黒坂真に突っ込む(2020年5月10日分)

黒坂真リツイート
 日本共産党本部の皆さん。中国共産党が世界中でどんなに覇権主義的な行動をとろうと、人民解放軍尖閣に侵攻するなどありえないと信じていますか。志位さんは中国はリアルな脅威でないと明言している。
志位和夫
 中国公船が、尖閣諸島領海侵入のうえ、日本漁船に接近・追尾するという行動をとったことに強く抗議する。
 全世界が協調してコロナ禍に立ち向かうべき時に、東シナ海*1でも、南シナ海*2でも、中国指導部が覇権主義的な行動を続けていることは、厳しく批判されなければならない。

 そりゃ侵攻しないと志位氏ら共産党執行部は考えてるでしょう。理由は簡単でメリットがないからです。メリットのないことは誰もしない。
 例えば「日本の太平洋戦争」にせよ「ドイツの対英、対ソ戦争」にせよ「実際には敗北したし、開戦前から敗北の危険性は指摘されていた」のに開戦したのは「敗戦して国を滅ぼしたかったから」ではもちろんなく「その判断は明らかに間違っていた」わけですが、当時の日本やドイツの政府指導部(昭和天皇ヒトラーなど)が「戦争に勝てる」「そして勝つことで経済的利益が得られる」と思ったからです。
 現在の中国が「尖閣に侵攻して勝てる、そしてそのことで経済的利益が得られる」と考える可能性はまずない。「愚かで無謀だったヒトラー昭和天皇とは違い」そこまで中国・習近平指導部も愚かでも無謀でもないでしょう。
 自衛隊が世界有数の軍事力であること*3を考えれば「中国軍が自衛隊に軍事的に勝利できるかどうか」自体疑問符がつきますが、仮に中国軍が勝利しても「国際的な非難&対中国・経済制裁」で「軍事で勝っても政治で負ける」ことになる。今は「日清、日露戦争の時代」とは違い「軍事的勝利」は必ずしも政治的勝利を意味しない。
 「軍隊を投入すれば簡単に叩き潰せる香港デモ」ですら「国際的な非難&対中国・経済制裁」を恐れて「警察(機動隊)投入」しか出来ない中国が「尖閣侵攻」なんてもっとハードルの高いことをやるわけがない。
 そしてそんなリスクを冒すほどのメリットは尖閣侵攻にはありません。尖閣周辺の漁業権なんてたいした利益ではない。「尖閣に埋蔵されていると予想される石油、天然ガス利権」も現時点では「埋蔵されてる可能性が高い」程度のあやふやな話にすぎません。実際に石油、天然ガスの採掘が行われて利益が上がってるわけではない。
 大体、「日本共産党云々」ではなく安倍自民や公明党だって尖閣侵攻があり得るとは考えてないでしょう。そんなことを安倍が考えていたら「秋の習主席・国賓訪日」など計画するわけがない。黒坂らウヨも本心ではそんな事があると思ってないでしょう。
 そもそも黒坂の言う「中国の覇権主義」とは何なのか。
 現在、中東やアフガンに軍事介入している、あるいはは過去にはベトナムキューバなどに軍事介入(キューバの場合は未遂ですが)した米国の方がよほど中国より「覇権主義」でしょう。
 中国などせいぜい「南シナ海紛争でのベトナムやフィリピン」「尖閣紛争の日本」「国境紛争でのインド」「台湾(独立路線を目指してると疑われる蔡英文政権との対立)」くらいしか「軍事的対立の危険性があるもの」はないし、それにしたって「米国の対外軍事介入」に比べたらかわいいもんです。
 もちろん国内の人権問題(ウイグルチベットなどの少数民族問題、香港デモなど)は是非はともかく覇権主義という話ではない。
 それにしても「秋の習主席・訪日」に配慮して志位氏程度の中国批判すらできない安倍を批判しない黒坂らウヨの反中国も全くデタラメな代物です。

*1:日本、台湾、中国の間の領土紛争である尖閣問題のこと

*2:中国、台湾、フィリピン、ベトナムの間の領土問題である南沙諸島問題のこと

*3:もちろん憲法九条の観点から考えれば現状は不適切で、軍縮が必要です