今日の産経ニュース(2020年4月5日分)

PCR検査、拡充鈍い日本 ニーズ急増、医療態勢維持しつつ強化急ぐ(1/2ページ) - 産経ニュース
 ということで「今、政府も頑張って検査態勢を拡充しようとはしている」という「政府へのかばい手」付きとは言え「それにしても諸外国に比べ検査の量が少なすぎる」と安倍政権批判する産経です。


西村担当相「現在の自粛続けば終息できる」NHK討論番組 - 産経ニュース
 「現在の自粛で終息につなげたい」ならまだしも、何でこんなことが言えるのかさっぱり分かりません。
 「不要不急の外出」を避けたところでたとえば「東京在住」「平日に東京に通勤、通学」の場合
・「東京在住の場合」→「他県に引っ越す」
・「東京に通勤通学の場合」→「会社や大学が在宅学習、在宅勤務を認めるか、当面、通勤、通学不要とする」「都内の学校、会社から他県の学校、会社に転学、転職」でもしない限り、「東京で何らかの外出をせざるを得ない」わけです。マスクだって不足してる。
 コメ欄で指摘もありますが、イタリアなど海外でも既に東京レベルの自粛は実施中でしょう。それでもすぐには終息の見通しがつかない。
 下手に悲観論を唱えるのもまずいですが、記事が事実なら、なんでこう安易に楽観論なのか理解できません。


コロナ拡大「国のせいにしないで」 国交政務官ツイート波紋 - 産経ニュース
 「じゃあ誰のせいだと言うんだ?。自治体(コロナが蔓延しているという北海道、東京、大阪、兵庫)か、医療機関か、個々のコロナ患者か?(追記:コメント欄で『中国ではないか?』と言う指摘を頂きました)」「他人に責任転嫁する前に、我々、国が力不足で蔓延させて済みませんつうのが常識だろうが!。それが言えないならせめて黙ってろ!」て話です。
 当然ながら批判が殺到していますし、国交大臣政務官*1という小物政治家のため産経ですら、やや腰が引けていますが

国土交通省の佐々木紀政務官自民党衆院石川2区)が4日、新型コロナウイルス感染拡大に関し「国のせいにしないでくださいね」とツイッターに書き込んでいたことが分かった。
・佐々木氏は5日、問題の書き込みを削除。新たに「不適切でした」とツイートした一方で「国だけの責任にしないでくださいね」とも発信した。元の文言をわずかに書き換えたこの表現で沈静化を図る考えとみられるが、批判の声は依然根強い。
・ネット上には「責任逃れだ」「国民のせいにするな」などの声が相次いでいる。

として批判し、擁護などさすがにしません。


【花田紀凱の週刊誌ウオッチング】〈765〉1930年代の世界大恐慌に匹敵? - 産経ニュース

 『週刊朝日』(4・10増大号)で小泉純一郎*2元総理が〈独白60分〉「小泉純一郎氏が最後通告『安倍さん*3は辞めざるを得ない』」。
 コロナ国難のこんな時期に必死に頑張っている総理を第三者的に口撃。元総理であり、今でも自民党員だろう。言いたいことがあるなら、先輩として直接、忠告したらいい*4ではないか。
 立場をわきまえていただきたい。

・もともと小泉氏が重用していたのは安倍ではなく「谷垣*5財務相」「福田*6官房長官」であり、福田官房長官の後任官房長官も「安倍官房副長官ではなく細田*7官房副長官」でした。「救う会、家族会のごり押し」に屈して幹事長や官房長官に登用したにすぎません。今の小泉氏は「モリカケ桜を見る会の安倍など重用しなければ良かった」という後悔の念があるのでしょう。
・花田や産経の安倍万歳ぶりはいつものことですが呆れます。東日本大震災という国難の時期に頑張っていた菅*8首相を誹謗していた連中がよくもこんなことがいえたもんです。
 まあ、産経はともかく、花田は「マルコポーロのデマ記事(ホロコースト否定記事)」が転機だったのでしょうね。マルコのデマ記事以前は週刊文春編集長などを務め「やり手編集者」扱いされ、「将来の重役候補の一人」だったのが、あのデマ記事(当時、マルコ編集長)で当時の文春社長は引責辞任。花田も文春で閑職(戦後史企画室)に追いやられ、不満から退職。
 おそらく花田が「マルコポーロのデマ記事」という暴挙をやった理由は

・いわゆる女子高生コンクリート詰め殺人事件で、「野獣に人権はない」と週刊文春編集長として加害少年の実名報道にゴーサインを出し、批判をあびたが、文春内部では「悪名は無名に勝る」で黙認された成功(?)体験

でしょうが、デマ記事に対するサイモン・ウィーゼンタールセンターの抗議は「文春雑誌への大企業の広告出稿自粛」を生み、「悪名は無名に勝る」ですむものではなかったわけです。その結果、「繰り返しますが」社長は引責辞任し、花田は閑職に追いやられ、いたたまれなくなって退社するわけです。
 文春退社後、一番最初にやった仕事が「朝日新聞女性誌『uno!』の編集長」ですが、朝日も花田も「女性誌編集のノウハウなどなかったせいか」、お粗末な結果で『uno!』は休刊。花田は編集長を辞任し、朝日を去ります。明らかに花田も朝日上層部も「女性誌編集を舐めていた」というべきでしょう。
 なお、恩知らずにも、こうして一度は拾ってくれた朝日に花田が今あることないことデマ中傷してるのは今更言うまでもないでしょう。まあ、週刊文春編集長時代から花田が朝日を誹謗していたこと、花田の退社理由がマルコのデマ記事であること、花田に女性誌編集経験がないこと、そうしたことから筑紫哲也氏、本多勝一氏など多数の朝日OBが花田登用を「過去にデマ記事を掲載して恥じない人間、しかも女性誌編集経験のない人間を女性誌編集長に登用するなど有害無益」「これでは女性誌は多分失敗する(女性誌編集経験のあるまともな人間を編集長にすべき)」などと批判していたのにそれを無視したことを考えれば、当時の朝日上層部の花田登用は愚劣にもほどがありますが。
 その後

角川書店『MEN'S WALKER』編集長→月刊誌『宣伝会議』(株式会社・宣伝会議)編集長→月刊誌『WILL』(ワック社)編集長

などと「成績不振による編集長辞任」などから雑誌編集長を転々として、結局、今の仕事は「月刊HANADA(飛鳥新社)」編集長の訳です(ウィキペディア花田紀凱』参照)。マイナー出版社(飛鳥新社)の「ワンパターンな内容(中韓叩き、安倍万歳など)のウヨ雑誌編集長」など、内心では花田にとって「俺は昔は文春や朝日、角川で仕事をやっていたんだ!」と「屈辱でしかない」でしょうがもはや花田には「他に生きる道がない」わけです。


【論点 働き方改革】“勤勉”ニッポン人はどこへ行く 山本一力/高池勝彦/岡崎淳一 - 産経ニュース

 作家の山本一力*9、弁護士の高池勝彦*10、元厚生労働審議官の岡崎淳一氏*11

 働き方改革というテーマでありながら、意見を聞いた人間の内、専門家と言えるのが「元厚労官僚の岡崎氏だけ」と言う酷い記事です。
 残りの二人は専門家でもなんでもない産経文化人だから呆れます。
 高池は弁護士とはいえ「労働問題専門の弁護士」と言うよりただのプロ右翼活動家ですし、山本に至ってはただの歴史小説作家です。
 「労働法の研究者(大学教授など)」「労働問題専門のジャーナリスト」「高池とは違うまともな労働問題専門の弁護士」「与野党の国会議員」「日本経団連労務担当役員」「連合、全労連全労協など労組関係者」などいくらでも他に適切な人間はいるでしょうに。
 最後に「働き方改革」でググってヒットした本(入手が比較的容易な新書、ブックレットなど)をいくつか紹介しておきます。

【発行年順(発行年が同じ場合は出版社名順)】
◆内田良*12、上地香杜、加藤一晃、野村駿、太田知彩『調査報告 学校の部活動と働き方改革:教師の意識と実態から考える』(2018年、岩波ブックレット)
◆久原穏『「働き方改革」の嘘:誰が得をして、誰が苦しむのか』(2018年、集英社新書)
◆宮前忠夫*13『あなたは何時間働きますか? ドイツの働き方改革と選択労働時間』(2018年、本の泉社)
◆植山直人、佐々木司『安全な医療のための「働き方改革」』(2019年、岩波ブックレット)
◆澤路毅彦、千葉卓朗、贄川俊(朝日新聞取材班) 『ドキュメント 「働き方改革」』(2019年、旬報社
◆内田良、広田照幸*14、高橋哲、嶋崎量、斉藤ひでみ『迷走する教員の働き方改革:変形労働時間制を考える』(2020年、岩波ブックレット)

*1:厚労大臣政務官でないだけまだマシとも言えますが、一方で「所管省庁でもないのに何でこんなこというのか?」と全く頭痛がします。加藤厚労相厚労省側にとってはいい迷惑でしょう。

*2:宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相を経て首相

*3:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*4:誰が考えても「直接忠告しようにも安倍が会おうとしないからこうなるのだ」ということは予想がつくでしょうに、よくもいったもんです。で、それについては「会う義務はない」とでもいうのが花田と産経でしょうが。

*5:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政調会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相自民党総裁、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*6:森、小泉内閣官房長官を経て首相

*7:小泉内閣官房長官自民党幹事長(麻生総裁時代)、総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*8:社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相を経て首相

*9:2002年には『あかね空』(現在は文春文庫)で直木賞を受賞

*10:新しい歴史教科書をつくる会」会長。著書『反日勢力との法廷闘争:愛国弁護士の闘ひ』(2018年、展転社

*11:著書『働き方改革のすべて』(2018年、日本経済新聞出版社)、『働き方改革』(2019年、日経文庫)

*12:著書『教育という病:子どもと先生を苦しめる「教育リスク」』(2015年、光文社新書)、『学校ハラスメント』(2019年、朝日新書)など

*13:著書『週労働35時間への挑戦:戦後ドイツ労働時間短縮のたたかい』(1992年、学習の友社)、『人間らしく働くルール:ヨーロッパの挑戦』(2001年、学習の友社)、『企業別組合マルクス・エンゲルスの労働者組合論』(2019年、共同企画ヴォーロ)、『(増補改訂版)企業別組合は日本の「トロイの木馬」』(2019年、本の泉社)

*14:著書『陸軍将校の教育社会史』(1997年、世織書房)、『日本人のしつけは衰退したか』(1999年、講談社現代新書)、『教育言説の歴史社会学』(2001年、名古屋大学出版会)、『教育には何ができないか』(2003年、春秋社)、『教育不信と教育依存の時代』(2005年、紀伊國屋書店)、『「愛国心」のゆくえ:教育基本法改正という問題』(2005年、世織書房)、『格差・秩序不安と教育』(2009年、世織書房)、『教育論議の作法』(2011年、時事通信社)、『教育は何をなすべきか』(2015年、岩波書店)、『教育改革のやめ方』(2019年、岩波書店)、『大学論を組み替える』(2019年、名古屋大学出版会)など