今日の産経ニュースほか(2020年3月24日分)(副題:中学歴史教科書検定で色々)

つくる会のツイート

新しい歴史教科書をつくる会リツイート
◆早坂隆*1
 歴史教科書の左傾化が進んでいます。教科書に相応しくない表現が増えています。このまま放置してはいけません。
「従軍慰安婦」「南京事件」自虐記述は適切か 皇室表現に疑問も(1/2ページ) - 産経ニュース
「銃剣を持った日本兵が家に侵入してきました。逃げようとした父は撃たれ、母と乳飲み児だった妹も殺されました。祖父と祖母はピストルで、15歳と13歳だった姉は暴行されて殺されました。私と4歳の妹は、こわくて泣き叫びました。銃剣で3カ所刺されて、私は気を失いました…」。
 合格した学び舎の歴史教科書に掲載された南京事件をめぐるコラムの描写だ。

 安倍政権下でこんなツイートがウヨ連中から飛び出すとはねえ。まあ左派、リベラル派からすれば安倍政権下の検定などとても評価できませんが、一方で「一帯一路参加表明」「習主席訪日計画」「靖国参拝断念」「尖閣自衛隊常駐せず」「河野談話踏襲」などによって、「ウヨ連中の方も」『もっと安倍は戦前日本を美化しろ!』『中韓や野党などに忖度するな!』『何で学び舎が合格なんだ!』で不満があるわけです。
 まあ、安倍も中国との関係を考えれば「ウヨ連中が期待するほどには無茶できない」というところでしょう。

新しい歴史教科書をつくる会
 不合格は当会の自由社竹田恒泰*2が執筆した令和書籍。

 やはり育鵬社は合格のようでげんなりしますね。それにしても「竹田某」も変な奴です。仮に合格したとしても「自由社育鵬社とのシェア争い」で勝てるわけもないでしょうにねえ。そもそも竹田は「育鵬社or自由社のお仲間」とばかり思っていましたが、令和書籍と言う会社から出版を強行したいどんな理由があるのか。
 なお、「ウヨ仲間」なので一応はふれた物の明らかに「自由社」は竹田に対して素っ気ないですね。そりゃ当然「俺たちの教科書を支持しろよ!。別途出版しようってなんか不満でもあるのか!」感があるでしょうからね。

新しい歴史教科書をつくる会
 公民教科書については当会による自由社の教科書は無事合格となります。

 公民は合格だそうでげんなりすると共に「意外」ではあります。公民方面でも確か育鵬社の教科書がありますのでね。


「木を見て森を見ず」自虐的な記述見過ごし、教科書検定の限界 - 産経ニュース

・中学校の歴史教科書に、「従軍慰安婦」の呼称が復活することになったのは、教科書改善の流れに逆行するといえるだろう。ほかにも自虐色の強い記述が複数残り、検定制度の限界が垣間見える結果となった。
安倍晋三首相や萩生田光一文部科学相自虐史観からの脱却に力を尽くした政治家だ。実際、安倍政権のもとで検定基準が改められ、政府見解を反映した記述などを求める項目が追加された。その結果、島根県竹島沖縄県尖閣諸島などについて全社が「固有の領土」と明記するようになった。
・なぜ改善の流れに逆行し、自虐史観が息を吹き返したのか。検定には静謐(せいひつ)な環境が求められ、大学教授らでつくる検定調査審議会が「密室」で審議する。審議会は文科相の諮問機関だが、専門性が高く、審議に入ると政治の意向などは入り込む余地がない。

 まあ酷い詭弁ですね。
 産経が反感を公言するこれらの動きを「どう評価するにせよ」、これを「安倍首相や萩生田文科相の意思に反する」などと思う人間は誰も居ないでしょう。産経ですらおそらく本心ではそんなことを思ってない。
 何せ「モリカケ」「桜を見る会」「検事長定年延長」(以上、安倍)、「あいちトリエンナーレへの補助金不支給(後に大幅カットに変更し支給自体は実施)」「映画「宮本から君へ」への補助金不支給(現在、行政訴訟中)」(以上、萩生田)でわかるように「取り巻きへの利益誘導」「政敵への報復行為」の為なら違法行為すらためらわない安倍と萩生田です。
 本気で安倍や萩生田がこれらの記述に「絶対に許さない」という敵意を持ってるなら、安倍や萩生田はあらゆる手段を使って、教科書から削除させたでしょう。
 ところが「安倍と萩生田は僕らの仲間だ」という前提が「絶対不動の前提」として産経にあるが故に、「悪いのは教科書検定審議会だ(安倍も萩生田も悪くない)」になるわけです。
 しかも産経の結論は「教科書検定審議会に萩生田や安倍が政治介入しろ」。よくもまあここまで無法なことが公言できたもんです。民主党政権で産経の意思に反する形でそうした「政治介入」が教科書検定にあれば不正行為として悪口していたでしょうにねえ。
 いずれにせよ「モリカケ」「桜を見る会」「検事長定年延長」の安倍であり「あいちトリエンナーレへの補助金不支給(後に大幅カットに変更し支給自体は実施)」「映画「宮本から君へ」への補助金不支給(現在、行政訴訟中)」の萩生田です。産経に頼まれなくても「これらの教科書記述を絶対に許さない」と思えば政治介入して削除させるでしょうし、そうしなかったということは「事情が何であれ安倍や萩生田が容認した」ということです。習主席訪日に向けた「安倍や萩生田なりの対中国配慮」でしょうか。
 なお、現在の審議会委員については教科用図書検定調査審議会 委員名簿:文部科学省でわかります。俺が無知なので知っている人はいません。

 
【正論】チャイナ・マネーに感染するな 文化人類学者・静岡大学教授・楊海英 - 産経ニュース
 「反中国バカ」楊*3らしいですが、日本社会にとって楊の言う「チャイナマネー(中国相手のビジネス)」を全否定することなど現実問題として出来るわけがないでしょう。楊が「内モンゴル出身者」として中国を憎悪するのは奴の勝手ですがデマ垂れ流したり、非常識な与太飛ばしたりするのも大概にして欲しい。

 似たような事例があるからだ。モンゴル国は1990年代に旧ソ連の桎梏(しっこく)から離脱して自由主義陣営に加わった当初は人権弾圧を緩めない中国に厳しい態度を取っていた。内モンゴル自治区に暮らす同胞の境遇にも同情を示していた。しかし中国はモンゴルの国会議員らに働きかけ、様子が一変した。
 中国の強権に関しては何ら有効な措置が取れなくなっただけでなく、自国の経済まで完全に北京に牛耳られてしまった。モンゴルは今や、ラオスキルギスと並んで、習近平政権が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の債務国に陥ってしまった。ラオスキルギスに対しても北京は金銭外交を展開してきた。IR事業をめぐる日本の国会議員らに対する侵食は氷山の一角ではないのか。

 ばかばかしい。そもそもモンゴルやラオスキルギスと中国の関係を楊のように描くことが適切かどうかも疑問ですが、それはひとまず無視します。
 「経済大国の日本」と「発展途上国のモンゴル、ラオスキルギス」とは経済力が全然違うので、同一視すること自体が馬鹿げている。
 日本が中国に対し「債務国」「自国の経済を完全に牛耳られる」なんてあるわけもないでしょう。司馬遼太郎賞を受賞した楊が「受賞したばかり」にウヨの政治工作を受け、「ただの反中国デマ右翼」に転落する様はあまりにも無様です。司馬賞を受賞しない方がむしろ幸せだったのではないか。
 なお、IR(日本版カジノ)について言えば、IRへの参入を目指してるのは中国企業だけではなく「ラスベガスのカジノ企業」「日本のギャンブル企業(パチンコホールマルハンパチスロメーカーのセガサミーなど)」なども参入を目指してると言われています。IRについて楊や産経のように「中国企業ガー」と騒ぐことは「中国以外の企業のIR疑惑」に目を塞ぐことにもなりかねない愚行です。

 新疆ウイグル自治区のホップを利用した大手飲料会社もあれば、同自治区で栽培されている綿花を原材料とする新興企業もある。

 本当かどうか知りませんがネット情報によれば、前者が「某大手ビール会社(ホップはビールの原料)」で、後者が無印良品ユニクロだそうです。

 観光業界は中国人客の財布に頼っている。筆者の住む静岡県の旅館業界だけでも、中国人観光客が来なくなったことによる損失は数十億円に上ると伝えられている。
 中国に依存する経済界と地域は後援会等のルートを通して、国会議員にも影響を与える。

 現実問題として中国人観光客が一番の上得意なら、観光業者が営業をかけるのは当たり前です。そしてそんな観光業など地元経済に配慮して地方議員や国会議員が中国人観光客誘致などの活動をするのも当たり前です。
 楊ごとき「腐れカス」に因縁付けられるいわれはない。
 まあ例のid:Mukkeさんなら「司馬遼太郎賞を受賞した静岡大学教授・楊氏を腐れカス呼ばわりとは、学問素人のくせにボーガスは何様か」と言い出すのでしょうが、旅館業者にくだらない因縁を付ける楊は腐れカス以外の何物でもない。奴が司馬賞をとろうが、静岡大教授だろうが楊は「腐れカス」です。静岡大もよくも楊みたいな腐れカスを野放しにしてるもんです。解雇しろとは言いませんが、せめて大学は「厳重注意処分」でもしたらどうか。
 そして例のid:Mukkeさんが仮に、某氏のご指摘のように、

・I浜Y子・「都の西北・W大学」教授の弟子で、
・今はI浜の同僚として、「都の西北・W大学」教授を務めるN澤さん

であろうと「ノルウェーに霞を食えとは言えない」と詭弁を抜かした「楊と同レベルの腐れカス」であることも明白です。まあ、楊だのid:Mukkeさんだの見てると「頭の良さと人格とは全くの別問題」「頭が良くてもどうしようもない『人格に重大な欠陥があるクズ』はいる」つうことはよくわかります。

 世界中が中国のウイグル弾圧と香港民主化鎮圧を非難しても、日本だけが馬耳東風の現状

 「世界中が非難してる」というのがそもそも嘘ですね。批判しているのはもっぱら欧米諸国です。東南アジアやアフリカの発展途上国などはほとんど批判してないでしょう。
 その欧米諸国ですら「中国によるエアバスの大量購入(フランス)」などで明らかに中国批判の腰は引けています。楊の言う「中国ビジネス重視による中国批判自重」は英仏独イタリアなどでも見られる事実です。


【風を読む】天皇陛下のお言葉を聞きたい 論説副委員長・佐々木類 - 産経ニュース
 ウヨの産経らしいですが、別に俺は天皇の言葉など聞きたいとは思いませんけどね。当たり障りのないことしか彼は言わないし、彼が何か言ったからと言って新型コロナが解決するわけでもない。


つくる会“一発不合格”の背景 新ルール初適用 反論すべて認めず - 産経ニュース

 24日に公表された中学校教科書(令和3年度から使用)の検定結果では、新しい歴史教科書をつくる会が進める自由社の歴史教科書が新ルールにより“一発不合格”となる一方、自虐色が強いともいわれる学び舎の教科書は合格した。

 ということで学び舎については一部(早川タダノリ氏、能川元一氏など)が危惧していた「自由社のような不合格」は幸いにもなかったようです(産経の『学び舎なんか合格させやがって』とでも言いたげな悔しそうな記述には吹き出しました)。
 育鵬社(産経系列・扶桑社の子会社)については「不合格だったら産経が猛烈に文科省を批判してる」でしょうから、そして批判記事がないので、俺のような人間にとっては残念ながら「合格だった」のでしょうね(合理的な推測)。「自由社は不合格」で「育鵬社が合格」では全く筋が通らないと思いますが、これは今後、「左派(共産、社民など)からも、リベラル保守からも、極右(自由社版・つくる会)からも」各方面から批判があるでしょうからひとまず様子見ですね。
 それにしても「自由社の反発を危惧してる」のか、育鵬社について産経があまり触れずにごまかしてる辺りが実に卑劣であり、滑稽です。
 それにしてもここに至っても高池や藤岡ら「自由社版・つくる会一味」は「育鵬社が合格で我々が不合格とはどういうことか!」「やはりあの不合格は産経の仕込みか!。産経の要請に安倍や萩生田が応じた『教科書検定モリカケ桜を見る会』か!」とは言わないのでしょうねえ。産経も安倍も萩生田も批判できず「教科書検定官だけに悪口雑言」とは腰抜けというか何というか。この分では「家永訴訟のような裁判を起こさずに泣き寝入り」「一般書籍としての販売を実施」かもしれません。
 それにしても「モリカケ」での「森友や加計への利益誘導」を擁護していた藤岡や高池が「育鵬社への利益誘導」で酷い目(つくる会教科書不合格)に遭わされるのだからまさに「自業自得」でしょう。まあ「俺たちが安倍に裏切られることはない」と勝手に思い込んできた事による自滅ですね。
 それにしてもすさまじいのが自由社への検定意見の数です。産経記事に寄れば、ほとんどの教科書会社は「前回検定より検定意見が減っています」。安倍が敵視してるのではないかと疑われる学び舎ですら「前回273→今回144*4」と「前回検定より減ってる」のに、自由社だけは「前回358→今回405」と増える有様です(ただしこれだけでは自由社不合格に持って行くために故意に増やしたかどうかは不明)。
 一方、育鵬社は「前回78→今回23」と「前回の1/3以下」に減る驚異の激減(産経記事に寄ればここまで激減してるのは育鵬社だけ)であり、同業他社と比べてもかなり少ない検定意見です。
1)育鵬社自由社にそんな違いがあるとはとても思えないこと
2)育鵬社への検定意見(今回23)が帝国書院(今回26)、山川出版社(今回52)など老舗に比べて少ないなどおよそ信じがたいこと
3)安倍には既に「モリカケ」「桜を見る会」「検事長定年延長」と言う「不正行為」の前科があることを考えれば「育鵬社への合格ありきの政治的検定」が疑われても仕方がないでしょう。
 問題にすべきは「自由社の不合格」よりも「育鵬社の合格」でしょう。


「従軍慰安婦」の呼称復活 中学校教科書検定 自虐色強まる傾向も(1/2ページ) - 産経ニュース

 先の大戦で日本軍が「沖縄を『捨て石』にする作戦だった」などの記述もあり、一部で自虐色が強まる傾向がみられた。

 「事実に反する」ならともかく「自虐的」などという批判をして恥じない辺りさすが産経です。勿論褒めてません。むしろ呆れ、軽蔑しています。
 しかし第一次安倍内閣で「集団自決強要」記述を検定意見で削除させ、翁長氏を激怒させ、彼に「オール沖縄」での県知事選出馬を決意させた安倍なら「沖縄を『捨て石』にする作戦だった」なんて記述は問答無用で修正させるかと思いきや意外です。


「台湾」の文字、フォント修正 中国に配慮? 中学教科書検定(1/2ページ) - 産経ニュース

 東アジアの国や地域の名称を記載した歴史教科書の年表。「台湾」の文字が「中華人民共和国」や「大韓民国」などと同じ書体で表示されていることについて、「生徒が誤解するおそれがある」として検定意見が付けられ、別の書体に修正された。文科省の担当者は「同列のフォント(書体)だと、(台湾も)国家であると誤解される」と説明しており、中国に配慮したともいえそうだ。

 「台湾が国扱いで何が悪い!」と言いたげな産経です。まあ、日本政府の公式見解(台湾は中国の一部)を考えれば別に検定意見に問題はないのではないか。
 「習主席訪日計画」「建国当時の中国は連立政権(自由社版・つくる会教科書への検定意見)」とともに産経的には「安倍の野郎、ふざけてる!。中国に媚びてやがる!」でしょう。しかし露骨に安倍批判できず、結局「文科省検定官ガー」にしかならない産経です。

 公民では平成24~29年の衆院選自民党が勝利した理由について「自由民主党以外に政権を担える政党が形成されなかったため」との記述に意見が付き、「安定的に政権を担うことができる政党が~」と修正。

 どう見ても「安倍や萩生田のごり押し」でしょうが、事実ならば無茶苦茶な自民美化にもほどがあるでしょう。政治的逸脱も甚だしく、教科書検定がすべき行為ではない。ただしこうした記事を書いた産経には皮肉にもそうした批判意識はないのでしょうが。

 技術家庭(家庭)の教科書では人々の家族観に関わる事柄に意見も。家族の基本的な機能を学ぶページの最初に書かれた「ペットやロボットを家族の一員だと考える人もいます」との記述に対し、「扱いが不適切」と意見が付いた。

 検定意見の意味が分かりませんね。現実にそう言う人は存在するでしょうに。「そんな人間は異常だ」と言う偏見でもあるのか。「手前の家族観に何で従う必要があるんだ!」ですね。
 そういえば「のび太の友人」ドラえもんも「猫型ロボット」でしたね。


「従軍慰安婦」「南京事件」自虐記述は適切か 皇室表現に疑問も(1/2ページ) - 産経ニュース

 帝国書院の公民は「天皇の国事行為を国民全体でコントロールする」と記述。「コントロール」という言葉は共産党志位和夫委員長らが使っているが、敬意に欠ける面もあり一般的とはいえない

 おいおいですね。極右・産経らしいとは言えますが、「戦前か!」「蓑田胸喜か!」ですね。
 「国事行為(政治的に中立でないといけない)が憲法から逸脱しないようにコントロール」は当然の指摘であり、不敬云々という話ではない。もちろんそうした指摘をしているのは志位委員長のような左派だけではありません。リベラル保守もそうした指摘をしている。むしろそうした指摘を敵視するのは産経のような極右だけでしょう。
【参考:産経が悪口する志位氏の主張】

天皇の制度と日本共産党の立場/志位委員長に聞く/聞き手 小木曽陽司・赤旗編集局長
◆志位
 日本国憲法の「第1章 天皇」を読みますと、この憲法が、天皇とその制度を、主権者である国民の全面的なコントロールのもとにおくものとなっているところが、大切なところだと思います。
 憲法第4条は、天皇は「国事に関する行為」のみを行い、「国政に関する権能を有しない」と明記しており、その国事行為は、憲法第4条・第6条・第7条で13項目にわたって限定的に列挙され、さらにそれらの国事行為についても「内閣の助言と承認を必要」とする(憲法第3条)とされています。
 さらに憲法第8条で、皇室の財産授受について、「国会の議決に基かなければならない」とされ、これも国会のコントロールのもとにおいています。
 これらの憲法の諸条項は、主権者である国民、その代表者が構成する国会、国会の指名にもとづく内閣と、天皇との関係を規定したものとして、いま天皇の制度を論じるさいにも、まずおさえておくべき基本中の基本だと考えます。

【参考終わり】

 自由社の「日本の皇室は、神話の時代から現代まで続く」との記述には「神話を史実と誤解する*5」として、「仁徳天皇は世界一の古墳に祀られている」との記述には「表現が一般的ではない」などとして検定意見がつき、認められなかった。

 「世界一の古墳」というのは「意味不明」ですよね。「大きさ(面積)が世界一」なのか、「古さが世界一(つくられた時代が一番古い)」なのか、何が世界一なのかさっぱりわかりません。
 たとえば「世界一の人口の国家・中国」「世界一の面積の国家・ロシア」を「世界一の中国(あるいはロシア)」と書いたら意味不明なのと同じ事でしょう。
 「表現が不適切」と言う検定意見は全く当然の指摘でしょう。

 令和3年度から全面実施される中学校の新学習指導要領には、伝統や文化への関心を高め、我が国の歴史に対する愛情を深める-との内容が明記されている。
 近現代史に詳しい憲政史家の倉山満氏*6は「少なくとも歴史への愛情を深めるという点で、教科書検定が機能しているとはいえない」と指摘している。

 「愛情を深める」とは「負の側面を無視する」と言う話ではない。「朝鮮学校教科書は北朝鮮の負の側面を無視してる」と抜かす産経が良くもこんなことを言ったもんです。その理屈なら朝鮮学校教科書が北朝鮮に批判的でなくても何ら問題ないでしょうよ。
 大体、倉山なんか「憲政史家」などではなくただのプロ右翼でしかない。


自民・森山氏「極めて遺憾」 河井案里氏秘書ら起訴 - 産経ニュース
 自民が擁立した候補なのに「申し訳ない」ではなく「遺憾」と他人事発言とは全く無責任です。


【主張】東京五輪の延期 IOCに早期の決断求む 今夏の大会実施は不可能だ - 産経ニュース
 安倍とバッハの「延期検討」を「事実上の延期決定だ」と見なし「延期は当然」と宣伝する産経です。


JOCの山下会長も延期容認「アスリートの安全確保できなければ」(1/2ページ) - 産経ニュース

 今夏の東京五輪パラリンピックについて、国際オリンピック委員会(IOC)が延期を含めた検討に入る方針を発表したことを受け、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕*7会長は23日、東京都内で記者会見を開き、「アスリートの安全を確保できないのであれば、延期以外の選択肢はない」と述べて、延期について容認する考えを明らかにした。

 JOC理事・山口香*8が延期論を口にしたときは

JOC山下会長、理事の延期発言に「極めて残念」 - 東京オリンピック:朝日新聞デジタル
 日本オリンピック委員会JOC)の山下泰裕会長は20日JOC理事でソウル五輪女子柔道銅メダリストの山口香氏が東京オリンピック(五輪)を「延期すべき」と発言したことについて、「色々な意見があるのは当然だが、JOCの中の人が、そういう発言をするのは極めて残念」と述べた。

としてさんざん非難した男が「安倍とIOCバッハ会長」が延期もあり得ると言い出すや、これです。
 どれほど自主性がないのか。
 というか、山口が延期論を口にした時点で海外からも延期論が出ており、「延期は充分あり得る話(その意味では山口はそんなにすごいことを言ったわけではない)」であり、あそこまで山下が悪口した理由が分かりません。
 「安倍首相もバッハ会長も、森東京五輪組織委員会委員長(元首相)も小池都知事も延期なんて言ってない」で「だから延期なんかない」「延期論を唱える山口を容認したら日本政府やIOCににらまれる」と山下が思っていたのならとんちんかんにもほどがあります。

*1:著書『兵隊万葉集』(2007年、幻冬舎新書)、『中国人vs日本人』(2008年、ベスト新書)、『戦時演芸慰問団 「わらわし隊」の記録:芸人たちが見た日中戦争』(2010年、中公文庫)、『満州とアッツの将軍 樋口季一郎』(2010年、文春新書)、『松井石根南京事件の真実』(2011年、文春新書)、『昭和十七年の夏 幻の甲子園:戦時下の球児たち』(2012年、文春文庫)、『永田鉄山』(2015年、文春新書)、『世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」』(2018年、PHP新書)、『ペリリュー玉砕 南洋のサムライ・中川州男の戦い』(2019年、文春新書)など

*2:著書『旧皇族が語る天皇の日本史』(2008年、PHP新書)、『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』(2010年、PHP新書)、『怨霊になった天皇』、『語られなかった皇族たちの真実』(以上、2011年、小学館文庫)、『日本人はなぜ日本のことを知らないのか』(2011年、PHP新書)、『アメリカの戦争責任:戦後最大のタブーに挑む』(2015年、PHP新書)、『日本人の原点がわかる「国体」の授業』(2016年、PHP文庫)、『天皇は本当にただの象徴に堕ちたのか:変わらぬ皇統の重み』(2017年、PHP新書)、『日本の民主主義はなぜ世界一長く続いているのか』(2019年、PHP新書)など

*3:著書『草原と馬とモンゴル人』(2001年、NHKブックス)、『モンゴル草原の文人たち:手写本が語る民族誌』(2005年、平凡社)、『ユーラシア草原からのメッセージ:遊牧研究の最前線』(共著、2005年、平凡社)、『チンギス・ハーン祭祀』(2005年、風響社)『墓標なき草原(上)(下):内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2009年、岩波書店→後に2018年、岩波現代文庫)、『続・墓標なき草原:内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(2011年、岩波書店)、『中国とモンゴルのはざまで:ウラーンフーの実らなかった民族自決の夢』(2013年、岩波現代全書)、『植民地としてのモンゴル:中国の官制ナショナリズムと革命思想』(2013年、勉誠出版)、『ジェノサイドと文化大革命内モンゴルの民族問題』(2014年、勉誠出版)、『モンゴルとイスラーム的中国』(2014年、文春学藝ライブラリー)、『チベットに舞う日本刀:モンゴル騎兵の現代史』(2014年、文藝春秋→2020年、中公文庫)、『狂暴国家中国の正体』(2014年、扶桑社新書)、『日本陸軍とモンゴル:興安軍官学校の知られざる戦い』(2015年、中公新書)、『モンゴル人の民族自決と「対日協力」:いまなお続く中国文化大革命』(2016年、集広舎)、『フロンティアと国際社会の中国文化大革命: いまなお中国と世界を呪縛する50年前の歴史』(共著、2016年、集広舎)、『「中国」という神話:習近平「偉大なる中華民族」のウソ』(2018年、文春新書)、『「知識青年」の1968年:中国の辺境と文化大革命』(2018年、岩波書店)、『最後の馬賊:「帝国」の将軍・李守信』(2018年、講談社)、『モンゴル人の中国革命』(2018年、ちくま新書)、『モンゴル最後の王女:文化大革命を生き抜いたチンギス・ハーンの末裔』(共著、2019年、草思社文庫)、『独裁の中国現代史:毛沢東から習近平まで』(2019年、文春新書)、『逆転の大中国史』(2019年、文春文庫) 、『中国が世界を動かした「1968」』(共著、2019年、藤原書店)など。

*4:検定意見の数は他社と比べると多いですが

*5:当然の指摘でしょう。

*6:著書『嘘だらけの日米近現代史』(2012年、扶桑社新書)、『嘘だらけの日韓近現代史』、『嘘だらけの日中近現代史』(以上、2013年、扶桑社新書)、『帝国憲法の真実』(2014年、扶桑社新書)、『嘘だらけの日露近現代史』(2015年、扶桑社新書)、『嘘だらけの日英近現代史』(2016年、扶桑社新書)、『嘘だらけの日仏近現代史』、『日本一やさしい天皇の講座』(以上、2017年、扶桑社新書)、『国民が知らない上皇の日本史』(2018年、祥伝社新書)、『明治天皇の世界史』(2018年、PHP新書)、『嘘だらけの日独近現代史』(2018年、扶桑社新書)など

*7:ロス五輪男子柔道無差別級金メダル。国民栄誉賞受賞。全日本柔道連盟会長

*8:ソウル五輪女子柔道52キロ級銅メダル。全日本柔道連盟女子強化委員