「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2023年9/21日分:島田洋一の巻)

島田洋一
 対中宥和に走るバイデン・ホワイトハウスが、習近平批判のトーンを高めるエマニュエル*1駐日大使に対し、口を慎むよう注意したという。エ氏が正しい発信を続けるか、トーンダウンしてしまうか、注目される
米政権高官 米駐日大使に中国を挑発するSNS投稿の中止を要請 | NHK | アメリカ
 エマニュエル駐日大使は、中国の秦剛*2前外相や、李尚福国防相の動静が長く伝えられていないことについて9月7日、SNSに「習主席の閣僚陣は今やアガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』の登場人物のようになっている。誰がこの失業レースを制するのか」と投稿したほか、14日には「シェイクスピアが『ハムレット』で書いたように『何かが怪しい』」と投稿しました。
 これについて、アメリカのNBCニュースは複数の政権高官の話として、バイデン大統領の側近らがエマニュエル大使に、習近平国家主席を挑発するようなメッセージの投稿をやめるよう要請したと20日、伝えました。
 この秋にバイデン大統領と習主席による首脳会談を実現させることも念頭に、中国との関係修復を図る政権の努力を損ねるおそれがあるためだということです。
 バイデン大統領は19日、国連総会での演説で、対立が先鋭化しないよう米中関係を管理する必要性を訴えており、政権高官は大使の発言はこの方針に「合致しない」と指摘したとしています。
 エマニュエル大使の報道担当者は今回の報道を「全く事実ではない」と否定*3したということです。

 「LGBT法案」では「エマヌエルの内政干渉が許せない」「バイデンの命令に違いない」とエマヌエル氏に悪口していたくせに「バイデンの批判など無視しろ、エマヌエルはもっと中国に悪口しろ」とは何とも滑稽な島田です。
 「反中国」島田らしいですが米国が「中国と完全に敵対関係になること」などできるわけもない。
 それにしても昔は

駐日アメリカ合衆国大使 - Wikipedia
◆モンデール
 カーター政権で副大統領。1984年の大統領選候補(共和党レーガンに敗れる)。後にクリントン政権で駐日大使
◆ベーカー
 レーガン政権で大統領首席補佐官。後にブッシュ子政権で駐日大使

など大物大使も居ましたが「最近の駐日大使」の中には「田植えする人間(駐日米国大使がここまでするのはちょっと痛い気がする、あと自民党はたがが外れている(いまさらの話) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)」もいたし、最近はレベルが低いんですかね。駐日大使の仕事は「X(旧ツイッター)で中国に悪口すること」ではないでしょうに。
 そもそもこんな行為はやればやるほど「何だ、あの無礼な行為は!(中国)」「申し訳ありません(米国)」で米国の立場がかえって悪くなるだけでしょう。米国が「中国と全面的に敵対する」のならともかくそうでないなら「迷惑な話」です。
 いずれにせよ、こんな報道がでる(どう見てもバイデン政権のリーク)と言うことはバイデン政権は「自分が任命した」にもかかわらずエマヌエル大使に「米中関係を破壊する気か?」と相当に激怒してるのでしょう。
 今や大使は「安倍が任命したが、結局『再任しないで切り捨てた』櫻井よしこ*4中教審委員)、百田尚樹NHK経営委員)」のような「政権のお荷物扱い」ではないか。
 「更迭」をすれば、1)任命責任を問われるし、2)野党共和党などから「中国に屈した」と非難されるリスクもあるとは言え、「大使更迭」もあり得るのではないか。

参考

エマニュエル駐日大使、中国挑発しすぎ? 本国が自粛要請 米報道:朝日新聞デジタル
 米国のエマニュエル駐日大使が、SNSで中国の習近平国家主席らを挑発するような投稿を繰り返していることについて、バイデン大統領の側近らが「米中関係改善に向けた動きを損なう」と、中止を求めたことが明らかになった。米NBC20日、3人の当局者の話として報じた。
 エマニュエル氏は「X(旧ツイッター)」に積極的に投稿している。今月7日には、中国の外相や国防相がこの数カ月間に相次いで消息不明になったことについて、「習政権の閣僚陣は、今やアガサ・クリスティの小説『そして誰もいなくなった』の登場人物のよう」と皮肉を込めて投稿。また、14日には、国防相の不在について、シェークスピアハムレットの一節を引用して「何かが怪しい」と訴えた。
 バイデン政権は11月に米中首脳会談を米国で実施することを目指し、米中間の緊張緩和を図っている。16、17両日には、サリバン*5大統領補佐官が地中海の島国マルタで、中国外交部門トップの王毅*6共産党政治局員兼外相らと12時間にわたって会談し、歩み寄りを探ったばかりだ。
 NBCによると、中国政府はエマニュエル氏の投稿に激怒しており、米国家安全保障会議NSC)の複数の当局者は、投稿が関係修復の努力を損なうとみて、中止を求めたという。バイデン政権の当局者の一人は「東アジア地域での米国の取り組みに反している」とエマニュエル氏を批判した。一方、同氏の報道官はNBCの報道を「まったく真実ではない」と否定している。

 なお、どうでもいい揚げ足取りですが『そして誰もいなくなった』では「犯人の正体や動機が最後の最後まで謎」なだけで、登場人物達は所在不明になった(失踪した)わけではない(そして誰もいなくなった - Wikipedia参照)ので「何だかなあ」ですね。
 「上手いことを言おうとして、かえって外してる」ケースの一例ではないか。

*1:オバマ政権大統領首席補佐官、シカゴ市長等を経て駐日大使

*2:駐米大使、外相を歴任。現在は外相を更迭されて王毅前外相が外相に復帰している(なお、中国側から説明がないので更迭理由は不明)

*3:エマヌエルは当然否定するでしょう。問題はバイデン政権の側であり、報道を「肯定しないが、明確に否定しない場合(曖昧な態度の場合)」は「事実上の肯定」と見るべきでしょう。

*4:国家基本問題研究所理事長というプロ右翼

*5:オバマ政権副大統領補佐官(国家安全保障担当)等を経てバイデン政権大統領補佐官(国家安全保障担当)

*6:駐日大使、中国共産党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)、国務委員(外交担当)兼外相等を経て現在、党中央外事工作委員会弁公室主任(外相兼務)