今日の中国ニュース(2022年1月15日分)

台湾クライシス 有事の可能性はどこまで高まっているのか?:時事ドットコム(2022年1月14日掲載)(時事通信外信部デスク・前中国総局特派員 北條稔)
 中国が「台湾が独立宣言しない限り侵攻しない」としている以上、侵攻の可能性は「台湾が独立宣言しない限り」ほとんどない。
 国際公約を公然と破れば国際的非難は避けられないからです。
 では「台湾が独立宣言すれば速攻で侵攻するか?」といえば「そうはならない」と俺は見ます。
 「戦争による中国軍の被害」を考えれば中国も「戦争は回避したい」。そこで「タイムリミットを設定し、宣言撤回を求める」とみます。とはいえ撤回しなければ中国にもメンツがあるので侵攻するかもしれない。いずれにせよ「台湾がどう動くか」で話は決まることであり、「台湾の動きに関係なく中国が侵攻する」と言うことはおよそ考えられない。
 しかし今回、登場人物は

戦略学者の奥山真司氏*1

という「いかにも怪しげな人物」ですからね。
 「大学教員」「シンクタンク研究員」などの肩書きがないあたり「自称学者」「なんちゃって学者」の「反中国ウヨではないか?」「中国の侵攻の危機ガー、とデマ放言ではないか?」との疑念を感じます。実際、この駄文を読んでの俺の感想は「何だ、この反中国のデマ屋は?」ですね。

◆北條記者
 22年に2期目の任期が終わる習氏は27年までの3期目に続き、少なくとも35年ごろまで最高指導者であり続けようとしているようだ。しかし、習氏にそれほど大きな業績があるわけではない。

 奥山がどうこう以前に北條氏の脳みそが狂ってます。これが時事通信の幹部だというのだから呆れます。
 まず第一に「習氏にそれほど大きな業績があるわけではない」という点で「はあ?」ですね。
 「一帯一路(2013年)」、「AIIBの設立(2014年)」、「香港国家安全維持法*2(2020年)」、「2022年北京冬季五輪の開催」などは十分「大きな業績」ではないのか。
 第二に百歩譲って「台湾統一」という業績を習氏があげたいと思ったとしてそれが何で「リスキーな軍事侵攻」なのか。まずはEUのような経済統合あたりを目指すのではないか。
 第三に「国家主席3期目に突入ではないか」は「今年で任期が切れる」のでいいとして、現時点で「35年(つまり今から13年後)ごろまで最高指導者であり続けようとしている」と言う根拠は一体何なのか。

◆奥山
 日本には「健全な中国警戒論」を語る人が少ない。

 吹き出しました。浅井基文氏なども批判していますが「中国の軍事的脅威論=不健全(当然、奥山や北條氏は不健全)」です。
 まあ、北條氏はともかく、奥山の場合はクライブ・ハミルトン『目に見えぬ侵略:中国のオーストラリア支配計画』(山岡鉄秀との共訳、2020年、飛鳥新社)という本がある時点で論外ですが。山岡と付き合うような男がよくもまあ「健全な中国警戒論」なんて言えたもんです。
 それはともかく、中国にとって国際社会の批判を受けるリスクを冒してまで「台湾に軍事侵攻」するメリットはないでしょう。
 浅井基文氏なども指摘していますが「馬英九総統時代(既にこの時点で習近平氏が国家主席)」はここまで中台関係は悪くなかった。「中台関係を悪くしたのは蔡英文である」という事実を故意に無視するのは不当にもほどがある。
 香港、ウイグルチベットは全て「実効支配する国内問題」であって、実効支配してない「台湾」と同一視できる話ではない。
 中国の脅威は軍事ではなく「発展する中国の科学技術と経済」でしょう。日本政府が科学技術予算を減らし続ける中、中国の潤沢な科学予算は脅威と言っていいでしょう。しかし奥山や北條氏のような「軍事的脅威ガー」連中はそうした「発展する科学技術と経済」の脅威にはまず目を向けません。中国はむしろ「日本が軍拡の口実に我が国を使ってることは不愉快だし、日本の軍事力は勿論脅威だ。しかしその結果、日本の科学予算が減ってることは我が国にとってありがたい」と思ってるのではないか。

 中国の軍事的動向を論じるときに、感情的*3になって人種差別的な言い方までする人*4がいる。それでは多くの人に真面目に受け止めてもらえない。

 「差別的な物言いガー」つう面がないとは言いませんが、そもそも「中国の台湾侵攻ガー」などという主張自体が「真面目に受け止める必要の無い与太」でしかありません。

 中国に対抗するのであれば、ロシアを味方にした方が良い。

 吹き出しました。「ロシアとの間にも北方領土問題(日本)、ウクライナ問題(欧米)という問題」があることは奥山の脳みそから何故か完全に抜けてるようです。

 今回話を聞いた3人の専門家はいずれも米軍が介入することを前提に考えれば、「中国軍は力量不足」であり、大規模上陸作戦が起きる可能性は低いという認識だ。ただ、急速に中国軍の装備が強化されており、台湾有事を前提とした準備が日本政府には必要だと訴えている。

 つまり3人とも「頭がおかしい反中国右翼」ということですね。そんなウヨを評価する北條氏や「北條氏を幹部とする時事通信」も「頭がおかしい反中国右翼」ということです(とはいえそんな彼らですら現時点において「中国は米国に勝利できる」とは言わないわけですが)。
 中国が「台湾が独立宣言しない限り侵攻しない」としているのに何でそういう理解になるのか。勿論中国も「台湾が独立宣言しない限り侵攻しない」と言う立場でも「是非はともかく」、軍備について一定の「更新」はするでしょう。
 極端な話、台湾の軍事力が中国を大幅に上回ってしまえば*5、「台湾が独立宣言したら侵攻もあり得る」といっても台湾側が「お前の貧弱な軍事力でそんなことがやれるものならやってみろ」と居直る危険性があるからです。そうした居直りを防ぐためには「一定の更新はせざるを得ない」。しかしそれは当然ながら「侵攻がありうるというのはただのはったりではない」というアピールに過ぎず、「中国から積極的に侵攻することがあり得る」つう話ではない。

 岸田文雄政権に「将来起こるかもしれない危機*6」に警鐘を鳴らし、国民に準備を呼び掛ける覚悟はあるのだろうか。

 おいおいですね。「時事通信の北條氏」は一体国民に「どんな準備や覚悟」を呼びかける気なのか。岸田がどうこう以前に「北條氏」が考える「覚悟や準備」をまず言ってみろと言う話です。しかし「産経の阿比留や古森並に言ってることが極右的で常軌を逸しています」ね。時事通信って昔からこんなキチガイだったんでしょうか?。まあ確かに「田久保忠衛日本会議会長、国基研副理事長)」や「田崎スシローこと田﨑史郎」、「産経文化人の名越健郎や屋山太郎」は「時事通信出身」ですが。


中国、円借款「内々に解除」打診 天安門後に日本財界人に(外交文書公開): 日本経済新聞2021.12.23

 中国の李鵬*7首相が天安門事件の約5カ月後、民主化弾圧を理由に中国への第3次円借款供与を事実上凍結していた日本政府への対応策として、国際社会の目に付かないよう内々に凍結解除への話し合いを進められないかと日本の財界人に持ち掛けていた。23日公開の外交文書で分かった。
 李氏が水面下調整を打診したのは1989年11月。斎藤英四郎*8経団連会長を最高顧問とする日中経済協会訪中代表団との会談で「公表せず、作業を少しずつ始めたらどうか」と呼び掛けた。
 帰国後、(ボーガス注:日中経済協会訪中代表団は、海部内閣の)中山太郎外相に「今(ボーガス注:凍結解除に)動けば将来10倍、100倍得るものがあろう」と報告した。
 翌90年7月の先進国首脳会議(ヒューストン・サミット)で、欧米に先駆ける形で海部俊樹首相が供与方針を表明した。同年11月、凍結解除に踏み切った。

 少し古い記事ですが紹介しておきます。予想の範囲内ですね。「中国に制裁してれば良かった」云々という産経らウヨですが「日本財界は勿論そういう立場ではなかった」わけです。そして日本財界から献金を受ける自民はその要望に応えたわけです。


【産経抄】1月15日 - 産経ニュース

 海部氏*9民主党政権時代の平成22年に出した回顧録『政治とカネ*10』を読み返すと、生々しい筆致に妙味を覚える。
 極めつきは小沢氏*11に対する手厳しさである。
「物事がまとまりかけると、自分の存在価値が低くなるから、つぶす*12」「彼が、日本社会全体を傷つけている罪は海より深い*13」。
 小沢氏を中心とする民主党政権が、脱アメリカ親アジア*14を強調することに警鐘を鳴らす。

 一時「自民を離党し新進党党首に就任した海部氏(なお、幹事長が小沢氏)」もこの本が出たとき(平成22年)には「自民党に復党」してました。一時は自民を離党し、小沢氏と行動を共にしたものの、後に自民に復党した人間としては例えば二階*15元幹事長がいますが、海部氏もその口です。そんな人間が「自民復党後」に「民主党幹事長(当時)」の小沢氏に悪口したところで「今は自民に復党したから、民主党幹部の小沢氏に悪口してるだけ」ではないのか。公平な小沢批判といえるか、疑問符がつきます。
 それにしても「海部追悼の口実」で「小沢氏に悪口」とは産経の小沢嫌いも常軌を逸していますね。そんなことより「海部氏の政治家としての業績」について論じたらどうなのか。
 それにしても「対中国ODAを再開したのは首相時代の海部氏」なので「海部のせいで、中国が経済大国になった!」「海部が対中国ODA再開で日本社会全体を傷つけている罪は海より深い。海部が死んだところでその罪は消えない。我々産経は海部の犯した罪『対中国ODA再開』を、宮沢*16の犯した罪『天皇訪中』とともに今後も絶対に許さない」「岸田*17首相が海部と同じ『親中国』という過ちを犯すことは辞めてほしい」などと海部氏に悪口するかと思いきや意外です。「小沢訪中団を許さない!」だそうです。
 産経は、海部氏について「対中国ODA再開で悪いのは海部ではない。当時の幹事長・小沢と『小沢の親分である竹下*18元首相や金丸*19元副総理』だ。小沢たちに『中国へのODAを再開しろ』と言われて政権基盤の弱かった海部は渋々従った」とでもかばう気なのか?。
 まあ、小沢氏らの日頃の言動からしてそういう働きかけがあったとしてもおかしくないでしょうが、だからといって「海部は悪くない」というのは無理がありすぎです。

*1:著書に、『地政学アメリカの世界戦略地図』(2004年、五月書房)、『“悪の論理”で世界は動く!:日本属国化を狙う中国、捨てる米国』(2010年、フォレスト出版)、翻訳にエドワード・ルトワック自滅する中国』(2013年、芙蓉書房出版)、『中国4.0:暴発する中華帝国』(2016年、文春新書)、『戦争にチャンスを与えよ』(2017年、文春新書)、『ラストエンペラー習近平』(2021年、文春新書)、クライブ・ハミルトン『目に見えぬ侵略:中国のオーストラリア支配計画』(山岡鉄秀との共訳、2020年、飛鳥新社)、『見えない手:中国共産党は世界をどう作り変えるか』(2020年、飛鳥新社)、ダンビサ・モヨ 『すべての富を中国が独り占めする』(2013年、ビジネス社)、ロバート・D・カプラン『南シナ海が“中国海”になる日:中国海洋覇権の野望』(2016年、講談社+α文庫)

*2:一応、お断りしておきますが、俺がああした「言論抑圧を支持する」と言う意味ではなく「香港の反中国政府運動を押さえ込むことは重要な業績」という中国の長年の立場からすれば「大きな業績に当たるだろう」という意味です。

*3:「感情的」と表現するあたり奥山は語るに落ちています。どうみても「感情的なのではなくがちの差別主義者」でしょうに。

*4:といいながら「櫻井よしこ(国基研理事長)、田久保忠衛日本会議会長、国基研副理事長)などの具体的な人物名」や「人種差別的な言い方の具体例」が出せない時点で奥山は語るに落ちています。要するに本気で桜井などウヨを批判する気などないのでしょう。大体、山岡鉄秀と付き合いがある人間がよくも言ったもんです。

*5:現実問題そう言うことはないでしょうが。

*6:台湾有事のことか?

*7:電力工業大臣、副首相(国家教育委員会主任兼務)、首相、全人代委員長など歴任

*8:元・新日鉄社長

*9:自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田、中曽根内閣文相を経て首相。首相退任後、一時、自民を離党し新進党党首を務めたが、後に自民に復党

*10:新潮新書

*11:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党幹事長(海部党首時代)、新進党党首、自由党党首、民主党幹事長など歴任

*12:海部氏がまとめようとした話を「その、まとめ方では小沢氏の考えに合わない(小沢氏の考える国益自民党の利益、小沢氏個人の私的利益にあわない)」つうことはありえても「まとまること自体が自分の価値を下げるから潰す」なんてことは小沢氏もしないでしょう。

*13:その言葉に一番該当するのは、小沢氏よりも「モリカケ、桜の腐敗政治家」安倍でしょう。

*14:いわゆる小沢訪中団 - Wikipediaのことか?

*15:小渕、森内閣運輸相、小泉、福田、麻生内閣経産相自民党総務会長、幹事長(第二次安倍総裁時代)などを歴任

*16:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相等を経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*17:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相、自民党政調会長(第二次安倍総裁時代)などを経て首相

*18:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)などを経て首相

*19:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣副総理、自民党副総裁(宮沢総裁時代)など歴任