱や飢饉にさらされている億単位に上る他の地域の難民のことも忘れてはいけない。そもそも「大使館に入った政治難民」なら受け入れるが、「大使館に入ろうとする経済難民」なら排除するという「国際規範」は、主権国家のエゴしか反映しておらず、人権配慮とは無縁のものであると言わざるを得ない。
 日本は、建前上、人道主義の見地から難民を受け入れることになってはいるが、本音では決して難民を歓迎していない。これは、2001年に日本における難民認定者数がわずか24人(82年から累計284人)に止まっているという実績から見ても明らかである。日本は自身が難民の受け入れには非常に消極的であることを棚に上げておいて、人権尊重の立場から中国を非難するのであれば、まさに偽善の行為に他ならない。領事館に侵入した5人、さらに今後一層増えると予想される多くの亡命者を受け入れるつもりのない日本は、彼らの処遇に関して、はたして口を挟む権利があるのであろうか。
 中国当局は5月22日に5人の亡命者を中国から出国させ、一行はフィリピン経由で翌日にソウル入りした。中国は建前上「国内法と国際慣例、人道主義の観点から」という大原則にこだわりながら、実質上日本の意向(メンツ)に配慮する格好となった。これをもって「人権」に関しては一応決着した。一方、「主権」に関しては、領事館から5人の亡命者が中国の武装警察によって連行された際、日本側の同意があったかどうかが焦点となるが、その真相について双方の認識は対立したままである。事態を収拾させるためには、妥協が欠かせないが、今度は日本が「主権不可侵」という建前を堅持しながらも、柔軟な対応を迫られていることになる。

*1:2016年、水声社

*2:新潮社専務、相談役、顧問など歴任

*3:著書『日本教徒』(2008年、角川oneテーマ21)、『日本人と中国人』(2016年、祥伝社新書)など

*4:民主党幹事長(鳩山代表時代)、鳩山、菅内閣外相、野田内閣副総理・行革担当相、民主党代表など歴任

*5:著書『女ひとり“突撃”アジア:怪しげだから入ってみた、インチキくさいからやってみた!』(2000年、青春出版社)、『快楽ベトナム』(2002年、双葉社)、『東京のDEEPスポットに行ってみた!』(2015年、彩図社

*6:個人サイト(http://www.funkycorp.jp/funky/)。著書『酒と太鼓の日々。』(1995年、ホットカプセル)、『大陸ロック漂流記:中国で大成功した男』(1998年、アミューズブックス)、『ファンキー末吉 中国ロックに捧げた半生』(2015年、リーブル出版)

*7:南京事件関係の著書として『南京への道』(1990年、朝日文庫)、『南京大虐殺 歴史改竄派の敗北:李秀英 名誉毀損裁判から未来へ』(共著、2003年、教育資料出版会)、『南京大虐殺と日本の現在』(2007年、金曜日)、『南京大虐殺と「百人斬り競争」の全貌』(共著、2009年、金曜日)

*8:著書『真実:私は「捏造記者」ではない』(2016年、岩波書店

*9:というか、歴史学会の通説も、日本政府の公式見解も未だに一応「南京事件慰安婦違法論(南京事件について言えば東京裁判判決も違法論)」である以上「朝日ガー」なんて馬鹿げていますが。

*10:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を経て都知事

*11:経済制裁ならまだしも、いくらなんでもこれはまずいんじゃないですかね?

*12:普通に考えて「把握しにくくした方がメリットがある」と思ってるからでしょうね。

*13:ただその縛りって鳩山内閣の中井ハマグリ国家公安委員長以降じゃないですかね?。第一次安倍〜麻生内閣では官房長官(塩崎氏、与謝野氏、町村氏、河村氏)が拉致担当相を兼務しましたが彼らは必ずしも拉致議連メンバーじゃないでしょう。

*14:事実上やれることはないでしょうが

*15:ただし何度も言うように公表された合意には銅像撤去など何処にも書いてありませんが。ここで「密約」だの「文脈に書いてある」だの「あうんの呼吸」だのいうのは詭弁でしかありません。

*16:ただし何度も主張するように銅像設置は何ら合意に違反していません

*17:俺の理解では何ら合意違反などありませんが。

*18:正確には総領事館

*19:遼寧省省都

*20:外務省アジア局中国課長、駐中国大使など歴任。鈴木内閣陸軍大臣を務めた阿南惟幾は父親。

*21:ルーマニア大使、駐ロシア大使など歴任

*22:外務省領事移住部長、駐ポーランド大使、駐メキシコ大使を歴任

*23:長崎総領事、札幌総領事、中国外務省領事司長、大阪総領事など歴任

*24:外務省報道官、フランス大使など歴任

*25:著書『円と元から見るアジア通貨危機』(1998年、岩波書店)、『中国ビジネスと商社』(編著、2003年、東洋経済新報社)、『共存共栄の日中経済』(2005年、東洋経済新報社)、『中国経済のジレンマ』(2005年、ちくま新書)、『中国を動かす経済学者たち』(2007年、東洋経済新報社)、『チャイナ・アズ・ナンバーワン』(2009年、東洋経済新報社)、『中国 二つの罠』(2013年、日本経済新聞出版社)、『中国「新常態」の経済』(2015年、日本経済新聞出版社)など