今日のロシアニュース(2023年1月22日分)

ロシア外相、南アフリカ訪問で協力強化 2月合同演習へ: 日本経済新聞
 ということで「南ア」以外にも「インド」「ブラジル」など「さすがにロシアを積極支持しない」とはいえ、「米英仏独」ほど敵対的ではないロシアに融和的な「民主国」はありますし、逆に「ウクライナ支持の独裁的国家」もあるので、「ウクライナ戦争」を一部の論者のように「権威主義VS民主主義」と見なすことは明らかに不適切です。


米共和党「M1エイブラムス戦車を提供すべきだ」…ウクライナ軍事支援でバイデン政権批判 : 読売新聞オンライン

 共和党のマイケル・マコール下院外交委員長とマイク・ロジャース下院軍事委員長は18日に連名で声明を出し、独製戦車レオパルトの供与に二の足を踏むドイツと、米軍の主力戦車M1エイブラムスの供与に踏み切らないバイデン政権を批判した。
 共和党のリンゼー・グラハム上院議員は20日、米超党派議員団としてキーウを訪問。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した後、「バイデン政権は米製戦車を送るべきだ。そうすれば他国は追随する」と主張した。

 これは「ウクライナ軍事支援」に消極的発言をしてきた「トランプの影響力」が「中間選挙の苦戦」で共和党から薄れてると言うことなのか?。
 それともトランプの政治的失墜を意味するわけではなく単に「ウクライナへの軍事支援を減らすこと」は「ウクライナNATO諸国(英仏独など)との関係上無理」との判断の下「むしろ強力な武器を送って早期終戦した方が、金が安く済む」「その方が米国民も民主党支持から共和党支持に傾く」と言う判断か。
 いずれにせよ、今後バイデン政権が戦車を提供するかどうかはともかく、また現時点において戦車を提供しない理由(可能性としてはウクライナ軍事大国化の懸念*1、ロシアが反発した事による「核攻撃」など、不測の事態発生などがありうると思います)が何かはともかく、バイデン政権が現時点では戦車を提供せず、ウクライナ政府の要望通りに軍事支援しているわけではないことは注目すべきでしょう。
【追記】
米も戦車供与へ ドイツの背中押す方針へ転換 - 産経ニュース
 ということで米国とドイツが戦車供与に踏み切ったようです。供与するにしてもしばらく時間がかかるのか、と思っていたので意外ではあります。


米軍制服組トップ「今年中に全てのロシア軍を追い出すのは困難」…ウクライナ侵略で : 読売新聞オンライン

 米軍制服組トップのマーク・ミリー*2統合参謀本部議長は20日、ドイツでの記者会見で、ウクライナでのロシアによる占領地域について、「軍事的に*3、今年中に全てのロシア軍を追い出すのは非常に困難だ」と述べ、領土の奪還にはさらなる長期戦が避けられないとの認識を示した。

 これが「今年11月の発言」なら後1月しかないのでわかりますが、「まだ1月の発言」と言う辺りが驚きですね。本心はともかく、「ロシアへの牽制」「ウクライナからの歓心」の目的で「勿論実現は困難ではあるが、まだ1月に入ったばかりであるし、年内のロシア軍全面撤退を当然目指す」とぶち上げるかと思っていました。
 なお、「年内に全ては無理」の「全て」が「昨年2月の全面侵攻以降、ロシアが支配する四州」に留まるのか、「全面侵攻以前にロシアが支配するクリミアも含むのか」が気になるところです(この読売記事ではその点は不明)。
 前者なら米国が相当戦況を厳しく見ていることになります。


露侵攻で経済悪化に苦しむウクライナ 今こそ日本がやるべき支援 - 産経ニュース
 日本へ期待する支援として「(軍事支援ではなく)経済支援」が語られてるのはある意味当然の話です。ウヨはやたら軍事支援の話をしたがりますが。

*1:今はウクライナがロシアとの戦争に手一杯なのでその危険性は何ら表面化していませんが、今後、終戦、停戦した場合、ウクライナが『増大した軍事力』を周辺諸国への『恫喝に使わない保障』は何処にもないでしょう。なお、「ウクライナの軍事大国化の懸念」が「ウクライナの要求に応じない理由」として語られることが少ないのは「ウクライナの反発を懸念してのこと」にすぎず、「そうした懸念」を米英仏独がしてないと言うことではないと俺は理解しています。

*2:陸軍総軍総司令官、陸軍参謀総長等を経て統合参謀本部議長

*3:「軍事的」というのはミリー氏に対して善意(?)に理解すれば「制裁強化と外交交渉という非軍事的な形で年内に追い出せるかもしれないが、それは政治外交問題で軍人の俺がどうにかできることじゃない。バイデン大統領など政治家が決断しないと」「大規模軍事支援(戦車の提供など)やNATO軍投入すれば、軍事的に年内に追い出せるかもしれないが、そういう高度に政治的な話は軍事関係でも俺がどうにかできることじゃない。バイデン大統領など政治家が決断しないと。現状の軍事支援を前提に話をしている」と言う話ではあるかもしれません。まあ、「仮にそうだとしても」随分不景気な話をするもんだとは思いますが。