今日の中国ニュース(2022年11月1日分)(副題:NHK、朝日、日経、産経の反中国に呆れる)

中国 習近平指導部・異例ずくめの人事とは?【詳しく】 | NHK

 トップ24人である「政治局委員」が決まりました。
 実は、このトップ24人に、女性は1人もいませんでした。女性がいなかったのは1997年以来、実に25年ぶりです。
 これまでの政治局委員には、新型コロナ対策などを担う副首相を務める孫春蘭*1という女性がいました。政治局委員のうち、ただ1人の女性でした。
 72歳となる彼女が引退したあとも、別の女性が入ると指摘されていました。
 候補の1人に上がっていたのは、少数民族・ペー族の女性で、内陸部・貴州省出身の諶貽琴氏*2(62)です。2020年には貴州省トップの書記に昇格し、データセンターの誘致などを通じて、かつて国内で最も貧しい地域とも言われた省の貧困対策を推進するなど実績を積んできました。
 しかし、フタをあけてみると女性はゼロ。
 中国共産党の組織に詳しい愛知県立大学鈴木隆*3准教授は、「女性の政界進出という意味では、習近平時代の過去10年ではあまり進まなかった、むしろ後退した、その1つの象徴だと思います」と分析しています。

 これについては【中国観察】習3期目指導部、女性登用20年ぶり「ゼロ」に 若手登用にも遅れ - 産経ニュース等の報道もあります。しかし、以前も別記事で書きましたが、世界経済フォーラムジェンダーギャップ指数(2022年)では「中国102位」「日本116位」なんですよね(順位が低いほど女性の社会進出が遅れてると評価)(「共同参画」2022年8月号 | 内閣府男女共同参画局参照)。
 その辺りのことをNHKはどう考えてるのか。「ジェンダーギャップ指数は指標として信用できない」というのか、はたまた「日本は中国より女性の社会進出が遅れてる」と素直に認めるのか?
 またこのNHK理論だと

第1次小泉内閣 - Wikipedia
◆外相:田中真紀子*4
環境相:川口順子*5
国交相扇千景*6
◆法相:森山真弓*7
文科相遠山敦子*8

と言う小泉首相(女性閣僚5人は現在でも日本の内閣では最多)が「日本で最も『政治分野』での男女平等に熱心な首相」と言うことにもなりかねませんが「NHKはそういう理解をしている」ということでいいのか?。
 というかこんなことをいうなら「恐らく、主要政党では日本で最も女性を選挙候補に擁立している日本共産党」をNHKにはもっと評価して欲しいですね。
 というか未だに「女性官房長官森山真弓ただ一人」「女性衆院議長は土井たか子ただ一人」なんて日本が中国に対しあまり偉そうなことも言えないと思いますが。
 また、人民日報に寄れば

中国、婦女権益保障法の改正案が可決 女性の人格的尊厳の保持を強調--人民網日本語版--人民日報2022.11.1
 改正された婦女権益保障法は、女性の人格の尊厳を冒してはならず、医学的に不必要な胎児の性別鑑定や男女産み分けのための中絶を禁じると、明確に強調している。また、医療機関が関連した医療処置や治療を行う場合、女性本人の意思を尊重しなければならないと規定している。そして、女性の誘拐、拉致を禁じることをベースに、誘拐、拉致された女性を発見した場合、報告、救助、保護、配慮しなければならないといった政府や関連当局、村民委員会、住民委員会の職責を定めているほか、女性に対するセクハラを禁じることをベースに、セクハラ、性犯罪の予防とその処罰に関するメカニズムを踏み込んで整備している。
◆雇用の分野の男女差別根絶へ
 女性の労働や社会保障をめぐる権利・利益の整備も、今回の改正の主な内容の一つとなっており、雇用の分野における男女差別をなくすために、その具体的な状況を明確化し、労働保障監察の範囲に組み込んでいる。例えば、雇用機関に対して女性従業員の権利・利益を保障するための関連責任を規定し、労働(雇用)契約またはサービス契約において、女性従業員の権利・利益保護に関する内容を含めなければならないと明確に定めている。
◆出産をめぐる保障を整備
 出産をめぐる保障の面で、改正された婦女権益保障法は、国が健全な労働者産休制度を制定し、雇用機関は女性従業員の出産を保障する義務があると明確化し、雇用機関に対して結婚、妊娠、産休、授乳などを理由に、昇進、昇級、専門技術の職階、職務の格付け、任命を制約してはならないと求めている。
 改正された婦女権益保障法は2023年1月1日から施行される。

という「女性の権利保護の動き」もあります。


ルラ氏返り咲きのブラジル 中南米で左派政権続々、増す中国の存在感:朝日新聞デジタル
 産経もそんなこと書いてましたが「デマ記事は辞めろ」と言いたい。
 基本的に「右派だろうと左派だろうと」、経済大国中国と敵対関係になるなんて選択肢はありません。安倍ですら首相在任中に「李克強首相の訪日」において

北海道で安倍晋三首相、李克強首相をおもてなし 帰国見送る - 産経ニュース2018.5.11
 安倍晋三首相は11日、訪問先の北海道で、来日中の中国の李克強首相の自動車工場視察に同行し、昼には食事会を開いて李首相をもてなした。安倍首相は同日午後、特別機で帰国する李首相を新千歳空港千歳市)で見送った。

日中関係改善印象づけ 李首相・北海道視察、安倍首相付き添う:朝日新聞デジタル2018.5.12
 北海道を訪問していた中国の李克強(リーコーチアン)首相は11日、札幌市での日中地方交流会合や苫小牧市内にあるトヨタ自動車北海道の施設見学などを終え、帰国した。一連の視察には安倍晋三首相が同行し、異例のもてなしをした。

ということで「李首相の北海道訪問に異例の同行」をし「あの反中国の安倍が!(中国ビジネスの利益を無視できないのか!)」と驚かせたというのに。
 それにしても「日中両国首相の北海道訪問」なんて絶対に「警備の都合で北海道警察には早期に知らされていた」ろうに直前まで、記事が出なかったことにはびっくりです。
 安倍の恫喝体質(安倍晋三の死からしばらくたって、あらためて「日本の言論の自由なんてしれたものだ」と痛感する - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)を考えれば、マスコミも早期にこの情報をつかみながら「正式発表する前に記事にしたらただじゃ置かない(早い段階で記事にされると、右翼の反発で安倍が困るので)」と脅されて記事にしなかった可能性も十分あるかと思います。


中国離れ、止まらぬ中・東欧 ロシア擁護に反発と怒り: 日本経済新聞
 「経済新聞なのに何故か、右翼新聞・産経、読売のような反中国(日経も自民党応援団だから?)」の日経らしいと吹き出しました。
 まあ、東欧諸国のうち「バルト三国」などは「バルト併合」の記憶もあって「中国へのロシアに対する宥和姿勢」に反発を強めて「距離を置いている*9」ようですが、「全ての東欧諸国」がそうした方向に行くことは恐らくないでしょう。
 さてこの記事についた「別の視点」とやらが

◆別の視点
 赤川省吾(日本経済新聞社欧州総局長)
 ヨーロッパの中国離れは急速な勢いで進んでいます。この論考にあるように中・東欧はもちろん、経済を中国マーケットに深く依存する盟主ドイツですら対中警戒感が強まっています。1日に訪日し、岸田首相や天皇陛下と会談するドイツのシュタインマイヤー*10大統領が私の取材に対し、中国の台頭は「安保上の試練」と明言。ドイツ軍がインド太平洋の秩序維持に貢献する、と表明しました。秋田コメンテーターの論考とあわせ、ぜひお読みください。
ドイツ大統領、アジア安保に「本気で関与」 軍派遣継続: 日本経済新聞
 ドイツは2021年にフリゲート艦、今年は戦闘機を日韓豪などに派遣した。こうした取り組みを今後も続け、日本の自衛隊や米軍などとの共同演習*11に頻繁に参加する見通し。

と言うのにも吹き出しました。シュルツ*12首相が近々訪中することに全く触れてないのが実に酷い。


【外交安保取材】真の習近平時代到来 台湾有事 日本はどう備える - 産経ニュース
 吹き出しました。習氏が既に「2期10年」やってるのに今更「真の習近平時代」もないもんです。

*1:遼寧省婦人連合会主席、遼寧省総工会主席、全国総工会副主席、福建省党委員会書記、天津市党委員会書記、中国共産党中央統一戦線工作部部長、副首相などを歴任

*2:貴州省社会科学界連合会主席、貴州省長、貴州省党委員会書記など歴任

*3:著書『中国共産党の支配と権力:党と新興の社会経済エリート』(2022年、慶應義塾大学出版会)

*4:村山内閣科技庁長官、小泉内閣外相、野田内閣文科相など歴任

*5:森、小泉内閣環境相小泉内閣外相など歴任

*6:森、小泉内閣国交相参院議長など歴任

*7:海部内閣環境庁長官官房長官、宮沢内閣文相、小泉内閣法相など歴任

*8:文化庁次長、文部省教育助成局長、高等教育局長、文化庁長官、トルコ大使、国立西洋美術館長、独立行政法人国立美術館理事長、文科相など歴任

*9:とはいえ、中国市場に配慮し、完全に敵対関係にはならないのでしょうが

*10:シュレーダー政権首相府長官(官房長官にあたる)、メルケル内閣外相等を経て大統領

*11:ハト派として俺は勿論こうした自衛隊の合同演習には批判的な立場です。

*12:社民党幹事長、メルケル内閣財務相などを経て首相