今日のロシアニュース(2022年9月2日分)

ロシア石油大手会長 病院の窓から転落死か 春先に侵攻の解決促す:朝日新聞デジタル
 タイトル「春先に侵攻の解決促す」からして「プーチン派の暗殺」を匂わせていますが、報道を見る限り「プーチン派の暗殺」どころか、殺人と見なす決定的根拠もない(現時点では自殺や事故の可能性も否定できない)のにこういう書きぶりはいかがな物か。


鈴木宗男氏 ロシアのウクライナ侵攻「つじつまの合わない話が沢山」「公平ではない」(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

IAEAの専門家が調査に行くのは、プーチン大統領も承認している。しかもロシア側が占拠しているところをロシア軍が砲撃するとは到底考えられない。」

 どんな結果が出るかは分かりませんが、IAEA調査を待たずにこう言う辺りが「親ロシア派の鈴木らしい」。せめて「IAEA調査結果をまずは待とう」「それまではロシア、ウクライナどちらも批判することは避けよう」位にとどめるべきでしょう。


「軍の大半はプーチンを嫌っている」パスポートをトイレに流し…フランスに逃れたロシア兵が軍の内情を暴露(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース
 勿論こうした主張は割り引くべきでしょう。フランスに亡命(逃亡)した以上当分ロシアに戻れないし、であれば「ロシア批判でフランス人の歓心を買おう」とすることは容易に想像できるからです。


ウクライナは「満州国」に? 中国近現代史家が憂えるいつか来た道 | 毎日新聞2022.3.2

 (ボーガス注:ロシアによるドンバス共和国、ルガンスク共和国の独立承認は)戦前・戦中の傀儡国家「満州国」(現在の中国東北部)建国をはじめとする、旧日本軍の中国でのやり方*1に似ているとの見方がある。愛知大学非常勤講師*2で、日中戦争や同時期の対日協力政権(傀儡政権)史に詳しい広中一成さん*3(43)に聞いた。

 6ヶ月前の古い記事ですが気づいたので触れておきます。「何だかなあ」ですね。広中氏は「日中戦争研究者」ではあっても「ロシア研究者」ではないし、彼に話を聞いても「ウクライナ戦争について有益な知識が得られる」とも思えません。
 「戦前日本軍」と「今のロシア軍」は「傀儡国家建設」など似ている点があっても「同じではない」。


“侵攻継続と和平交渉で意見が二分” ロシア 世論調査 | NHK | ウクライナ情勢
 「反プーチン派の調査」なので割り引く必要はあるかもしれない*4が、「数値が事実」ならば「反戦厭戦」と「継戦」が拮抗してるわけです。開戦当初に比べれば大分、反戦論、厭戦論が強まってるわけで大変喜ばしい。
 とはいえ「東京、大阪、名古屋など大都市への空襲」などで厭戦気分が高まっても、国民が政府に影響を与えることができなかった戦前日本のように「権力者が国民世論を無視できる力があれば」戦争は終わらない。今のところプーチンがこうした反戦世論を無視し、継戦する構えであり、それに「効果的な反撃」を反戦派ロシア人が「加えられるようには見えない」のが何ともつらいところです。


【主張】ゴルバチョフ死去 制限主権論の復活許すな - 産経ニュース
 プーチンウクライナ侵攻は「ソ連チェコ侵攻」と違い「制限主権論(ブレジネフドクトリン)」を根拠にしてるわけではないでしょう。つまりタイトルが不適切だと思います。

 ウクライナでの「勝利」を許せば、「帝国再興」の妄念に憑かれた暴君の刃は米欧を志向する他の旧ソ連諸国、さらには北大西洋条約機構NATO)に加盟済みの欧州各国に向く危険性もある。

 ウクライナで苦戦するロシアにその可能性はないでしょう。
 そもそも当初から「ウクライナでのゼレンスキー政権打倒、傀儡政権樹立」が目的であり、仮に「ウクライナ戦争でロシアが短期で目的(ゼレンスキー政権打倒、傀儡政権樹立)を達成した」としても「ウクライナ以外へ侵攻する可能性」は低かったでしょう。また、プーチンは「ロシアの国益最大化」は目指していても「帝国(ソ連)再興」など考えてないでしょう。

*1:ちなみにこうした「日本軍の傀儡国家建設」はシベリア出兵でもされています。満州国が最初ではありません。

*2:2022年3月当時。現在は愛知学院大学准教授

*3:著書『ニセチャイナ:中国傀儡政権』(2013年、社会評論社)、『冀東政権と日中関係』(2018年、汲古書院)、『牟田口廉也』(2018年、星海社新書)、『傀儡政権:日中戦争、対日協力政権史』(2019年、角川新書)、『後期日中戦争:太平洋戦争下の中国戦線』(2021年、角川新書)、『増補新版・通州事件』(2022年、志学社選書)など

*4:一方でプーチン派(政府系)の調査は「逆の意味」で割り引く必要があります。