「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年7/4分:巣くう会関係の集会の巻)

韓国新政権と拉致被害者救出(東京連続集会1)
 他の問題はともかく、少なくとも「拉致解決」と言う意味では「韓国の政権」が誰であろうと「関係ない」でしょう。
 拉致問題は「竹島問題(韓国が実効支配)」のような「日韓間の外交問題」ではない。勿論、拉致を実行したのは「韓国でなく北朝鮮」です。
 基本的に拉致は「日朝外交交渉」でのみ解決することであり、その交渉において、韓国政府は

米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 林東源は、小泉からのメッセージも金正日に伝える。「拉致問題に進展があれば、国民を説得して関係改善を進める意思がある」との趣旨だったという。
 林は「日本人拉致は『過去に過激な盲動分子がやったことだ』という程度に認め、遺憾の意を表し、早期の帰還措置を取るのがよい」という「金大中の考え」を伝えて説得したとも回顧録で主張している。

が紹介する「林東源」のような「日本と北朝鮮の仲介役」をやること位しかできない。その場合「韓国政府の外交意思や能力」も勿論重要ですがその前に「日本の外交意思や能力」が重要です。
 日本の意向を無視して、日本人拉致問題で韓国が勝手に動けない。勿論【1】韓国は拉致問題の当事者でないので日本の依頼もなく、勝手に動く動機がない、【2】勝手に動いても北朝鮮が相手にするとは思えないし、日本が歓ぶとも思えない(むしろ勝手に動くなと恨まれる恐れがある)と言う意味で「勝手に動くわけもない」ですが、勝手に動いたところで「韓国の主張については、拉致問題の当事者である日本の了解があるのか?」「了解がないならお話にならない」と北朝鮮が言って「相手にしない」だけでしょう。
 結局「日本が何をやるか」が重要なわけです。しかし、日本政府は「即時一括全員帰国以外不可(しかもその全員に特定失踪者というインチキ拉致被害者が入っている)」などという「北朝鮮が飲むとは思えない家族会、巣くう会の方針」に唯々諾々と従って、まともな日朝外交ができていない。これでは「韓国の外交意思や能力」以前の話です。

 久保田るり子*1國學院大學客員教授で元「産経新聞」ソウル特派員に報告

 久保田が教員というのだから絶句です。さすが「神道系の大学」と言うべきか。「国学」とはあの「本居宣長平田篤胤などの国学尊皇攘夷運動に影響)」であって國學院とは元々はそういう大学です。

西岡力救う会会長)
 お手元に新聞記事のコピーがあります。「世界日報」という新聞が6月27日に報道した記事「日本人拉致被害者とその子供 全員が平壌市内に居住」です。

 これについては荒木和博が世界日報の拉致被害者に関する情報について: 荒木和博BLOGと言う記事を書き、それについて以前、拙記事「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年6/27日分:荒木和博の巻) - bogus-simotukareのブログで批判しました。一言で言えば「具体性皆無で話にならない」ですね。
 産経ですら世界日報記事の後追い報道をしません。その程度の記事です。

 この(ボーガス注:日本人拉致被害者平壌で見たという)キム・グクソンという人が(中略)「韓国の大統領府に北朝鮮のスパイが過去に入っていた」という証言をして、韓国政府は、「そんなことはなかった」と否定したのですが、彼は、「そのスパイはエアコンの技術者だった」と。
 「金泳三政権の時にエアコンの技術者として入り込んだ」、「青瓦台の見取り図を全部北朝鮮は持っている」と。尹政権は青瓦台から大統領府を引っ越しました*2が。「有事になったらエアコンの噴出口から毒ガスを出してみんな殺せた*3」と言っていました。

 馬鹿馬鹿しい。常識で考えてそんなことができるわけがないでしょう。こんな与太を言ってる人間が「北朝鮮で拉致日本人を見た」なんて言っても説得力は皆無です。そもそも世界日報記事では「見た」とは言っても具体性皆無で信憑性がまるでありませんが。
 それにしても「エアコンで毒ガス」なんて与太の紹介が「北朝鮮で拉致日本人を見た」証言の信憑性を高めると思ってるらしい西岡には絶句です。

 その人*4の履歴を見ると、金策*5(キムチェク)工業総合大学卒業後、金正日政治軍事大学に入っています。これは工作員養成学校です。

 問題はこうした履歴(恐らく自己申告)が「どこまで信用できるのか」ですね。何せ「エアコンで毒ガス」なんて与太を飛ばす人間です。まあ本当だとしてもそれは「証言が事実だ」と言うことには全くなりませんが。
 「竹入義勝矢野絢也*6(元公明党委員長)の創価学会公明党批判」「袴田里見(元共産党副委員長)、筆坂秀世*7(元共産党政策委員長)の共産党批判」(いずれも創価学会公明党共産党は事実無根と否定)が正しいかどうかは「詳しく調べないと何とも言えない」のと同じです(ここでは、竹入らについては、単に「元幹部だからと言って批判が正しいかどうかはわからない」と言う意味合いでの紹介に過ぎないので彼らの主張の評価はしません)。

*1:著書『反日種族主義と日本人』(2020年、文春新書)

*2:勿論「毒ガス」云々で引っ越したわけではなく、「広すぎて実務に適していない」などの理由によるものです(青瓦台 - Wikipedia参照)

*3:「盗聴器を仕掛けて情報を得ていた」ならまだしも随分と信憑性のない話です。工事当時に「そんな物を仕掛けたとして」ばれないとは思えないし、「有事(北朝鮮の南侵?)の際に毒ガス装置を後付け」というのも「(青瓦台には当然警備があるので)そんなことができるのか」と言う話です。

*4:キム・グクソンのこと

*5:1903~1951年。1927年に朝鮮共産党に参加。1930年6月、一国一党原則に基づき中国共産党に入党。1936年8月、中国東北抗日聯軍(満州に展開した中国共産党指導下の抗日パルチザン組織)で活動。しかし、日本軍のパルチザン制圧作戦を逃れてソ連に亡命。1945年、金日成とともにソ連軍(赤軍)に同行して帰国。1948年9月、北朝鮮が建国されると副首相兼産業相に就任。1950年6月25日の朝鮮戦争開戦時には朝鮮人民軍前線司令官に就任。朝鮮戦争中の1951年に死亡。北朝鮮の公的な歴史では長く「戦死」とされていたが、金日成が死の直前に公刊した回想録『世紀とともに』(1994年)によれば、前線指揮の激務による過労で心臓麻痺を起こして死んだ、としている。出身地に近い城津市は、1953年に金策市に改名された。また、金策製鉄所(清津市、清津製鉄所から改名)、金策工業総合大学(平壌市、平壌工業大学から改名)、金策軍官学校(第二軍官学校から改名、現・金日成政治大学)も改名された。1956年に設立された空軍の教育機関金策航空大学(清津市)と命名された(金策 - Wikipedia参照)

*6:公明党書記長、委員長を歴任。著書『闇の流れ:矢野絢也メモ』(2008年、講談社+α文庫)、『黒い手帖:創価学会「日本占領計画」の全記録』、『私が愛した池田大作』(以上、2009年、講談社)、『乱脈経理創価学会VS.国税庁の暗闘ドキュメント』(2011年、講談社

*7:著書『日本共産党の最新レトリック』(2019年、産経新聞出版