今日の産経ニュースほか(2021年5月3日分)

安倍晋三前首相×東京外大篠田英朗教授 憲法の未来を語る「発議は国民に判断委ねよ」 - 産経ニュース
 名前を知らない方ですし、どんな人間か調べる興味もあまりない*1ですが、モリカケ、桜疑惑発覚後の今、「無役の安倍」と対談する(しかも阿比留が司会)とは「その程度の低レベル右翼」なのでしょう。まともな人間は安倍なんかと対談すれば1)「ああ、そういうレベルの低い人なのね」としか思われないこと、2)対談を褒めてくれるのは「櫻井よしこ」のような「安倍の同類だけ」ということは分かるので対談なんかしないし、そもそも対談のお呼びも掛からないでしょう。


改憲派が集会 櫻井よしこ氏「改正望む声、圧倒的に強くなっている」 - 産経ニュース
 事実の問題として「圧倒的に強くなっている」とはとても言えないでしょう。

 菅義偉*2首相(自民党総裁)がビデオメッセージを寄せた。

 「安倍内閣官房長官だった男」とはいえ、よくもまあこんな右翼集会にそんなことができたもんです(呆)。何せこの集会、

◆「国家基本問題研究所理事長」というプロ右翼活動家・櫻井よしこ
◆「日本会議会長」「国家基本問題研究所副理事長」というプロ右翼活動家・田久保忠衛
◆「日本会議名誉会長」で最高裁判事時代に「愛媛玉串料訴訟」で「合憲意見(多数意見は違憲判断)」を書いたプロ右翼活動家・三好達

の三人が共同代表を務める右翼団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が主催です。

 公開フォーラムの様子はライブ配信され、自民党下村博文*3政調会長や河野克俊前統合幕僚長のほか、野党から日本維新の会と国民民主党の国会議員も参加した。

 「国民民主党の議員って誰。前原*4(国民民主党代表代行。元民進党代表)、山尾(国民民主党憲法調査会長。元民進党政調会長)、それとも他の奴?」と聞きたいところです(追記:コメ欄でのご指摘に寄れば山尾だそうです。共産党との野党共闘で当選した御仁が何とも恥知らずです)。


【産経抄】5月3日 - 産経ニュース

 国が同性婚を認めていないのは、憲法に違反する。3月の札幌地裁の判決について、コラムで反論した。一方、判決を支持する立場から、こんな意見*5を耳にした。
憲法24条の「両性の合意のみに基(もとづ)いて」というのは、「両当事者の合意のみで」の意味である。日本国憲法が制定された74年前、起草者たちは、同性同士の結婚を望む人の存在を考えてもいなかった。禁止するために「両性」の文言を採用したわけではない、というのだ。

憲法24条の「両性の合意のみに基(もとづ)いて」というのは、「両当事者の合意のみで」の意味である。日本国憲法が制定された74年前、起草者たちは、同性同士の結婚を望む人の存在を考えてもいなかった。禁止するために「両性」の文言を採用したわけではない、というのだ。

で何ら問題は無いでしょう。正直、産経らウヨが同性婚合法化をここまで嫌悪する意味が分かりません。また「両性」であって「異性」ではないので「同性も含む」という解釈が一応可能です。

▼なるほど、憲法、なかんずく憲法9条の起草者は、現在の日本が置かれた安全保障の危機的状況を「考えてもいなかった」。

 憲法24条から「無理矢理9条に話を変える」無茶苦茶さも酷いですが、「デマカセも大概にしろ」ですね。「朝鮮戦争」「キューバ危機」などがあり「第三次世界大戦すら危惧された」米ソ冷戦対立に比べれば「今の米中対立(少数民族問題、台湾問題、貿易摩擦など)、米露対立(ウクライナ問題など)」や「中国と台湾の対立」など「戦争の危機」等とはとても言えません。
 もし産経が「中国による尖閣侵攻(自衛隊在日米軍と中国軍の激突)、台湾侵攻の危機(台湾軍と中国軍の激突)が迫ってる」というなら正気では無い。ましてや「北朝鮮の韓国侵攻(韓国軍、在韓米軍と北朝鮮軍の衝突)」だの「ロシアの北海道侵攻(自衛隊在日米軍とロシア軍の激突)」だの言うならもっと正気では無い。


アリストパネース作「女の平和」と現代の女性政治家 | ちきゅう座村上良太

 出馬しようにも国会議員選挙なら一人当たり300万円~600万円もの資金を供託金*6として提出しないと選挙に出ることもできない、というハードルの高さもあります。一定以上の票が獲得できずに落選したら没収されてしまいます。こうした理由で、(ボーガス中:資金力の無い新人政治家が)既存政党から出るのも難しければ、新党を作るのも難しいのが実態であり、そのことが女性議員を増やす時の足かせになっています。
「世界を見渡せば、供託金の制度がある国は少数派だ。国立国会図書館によると、米国やフランス、ドイツ、イタリアなど大半の欧州諸国に制度そのものがない。英国(約六万二千円)、カナダ(約八万円)、韓国(約百五万円)も日本ほど高くはない。」(東京新聞2012年)
 総じて、選挙に絡む規制*7が多すぎて、保守*8に有利になっています。

 これは俺も同感でいわゆるクオーター制なんかよりも
◆現職に有利で、死票が多く民主的とは言えない小選挙区の廃止(野田聖子(自民)、福島瑞穂(社民)など一部を除き、現職の女性政治家は少ない)
◆現職に有利ないわゆる「べからず選挙」の是正
◆高すぎる供託金の廃止or減額(世襲野田聖子など一部例外を除き、多くの女性政治家は資金力が弱いため)
が女性政治家増加に意味があると思っています。かつこうした方策はクオーター制と違い女性政治家増加に止まらない意義(新人政治家が進出しやすく政治参加のハードルが下がる)がある。


憲法記念日 国民・玉木代表談話「国民対話を通し未来志向の憲法を議論する」 - 産経ニュース
 「未来志向」とごまかしてはいますが「自民党の二軍として自民の改憲をアシストしたいだけ」でしょう。
 『とっとと「元民主党」の長島昭久*9鷲尾英一郎*10のように自民に入党or、細野豪志*11のように(将来の自民入党を前提に)国会の自民党会派に参加しろよ』と言いたい。まあ俺的に「民主党系の政党(立民にせよ、国民民主*12にせよ)」を支持する気にならないのは「幹事長、政調会長という最高幹部だった細野」が自民入党を目指すような政党だからです。今も「細野の同類」はいくらでも立民や国民民主にいるでしょう。そうなると「細野の同類がいるような政党(立民、国民民主)を支持したくない」「自公は支持できない」「自民二軍の維新も支持できない」「支持率が低いという意味で社民やれいわは支持できない」となると「自分で政党を作る」という選択肢*13以外では「選択肢が共産しか残ってない」。


憲法記念日 立民・枝野代表談話「政府の無策は緊急事態条項がないからではない」 - 産経ニュース
緊急事態条項がないからコロナ対策できないは「暴論」 立憲民主・枝野代表 - 産経ニュース
共産・志位氏「コロナ危機に乗じた改憲の企て許さない」 護憲派集会で訴え - 産経ニュース
 全く、枝野や志位氏の言う通りで「ワクチン不足、病床不足、PCR検査不足」は緊急事態条項で解決しないし、そもそも「GOTOトラベル、イート」なんて無茶を一時やるほどコロナを舐めていた自民党が何を馬鹿なことを言ってるのかという話です。


【朝晴れエッセー】「鬼平」大好き・5月3日 - 産経ニュース

◆「いつの世にも悪は絶えない…」
 テレビドラマ「鬼平犯科帳」冒頭のナレーションである。
◆私は中村吉右衛門が演じる「鬼平」が大好きだ。
◆エンディングのちょっと時代劇にはそぐわないと思われるような、テンポの速いテーマソング(ボーガス注:ジプシー・キングスの)『インスピレイション』に合わせた四季折々の映像が心を和ませる。

 「鬼平大好き」なのは別に良いのですが、この文章で延々述べられる鬼平が「小説」でも「さいとうたかをによるコミカライズ」でも「テレビ朝日版のドラマ(1969~1972年の八代目松本幸四郎(後の初代・松本白鴎)版、1975年の丹波哲郎版、1980~1982年の萬屋錦之介版)」でもなく「フジテレビ版のドラマ(1989~2016年まで断続的に放送、主演は二代目中村吉右衛門*14)」というのには「産経だからある意味当然」とはいえ、思わず吹き出しました(紹介した文章は、全て、フジテレビ版のみに該当する話)。

*1:ちなみに、篠田英朗 - Wikipediaによれば、著書には、あの「上念司(モリカケ、桜批判はフェイクニュースと放言した安倍信者のデマ屋の一人)」との共著『不安を煽りたい人たち』(2020年、ワック文庫)や題名から見て『日本の憲法学者西修百地章のようなウヨを除く)』を誹謗してるとしか思えない著書『ほんとうの憲法:戦後日本憲法学批判』(2017年、ちくま新書)、『憲法学の病』(2019年、新潮新書)がありますから明らかに「ガチのプロ右翼」ですね。まともな人間は上念との共著をワックから出したりはしません。まさにこういうデマ記事を書いて発表するような人間と共著を発表する大学教授というのも、最低限の常識を疑う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が批判する『渡部昇一(故人)のような完全なトンデモ=篠田東京外大教授』ですね(まだ、こういうデマ記事を書いて発表するような人間と共著を発表する大学教授というのも、最低限の常識を疑う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が批判する梶谷神戸大教授の方がマシです。梶谷氏もさすがに安倍とは対談しないでしょうし)。篠田英朗 - Wikipediaによれば筑摩書店からは『ほんとうの憲法:戦後日本憲法学批判』(2017年、ちくま新書、繰り返しますがどう見てもタイトルからして日本憲法学界への誹謗でしょう)以外にも、篠田『平和構築入門』(2013年、ちくま新書)、『はじめての憲法』(2019年、ちくまプリマー新書)、『紛争解決ってなんだろう』(2021年、ちくまプリマー新書)という著書が出ているようですが「筑摩書店の常識」を疑いますね(産経の企画で安倍と対談して改憲論を叫ぶような人間にまともな『平和構築論』『憲法論』『紛争解決論』があるとはとても思えません)。まあ筑摩と言えばデマ屋「楊海英」の著書『内モンゴル紛争』(2021年、ちくま新書)も刊行してる「ろくでもない出版社」ですが。俺は今後「筑摩の本は絶対に買わない」と固く決意しました(まあ以前から興味のある本が筑摩には少ないので五十嵐仁『労働再規制』(2008年、ちくま新書)など一部を除き、筑摩の本はほとんど買っていませんが)。

*2:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相

*3:第一次安倍内閣官房副長官、第二次安倍内閣文科相自民党選対委員長(第二次安倍総裁時代)などを経て現在自民党政調会長

*4:鳩山内閣国交相菅内閣外相、民主党政調会長(野田代表時代)、野田内閣国家戦略担当相、民進党代表など歴任

*5:なお、「産経の言うこんな意見」は「同性婚を合法化しても憲法上問題は無い(憲法同性婚合法化を禁止しているわけではない)」と言う意見ではあっても「同性婚を合法化しないと違憲(札幌地裁判決)」という意見では無いので必ずしも「判決支持」ではありません。

*6:そもそも戦前に供託金制度が作られた理由自体が「左派政党の国会進出防止にあった」と言われる。

*7:いわらず「べからず選挙」

*8:というか自民党ですね。

*9:鳩山、菅内閣防衛大臣政務官、野田内閣防衛副大臣希望の党政調会長など歴任

*10:第三次野田内閣農水大臣政務官などを経て、現在、菅義偉内閣外務副大臣

*11:野田内閣環境相民主党幹事長(海江田代表時代)、政調会長岡田代表時代)、民進党代表代行(蓮舫代表時代)など歴任

*12:まあ国民民主の場合、それ以前にどう見ても自民の二軍ですが。

*13:まあ俺に限らず多くの人間にとって現実的とは言えない選択肢です。

*14:テレ朝版で鬼平を演じた八代目松本幸四郎の息子