「英国の志村けん(?)」ローワン・アトキンソンによるシリアスドラマ「メグレ警視シリーズ」

『Mr.ビーン』ローワン・アトキンソン、メグレ役を一度は断っていた! | ニュース | 海外ドラマ | 海外ドラマNAVI
 英人気コメディドラマ『ミスター・ビーン』の主役で知られるローワン・アトキンソンが、英ITVの新作ドラマ『Maigret(原題)』で、ジュール・メグレ警視を演じることはすでにお伝えしたが、実はローワンは同役を一度断っていたのだという。英Digital Spyが伝えた。
 ローワンは、「メグレを演じることができるか、本当に分からなかった」と、小説家ジョルジュ・シムノンが描いた有名なフランス人刑事を演じることに不安を抱いていたことを明かした。「現代のドラマでは控えめで自然なものが求められているが、(ボーガス注:Mr.ビーンなど)これまで私が演じてきた役は控えめでも自然でもなかったんだよ!(後略)」と述べた。
 そうやって一度は諦めた役に再び挑戦した理由について、「一度は演じられると思えた役に別れを告げることはできるだけしたくなかった。そう思う理由の一つは、コミカルな役では得ることのできない尊敬の念を、シリアスな役でなら手にできるかもしれないからだよ。コメディがアートの世界で馬鹿にされていることが不思議でならないんだ。コメディがお金を稼ぐためにおならをしているだけというイメージなのに対して、シリアスな役を演じると"これこそが演技だ! 君は意味のあることをしているんだ"と思われるなんてね。芸術とは、笑うものではなくお金を稼ぐ種類のものでもないと思っている人々がいる。そういう人に反抗したかったんだ」と、ローワンは説明している。

ドラマ『メグレ警視』~フランス舞台の英国ミステリー~ - 映画の並木道
3.メグレ
 メグレを演じるのは、ローワン・アトキンソン。『Mr.ビーン』や(ボーガス注:007シリーズ(ジェームズ・ボンドシリーズ)のパロディー映画)『ジョニー・イングリッシュ』シリーズで、面白いおじさんを演じています。もはや、『ローワン・アトキンソン=Mr.ビーン』という人も多いと思います。
 ただ、『メグレ警視』を見るときにはそのイメージを捨てなければいけません。このドラマでは、ローワン・アトキンソンはまったくふざけません。真面目です。まあ、Mr.ビーンのイメージがあまりにも強すぎて、今にも変顔をするんじゃないかとか思ってしまうんですけどね。
 彼が演じるメグレは、よく静かに考えています。警察への批判や、捜査が上手くいかないことで常に頭を悩ませています。そして、メグレは妻を愛する人物です。今でも、奥さんと散歩をするほど仲が良いです。奥さんを心の支えとして、彼は毎日陰鬱な事件に立ち向かっていきます。
4.英国ミステリー
シャーロック・ホームズの冒険』から続く英国のミステリードラマの特徴として、米国ドラマのような派手なシーンが少なく、謎解きをメインにストーリーが進んでいく点があります。
 『メグレ警視』の雰囲気は完全に英国ミステリーです。これが、とても心地よい。爆発も銃撃戦もほとんど起こらないけど、謎と人間にフォーカスした展開が良いです。
 肝心のストーリーはというと、これもよく出来ています。謎自体は、『SHERLOCK/シャーロック』や『新米刑事モース/オックスフォード事件簿』ほど複雑ではありません。その代わりに、メグレや犯人の心理がよく描かれています。
5.まとめ
 『メグレ警視』は、英国ミステリードラマのDNAを受け継ぐ正統派ミステリーでした。英国ミステリーが好きな人にはもちろんおすすめですが、話がそれほど複雑ではないので、英国ミステリーの入門編としても最適です。
 また、ローワン・アトキンソンが真面目な役をやっている数少ない作品でもあります。彼に付きまとうMr.ビーンのイメージを、今回は捨てて見てあげましょう。

Mrビーンのメグレ警視を拝見しながら | オリーブの雨好きブログ
 主演はあのローワン・アトキンソン
「Mr ビーン」で有名なイギリスのコメディアンがフランスの警視を演じています。
 これって、いかりや長介さんが後年(ボーガス注:2時間ミステリドラマの刑事役など)しぶい演技をなさっていた感じでしょうか。
 それよりもっとナチュラルに演技なさっている感じです。

ローワン・アトキンソン様の『ジョニー・イングリッシュ』と『メグレ警部』 | 時は止まる君は美しい
 メグレ警視というと、ジョルジュ・シムノン原作で、多数の小説。
 映像化については、みどりは、ジャン・ギャバン様しか、拝見していなくて、もう、おフランスそのもののイメージ。
 そこへ、アトキンソン様???
 調べたら、結構、英国で映像化されてるんですね。
 チャールズ・ロートン*1様、マイケル・ガンボン様。
 大御所が揃われてる。実際の映像が拝見できていないので、
 脚本がどうなっているのかは「?」なままですが、
 今回のアトキンソン様版、まあまあ、原作通りのイメージ。
 (ボーガス注:アトキンソン・メグレを見て思ったことですが?)確か、志村けん様が、この年齢で「バカ殿」は、もう体力的に辛いと、仰ったという記憶が。
 お二人が、突然、重なって見えました。知的なイメージのせいかな。

ユダの棺 : アトキンソン版メグレと鬼平と
 Mrビーンで有名なローワン・アトキンソンがあのメグレを演じたミステリドラマ”メグレ”2シーズン全4話になるんですが、これが面白いんです。レトロ風の渋い構成がドラマの雰囲気を占めていてこれがまたいいんですよ。まあ、ドリフターズいかりや長介さんが”ドラマ”取調室”の水木正一郎警部補を演じているかのようで、喜劇あるいはお笑いのイメージを払拭して渋い演技をしたのと似ているでしょうか。

大今里シネマ通信ブログ 「MAIGRET メグレ」(16年・イギリス) ミスター・ビーンのR・アトキンソンが人気犯罪小説のキャラ、メグレ警視役にチャレンジしたやんかいさぁ!
 メグレ警視に扮したアトキンソンが、実にハマってるんだ。
 くわえたパイプをくゆらせながら物静かに考え事をする仕草なんて、これがあのミスター・ビーン?なんて信じられないじゃあ~りませんか。
 Mr.ビーンの面影が完全に払拭されていて、物静かで観察眼に優れ、じわじわと犯人を心理的に追いつめていく主人公を、渋さを滲ませながら好演。
 頼りになる部下達への指示も的確だし、上司の妨害にもメゲルことなく黙々と犯人とにらんだ相手を心理的に追い詰めていくところなど、唸らされてしまう。
 あらためて、アトキンソンって懐の深い俳優なんだなあと思わされてしまう。
 なんでも、次にはMR.ビーンの新作を作るらしく、またコメディに戻るみたい。
 渋いアトキンソンもいいけど、コミカルなアトキンソンもやっぱり見たいやん。

ローワン・アトキンソンによる「メグレシリーズ」は稀にみる傑作である話|のすけ|note
(ボーガス注:新型コロナにより)アマゾンプライムくらいしか楽しみがない昨今であるが、そこでメグレ警視シリーズがあると聞いて喜んで探してみると、
メグレ役がローワン・アトキンソン??????????
 そう、(ボーガス注:日本ではNHKで放送されたコメディー)Mr.ビーンで有名なあの方である。
 ツイッターなどでは「志村けん松本清張作品主役やるようなものか」などと言われているが、それ以上に「あなたイギリス人でしょ!?」という突込みがあるのだが。(ちなみに過去は、ジャン・ギャバンブリュノ・クレメールなどフランス人俳優が多い。当たり前だといえば当たり前だが。)
 製作は(ボーガス注:アトキンソン出世作『Mr.ビーン』を作成した)ITV(イギリスのTV会社)。
 そして、観覧して、この俳優の素晴らしさと、今回のメグレシリーズ製作のすばらしさに舌を巻いた。
 まず、メグレシリーズとは何か?
 フランスの作家、ジョルジュ・シムノンの人気ミステリーシリーズである。
 実直であり、人間味があり、のんびりしている。ただ、洞察力(現場だけでなく人間の心理面も)はずば抜けていて、様々な犯罪を解決していく。しかし、彼は警察の人間。エルキュール・ポワロやシャーロック・ホームズのような探偵ではない。なので、メグレは様々な部下(ジャンビエなど)に指示を出し、徹底した聞き込みや洗い出しを繰り返しながら、犯人を追及していく。時には冷酷ともいえるような厳しい追及を関係者に行い、関係者の嘘や背景を暴いていく。
 ローワン・アトキンソンのメグレは、このメグレの冷静な部分、実直な部分を取り出して煮詰めたような感じだ。そのまなざしは時に冷酷で、真実を隠す事件関係者の心の闇を見つめる。
 冷静な洞察力は要所要所で発揮され、証拠を集める(その的確だが非常に困難な捜索を指示される部下はたまったものではないが。ちなみに部下の二人も非常に素晴らしい演技だ)。
 ローワン・アトキンソンの表現力を侮っていた。これは素晴らしい。

 三波伸介も、やはりシリアスな方向へもシフトしようという意思があったのだと思う(ご存命なら今月90歳) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)志村けん三波伸介を例に「日本ではコメディアンは年をとるとシリアス方向に向かうことが多い」と言う趣旨のご指摘がありましたが、欧米でも「コメディアンも年をとるとシリアス方向に行く」んですかね。ローワン・アトキンソン - Wikipediaによれば、アトキンソンは1955年生まれで、『メグレ』が放送されたのが2016年だそうなので、60歳前後でのメグレ主演ですね。
 見てないのでアトキンソン・メグレについては評価できません。
 なお、「志村けん松本清張作品主役(あるいは準主役)」つうのは志村の演技力を考えれば十分可能でしょう。
 以前、拙記事で紹介した

◆映画『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960年、原作は『証言』)のサラリーマン(小林桂樹
 小林はキネマ旬報男優賞、毎日映画コンクール主演男優賞を受賞
◆映画『砂の器』(1974年)の今西刑事(丹波哲郎
NHKドラマ『最後の自画像』(1977年)の刑事(内藤武俊)or被害者(山内明)
◆映画『鬼畜』(1978年)の父親(緒形拳
 緒形はキネマ旬報主演男優賞、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、ブルーリボン賞主演男優賞、毎日映画コンクール主演男優賞、報知映画賞主演男優賞を受賞
NHKドラマ『けものみち』の久恒刑事(伊東四朗
松本清張原作の映画一覧 - Wikipedia松本清張原作のテレビドラマ一覧 - Wikipediaを参照)

などの役を志村が演じても見事に役を演じてくれたのでは無いか。つくづく新型コロナによる死去は惜しまれます。

*1:1899~1962年。1933年の『ヘンリー八世の私生活』でアカデミー主演男優賞を受賞