珍右翼・黒坂真に突っ込む(2022年12月31日、1月1日分)

◆黒坂ツイート

黒坂真
 志位さんの新春インタビューから、志位さんが中朝を非同盟中立国と見ている事がわかりました。志位さんは中朝友好協力相互援助条約を無視しています。

 何のことかと言えば次の記述です。

「戦争か、平和か」――歴史的岐路の年をどうたたかうか/新春インタビュー 志位委員長 大いに語る
◆志位
 アジアをヨーロッパと比較してみた場合に、いくつかの違いがあるということを強調したいと思います。
 第一に、最大の違いは、アジアには軍事同盟が二つしかないということです。日米軍事同盟と米韓軍事同盟しかない。オセアニアの米豪軍事同盟*1とあわせても三つしかない。東南アジアを中心とした軍事ブロック・東南アジア条約機構(SEATO*2)は解体しました。南アジアから中東にかけて存在していた軍事ブロック・中央条約機構(CENTO*3)も解体しました。ヨーロッパにあるNATO*4のような多国間の軍事同盟は、アジアではすべて解体し、非同盟・中立が圧倒的な流れになっているのです。

 確かに志位氏の言及からは「中朝同盟」が漏れていますが、これは1)単純ミス(上げるのを忘れた)、2)確かに同盟(条約)自体は存在するが、「北朝鮮の核実験」に中国が反発した影響で、長らく中朝共同軍事演習が行われず、一部の『中国の北朝鮮専門家』からは「正式に条約を廃棄してはどうか」という意見が出るなど、かなり形骸化しているので「NATO日米安保、米韓安保と同列に比較、評価できる軍事同盟」と志位氏は評価していない*5、のどちらかで理解すべきでしょう(どちらかは志位氏に確認しないと分かりませんが)。黒坂もそんなことは分かってるだろうにずいぶんな揚げ足取りです。なお、黒坂が触れてない点について「俺の知ってる限りのこと」を言えば「米国・フィリピン関係」「(軍事同盟とまでは言えないかもしれないが)クアッド*6」が「やや微妙」ですね。
米比相互防衛条約 - Wikipediaは1991年に失効し、「常駐の米軍基地はフィリピンから無くなった」ものの、アブ・サヤフ鎮圧作戦、中国との領土紛争などもあって、
訪問米軍に関する地位協定 - Wikipediaが1999年に締結されています(つまり旧民社の「常時駐留なき安保」に近い状態ではないかと考えられる)。

黒坂真
 志位さんのインタビュー記事を読みました。志位さんは、西欧諸国が東欧諸国のNATO加盟を認めたことは、軍事力によってロシアを抑止するという戦略だから外交の失敗と見ています。これにより、ロシアがウクライナを侵攻したと見る。

 「主張の是非はともかく*7」志位氏の話は「要約すれば」以下の通りです(後で記事を紹介しますが)。
 「NATOが拡大したからロシアが侵攻した」ではなく「ロシアが侵攻しても平和的方向を目指すべき。フィンランドスウェーデンは伝統的な中立政策を堅持しNATOに加入すべきでは無かった」「ロシアに非があるのは当然だが、NATOの東方拡大では無く、もっとOSCE*8(ロシアも包含する仕組みとして作られた)を活用すべきだった。」「欧州で意見交換した左派、リベラル政党にはそうした日本共産党の主張に共感する意見が多かった」と言う話です。これを「NATOの拡大でロシアが侵攻した」と表現するのは「曲解(と言うかデマ)」も甚だしい。
 さてid:kojitakenはこうした志位氏の主張についてどう評価するのか気になるところです。「NATOの東方拡大を問題視するのはロシア擁護だ」と言って「黒坂と同レベルの悪口雑言」したあげく「親露のれいわの悪影響だ」とでも強弁するのか。まあ、「ロシアが全て悪い(ウクライナNATO側には何ら問題は無い)」というあの男ならそういう暴論を吐いてもおかしくないですが。ロシアが悪いのは当然として「そうした外交の失敗を回避できなかった」というのが「NATOの拡大はすべきでは無かったのでは無いか」等の話(今回の志位発言もその一例)ですがkojitakenや黒坂のような輩*9は「複雑な話が理解できない」のか、「故意に因縁をつけてる」のか、そうした主張をロシア擁護と決めつけるから呆れます。

参考

「戦争か、平和か」――歴史的岐路の年をどうたたかうか/新春インタビュー 志位委員長 大いに語るから一部引用
◆志位
 重大なことは、ロシアの暴挙に乗じて、ユーラシア大陸の東と西で軍事ブロックの強化と大軍拡の逆流が起こったということです。ヨーロッパでは、フィンランドスウェーデン北大西洋条約機構NATO)加盟の申請を行い、「欧州のNATO化」と言われる事態が起こっています。日本では、12月に「安保3文書」――国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の閣議決定が強行されるなど、「専守防衛」を完全にかなぐりすてる「戦争国家づくり」の暴走が始まっています。
 ただ、世界の流れを大局で見ると、危機のもとでも、外交と理性の力で平和をつくろうという流れもたしかな広がりを見せています。
 ロシアの侵略を国連憲章違反と断罪する国連総会決議が3回にわたって140カ国以上が賛成して採択されました。昨年6月には、核兵器禁止条約の第1回締約国会議がウィーンで開かれて大きな成功をおさめ、禁止条約が国際法のたしかな一部として力を発揮しだしています。
 東南アジア諸国連合ASEAN*10)を中心とした平和の流れが、危機のなかでも「対話と協力で平和を築く」という着実な歩みを進めています。ヨーロッパでも大軍拡と軍事ブロックの強化という大逆流に屈しない、左翼・進歩政党が健闘しています。
 そして、日本でも、大軍拡を許さない新しい市民的・国民的運動が開始されています。これまでにない広範な方々が「こんな道は許さない」という声をあげ始めています。
 今年は、世界でも日本でも、「戦争か、平和か」が問われる歴史的な岐路の年になると思います。
 ヨーロッパには、ロシアも含めて全ての国を包摂した欧州安保協力機構(OSCE)という機構が実はあったし、今でもあるんです。1970年代に原型になるものがつくられ、ソ連崩壊後にさらに発展して、99年のOSCEの首脳会議では、欧州安全保障憲章を制定して、欧州における紛争を平和的に解決するという宣言がされた。ここまで前進したんです。
 ところが「お互いに敵とはみなさない」と、インクルーシブ=包摂的な平和の枠組みをつくったにもかかわらず、NATOもロシアもそれを横に置いてしまった。軍事力によって、お互いに相手の攻撃を抑止するという基本戦略を変えなかった。OSCEは、本来の役割を発揮できなかった。侵略戦争を起こしたのはロシアですから、その責任はひとえにロシアにあるわけですが、背景の問題として、そういう外交の失敗があった
 私たちがヨーロッパから学ぶべき教訓は、岸田政権が言うように、「軍事力が足らなかったから戦争が起こった」、「軍事同盟をもっと広げるべきだったのに、それをやらなかったから戦争が起こった」ということでは決してありません。その正反対なのです。「軍事対軍事」のブロック対立に陥ったことが、戦争につながってしまった。排他的な軍事同盟では決して平和はつくれない。包摂的な平和の枠組みをつくることこそ平和への道だということなのです。

黒坂真
 大野たかしさんら日本共産党の皆さんは、安全を守るのに必要なのは軍事でなく話し合いだとお考えなら、中国共産党に台湾政府と話し合え、と主張すべきではないですか。

 やれやれですね。中国政府も「台湾との対話」は否定していません(勿論、日本共産党もそうした対話は否定していない)。
 但し、中国が「対話の前提」として「但し、台湾独立は認めない(その前提を受け入れないなら台湾と対話できない)」とし、その結果、「蔡英文政権がその前提を受け入れない」ので現在対話できていないのに対し、黒坂は「無条件で対話しろ」とし、「無条件対話で無い限り対話と言えない」と決めつけ、「日本共産党は中台対話を認めてない」と因縁つけてるだけの話です。
 無条件対話なんか主張してる「当事者(中国、台湾)では無い第三者」の「国、個人、団体」ははっきり言って黒坂のような反中国ウヨや台湾ロビーだけでしょう。
 台湾に軍事支援する米国ですら「一つの中国を認めて中国と国交樹立」なのでそんな立場では無いでしょう。

黒坂真
 皆様、今年はいろいろとお世話になりました。来年も、北朝鮮に拉致された日本人を奪還するため、日本国家を中朝露の攻撃から守るため、私なりに努力します。日本共産党員と左翼の皆さんには、中朝露の凶暴性を悟って頂きたいものですね。

 頭痛がしてきますね。
 まず第一に奪還って何をする気なのか。現実的には小泉訪朝のような「外交交渉による帰国」しかないですが、「自衛隊で救出」と寝言でも言うのか?
 第二に「中朝露の凶暴性を悟って」ねえ(呆)
 凶暴性とは具体的に何なのか?。対外侵略なら中朝はそんなことは現在やってないし今後もやらないでしょう。平和主義云々というよりはメリットが無いからですが。「軍事大国」米国ですら、世界中で好き勝手に戦争してるわけでは無い。
 戦争には「戦費と人命」と言うリスクがあるわけですから「軍事的に勝てること」が最低限必要ですし。
 ロシアについては「現在進行形でウクライナに侵攻してる」のだから「悟らない」どころの話では無い(呆)。
 但し、「ロシアがウクライナ以外(日本に限らない)に侵攻する可能性」はウクライナ戦争に決着がつかない限りあり得ない話です。黒坂の言う「ロシアの凶暴性」が「日本侵攻の危険性」ならそんなモノは当面無い。

黒坂真
 中野顕さんはミサイル防衛網、トマホークミサイル購入に断固反対ですね。金正恩が日本に核ミサイル攻撃を断行したとき、自衛隊がこれを防ぐことも反撃する事もできません。

 中野氏ら共産党は現状のミサイル防衛パトリオット迎撃ミサイル)には「恐らく反対してない」ので「防ぐこともできません」ということはないですね。
 共産党が反対しているミサイル防衛網(トマホークミサイル)は1)すさまじい金がかかり増税や福祉予算削減などの弊害を招く、2)防衛と言うが、ミサイルを迎撃するだけでは無く、敵基地攻撃を前提とし、専守防衛に反するから反対しているに過ぎません。
 なお、黒坂らは北朝鮮や中国がミサイルを撃つかのように放言しますが1)自衛隊在日米軍の反撃、2)(今ロシアに対して行われてるような)経済制裁や国連非難決議を考えればその可能性は低いでしょう。
 現状でも日本の軍事力は(在日米軍を抜きで自衛隊だけでも)相当なものです。特に「大国・中国」ならまだしも「小国・北朝鮮」がそんな無謀なことをするわけが無い。

*1:ANZUSのことか

*2:1954~1977年。米国、英国、フランス、パキスタン、タイ、フィリピン、豪州、ニュージーランドが加盟国だが、1973年にパキスタンが、翌1974年にフランスが脱退し1977年に解散。なお、参加国の内、米国、英国、フランスはNATO加盟国、米国、豪州、ニュージーランドはANZUS加盟国(東南アジア条約機構 - Wikipedia参照)。

*3:1955~1979年。英国、トルコ、パキスタン、イランが加盟国だが、1979年のイラン・イスラム革命を契機にイランが脱退したことで崩壊

*4:現在、アイスランド、米国、イタリア、英国、オランダ、カナダ、デンマークノルウェー、フランス、ベルギー、ポルトガルルクセンブルクギリシャ、トルコ、ドイツ、スペイン、チェコハンガリーポーランドエストニアスロバキアスロベニアブルガリアラトビアリトアニアルーマニアアルバニアクロアチアモンテネグロ北マケドニアが加盟国。フィンランドスウェーデンが加盟申請している。

*5:とはいえ、実際に米国が北朝鮮に侵攻すれば、現状では中国は同盟に基づいて北朝鮮に出兵するでしょう(当然、志位氏も中国や北朝鮮を非同盟中立とは見なしていない)。また、中国としても1)我々を見捨て、米韓の側に立つのかという北朝鮮の反発、2)「中国は北朝鮮を見捨てた」と見なした米韓の北朝鮮侵攻助長、の二つのリスクを考えれば正式廃棄も難しいでしょう。

*6:日米豪印が参加国。但し、インドはBRICS首脳会議、上海協力機構(いずれも中露、インドがメンバー)で「中露とも関係があること」に注意が必要

*7:俺は是の立場ですが

*8:加盟国はアイスランドアイルランドアゼルバイジャン、米国、アルバニアアルメニアアンドラ、英国、イタリア、 ウクライナウズベキスタンエストニアオーストリア、オランダ、カザフスタン、カナダ、キプロスギリシャキルギスジョージアクロアチアサンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキアスロベニアセルビアタジキスタンチェコデンマーク、ドイツ、トルクメニスタン、トルコ、ノルウェーバチカンハンガリーフィンランド、フランス、ブルガリアベラルーシ、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナポーランドポルトガル北マケドニア共和国、マルタ、モナコモルドバ、モンゴル、モンテネグロラトビアリヒテンシュタインリトアニアルクセンブルクルーマニア、ロシア

*9:常岡浩介に悪口する(2022年12月23日分)(副題:小泉悠の徹底抗戦論を批判する、ほか) - bogus-simotukareのブログで批判しましたが小泉悠やハフポスト、小泉の本を出したちくま新書、常岡浩介、石田昌隆もそういう価値観で、志位氏に悪口するのかもしれません。そういえばkojitakenは自ブログに良く常岡や石田のツイートを貼り付けていました。

*10:加盟国はブルネイカンボジアインドネシアラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム