常岡浩介に突っ込む(2022年3月21日分)

常岡浩介がリツイート
◆石田昌隆*1
 ウクライナが勝つ=プーチンが失脚する以外に戦争が終わることはない。ウクライナが負けたら、プーチンは次はモルドバで戦争を始めるだろう。

 巣くう会の「北朝鮮体制打倒で拉致被害者帰国」や「場合によったら北朝鮮の韓国侵攻ガー」並の暴論と言っていいでしょう。
 「プーチンにロシア軍を撤退させる」つう形でも勿論「終戦はあり得ます」。その場合、プーチンが失脚しなくてもウクライナは勝利する。
 ロシア軍が撤退した場合、フォークランド紛争敗北を契機にアルゼンチン軍事政権が崩壊*2したような事態が、その後、プーチン政権で起こる可能性はありますが、少なくとも「ロシア軍撤退(ウクライナ勝利)」の時点ではプーチンは失脚していません。
 そこで常岡や石田は「ロシア軍が撤退してもプーチンは(フォークランド紛争のアルゼンチン軍事政権と違い)失脚しないかもしれない。2~3年たってほとぼりが冷めたらまたプーチンウクライナに侵攻するかもしれない。だから今すぐプーチン打倒」というのかもしれませんが、そんな「仮定に仮定を重ねて」ウクライナの安全のためには「今すぐのプーチン体制打倒」が必要というのはまともな主張ではない。
 というか「ロシア経済制裁の目的」は少なくとも建前では「ロシアに撤兵を迫る目的(つまり撤兵すれば解除する)」であって「プーチン失脚」ではないし、だからこそウクライナもロシアと和平交渉をしている。 
 プーチン失脚を望む場合でも「プーチン失脚とロシア軍撤退は一応別物だ」というべきでしょう。
 もはや「常岡や石田の本音」は「巣くう会の本音が北朝鮮体制打倒(拉致解決は口実)」なのと同様に「プーチン体制打倒(ロシア軍のウクライナ撤退は口実)」と見るべきでしょう。巣くう会が「即時一括全員帰国は譲れない、段階的帰国は不可」「特定失踪者は北朝鮮拉致」と無茶苦茶を主張したのと同様に、そのうち「ウクライナNATO加盟*3は譲れない」「和平条件にプーチンの大統領辞任を入れろ」「そもそも和平交渉に反対、ロシアにだまされるだけ」などと言い出すのではないか。
 なお、マスコミ報道を見る限り、現状において「ウクライナが敗北すること」はなさそうですが、仮にウクライナが負けたとしても「次はモルドバ*4で戦争を始めるだろう」には何の根拠もないでしょう。
 単に「反プーチンの常岡や石田」が無責任に反プーチンを煽ってるだけです。プーチンウクライナで負ければ、この放言はチャラになる。仮に勝って、にもかかわらず「モルドバで戦争をしなくても」常岡や石田は「無責任な放言してすみません」とは絶対に言わないでしょう。
 「俺たちの批判にプーチンが恐れを抱いてモルドバ侵攻を諦めたのだろう」と居直る。場合によっては批判派を「プーチンを擁護するのか」と悪口。
 勿論「モルドバプーチンが戦争を始めれば」、『俺たちの予想が当たった』と自画自賛。何があろうと「自画自賛」する事を決めてるのだからそりゃ無責任に「下手したら次はモルドバだ、打倒プーチン」と煽れるでしょう。俺みたいな小心者には「こんな無責任で薄汚い行為」はとても真似できませんし、真似したくもありませんが。いかに反プーチンでもある程度まともな人間はここまでデタラメではないでしょう。
 つうかあえて言えば「モルドバとかどうでもいい」。プーチンモルドバに戦争を拡大するかどうかではなく「ウクライナの戦争を止めること」が急務の課題でしょうに。
 「反プーチン」や「『橋下の降伏発言』などへの危機感」を変な形でこじらせたあげくが「次はモルドバ」ですかね?
 正直、橋下のような輩は何を言おうとも「降伏発言」をやめないでしょうし、一方で俺のようなプーチン批判派は「次はモルドバなんて無理に煽らなくてもプーチンなんか擁護するかよ!」ですね。

*1:著書『ソウル・フラワー・ユニオン』(2014年、河出書房新社)など

*2:アルゼンチンではガルチェリ大統領が敗戦の責任を問われ、1982年6月に大統領及び陸軍総司令官を辞任して失脚。後任大統領には退役陸軍中将のレイナルド・ビニョーネが就任したが、緒戦は「ガルチェリ万歳」を連呼していた国民も、この敗戦にかつてないほどの反軍感情を高まらせ、やむなく軍政は1983年10月に大統領選を実施。その結果、急進党のラウル・アルフォンシンに政権交代が行われ、民政移管が完了した(フォークランド紛争 - Wikipedia参照)。

*3:「ゼレンスキー退陣」「ルガンスク共和国、ドンバス共和国の独立承認」と違い、NATO不加盟は現状維持にとどまるのでウクライナにとって大して不利益もないし、このくらいは飲まないとロシアの面子が立たず、撤兵を要求しづらいのですが

*4:ロシアの軍事支援を受けた親ロシア派が『ウクライナ領内のドンバス共和国』のような『沿ドニエストル共和国』をモルドバ国内に組織