今日の産経ニュース(2020年3月20、21日分)

「K-1」自粛、主催者に促すよう要請 西村担当相、埼玉知事に - 産経ニュース

 さいたま市で22日に開催予定の格闘技イベントを巡り、西村康稔経済再生担当相は21日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、主催者側に自粛を促すよう埼玉県の大野元裕*1知事に要請した。県関係者が明らかにした。
 イベントは「K-1 WORLD GP」で、県が保有する、さいたまスーパーアリーナが会場。
 県関係者によると、県はこれまでも(ボーガス注:県の外郭団体である)アリーナの管理団体を通じて自粛を求めてきたが、主催者側は「来場者へのマスク配布など万全の対策を取る」として、応じない方針を示しているという。
 アリーナでは2月以降、歌手、米津玄師さんの公演など多くのイベントが中止や延期になっている。

 そんなに止めてほしいなら「大野県知事」なんてワンクッション置かずに「西村自らが主催者に自粛要請すべき」ではないのか。
 しかも埼玉県が公表するまで、国が「県への要請の事実を明らかにしない」とはどういうことなのか。
 「国はこの件での責任問題から逃げようとしている、卑怯だ」と疑われても文句は言えないでしょう。
 まあ、県がこうした公表をしたのは「自衛策」でしょうね。「国も自粛要請しろと言うから、県も自粛要請しました。それでもK-1側が自粛しないなら何も県に出来ることはないと思います」「国も『県はK-1にアリーナを貸すな』とまでは我々には言っていません。貸出拒否を強行した場合、裁判沙汰(県への賠償請求訴訟)になる危険性がある。その場合、国も『貸出拒否しろとはいってない(裁判になっても県の責任だ)』と言うでしょうからご容赦下さい」つう話でしょう。


自粛要請もK-1開催 埼玉県知事「残念」 - 産経ニュース
 ということで結局K-1は自粛しませんでした。自粛した場合の経済的ダメージを考えればそう安易に批判も出来ません。
 いい加減、自粛要請するなら、「それで生じる金銭的被害」について国が「全額補償はさすがに金額的に無理としても」一定程度補償することを安倍政権は表明すべきでしょう。
 「自粛要請はする、しかし自粛で生じた被害は全部、企業が負担しろ。国は一切補償しない」なんて馬鹿な話はないでしょう。
 とはいえ、元K-1プロデューサーの本を読んで、「どうもなあ」と思ったこと - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が触れる曙に対する酷い態度を考えると「K-1主催者たちってカネのことしか考えてねえんじゃねえの?」感はあります。

 同県川越市から観戦に訪れた30代の男性会社員は「払い戻しができないと聞いて来場した。試合は楽しみだが、多くのイベントが中止になる中、特別扱いのようにも感じる」と複雑な表情を見せた。

 「特別扱い」ではないですね。そもそも中止されたイベントについても国や自治体の対応は「自粛勧告、自粛要請」でしかありません。強権が発動されたわけではない。是非はともかくK1のような実施強行という選択肢はありました。


子供たちの「食」を守る 開け続ける子供食堂のいま (1/3ページ) - 産経ニュース
 産経には珍しく「子ども食堂への支援を訴えるまともな記事」ですが、そもそも「子ども食堂があること自体」が「政治の貧困」といっていいでしょう。「子ども食堂の存在だけ」でも安倍政権は批判されてしかるべきです。


東京五輪、中止なら損失4・5兆円 延期は6400億円と試算 - 産経ニュース
 この「関西大の宮本勝浩*2名誉教授」の試算」については安易に鵜呑みは出来ません。「この試算が予定通り実施した場合の、コロナ蔓延による経済リスクの危険性をどう評価しているか」と言う問題があるからです。もし「全く評価してない」というトンデモ試算(予定通り実施することにはメリットしかない)ならば当然ながら、到底信用できません。


【産経抄】3月21日 - 産経ニュース

 天皇陛下の次は秋篠宮さま、その次は悠仁さまという皇位継承順位は揺るぎようがない。皇室が歴代天皇126代にわたり守り抜いてきた男系(父系)継承という伝統上も、皇室典範という法律上もとうに決まっている。
▼ところが、いまだに「安倍政権が封印 愛子天皇論」(週刊朝日3月6日号)などと蒸し返すマスコミがあるからあきれる。中身は(ボーガス注:第二次安倍内閣の設置した『天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議』で議員を務めた)東大先端科学技術研究センターの御厨貴*3客員教授と(ボーガス注:女帝容認の答申を出した小泉内閣の「皇室典範に関する有識者会議」で座長代理だった、女帝容認派の)園部逸夫*4最高裁判事の対談記事だったが、そのやりとりにさらにあきれた。
▼御厨氏が「いまの野党は、女性・女系論者が多い。(中略*5政権交代の意味はそういう変化を起こせることにある」と述べると、園部氏はこう返していた。
「男女同権、平等が、憲法だけでなく、現実に根差して日本に浸透してほしい」。
▼御厨氏は「新しい皇室の議論は、政権交代と若い世代の新しい風による変化を期待したい」と締めくくっていた。皇位継承という国の根幹にかかわる重要事が、政権交代待望論や男女平等を求める一般論にすり替わっている。

 「天皇制維持に興味のない人間(廃止派を含む)&女帝否定に固執する人間」以外にとっては「蒸し返す」のはある意味当然でしょう。現天皇が死去した場合、天皇候補者は「天皇の弟=秋篠宮」「秋篠宮の息子=悠仁君」しかいません。
 現天皇夫妻(夫60歳、妻56歳)、秋篠宮夫妻(夫54歳、妻53歳)である以上、年齢的にもはや「悠仁君以外の男性皇族」が生まれることはあり得ません。
 つまり現状では「悠仁君が元気に成長し、結婚し、妻が男性皇族を産まない限り」皇位継承者が「増えない」という危機的状況にあります。
 これを一番手っ取り早く解消する方法が女帝容認のわけです。女性皇族ならたくさんいますので。
 「国民世論多数は女帝を容認している」「海外では英国のエリザベス女王など女帝は珍しくない」「日本でも数は少ないとはいえ推古天皇など過去に女帝はいた」「男女平等の観点からも女帝が望ましい」となれば「天皇制支持者だと言いながら」女帝否定にこだわる産経の方が時代錯誤でしょう。
 なお、御厨氏の「政権交代云々」が産経の言うとおり事実*6ならば、全くもって「蛇足」ですね。産経も「政権交代などまっぴらごめん、民主党政権時代は暗黒時代だった」と悪口してますが、「他の件はともかく」そもそも女帝容認論政権交代とは全く関係ない。
1)そもそも女帝容認の答申を出した審議会「皇室典範に関する有識者会議」は「小泉*7内閣が設置したものであること(つまり小泉首相は女帝容認論であること)」
2)この審議会メンバーには「奥田碩(当時、日本経済団体連合会会長、トヨタ自動車会長)、古川貞二郎*8(元厚生事務次官、元官房副長官)のような自民党に近いとみられる保守派がいること」
3)『愛子さまが将来の天皇陛下ではいけませんか』(2013年、幻冬舎新書)を出版し、女帝容認派であることを公言した田中卓皇學館大学名誉教授。元皇學館大学学長という極右派)の存在
などを考えれば自民党支持層ですら今や女帝容認派の方が多いのではないか。
 「悠仁君誕生」「彼の誕生を追い風とした安倍*9自民党内極右派の反対」もあり、小泉氏は答申実施を諦めますが、おそらく「悠仁君の誕生」がなければ答申はとっくの昔に「女帝を容認する皇室典範改正」で実現していたでしょう。


河井陣営公選法違反 克行氏、投票を再三指示 選挙戦主導か - 産経ニュース

 ある陣営関係者は「克行氏の指示がないと決められないことは多かった」と指摘。克行氏の政策秘書だった高谷真介容疑者(43)が実質的に事務を取り仕切っていたとし、「彼(高谷容疑者)が克行氏に報告していた」と語った。

 河井夫婦が安倍によって見すてられつつあると言うことでしょうか?


【政界徒然草】復権目指す稲田朋美氏 女性活躍にシフトも保守層は困惑 - 産経ニュース

 平成29年に南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題で辞任して以降は存在感が薄れていたが、最近はシングルマザーなど未婚の一人親を支援する税制改正を進め、選択的夫婦別姓の実現にも前向きな姿勢を示した。周囲は「ポスト安倍」候補として稲田氏に再び期待を寄せるが、党内の保守層は、伝統的家族観を重視してきた立場を変えたのではないかと冷ややかな声も漏れる。

 稲田*10を「ポスト安倍」として期待してるのは産経のようなウヨだけでしょうが、その産経も稲田が「選択的夫婦別姓への理解を示す」などウヨ色を以前より薄めていることに不満と不安があるわけです。


【主張】川内原発停止 理にかなった処分なのか - 産経ニュース
 国が定めた新基準を達成できなかったから停止しただけの話です。
 「新基準が厳しすぎる」というならともかくそうでないなら新基準を守れなかった電力会社が悪いだけの話にすぎません。
 というか今必死に「新基準を達成しようとしてる電力会社」からすれば産経の主張はありがた迷惑でしかないでしょう。

*1:参院議員(民主党)。野田内閣で防衛大臣政務官。大野元美・元川口市長(自民党)の孫。

*2:著書『移行経済の理論』(2004年、中央経済社)、『「経済効果」ってなんだろう?』(2012年、中央経済社

*3:政治学者。著書『近現代日本を史料で読む:「大久保利通日記」から「富田メモ」まで』(2011年、中公新書)、『知の格闘:掟破りの政治学講義』(2014年、ちくま新書)、『後藤田正晴と矢口洪一:戦後を作った警察・司法官僚』、『宮澤喜一竹下登:戦後保守の栄光と挫折』(以上、2016年、ちくま文庫)、『戦前史のダイナミズム』(2016年、放送大学叢書)、『さかのぼり日本史政党政治はなぜ自滅したのか?』(2017年、文春文庫)など

*4:著書『現代行政と行政訴訟』(1987年、弘文堂)、『最高裁判所十年』(2001年、有斐閣)、『皇室法概論』(2006年、第一法規)、『皇室制度を考える』(2007年、中央公論新社)、『皇室法入門』(2020年、ちくま新書)など

*5:中略というのが怪しいですね。「御厨氏に政権交代論者、野党支持者」のレッテルを貼るために都合の悪い箇所を故意に省略した疑いがあります。

*6:産経だとデマの疑いが否定できませんが

*7:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*8:村山、橋本、小渕、森、小泉内閣官房副長官

*9:小泉内閣官房副長官自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*10:第二次安倍内閣行革相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣防衛相など歴任