今日の産経&ロシアニュース(2019年6月21日分)

野党が方針転換 25日にも内閣不信任決議案提出で調整 - 産経ニュース
 まあ方針転換ってのは産経が言ってるだけですからね。
 「年金2000万円問題で、担当大臣である麻生金融担当相への不信任案は提出できても安倍に対してはどうか」という批判を想定し、まずは「否決されるだろうという予想」のもとに、麻生に対して出して予想通り「否決された」ので「麻生をかばう安倍政権自体に不信任案を出すしかない」つう話にしたかっただけかもしれません。


トランプ氏、イラン攻撃を10分前に中止 ツイッターで明らかに - 産経ニュース
 「部下が攻撃を主張し、俺もいったんは賛同したが、リスクが大きいことに気づき、結局撤回した」「俺は部下の暴走が止められる男だ」「俺はいったん間違っても、その間違いに気づけばためらいなく撤回できる男だ」アピールするとともに、イランに対し「ウチの若いもん(ボルトンやポンペオ)があんた(イラン)を攻撃しろと言うとるんや。親分のワシ(トランプ)が体を張ってなんとか止めたが、次は止められるか分からん。若いもんが納得する誠意をみせいてほしい」とヤクザまがいの手法でイランを恫喝してるつもりのようですが「そもそも賛成するなよ!」「10分前に撤回って自慢できる話か!」ですよねえ。
 むしろ「トランプ政権の危険性の証明」として反トランプ派が暴露するような話でしょう。
 トランプも本当に変な男です。


【正論】プーチン氏来日に「土産」は不要 北海道大学名誉教授・木村汎 - 産経ニュース

 彼は「日米安保条約の存在が日露間の平和条約締結を妨げている」との無理難題をその口実に用いているのだ。

 「返還した北方領土に米軍を置かない」と安倍が確約すればプーチン*1が島を返すという保証は無論ありません。プーチンは何があろうと島を返す気はないかもしれない。しかし「返還した北方領土に米軍を置かないと約束しろ」という要求は決して無理難題ではあありません。むしろ当然の要求でしょう。
 仮に竹島北朝鮮の領土だとして「日本に返還した場合に米軍が置かれる可能性がある」として返さないのと同じ話です。
 つまりは「北方領土に米軍を置かない」と約束できない安倍がダメなだけの話です。

 G7経済制裁下で苦しんでいる現ロシアは、科学技術大国、日本の支援を喉から手が出るほど欲している。
 例えば北極圏のロシア領内での液化天然ガス(LNG)開発事業に関して、三井物産三菱商事の出資を要請中だ。両社はかつてのエリツィン時代、ロイヤル・ダッチ・シェルと組んで「サハリン2」プログラムに対し100%の株式を取得していたはずだった。ところがプーチン新大統領の介入によって、ロシア国営のガスプロムに対して過半数51%の株を譲渡することを強制された。
 このような苦い経験を持つにもかかわらず、三井物産三菱商事は再びLNG開発協力に積極的姿勢を示している。というのも、今回は安倍政権の後押しがあるからだ。すなわち両社が参加を決める場合、出資額の50~75%は国費によって賄われることになる。
 プーチン・ロシアは日本側に唯の1島も引き渡す気配を示していない。そのことが明々白々であるにもかかわらず、安倍政権はロシアの資源開発に日本国民の血税を注ぎ込むことを躊躇しない。近頃の日本で分からないことのひとつである。

 いやいや「十分理解可能」でしょう。つまり「三井物産」「三菱商事」といった財界にとっては島など帰ってこなくても「ロシアの天然資源」には魅力を感じるし、それを安倍も後押しするというだけの話です。


マレーシア首相、航空機撃墜へのロシア関与「証拠ない」:朝日新聞デジタル

 マレーシアのマハティール首相は20日、2014年のマレーシア航空機撃墜事件をめぐってオランダ検察当局が発表した捜査結果について、「受け入れがたい」と異を唱えた。オランダ検察はロシア当局が事件に関与していたと結論づけていた。
 マハティール氏は同日の記者会見で「捜査チームは最初からロシアがやったと決めつけていたが、十分な証拠はない」と主張。ロシアを擁護しながら捜査を批判した。
 298人が死亡したこの事件はウクライナ政府軍と、親ロシア派武装勢力が激しい戦闘を続けているさなかに発生。ウクライナや米国などが親ロシア派の犯行と批判する一方、ロシア側は一貫して関与を否定していた。
 マレーシアやウクライナの当局と合同チームを作り捜査を進めていたオランダ検察は19日、ロシアの情報機関や軍に所属していたロシア人の男ら計4人を殺人罪などで起訴すると発表。このうちロシア人容疑者2人について「(事件)当時、ロシア当局と連絡を取っていた」との見方を示した。

 実際どうなのかは今後裁判で明らかになるでしょうからコメントはしません。もちろんマハティール発言は「政治的な思惑」つう可能性は十分あるでしょう*2。一方現時点では安易に「オランダ検察が正しい」ともいえないでしょう。
 俺的に言いたいことは「仮にこの事件にロシア諜報機関の関与があるにしても、それどころかプーチン大統領の事前承認が仮にあるとしてもそしてそうしたことが仮に裁判で認定されたとしても、『ロシアは無法な国家だ、だから北方領土交渉なんかしない』つうわけにはいかない」つうことです。
 まあ「そんな無法な国家が島を返すわけがない、交渉はするだけ無駄だ」あるいは「たとえ島が帰ってきてもそんな無法国家と交渉などしない。それが日本人のモラル(道徳)だ」つうなら話は別ですが。そして金正男殺害が仮に北朝鮮の犯行だとしても「『北朝鮮は無法な国家だ、だから拉致問題で交渉なんかしない』つうわけにはいかない」つうことです。
 まあ「そんな無法な国家が拉致被害者を返すわけがない、交渉はするだけ無駄だ」あるいは「たとえ拉致被害者が帰ってきてもそんな無法国家と交渉などしない。それが日本人のモラル(道徳)だ」つうなら話は別ですが。ただ小泉訪朝では蓮池一家、地村一家、曽我一家が帰国してるわけで「交渉は無駄だ」とはとてもいえないでしょうが。


【主張】実刑確定の男逃走 保釈のあり方急ぎ見直せ - 産経ニュース
 厳罰論の産経らしいですが「この件で保釈を認めるべきだったかどうか*3」はともかく、むしろ日本で問題なのは「保釈があまり認められないこと」の方ですけどね。
 そしてこの件では「保釈の是非」よりも問題は「なぜ検察、警察はその場で抵抗を抑制し確保できなかったのか」とか「なぜマスコミへの公表が逃亡から3時間も後になったのか(隠蔽?)」でしょうね。
 なお、「保釈によるこうした問題の発生(逃亡しようと警官に暴力を振るうなど)」はもちろん、できる限りなくすべきですが、それに必要以上にこだわると全く保釈が出来なくなります(産経は保釈制度自体に否定的なのでしょうが)。
 「ある程度はやむを得ない」と考えるべきでしょう。

*1:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*2:こうなると「金正男暗殺事件でのマレーシアでの裁判(実行犯の2人のウチ、インドネシア人女性一人は不起訴、ベトナム人女性一人は起訴されたが「いたずらだと信じてた、だまされてた」という言い訳が認められ、傷害致死で軽い罰にとどまり、その後、釈放されてベトナムに帰国した。)」も「マハティールの意向」が影響した「政治的判決」の可能性が全否定はできないように思います(一方で「政治的判決だ」と断言も出来ませんが)。

*3:もちろん「認めるべきでなかった」としてもそれは必ずしも「裁判所の問題」ではありません。「検察が保釈による弊害を証明できなかった」という可能性もありうるからです。