今日のロシアニュース(2022年4月30日分)(副題:昭和天皇を美化する産経に呆れる)(追記あり)

【産経抄】4月30日 - 産経ニュース

 意外なところで明治天皇の御製(ぎょせい)を目にした。在日ウクライナ大使館が25日、ツイッターで引用したのである。
「よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ」。
 明治天皇日露戦争開戦に際し、本当は戦争を避けたいとの願いを込めてつくられた歌である。
▼大使館のツイッターはまた、この歌を昭和天皇が読まれたことにも言及していた。ウクライナ政府が昭和天皇の肖像を、ナチス・ドイツヒトラー*1と並べ、全体主義の象徴*2と描く動画をツイッターに投稿(現在は肖像削除済み)したことへのおわびとしてだった。
▼日米開戦3カ月前の昭和16年9月6日の御前会議で、昭和天皇はあくまで外交交渉に重点を置き*3努力せよ*4と諭し、明治天皇御製を読まれた。当時、大本営陸軍部参謀だった元伊藤忠商事会長、瀬島龍三さん*5は上官から伝えられて感動したという。

 「4/29=昭和の日」ということでのコラムです。
 産経の紹介するツイートが

https://twitter.com/UKRinJPN/status/1518393858367029248
在日ウクライナ大使館
 昭和天皇が常に、日本の、そして世界の平和を望まれていたことを我々ウクライナ人は存じ上げております。畏れ多いことではございますが、昭和天皇がお詠みになられた明治天皇御製の大御歌をここに記させていただく事でお詫びに代えさせていただければ幸いです。
「よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ」

です。
 「弱い立場のウクライナ」を批判する気はあまりありませんが、これは「ウクライナ黒歴史」になる。勿論こんなことを事実上強要した「日本の黒歴史」でもある。「昭和天皇=平和主義者」は明らかにデマだからです。そもそも「昭和天皇=平和主義者」なら対米開戦は「ハルノートが悪い」というのか。「日本ウヨ」はともかく、そう問い詰められたらウクライナはしどろもどろになるでしょう。「そうだ」などと言ったら米国への誹謗になる。
 しかしこうなると「ロシアの侵略を批判した上での話」ですが「こんな日本ウヨの無茶苦茶な要求に応じるくらいなら、プーチンNATO不参加を確約しても良かったんじゃね?」と言いたくもなります。
 なお、明治天皇昭和天皇の主観はともかく「日露戦争」「太平洋戦争」は回避できた戦争です。
 特に「ハルノートなんか飲めるか」という太平洋戦争当時の判断は「敗戦の可能性が当時から指摘されていた」ので、「当時においても大きな間違い」でした。「戦争回避は不可能だった」を「事実扱い」し、昭和天皇を免罪する産経にはいつもながら呆れます。
 あげく

 今、明治天皇の誕生日に当たる11月3日の「文化の日」を「明治の日」に改称する超党派の取り組みが本格化してきたのも、当然だろう。

だそうですから、さらに呆れます(超党派と言っても自民、国民民主、維新などウヨだけで共産、社民は入っていませんが)。
 なお、「話が脱線します」が、ご存じの方もいるでしょうが「是非はともかく*6」海の日(元々は7/20)も実は「明治天皇明治丸で東北巡行した時に横浜港を出港した日」で天皇がらみです(海の日 - Wikipedia参照)。ところが「昭和の日(4/29)」「文化の日(11/3)」「勤労感謝の日*7(11/23:かつての新嘗祭)」について「天皇がらみだからハッピーマンデーの対象にはしない*8」としたウヨも「海の日」にはそれほどの思い入れがなかったらしく「ハッピーマンデー」の対象となっています。「昭和の日(4/29)」「文化の日(11/3)」「勤労感謝の日(11/23)」が戦前から「国民の祝日」だったところ、「海の日」だけは「当初は海の記念日に過ぎず祝日ではなかった(祝日となったのは1996年以降)」ことが大きいのかと思います。

【追記その1】

nordhausenさん
 そのうち、大正天皇の誕生日(8月31日)も「大正の日」として祝日にすべきだという動きも出てきそうですね。

 「コメント欄の指摘」ですが、俺個人は「それはない」と見ています。なぜなら「明治天皇昭和天皇と違い、大正天皇の死後、彼の誕生日が祝日になったことは戦前においてなかった」からです。
 これは「大正天皇が精神病を患って、息子・裕仁(後の昭和天皇)を摂政にしたこと」がウヨにとって「不名誉だから」ではないか。
 そして「日清、日露戦争勝利による『台湾、南樺太』割譲、『韓国』植民地化という領土拡大(これは現在の観点では侵略戦争であり手放しで評価できませんが)」「そのような戦争勝利が可能になるような軍事や工業の近代化」(明治天皇)などのような功績が「ウヨにとって大正天皇にはない」ということでしょう。
 ただし領土拡大なら、大正天皇時代には「第一次大戦勝利でのパラオ獲得(パラオは元々はドイツの植民地)」という実績が一応ありますが。
 昭和天皇の場合「一体、何が功績なのか?(彼は祖父・明治天皇と違い戦争に敗戦して領土を全て失っている)」と言いたくなりますが、「大東亜戦争のおかげでアジアが解放された」という認識による物か?
 そういう意味では「気が早い(?)」ですが、「明仁上皇の誕生日(12/23)」「徳仁天皇の誕生日(2/23)」が彼らの死後「平成の日*9(仮称)」「令和の日(仮称)」となることは恐らくないでしょう。ウヨ連中が彼らをそこまで評価してるようには見えないからです。
 ちなみに単なる偶然でしかないですが、8月31日 - Wikipediaによれば大正天皇(1879年8月31日)と全く同じ誕生日の人物が「アルマ・マーラー(作曲家グスタフ・マーラーの妻)」で、4月29日 - Wikipediaによれば昭和天皇(1901年4月29日)と全く同じ誕生日の人物が「ゾルゲ事件の尾崎秀実」です。


【追記その2】

nordhausenさん
 そういえばそうでしたね。ご指摘ありがとうございます。

 こちらこそコメントありがとうございます。

 他にも、戦後政治的権限が無くなったとは言え、「戦後復興や高度経済成長を成し遂げて日本が世界有数の経済大国となった」「それに伴う社会資本(例:新幹線)の普及」という認識もあるのでしょう。

 それは昭和天皇のおかげではないですけどね。象徴であって「国家元首ではない」ですから。

*1:「ら」とはムソリーニのこと

*2:日独伊同盟を考えれば「全体主義の象徴」扱いは当然の話です。

*3:勿論「敗戦の可能性が高いから」です。

*4:ただし「妥協可能なら妥協するが、絶対に飲めない要求があるなら開戦もやむなし(昭和天皇)」であって「ハルノートなんか飲めるか!」で、実際開戦したので産経ほど美化できる話ではない。

*5:1911~2007年。戦前は大本営陸軍参謀(後に連合艦隊参謀兼務)、関東軍参謀などを歴任。関東軍特種演習(関特演)の作戦立案などにあたった。戦後も伊藤忠商事航空機部長、業務本部長、常務、専務、副社長、社長、会長、相談役や日本商工会議所特別顧問、東京商工会議所副会頭など歴任。1981年、鈴木善幸首相や中曽根康弘行政管理庁長官(後に首相)から依頼を受け、第二次臨時行政調査会(土光臨調)委員に就任。「臨調の官房長官」と称され、中曽根政権(1982年〜1987年)のブレーンとして、政財界に強い影響力を持つようになった。「瀬島の韓国人脈」によって、中曽根首相の訪韓全斗煥大統領の来日の実現に動いたとされる。山崎豊子の小説『不毛地帯』の主人公・壱岐正(近畿商事副社長、シベリア抑留経験あり)、『沈まぬ太陽』の登場人物・龍崎一清(利根川首相のブレーンである大物財界人、シベリア抑留経験あり)のモデルであるとされる。また、韓国のドラマ第5共和国 (テレビドラマ) - Wikipediaには伊藤忠商事会長として瀬島が登場する。著書『幾山河:瀬島龍三回想録』(1995年、産経新聞ニュースサービス)、『大東亜戦争の実相』(2000年、PHP文庫)、『祖国再生 : わが日本への提案』 (2009年、PHP文庫)。また、瀬島の評伝として保阪正康『参謀の昭和史・瀬島龍三』(1991年、文春文庫)、共同通信社会部『沈黙のファイル:「瀬島龍三」とは何だったのか』(1999年、新潮文庫)がある(瀬島龍三 - Wikipedia参照)

*6:共産党は「7/20を海の日にすること」については「天皇崇拝につながる」「海の日を明治天皇と関連付ける必要がそもそもない」として反対だったかと思います。

*7:個人的には「5/1のメーデー」を勤労感謝の日にしてはどうか(そうすると4/30と5/2も現行法制度では自動的に祝日となり祝日も増える:勿論その場合11/23は平日)と思いますが、まあウヨは賛成しないのでしょうね。

*8:という考えも「他の祝日については経緯を軽視するのか」「天皇がそんなに大事か」「ならばそもそもハッピーマンデーなど辞めたらどうか?。逆に続けるなら全ての祝日をハッピーマンデー対象にすべきだ」という意味でどうかと思います。

*9:そもそも退位の際に「平成の日にしよう」という動きがウヨの中で起こってもおかしくないところ、起きませんでしたからね。