黒井文太郎
プリゴジンの乱について言えるのは、
▽(ボーガス注:プーチンに全面降伏した)プリゴジン本人はもうおしまい。ワグネル兵はロシア軍の指揮下に。形式は未定
▽プーチン政権にこの事件による直接のダメージはほとんど見られない
▽ウクライナ戦局に大きな影響なし
素人ではありますが、マスコミ報道を見る限り、その点は俺も概ね同感です。「プリゴジンの乱」は「プーチンの終わりの始まり」のようには見えない(小泉悠)なんて記事もあります。
また、
ワグネルの「反乱」(mutiny)-事件の本質-(浅井基文)
国内に階級対立がないことを前提とするブルジョア国家の社会歴史観は、味噌も糞も一緒している: 白頭の革命精神な日記も「プーチン体制に大きな影響はない」と見ています。
黒井文太郎
実のところプリゴジンはもう役割的には終わった人物なので、彼の去就は今さらたいして問題ではない。
この人物の今後の注目点は「何かプーチンの悪事の秘密を暴露しないかな?」かな
黒井が「ベラルーシ亡命によって、ワグネルから完全に影響力を排除され、もはやプーチンからは手駒扱いされてないし、当然反逆の意思以前に能力面で、二度と反逆しようもない」とプリゴジンを見なしてることが分かります。そんなプリゴジンが「悪事を暴露すること」はないでしょう。
そんなことをすればプリゴジンがプーチンの報復で最悪殺されかねないからです。
また、恐らく「多くの場合、プーチンの戦争犯罪の共犯者」であり「傍観者」といえる立場でないでしょうから暴露は「自分の犯罪の暴露(ICCやウクライナ検察から訴追対象になりかねない)」になってしまい、そういう意味でも暴露はないのではないか。
「226事件」を「民間右翼(死刑にされた北一輝、西田税*1)に踊らされた青年将校の暴走、陸軍上層部(皇道派の荒木貞夫*2、真崎甚三郎*3など)は無関係」としてダメージを最小限にしようとした「戦前日本陸軍」同様、プーチン政権は「政権とプリゴジンはあまり深い関係がないこと」「反乱のダメージが全くなかったこと」にしようとはするでしょうが、それはある意味当たり前の話で、黒井のようにどや顔することではないし「ダメージが全くなかったこととしようとする」を「なかったこととしようとする」と表現するのは不適切でしょう。
実際に起こった以上、「ないこと」にできるわけもない。226も「事件自体」はなかったことになど勿論できませんでした。
黒井文太郎がリツイート
露探【円谷猪四郎】
プーチン、今回の件でのルカシェンコの尽力に感謝。いやでも多分、実際は何もしてないよね。ワグネルを止められないプーチンが全面的に折れるのは体裁が悪いからプリゴージンがルカシェンコに「丸一日」説得されたという形にしただけで
「はあ?」ですね。
第一にプーチンが独力で解決できず「ベラルーシのルカシェンコの助力を得た」なんて形になる方がむしろ「体裁が悪い」でしょう。
第二に「ベラルーシはプリゴジンの亡命(国外逃亡、国外追放)を受け入れ」なので何もしてない所の話ではない。
第三に亡命受入予定にあたって「亡命したあんたを、ほとぼりが冷めた頃に、ロシア公安が自殺や事故、病死に見せかけて暗殺するようなことはベラルーシ政府は許さない。戦争犯罪人としてウクライナ等に引き渡すことも(政権交代で私が下野し、親ウクライナ派が大統領になれば別だが)私が大統領である限りしない。絶対に身の安全は保障する。だからあんたもベラルーシに亡命して静かに余生を過ごせ。もうワグネルやロシア政府に影響を及ぼそうとすることは考えるな」「このまま反乱を続けると最悪の場合、あんたはプーチンに殺されるぞ」等とルカシェンコが「プリゴジンを説得したであろうこと」は容易に想像できる話です。
なお、「プリゴジンにとって選択肢は少なかった」でしょうが、ルカシェンコ政権が崩壊して親NATO政権ができれば、プリゴジンが戦犯としてウクライナに引き渡される恐れがあることを考えれば「ベラルーシ亡命」を彼が受け入れたことは、彼が「当面、ルカシェンコ政権が崩壊しない」と見ていることを意味しないか。
勿論「崩壊した時のことはその時に考える、今はベラルーシ亡命以外手がない」という認識(そこまで反乱失敗で追い込まれてる)の可能性もありますが。