今日の産経ニュース(2020年3月25日分)(副題:中学歴史教科書検定で色々)(追記あり)

【2020年4/21追記】
 けっきょく安倍晋三が首相であり続けること自体がこの連中の利権になっているのだから、お話にもならない - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの拙記事をご紹介頂きました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】

二階氏「憲法改正の環境つくる」 櫻井よしこ氏と会談 - 産経ニュース
 二階氏の場合、安倍のようなウヨと違い、本気で桜井よしこが好きなわけではないでしょう。後でも指摘しますが何せ二階氏を「媚中国(中国に媚びてる)」と散々悪口してきたのがよしこですが、それはさておき。
 桜井のような常軌を逸した極右と「憲法問題で話し合い」などしても改憲の機運には逆効果でしょう。自民支持層ですらよしこ支持者など少ないでしょうから。

 二階、櫻井両氏は日中関係や女性活躍推進の政策についても意見を交わした。

 「よしこは改憲派」とはいえ、改憲だけでもよしこと意見交換など「アホか」ですが「日中関係や女性活躍推進の政策についても意見を交わした」ねえ(呆)。よしこは「日中関係や女性活躍推進の政策」について意見を交わすべき相手なのか。
 よしこよりも「中国ビジネスに関わる財界人(日中関係)」「女性のやり手社長(女性活躍推進)」とでも話した方がいいでしょうに。
 まあ、よしこの「自分は女性ジャーナリスト」と言う自称(誰がどう考えてもよしこはただの極右活動家ですが)を受け入れたところでよしこと話をするくらいなら「江川紹子*1」「国谷裕子*2(元NHKクローズアップ現代』キャスター)」など「他の著名な女性ジャーナリスト」と話をした方がずっとましでしょう。彼女らの方がよしこよりまともな「女性活躍推進」の意見を持ってるのではないか?(まあ、ここで名前を挙げた江川や国谷は安倍に明らかに批判的ですけど)。
 というかよしこは二階氏のことを散々「中国にすり寄る守銭奴」扱いして悪口していたかと思うのですが、お互いどんな気持ちで「日中関係について意見を交わした」のか。

【2020年4/21追記】
 けっきょく安倍晋三が首相であり続けること自体がこの連中の利権になっているのだから、お話にもならない - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)に関して「id:Bill_McCrearyさんへの感謝の言葉」を追記した機会に

 よしこの「自分は女性ジャーナリスト」と言う自称(誰がどう考えてもよしこはただの極右活動家ですが)を受け入れたところでよしこと話をするくらいなら「江川紹子」「国谷裕子(元NHKクローズアップ現代』キャスター)」など「他の女性ジャーナリスト」と話をした方がずっとましでしょう。彼女らの方がよしこよりまともな「女性活躍推進」の意見を持ってるのではないか?

という文を書き加えましたが、ググったら江川は

・江川『「カルト」はすぐ隣に:オウムに引き寄せられた若者たち』(2019年、岩波ジュニア新書)

なんて本を最近出してるんですね。もちろん「カルトの恐怖(何もオウムや幸福の科学統一教会のようなインチキ宗教に限らず、日本会議などの謀略的極右運動、あるいはホメオパシーなどのエセ治療もカルトと言っていいでしょう)」は今もありますが、果たしてそれに今の「オウム残党」が該当するのかどうか。
 読まないとなんとも言えませんが「江川が過去に行ったオウム取材」を切り口に「カルト問題を考える」のならともかく、「今もオウムは危険だ」というなら「おいおい」ですね。


年内解散観測強まる 米大統領選後、総裁4選も視野 - 産経ニュース
 コロナに未だ終息の見込みがない中、まともな人間なら「年内解散説」など「今そんなことを云々してる場合か!」でしょうが、産経はまともでないので云々するわけです。
 まあ、あえて言えば一番「年内で解散」の可能性が高いのは「秋の習主席訪日直後」じゃないですかね。ただしこれとて「秋に習主席が本当に来れるのか」と言う問題がありますが。


外務省、全世界への不要不急の渡航自粛要請へ - 産経ニュース
 新型コロナを理由とした渡航自粛が当初の「中国、韓国、イタリア、イランなど限定」からついに「全世界」に拡大しました。
 とはいえ今の「コロナ蔓延国・日本」では外国の方が「日本人の渡航ノーサンキュー」でしょうが。


【正論】コロナ感染対策「異質の国」日本 がん研がんプレシジョン医療研究センター所長・中村祐輔 - 産経ニュース

厚生労働大臣の国会における答弁にもかかわらず、検査数が増えない理由については、検査態勢が整わないのか、一部の識者が述べているように意図的に検査を絞り込んでいるのか、私には知るすべはない。
・検査数が増えない理由について、「検査数が増えて、感染者(陽性者)数が増えると、その方たちを指定された病院に収容しなければならなくなり、結果として医療崩壊が起こるから」と説明する人が増えてきた。しかし、これは科学的に考えれば、本末転倒であり、WHO(世界保健機関)事務局長が「検査、検査、検査」と繰り返し強調した方針に反している。
・軽症であっても感染していれば他人に感染を広げ、その人たちの健康を害するのだから、当然だ。感染している人が他の人に広げないことが、最小限の被害で、終息に向かわせるために不可欠だ。
医療崩壊を防ぐために数字を抑え込むのは科学的ではない。現実を直視することなく、この手ごわい感染症を封じ込めることは難しい。
 もし、検査を抑え込んだまま感染が深く静かに広がれば、一気に危機的状況を生み出してしまう。PCR検査で感染者数が急増したとしても、無症状者や軽症者を収容できる体制を整え、重症者が十分な医療を受けることができる環境整備が国の責任だ。軽症者のためにホテルや企業の研修所などを短期間転用するなどの措置は海外でも実施されている。
・疑わしきは検査をして感染者をできる限り見つけ、隔離するのが健康被害を最小限にする最善の方策のはずだ。

 内容的には健康保険でPCR検査を - 高世仁の「諸悪莫作」日記WHO「検査、検査、検査」 - 高世仁の「諸悪莫作」日記などと同じです。明らかに安倍政権批判であり、産経がこんなコラムを掲載するとは意外です。


【浪速風】森友学園問題に潜む不気味さ - 産経ニュース

 官僚が政府に都合のいいように事実を曲げて文書を作り、つじつまが合わなくなると過去の記録を改竄(かいざん)する。政府の発表に疑いを抱き、真実を追うことは命がけ。ジョージ・オーウェル*3の小説「1984*4」が描く空想の世界だが、現代日本に相似形がある。いまだ決着しない森友学園問題だ。 
▼文書改竄に携わったことを苦にして自殺した元財務省近畿財務局職員、赤木俊夫さんの手記が公開された。赤木さん自身が知る経緯を詳細に記している。家族にわび、死を恐れて乱れる筆跡は読む者の心を締め付ける。遺族が真実を求めるのは当然だ

 安倍批判はしない、できないとはいえ、産経がここまで書くとは意外です。


「不正な教科書検定に抗議」 つくる会が声明 - 産経ニュース

 声明では、同教科書に付けられた405件の検定意見のうち、7割以上*5が「誤解するおそれがある」「理解しがたい」という恣意(しい)的なもので、納得できる具体的指摘はほとんどなかった-と指摘。

 そこまで言うなら国相手に訴訟しろよという話ですが、「自民党との完全な決裂」を恐れて、おそらくできないんでしょうねえ。
 そして「7割以上は恣意的だった」と言うこの記事からは「アンチつくる会」で「性格がゆがんでる俺」としては「ということは残りの3割以下は文科省の指摘が正しかったんですか?」「なら不合格も当然じゃないですか?」と思いますね。


【主張】中学教科書検定 偏向記述是正が不十分だ - 産経ニュース
 「事実に反する」ならまだしも「偏向」とは心底呆れます。価値観の問題で「誰がどんな基準で偏向と評価する」のか、真面目に考えたらこんな言葉は安易には使えません。
 例えば俺にとっては「死刑廃止論」は正論ですが、岡村勲にとっては偏向でしょう。
 しかも産経の場合「南京事件慰安婦などを書くのは自虐で反日で偏向だ。国の恥を教科書に書くな」。
 その理屈なら

・ドイツでナチホロコーストを歴史教科書に書くのは自虐で偏向だ
・ロシアでスターリン粛清を(以下略)
・中国で文革を(以下略)

になるでしょう。あるいは朝鮮学校教科書が「産経らウヨが非難するように」仮に北朝鮮政府に対し「評価が大甘」でも何ら問題ありませんが、そうはならないのが産経ですから全くデタラメです。

 教科書にも禍根を残す河野談話の見直しは欠かせない。

 安倍は河野談話撤回などもはやしないでしょうが、それはさておき。
 その理屈なら「ドイツ政府が公式にホロコーストの事実を否定」したら、それにドイツの歴史研究者や歴史教科書執筆者も拘束されるのかという話です(まあドイツ政府はそんな馬鹿なことをしませんが)。そんな馬鹿な話はない。
 「政府の方針(この場合は河野談話撤回)に歴史教科書は従え、それがたとえ事実に反していても」てそれではもはや検定ではなく国定と何一つ変わらない。

 朝鮮人労働者らの徴用についても「過酷な条件の下での労働を強いられた」などと「強制連行」と誤解させるような記述がまかり通っている。

 やれやれですね。徴用を「強制連行」と評価するのは世界の常識、学界の通説でしょうに。誤解でもなんでもない。

 そうした自虐史観の見直しに取り組んできた「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する自由社版歴史教科書が不合格になったのは残念である。検定まで自虐史観にとらわれていないか。

 「はあ?」ですね。育鵬社教科書は合格したのに何でそんな話になるのか。「検定まで自虐史観」云々なら育鵬社(産経グループ扶桑社の子会社)だって不合格でしょう。
 というか、あの不合格は「安倍首相、萩生田文科相内閣官房副長官を務めた安倍の側近の一人)が産経シンパの極右であること」「育鵬社教科書は合格したこと」「この自由社不合格問題での産経の文科省批判に明らかに熱意がなくおざなりであること」を考えれば、どう見ても
1)産経ら育鵬社側が安倍や萩生田に「自由社教科書を不合格にしてくれ」と要請して、仕掛けた自由社潰しであり
2)にもかかわらず、「自由社不合格が悲しい」かのように心にもない嘘八百を書いて「不合格は俺たちの仕込みじゃないよ。自由社育鵬社のライバルでも同じウヨ仲間だからそんな卑劣なことはしないから」と言い訳し、清廉潔白であるかのようなアリバイ作りすると共に、卑劣にも「自分のやったこと」で左派に言いがかりを付けるという「産経らしい卑劣な行為」でしょう。 
 2)など「自分がしたこと(自由社潰し)を他人のせいにして攻撃するとはどこまで卑劣なのか」「まるで張作霖爆殺や満州事変を中国の犯行と強弁した関東軍だな」「まるで警察の転び公妨だな」ですね。
 おそらく、高池や藤岡、三浦小太郎ら自由社版・つくる会も「俺たちが不合格で、育鵬社が合格て明らかにおかしいやろ。明らかに産経の謀略やな」と思ってるでしょう。
 ところが本心ではそう思ってるくせに、いつまで経っても産経批判ができないのだから、高池や藤岡、三浦小太郎らは呆れたバカであり、腰抜けです。どれほど産経にびびってるのか。
 高池ら「自由社版・つくる会ウヨ」にとって、産経はここまで酷い目に遭わされても「神聖にして犯すべからず」「神様、仏様、産経新聞様」なのか。たかが産経相手にそんな奴隷根性でよくもまあ「愛国者面してるな、恥ずかしくねえの?」「産経に逆らったら君らはウヨ業界から粛清されちゃうの?。文革時の毛沢東並みの絶大な権威、権力がウヨ業界での産経にはあるの?」ですね。
 しかしこうなると「学び舎の合格それ自体」はうれしいのですが、あの合格は「学び舎&自由社不合格、育鵬社合格では露骨すぎるから、『将来はともかく』今回は学び舎は合格にしよう」というアリバイ作りの一環かもしれません。

 一面的な記述を排し、多角的に考える力を養う教科書の編集と検定のあり方をいま一度、見直してもらいたい。

 もちろん「一面的な記述を廃し多面的に考える」というなら「自虐的記載反対(慰安婦のことなど教科書に書くな等)」などという産経は矛盾しています。
 産経のいう「一面的記述を廃し多面的に考える」とは「歴史学会の通説や政府見解に反していようとも俺たち産経の言い分を認めろ」という話でしかないからこそこういう変な話になるわけです。
 在特会などがいう「ヘイトスピーチ表現の自由として認めろ」という暴論と同レベルのへりくつです。

*1:著書『私たちも不登校だった』(2001年、文春新書)、『勇気ってなんだろう』(2009年、岩波ジュニア新書)、『名張毒ブドウ酒殺人事件:六人目の犠牲者』(2011年、岩波現代文庫)、『「カルト」はすぐ隣に:オウムに引き寄せられた若者たち』(2019年、岩波ジュニア新書)など

*2:著書『キャスターという仕事』(2017年、岩波新書

*3:著書『カタロニア讃歌』(岩波文庫ちくま学芸文庫)、『動物農場』(岩波文庫ちくま文庫、ハヤカワepi文庫)、『パリ・ロンドン放浪記』(岩波文庫)、『あなたと原爆』(光文社古典新訳文庫)、『ウィガン波止場への道』(ちくま学芸文庫)、『鯨の腹のなかで』、『象を撃つ』、『ライオンと一角獣』(以上、平凡社ライブラリー)など

*4: 邦訳はハヤカワepi文庫。

*5:「100パー、10割、全部恣意的だった」と言わないのが謎です。変なところで正直者(?)なのか。