珍右翼・黒坂真に突っ込む(2021年12月23日分)

◆黒坂のツイート

黒坂真リツイート
 吉岡正史さん。治安維持法の適用には行き過ぎがありましたが、昔の日本共産党の逮捕、投獄は平和と民主主義のために必要でした。昔の日本共産党ソ連から資金と拳銃を受け取り、内戦をやろうと訴えていた。
◆吉岡正史
きょうの潮流 2021年12月20日(月)
今年はアジア・太平洋戦争開戦80年。新聞やテレビでも多くの特集が組まれました
▼「〈大戦起(おこ)るこの日のために獄をたまわる〉。プロレタリア俳句の運動に尽力した橋本夢道の句です。治安維持法の違反容疑で検挙され、開戦を獄中で知りました。戦争の時代は俳句も自由に詠めませんでした。そんな時代が再びこないように心新たにしたい12月です。

 「1928年の三・一五弾圧」「1929年の四・一六弾圧」によって日本共産党は壊滅状態で、橋本が新興俳句弾圧事件で検挙された1941年に共産党の活動などなかった*1のに、黒坂もよくも寝言が言えたもんです。
 まあ、共産党が活動していた時期においてすら「内戦」の可能性などないし、そもそも「内戦=武力蜂起」なら治安維持法がなくても摘発できるし、治安維持法の立法目的は「共産主義運動と国体の否定」の取り締まりであって「平和的言論」でもこれに該当すれば摘発されるので黒坂の主張は強弁にもほどがありますが。
 なお、新刊紹介:「前衛」2022年1月号 - bogus-simotukareのブログで指摘しましたが当初は「国体否定=天皇制否定≒共産党」だったところ「国体否定」に「朝鮮独立運動」「国家神道批判」まで含まれるようになり、共産党だけでなく「朝鮮独立運動弾圧」「国家神道に批判的な各種宗教団体弾圧」、具体的には

◆1935年の大本事件 - Wikipedia(宗教団体に治安維持法が適用された最初の例:大本教
◆1938年の天理本道*2弾圧
◆ご真影拒否(偶像崇拝否定が背景にある)を理由とした1941年の耶蘇基督之新約教会(現在の『西荻南イエス・キリストの教会』)や灯台社(ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人)日本支部*3)の弾圧
◆ご真影拒否(偶像崇拝否定が背景にある)を理由とした1942年のホーリネス教団弾圧
ホーリネス弾圧事件 - Wikipediaによれば、菅野鋭*4、斉藤保太郎、辻啓蔵、小出朋治*5(獄中での死亡順)、竹入高、池田長十郎、佐野明治(出獄後の死亡順)らが死亡した。
◆『伊勢神宮の神札、「神宮大麻」の拒否』を理由とした1943年の創価教育学会(現在の創価学会)弾圧(創立者牧口常三郎が獄死)

などが実施されるようになります。これは「行き過ぎ」などという話ではなく明らかに「故意の拡大適用」です。

【参考:橋本夢道】

与謝野晶子 橋本夢道 宇野千代 小林信彦 | さすらいの天才不良文学中年 - 楽天ブログ
1.自由律俳句の鬼才
 自由律俳句の世界では、橋本夢道よりも種田山頭火(代表句「分け入つても分け入つても青い山」)の方が有名だろう。また、東大卒業後、生命保険会社の役員までしながらその地位を捨て、放浪した尾崎放哉(代表句「咳をしても一人」)も捨て難い。
 しかし、二人と夢道が決定的に違ったのは、夢道が妻と家庭を愛し、無頼ではなかったという点である。
 「妻よ おまえはなぜこんなにかわいんだろうね」
 自由律俳句の鬼才、橋本夢道(1903~74)の愛妻句である。
3.俳句弾圧事件による入獄
 「うごけば、寒い」という句には解説が必要である。冬の獄中で作った句であり、これほど状況を簡明に述べる句はない。

黒坂真リツイート
 宮本徹議員。定住外国人地方参政権を与えれば、制度上は中国共産党員、朝鮮労働党員も都知事になれます。
◆宮本徹
 同じ街に暮らす外国籍の方にも、意思表示の当然の権利を保障しようという条例でしたが否決、きわめて残念です。ヘイトスピーチを展開した方々には猛省をうながしたい

 「地方外国人参政権」賛成派でも「議員や首長の被選挙権」まで肯定するのは少数派です(ただし、永住外国人の地方参政権/法案要綱 永住外国人に地方参政権を保障するための日本共産党の提案 │外国人参政権│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会69、外国人問題(2021総選挙/各分野政策)│各分野の政策(2021年)│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会で分かるように日本共産党は「定住外国人限定」とはいえ、「その少数派」ではありますが)。従って「定住外国人地方参政権を与え」ても、それが被選挙権ではなく「議員や首長の選挙権」にとどまるのであれば「外国人は都知事にはなれません」。
 ましてや、今回の武蔵野市の条例は「住民投票への参加止まり」で被選挙権どころか「選挙権ですらない」のに黒坂はバカも大概にしたらどうなのか。

黒坂真リツイート
 日本共産党本部の皆さんは金正恩による核ミサイル攻撃にどう反撃すべきとお考えですか
志位和夫
 日米両政府、5年間で1兆円超の米軍「思いやり予算」で合意との報道が。
 日米地位協定には、基地の地代や補償等を除き「日本に米軍を維持するためのすべての経費は、日本に負担をかけないで米国が負担する」と明記している。負担義務がないのです。「思いやり予算」は廃止し、国民の暮らしに使え!

 吹き出しました。「安保条約上、負担義務のないものをどうして負担するのか?」という志位氏の「思いやり予算批判」に「日米安保を否定するのか、北朝鮮のミサイルの脅威ガー」というのは何の反論にもなっていません。ここで志位氏は「日米安保廃止」を主張しているわけではないからです。
 そもそも、いわゆる「思いやり予算」は金丸信福田内閣防衛庁長官が「名付け親」で、その頃から始まった物です。
 当初から負担していたわけでは全くない。

*1:だからこそ「壊滅した共産党」に代わる攻撃対象として「1935年の大本教弾圧」以降、「権力にとって危険と見なされた一部の新興宗教団体」が「治安維持法(もともとは共産党弾圧立法)」によって次々弾圧されたという面が明らかにあります(共産党極左過激派の暴力行為が現実的でなくなってから、『破防法オウム真理教』への適用が画策されたようなもんです)。1935年以降の政府にとって明らかに共産党は脅威ではなかった。

*2:天理教信徒だった大西愛治郎(1881~1958年)が創設した新興宗教。現在は「ほんみち」と改称している(大西愛治郎 - Wikipedia参照)。

*3:なお、灯台社の創設者である明石順三は戦後、エホバの証人米国本部から除名されているので『現在の日本支部』と灯台社には直接のつながりはない(灯台社 - Wikipedia明石順三 - Wikipedia参照)。

*4:警察の取り調べに対して「天皇イエス・キリストの贖罪が必要である」と言ったとされる。1943年12月1日、肺結核により獄死(菅野鋭 - Wikipedia参照)。

*5:1945年の終戦後に、堺刑務所で釈放間近になり、病死したとの知らせがあり、夫人と子息の小出忍が遺体を引き取りに行った。死亡診断書によれば9月10日午後12時半死亡で、死因は動脈硬化症とされたものの、遺体の背中には鉄棒で殴られたらしい紫に腫れた斑点があり、特別高等警察の拷問により虐殺されたと見られている(小出朋治 - Wikipedia参照)。