「反党裏切り分子」松竹伸幸に今日も悪口する(2023年9/3日分)

9月1日、偶然にも甘粕正彦に出会う | 松竹伸幸オフィシャルブログ「超左翼おじさんの挑戦」Powered by Ameba
 甘粕とは関東大震災時にいわゆる「甘粕事件(アナキスト大杉栄伊藤野枝夫妻を殺害)」を起こしたことで知られる人物です。
 敗戦時に甘粕(当時、満州映画協会理事長)は服毒自殺していますし、「1891年生まれ*1」なので服毒自殺してなくても「今も存命で132歳」なんてことはない。「存命の甘粕」に出会うことはあり得ない。 
 ちなみに1891年 - Wikipediaによれば著名人では「西尾末広(1981年死去:社会党書記長、片山内閣官房長官、芦田内閣副総理、民社党委員長を歴任)」が1891年生まれです。
 つまり「出会った」と言っても拙記事産経が「伊藤野枝没後100年」記事を掲載したことに驚く(2023年8/29日分) - bogus-simotukareのブログで紹介したシンポ

伊藤野枝・大杉栄ら没後100年記念シンポジウム「自由な自己の道を歩いて行こう」 - 岩波書店
日時:2023年9月24日(日)13:00開始~17:30終了予定

などで「出会った」のだということは本文を読む前から分かります。では松竹はどのように出会ったのか。

 いま、浅田次郎の『天子蒙塵』(全4巻)の3巻目を読んでいる。中国の清朝末期からの激変を扱った同氏の『蒼穹の昴』からはじまるシリーズの最後(第5部)に当たり、張作霖爆殺事件を主題とした第4部の『マンチュリアン・リポート』に続くものである。
 昨日、溥儀が自分は日本の傀儡に過ぎないと自覚する場面を読んでいたら、突然、甘粕正彦が出てきてびっくりした。日本の特務機関の一員として、天津に幽閉されていた溥儀を満州まで秘密裏に連れ出してきて、その功績を買われて満州国警察庁長官となり、溥儀とも親しくする役柄であった。

 これについては

甘粕正彦 - Wikipedia
 1930年(昭和5年)、満洲に渡り、当時、関東軍特務機関長だった土肥原賢二*2大佐の指揮下で情報・謀略工作を行うようになる。
 1931年(昭和6年)9月の満洲事変の際、溥儀(1925年(大正14年)以降、天津に幽閉されていた)擁立のため、溥儀を天津から極秘裏に逃亡させた。その働きを認められ1932年(昭和7年)の満洲国建国後は、民政部警務司長(警察庁長官に相当)に大抜擢され、表舞台に登場する。1932年(昭和7年)、満洲国協和会が創設されると理事になり、1937年(昭和12年)には中央本部総務部長に就任。1938年(昭和13年)、満洲国代表団(修好経済使節団)の副代表として公式訪欧し、ムッソリーニとも会談。1939年(昭和14年)、満洲国国務院総務庁弘報処長武藤富男*3総務庁次長岸信介*4の尽力で満洲映画協会満映)の理事長となる。

を紹介しておきます。

 甘粕と言えば、関東大震災に際して、大杉栄伊藤野枝、甥の橘宗一(6歳)の3人を殺害した「甘粕事件」で知られる。禁錮10年の判決を受けて服役し、その後、満州に渡ったことだけは知識として存在したが、まさか溥儀とそれほど密接な関係にあったことなど知らなかったし、浅田次郎の小説に登場することも予想しなかった。
 それにしても、その関東大震災の日に、この場面に出会うとは。偶然としか言いようがない。

 ということで「9月の記事だし、タイトルから見て甘粕事件に触れるのか?」「やっぱ、伊藤野枝・大杉栄ら没後100年記念シンポジウム「自由な自己の道を歩いて行こう」 - 岩波書店とかその種のイベントに行ったんか?」と思いきや、甘粕事件への言及はほとんどない。しかも「出会い」は松竹を信じれば、「伊藤野枝・大杉栄ら没後100年記念シンポジウム「自由な自己の道を歩いて行こう」 - 岩波書店に出席」のような「意図的なモノ」ではなく「ただの偶然」です。
 「何だかなあ(期待外れ、肩透かし)」です。
 つうか、「党除名を撤回したい」とか抜かして「愛党人士」ぶるのなら「甘粕事件」に触れた上で、同様の虐殺として「党の先輩(民主青年同盟(民青)の前身にあたる日本共産青年同盟(共青)の委員長だった川合義虎など)が虐殺された亀戸事件」について論じたらどうなのか。

*1:なお、大杉は1885年生まれ、伊藤は1895年生まれ

*2:奉天特務機関長、ハルピン特務機関長、陸軍航空総監、第7方面軍司令官(シンガポール)、陸軍教育総監など歴任。戦後、死刑判決。後に靖国に合祀

*3:東京帝国大学法学部卒業後、裁判官となり東京地裁判事を務めた。1934年(昭和9年)に渡満し、以降、満州国司法部刑事科長、国務院総務庁弘報処長、満州国協和会宣伝科長を歴任。戦後、退官し、キリスト教系の出版社である教文館の専務、社長、会長や明治学院院長、恵泉女学園理事長、東京神学大学理事長(いずれもキリスト教系の学校)等、キリスト教関係の要職を歴任

*4:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相等を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民党幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相