三浦小太郎に突っ込む(2022年9月30日分)

【報告】9月28日 カンボジア自由民主の集い | 一般社団法人 アジア自由民主連帯協議会(文責・三浦小太郎)

 最初に、凶弾に斃れた安倍晋三元首相への黙とうがささげられた

 「おいおい」ですね。この集会を企画した西村幸祐*1(副会長)、三浦(事務局長)ら「アジア自由民主連帯協議会」が安倍礼賛右翼集団であることは知っていますが「カンボジア民主化」と安倍と何の関係があるのか。
 後で触れますがむしろフンセン政権を支援し「カンボジア民主化」に逆行していたのが首相時代の安倍ではないのか。

 今回来日した、ムー・ソクア、カンボジア救国党*2副党首の基調講演が行われました。
 ムー・ソクア氏は、カンボジア国民を代表し、まず、安倍元首相への哀悼の意を表し、元首相が2018年にカンボジアを訪問した際、「カンボジアはさらに平和と人権のカンボジアとして発展することを強く願う」と発言をされたと指摘しました。

日・カンボジア首脳会談|外務省平成30年10月8日
 安倍晋三内閣総理大臣は,(中略)フン・セン・カンボジア王国首相と首脳会談を実施
 安倍総理大臣から,日本は,カンボジアの民主的発展の道のりを共に歩んできたとし,これからもしっかりと民主化を進め,国の統治を行い,国を豊かにしてほしい旨述べました。

と言った事実(フンセンとの首脳会談での安倍の「民主化」発言は明らかに「フンセンがカンボジア民主化を進めてきた」というフンセンへの激励)を考えれば、2018年の安倍発言「カンボジアはさらに平和と人権のカンボジアとして発展することを強く願う」をムー・ソクア氏のように、『救国党(2017年に強制解散)への激励、与党カンボジア人民党やフンセンへの批判』とみるのは詭弁、こじつけであり、与党やフンセンへの激励とみるべきでしょう。救国党の立場からは本来、安倍批判してしかるべき話なのに、安倍信者ウヨにこうして媚びるのには心底呆れます。
 それにしても

安倍晋三元首相「国葬」警視庁は厳重警戒 岸田首相は「弔問外交」 | NHK政治マガジン2022.9.26
 28日は、韓国のハン・ドクス(韓悳洙*3)首相やカンボジアのフン・セン首相などと会談

日・カンボジア首脳会談|外務省
 9月28日、午前9時00分から約20分間、岸田文雄内閣総理大臣は、訪日中のフン・セン・カンボジア王国首相と会談を行った

ということで「フンセン首相が安倍国葬に参列し、その後、岸田首相とも会談(日本政府はカンボジア政府批判の立場にない)」ということで、それだけ「フンセン批判派」も政治的に苦しいのでしょうが、とはいえ「この種の極右」と野合してもメリットはないと思います。

 ソクア氏は、フンセン政権は、中国に自由なカンボジアを売り渡し、中国独裁政府の最大の友人となった、このアジアにおける大きな平和と自由への脅威は中国だと強調しました。

 反中国右翼団体「アジア自由民主連帯協議会」での講演のために「中国への悪口」が「当然の義務」なのでしょう(呆)。「岸田とフンセンの会談」を考えれば日本だって威張れる話では全くないのですが。また、中国との関係という意味なら、カンボジアよりもむしろ「同じ共産国であるベトナム*4ラオス」の方が深い関係ではないか。
 「冷戦崩壊後」、共産国としてのつながりは「それなりに重要」ではないか。

 フンセンは自分の息子*5を次期首相にしようとしている

 「北朝鮮の三代世襲」など、独裁国家ではありがちな話です。いや民主国家ですら「米国のブッシュ親子」「日本の安倍親子」「インドのいわゆるガンジー王朝」など世襲政治家は珍しくない。

*1:著書『九条という病:憲法改正のみが日本を救う』、『日本人だけが知らなかった「安倍晋三」の真実:甦った日本の「世界史的立場」』(以上、2022年、ワニブックスPLUS新書)など

*2:2017年11月16日にカンボジア最高裁の命令により強制解散。但し、野党が消滅したわけではなく、独裁強化と世襲に動くカンボジア政治――2022年コミューン評議会選挙がもつ意味(山田 裕史) - アジア経済研究所によれば救国党の後継政党として、カンボジア国内にはキャンドルライト党(三浦の記事では「ろうそくの灯り党」と表現)、クメール愛国党、カンボジア改革党、クメール意思党、カンボジア主義党の5党が存在し、過大評価はできない物の一定の議席を獲得している。今後、場合によっては救国党強制解散のようにまた「5党の強制解散」に動くことも懸念される。

*3:駐米大使、財務相などを経て首相

*4:勿論「中越戦争(1979年)」や南沙諸島問題はありますが

*5:フン・マネット - Wikipedia によれば、現在、陸軍司令官