「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2020年12/29日分:島田洋一の巻)

島田洋一
 「ガラスの天井*1」を破り初の女性米大統領に近づいたカマラ・ハリスさん*2に期待、といったコメントを聞くと呆れざるを得ない。女帝が世の中を無茶苦茶にした例は史上いくらもある。性に関係なく優秀な人をリーダーに、という基本中の基本をいまだわきまえない評論家や政治家は退場させねばならない。

・「初の女性米大統領に近づいた」というのは

アメリカ合衆国副大統領 - Wikipedia参照
【順番は大統領の就任順】
ジョン・アダムズ
 ワシントン政権で副大統領。ワシントンの後任として大統領に選出
トマス・ジェファーソン
 ワシントン政権国務長官、アダムズ政権副大統領を歴任。アダムズの後任として大統領に選出
マーティン・ヴァン・ビューレン
 ニューヨーク州知事、ジャクソン*3政権国務長官、副大統領など歴任。ジャクソンの後任として大統領に選出
ジョン・タイラー
 連邦下院議員(バージニア州選出)、バージニア州知事、上院議員バージニア州選出)、ハリソン*4政権副大統領を歴任。ハリソンが大統領在任中に肺炎で死亡したため大統領に昇格
ミラード・フィルモア
 下院議員(ニューヨーク州選出)、テイラー政権副大統領を歴任。テイラーが大統領在任中にコレラで死亡したため大統領に昇格
アンドリュー・ジョンソン
 上院議員テネシー州選出)、リンカーン*5政権副大統領を歴任。リンカーンが大統領在任中に暗殺されたため大統領に昇格
チェスター・A・アーサー
 ガーフィールド*6政権で副大統領。ガーフィールドが大統領在任中に暗殺されたため大統領に昇格
セオドア・ルーズベルト
 ニューヨーク州知事、マッキンリー*7政権副大統領を歴任。マッキンリーが大統領在任中に暗殺されたため大統領に昇格
カルビン・クーリッジ
 マサチューセッツ州知事、ハーディング*8政権副大統領を歴任。ハーディングが大統領在任中に病死したため大統領に昇格
ハリー・S・トルーマン
 上院議員ミズーリ州選出)、フランクリン・ルーズベルト*9政権副大統領を歴任。ルーズベルトが大統領在任中に脳卒中で病死したため大統領に昇格
リンドン・ジョンソン
 下院議員、上院議員(いずれもテキサス州選出)、ケネディ*10政権副大統領を歴任。ケネディが大統領在任中に暗殺されたため大統領に昇格
リチャード・ニクソン
 下院議員、上院議員(いずれもカリフォルニア州選出)、アイゼンハワー*11政権副大統領を歴任。アイゼンハワーの後継として大統領選挙に出馬するが民主党ケネディに敗れた。その後、再び大統領選に出馬し、民主党のハンフリー*12を破り大統領に選出
ジェラルド・R・フォード
 ニクソン政権で副大統領。ニクソンウォーターゲート事件で大統領在任中に辞職したため大統領に昇格
ジョージ・H・W・ブッシュ(ブッシュ父)
 国連大使、CIA長官、レーガン政権副大統領を歴任。レーガンの後任として大統領に選出
ジョー・バイデン
 上院議員デラウェア州選出)、オバマ政権副大統領を歴任。現職のトランプを破り次期大統領に選出。

ということで多くの副大統領経験者が大統領に就任しているからです(もちろん、ジョージア州知事だったカーター、カリフォルニア州知事だったレーガンアーカンソー州知事だったクリントンテキサス州知事だったブッシュ子、上院議員イリノイ州選出)だったオバマ、一実業家にすぎなかったトランプなど副大統領を経験してない大統領もいますが)。
・おいおいですね。まるで「黒人で女性というマイノリティだから」無能なのに厚遇されてるとでも言いたげな島田ですが「そうしたカマラへの好意的評価が適切かどうか」はともかく「能力も評価している」に決まってるでしょうに。
 しかし「女帝が世の中を無茶苦茶にした例」てのは具体的に誰のことを言っているのか。そもそも、島田の言う「女帝」が「女性政治家のたとえ」ではなく「実際に女帝(女性の国王、皇帝)を意味する」のなら、「そもそも民主的に選ばれてない」わけで、民主的に選ばれたカマラと同一視できる話ではない。なお、俺が「無茶苦茶な女性政治家(もちろん「江青・四人組」の江青などではなく、民主的に選ばれたケース)」と言って思い浮かぶのは「韓国大統領だった朴槿恵(政治不正で大統領を解任されたあげく下獄)」位しか思い浮かびませんね。
 まあ「杉田水脈」なんかもいい加減無茶苦茶ですが小物ですし。

島田洋一
 高齢者や基礎疾患を持つ人は命を落とすが若い勤労世代は無症状か軽症で済む武漢ウイルス*13。非道な全体主義集団から見れば、生産力を落とさず「厄介払い」ができ、同時に自由民主主義国群を大混乱に陥れられる*14理想*15の「生物兵器」だろう*16。経済を動かしつつ、より戦略的に弱者を保護せねばならない(二類感染症から五類*17への指定変更など)。でなければ、野蛮かつ冷酷な強さを持った集団の一人勝ちを許す

 産経文化人というウヨ仲間「岡本行夫」が新型コロナで亡くなったにもかかわらず、随分と冷酷なことが言えたもんです。島田のような輩は「自分が死なない限り」こういう態度なんでしょうねえ。
 島田は「俺は高齢者でないし基礎疾患も持ってないから死なないし、重症化もしない」などと馬鹿なことを思ってるのかもしれませんが
1)基礎疾患(糖尿病、心臓病など)の持ち主や高齢者は決して少数派ではない
2)「基礎疾患や高齢者の場合」死亡の可能性が高いが、かといって「若い勤労世代なら絶対に死なないor重症化しない」という保証はどこにもない
3)無症状or軽症者が、他人に移して死なせたり重症化させたりすることを島田はどう思ってるのか?
4)無症状や軽症でも後遺症の出る恐れがある(その点については未だよく分からない部分が多い)
と言う意味で酷い暴論です。
 コロナ対応について「トランプ支持者の島田らしい」というべきでしょうか。

*1:「黒人、女性、障害者などの社会的ハンデ」のこと(ガラスの天井 - Wikipedia参照)。カマラ(次期副大統領)の場合は勿論「黒人&女性」ですね。

*2:カリフォルニア州司法長官、下院議員(カリフォルニア州選出)などを経て次期副大統領

*3:下院議員、上院議員(いずれもテネシー州選出)などを経て大統領

*4:下院議員、上院議員(いずれもオハイオ州選出)などを経て大統領

*5:イリノイ州下院議員、下院議員(イリノイ州選出)などを経て大統領

*6:下院議員(オハイオ州選出)などを経て大統領

*7:下院議員(オハイオ州選出)、オハイオ州知事などを経て大統領

*8:オハイオ州副知事、上院議員オハイオ州選出)などを経て大統領

*9:海軍次官ニューヨーク州知事などを経て大統領

*10:下院議員、上院議員(いずれもマサチューセッツ州選出)を経て大統領

*11:アメリカ陸軍参謀総長NATO軍最高司令官などを経て大統領

*12:ミネアポリス市長、上院議員ミネソタ州選出)、ジョンソン政権副大統領など歴任

*13:島田らアンチ中国ウヨが「covid19(新型コロナウイルス)」と言いたがらないことには呆れます。

*14:台湾はほぼ完全に封じ込めてるとされるので「自由民主主義国群を大混乱に陥れられる」という島田の物言いは現実に合致していません。一党独裁軍事独裁、国王独裁などの独裁か、複数政党制かとは全く関係なく「医学的に適切な対応をとれば感染を抑制でき、不適切な対応ならば蔓延する」にすぎません。

*15:理想も何も「抵抗力(免疫力)が弱い高齢者や基礎疾患保有者が重症になりやすい」なんてのはおそらく「ほとんど全ての感染症に該当すること」で新型コロナに限った話ではないでしょう。

*16:生物兵器」云々と言ってもまさか「コロナ=(731部隊ペスト菌培養のような)中国の人工兵器説」を主張する気ではないでしょうが、それはさておき。中国が李文亮氏を烈士認定し、コロナ封じ込めに全力を挙げてることで分かるように、「一党独裁ならデタラメな対応でOK」なんて事実はどこにもありません。この点は北朝鮮ベトナムなども中国同様の「真剣な対応」のようですが。いかに独裁国でも無茶苦茶な対応をしてコロナを蔓延させれば国内外の批判やコロナ不況による政権の危機を招きかねません。

*17:「一番下」の五類まで下げることの是非はともかく「二類」だと「原則、病院に入院」なので「病床数が足りない今」、「入院しなくてもいい」三類以下に下げざるを得ないのではないか、と言う意見は出ているようです(たとえば日本の新型コロナ・ウィルス対策に関する三つの疑問|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ参照)。ただし、その場合でも1)家族感染を避ける、2)一人暮らしの自宅療養者が容体急変で急死するのを避けるために「宿泊施設療養を原則」にすべきでしょうが。そういう意味で、島田の意見(二類から分類を下げること)には一理ありますが、但し島田の場合「GOTO継続を擁護するような無茶苦茶」ですからねえ。「病床数が足りないから三類以下にせざるを得ない(宿泊療養もせざるを得ない)」というまともな主張とはかなり違う「異常な主張」ですね。