黒坂真に突っ込む(2019年12月27日分)

◆黒坂ツイートにコメント

黒坂真リツイート
 吉岡正史さん。安倍総理はお友達の大学に獣医学部を作ってあげた、という呟きですが(中略)日本共産党安倍総理が大悪人だ、という風聞普及に全力をあげている。安倍総理の悪評普及が平和運動だと思っている。安倍総理を戦争勢力とみるから。

 おいおいですね。確かに共産党は安倍を「改憲ウヨ」として批判していますが、それと「モリカケ桜を見る会」などの疑惑追及は全く別の話です。
 一般にハト派と評価される「宮沢喜一*1リクルート疑惑*2)」や「加藤紘一*3(金庫番秘書の脱税)」、「辻元清美*4(秘書給与詐取問題)(当時、社民党政策審議会長)」などについても共産党は「政治とカネの問題」で批判してきたわけですから。
 黒坂の言ってることは「ダグラスグラマン疑惑での岸*5元首相への批判」「リクルート疑惑での中曽根*6元首相や安倍*7幹事長への批判」「KSD疑惑での村上正邦*8元労働相への批判」を「彼らが改憲ウヨだから左翼は批判している」と言うような詭弁です。

黒坂真
 田中実さんの生存情報は以前から流れていました。朝鮮労働党がどういう経路でこれを流したのか、流した理由も不明。

 おいおいですね。北朝鮮側が流したと決めつける黒坂ですが勿論そんな根拠は何もありません。「安倍批判派が、安倍批判の目的で流したか」、はたまた「意外にも安倍側が何らかの思惑であえて流したか」はともかく日本側から流れた可能性も当然否定出来ない。
 いずれにせよ大事なことはことの真偽を確かめることです。「安倍総理はこうした記事について釈明せよ」という安倍批判に対し、黒坂ら安倍万歳ウヨのように「北朝鮮が流したデマに決まってる(安倍首相は釈明する必要など無い)」などとして安倍を詭弁でかばい真相追究から逃げることは卑怯で愚劣でしかありません。

黒坂真
 Blogを更新しました。日本共産党の刑法改正案は、同意なき性交を犯罪とみなす。性交後に「私は同意していない。貴方は私を強姦した」と言われたら、「加害者」とみなされた側が性交での同意の存在を立証せねばならない。立証できなければ強制性交罪。冤罪が多発しうる。

 この件については前も簡単に書きましたが
1)共産党の改正案において「強姦罪が不同意性交罪になる」「『暴力などによる抵抗の抑圧』ではなく『同意の不存在』が犯罪の成立要件になる」という点は黒坂の言うとおりですが、犯罪の立証責任があるのは検察であることは改正案でも変わりがありません。
 したがって改正案において「同意の存在を被告人が証明する」のではなく、「不同意の存在を検察が証明する」わけです。
 そして「疑わしきは罰せず」により「検察が不同意を証明できなければ」無罪になる。
 そもそも「正当防衛による殺人」「心神喪失による殺人」のように「ほとんどのモノ(殺人)は違法行為に当たるが例外的に『違法でない行為』がありうるようなケース」でなければ立証責任は検察にあります。
 「正当防衛や心神喪失による殺人行為」の場合、確か通説、判例では

1)「殺人行為が正当防衛や心神喪失に当たらない」という証明を検察側から積極的にする必要は無い
2)まず「この殺人は正当防衛や心神喪失に当たるから無罪だ」と主張する責任があるのは弁護側だ(弁護側がそう主張しない限り正当防衛や心神喪失は成立しないモノとして扱われる)
3)いずれにせよ「正当防衛や心神喪失」が争われた場合「正当防衛や心神喪失に当たる可能性がある」と裁判所が判断すれば「疑わしきは罰せず」により無罪になる(まあ、裁判所はそう簡単に無罪判決など出しませんが。せいぜい過剰防衛で減刑心神耗弱で減刑がほとんどでしょう)。

つう解釈です。
 「真偽不明の場合は被告人が有利になる」という意味では「正当防衛や心神喪失による殺人行為ではない」とする立証責任は検察側にあります。
 しかし、「弁護側がそう主張しない限り、検察から正当防衛や心神喪失の不存在を証明する必要は無い」と言う意味では、立証責任は弁護側にあるわけです。
 で、性交というのは「詐欺罪における商取引」などと同じで「ほとんどのモノ(性交や商取引)は違法行為に当たるが例外的に『違法でない行為』がありうるようなケース」とはいえませんからね。当然、検察側が「同意の不存在」を証明することになるわけです。
 黒坂が本気でこんなことを言ってるのなら無知だし、故意にデマを垂れ流してるのならゲスです。「改正案の条文の具体的な引用」を黒坂がしないことを考えればおそらく後者でしょうが。
 もちろん「不同意の存在を検察が立証」を「どう定義するか」は難問です。
 「暴行、脅迫があった場合」に証明を限定したら「『暴力などによる抵抗の抑圧』を要件とする現状」と変わりが無く、改正の意味が無い。
 しかし『自称・被害者の言い分を安易に認め、証明が成り立たせたら冤罪になりかねないこと』も一方では事実です。ただし、ここでの黒坂の批判はそう言うまともなモノでは全くありませんが。
2)そもそもこの改正案、もともとは「犯罪被害者団体や女性団体」が発表したモノで、共産党改正案はそうしたものを参考に生まれたもんです。こうした動きに好意的な政党、政治家も共産党だけではない。したがって共産党改正案「だけ」を非難する黒坂の態度は異常な反共主義でしかありません。
3)なぜこうした動きが出るのかと言えば「不同意性交罪じゃないから、強姦が適切に処罰されてない(例:不起訴となった伊藤詩織さんの事件など)」という批判があるからです。
 本来なら黒坂はそうした批判に対し

「現状で強姦は適切に処罰されてる。批判派の批判はそもそも間違っている」
「批判派の言うように強姦処罰は現状で適切ではないが、それは、『裁判官、検事、警官など』による、いわゆる『法律の運用』の問題であり、法律条文自体の問題ではない。法改正は不要だ」
「批判派の言うように強姦処罰は現状で適切ではない。また法律条文自体にも問題はある。批判派の言うように法改正が必要だが、その解決策は不同意性交罪の制定とは別の形で行うべき」

というか何というかはともかく「現状の強姦処罰をどう理解し、どう状況を変えていくのか(あるいは現状を容認し変えないのか)」応答する必要がある。
 ところが「不同意性交罪では冤罪の恐れが―」しか言わないのだから呆れます。

*1:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*2:リクルート疑惑で共産党が批判した政治家には中曽根元首相、安倍晋太郎幹事長など改憲右派もいますが

*3:中曽根内閣防衛庁長官、宮沢内閣官房長官自民党政調会長(河野総裁時代)、幹事長(橋本総裁時代)など歴任

*4:社民党政策審議会長、国対委員長鳩山内閣国交副大臣菅内閣首相補佐官(災害ボランティア担当)、民主党政調副会長、民進党幹事長代行、立憲民主党政調会長国対委員長などを経て現在、立憲民主党幹事長代行

*5:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長、石橋内閣外相などを経て首相

*6:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*7:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*8:宮沢内閣労働相、自民党参院議員会長など歴任