高世仁に突っ込む(2019年12月22日分)

人間中村哲をつくったもの5 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 18日、伊藤詩織さんが、元TBSワシントン支局長で安倍首相ヨイショ記者と呼ばれる山口敬之氏から性的暴行を受けたとして、山口氏に1100万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は「(山口氏が)酩酊状態で意識のない伊藤詩織さんに合意がないまま性行為をした」と認め、山口氏に慰謝料など330万円の支払いを命じた。

 山口が控訴したので逆転敗訴の可能性はゼロではありませんがひとまずは喜びたい。

 おぞましい映像がある。英国BBCが放送した、詩織さんを「枕営業大失敗」などと嘲笑し、自民党杉田水脈衆院議員が女性に落ち度がある、詩織さんは嘘を言っているとコメントしている。恥というものがないのか。

 すさまじいですね。BBCが隠し撮りしたわけでもないでしょうから、BBCの取材に対してそう言ったのでしょう。
 あるいは「杉田出席のウヨ集会の広報映像」でもBBCが入手したのか。いずれにせよ隠し撮りではないでしょうから、常人では考えられない愚行です。
 この件なんか、二階幹事長、菅官房長官などといった「杉田のような小物とは違う自民幹部」は「伊藤氏が刑事告発しても山口氏が逮捕起訴されなかったことについて安倍総理の圧力なんか無い」「山口氏が準強姦に及んだかどうかはわからないのでコメントしようがない。一般論としてはもちろん山口氏がそのようなことをしたのなら批判されて当然だ」位のことしか言ってないのに。
 それは当たり前であって
1)伊藤さんの主張内容が明らかに怪しい
2)親しい友人で山口を人間として心底信頼している
3)山口を擁護することで何か利益がある(伊藤さんの主張が事実だろうと詭弁でも山口をかばう)
のどれかで無い限り、誰も山口をかばう理由なんかありません。
 民事裁判で山口のレイプが今回、認定され、また文藝春秋が彼女の主張を信用して告発本を出版したことで分かるように1)ではありえない。
 しかし杉田らウヨの場合、2)でもないでしょう。
 結局、「安倍の提灯本『総理』『暗闘』(いずれも幻冬舎)を書き、安倍お気に入りで、伊藤さんがレイプを刑事告発しても、警察、検察が逮捕起訴に乗り出さなかったのは安倍の圧力があったからだ」と噂される山口を擁護することで安倍に気に入られようとする算段でしょう。つまり3)です。
 しかし、そんなことをすれば、伊藤さんに名誉毀損で訴えられかねないし、まともな人間は杉田らを軽蔑します。
 「そこまでして安倍に媚びるか」「いつまで安倍政権が続くと思ってるんだ」といいたいですが「安倍政権が続く限りは安倍に媚びておいしい思いがしたい」「ポスト安倍でも安倍の政治力が継続することを望む(安倍の祖父・岸*1が首相引退後も、実弟の佐藤、派閥を受け継がせた子分の福田*2、女婿の安倍晋太郎*3を通じて政治力をある程度保持したように*4)」のでしょうね。
 そして自分らが「二階や菅などと違い」小物であることを自覚してるからここまで無茶苦茶なこびをする。
 ただ安倍だってこんなセカンドレイプ行為を公然と褒めるわけにも行かないし、こんなことしてどれほどの見返りがあるんですかねえ。
 まあ見返りがあったってまともな人間はこんなことはしませんが。

 中村勉さんは福商大正13年卒(21回)で私より4年先輩。高等小学校卒業と同時に若松築港会社の給仕となり、その英才を電力業界の鬼と呼ばれた松永安左衛門さんに認められ、給費生として福岡商業学校に入学

 松永という人は「西部合同ガス(現・西部ガス)社長」、「東邦電力*5社長」などを歴任し「電力王」「電力業界の鬼」と呼ばれた福岡財界の大物で勿論左翼ではありません(ウィキペディア松永安左衛門」参照)。
 そう言う人間に「見所がある」と認められたのだから「中村哲氏の父・中村勉」は一定の才能はある人だったのでしょう。
 ちなみにこの松永氏、ウィキペディアに寄れば

 1964年に生存者叙勲制度が制定された際、同年4月29日付の最初の叙勲で松永は勲一等瑞宝章に内定するが、首相の池田勇人*6から直々に打診された松永は「人間の値打ちを人間が決めるとは何ごとか」と激高し、受章を拒否する。
 困った池田は松永に可愛がられていた永野重雄*7に説得を頼んだ。小田原の松永邸を訪ねた永野は、松永に対して「あなたが叙勲を受けないと、生存者叙勲制度の発足が遅れて、勲章をもらいたくてたまらない人たちに、迷惑がかかる。それに、あなたはどうせ老い先が短い。死ねばいやでも勲章を贈られる。それなら生きているうちにもらった方が人助けにもなります」と説得した。松永は不本意ながら叙勲を受けることは了承したものの、勲章授与式を欠席した。
 その後松永は『栄典の類は反吐が出るほど嫌いだ』として、死後を含め全ての栄典を受け取らないことを公言する。このため、松永が逝去した際にその訃報を受けた当時の佐藤栄作内閣が政府による叙位叙勲を即日決定したものの、遺族は松永の遺志を尊重し、一切の栄誉・栄典について辞退した。

というなかなか面白い人のようです。これが「勲二等とは何事か」と「もっと評価が高いはずだ!」と怒るならともかく

・「俺ごときが勲一等なんておこがましい」か
・『何で政府に「君は勲一等ですよ」なんて偉そうに評価されるのか、余計なお世話だ』か
・「勲二等以下の人間に失礼だ、序列なんか付ける必要は無い」か

知りませんが「勲一等なんていらない」とはなかなか言えない台詞です。

*1:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*2:岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官を経て首相

*3:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)を歴任

*4:ただし岸と違い無能な安倍にはそれは無理でしょう。安倍には「岸にとっての福田」に当たる有能な子分はいないでしょう。安倍の実弟岸信夫」にしても「岸にとっての佐藤」ほどの実力政治家ではありません。佐藤も福田も「岸以外の首相(佐藤の場合、吉田や池田、福田の場合、池田、佐藤、田中、三木)にも重用された」し後に首相にもなりますが、安倍の周囲にそう言う人間はいないでしょう。

*5:戦前の電力会社の一つ。中部、関西、四国、九州に電力を供給。現在の中部電力関西電力四国電力九州電力の前身。

*6:吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*7:新日本製鐵会長、経済同友会代表幹事、日本商工会議所会頭などを歴任