広原盛明のバカさに呆れる(2023年11月25日記載)

〝人口減少問題〟にまったく触れない決議案の不思議、第29回党大会決議案を読んで(2)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その9)、岸田内閣と野党共闘(74) - 広原盛明のつれづれ日記
リベラル21 〝人口減少問題〟にまったく触れない決議案の不思議、日本の少子化・超高齢化は共産党の関心事ではないのか、第29回党大会決議案を読んで(2)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その8)
 「人口減少問題」にそれほどまでに「人口学者でもない」広原*1(都市計画学者?)がこだわる理由が謎です。
 「反党分子として、単に党大会決議案に『人口減少によって危惧される問題(労働力不足、社会保険料不足による年金財政の破綻など)への配慮がない』と因縁つけたいだけか?」と疑いますが、それはさておき。
 人口減少問題とは要するに「少子化少子化の結果として人口減少)」のことです。確かに党大会決議案には「少子化についての直接の言及はない」ようですが

日本共産党第29回大会決議案│党紹介│日本共産党中央委員会
 日本共産党は、2023年9月、「経済再生プラン――30年におよぶ経済停滞・暮らしの困難を打開するために」を発表し、「失われた30年」をもたらした自民党政治の抜本的な改革に切り込む政策提言を行った。

として大会決議案が言及する「経済再生プラン」には少子化についての言及があります。
 この点については拙記事『日本共産党の党内民主主義を誇る(?)紙屋研究所(紙屋高雪こと神谷貴行)』ほか(2023年11月19日記載) - bogus-simotukareのブログで言及した「少子化」という言葉への疑問・批判は規約違反か - かみや貴行のブログ 1%でなく99%のための福岡市政をを改めて紹介します。

「少子化」という言葉への疑問・批判は規約違反か - かみや貴行のブログ 1%でなく99%のための福岡市政を
 日本共産党党の綱領で「少子化傾向の克服」を課題として掲げています。
(中略)
 共産党の機関誌「議会と自治体」2023年10月号に載った「若い世代・真ん中世代*2の地方議員の学習・交流会」を読んでいたら、米倉春奈*3・東京都議の次の発言が目にとまりました。

 都議団では、「少子化」という定義の仕方への違和感やモヤモヤも語り合ってきました。この間、子どものいない女性が、子どもを産んでいないことにものすごい負い目を感じさせられているのだと気づきました。少子化」という言葉は、そうした女性に対して「なんで子どもを産まないの?」と責める言葉になっているのではないか。この言葉の扱いは慎重でないといけないのではという疑問を会議で話したところ、複数の女性から「会議で少子化対策の話になると、自分が責められているように感じる(過去に感じた)」という話が出ました。
 小池知事の「少子化対策」の政策のパッケージに対して、都議団は少子化対策の政策としてではなく、子育て支援、学費の問題など、それぞれ大事なテーマとして議論をしています。

 これに対して、同誌上の掲載発言を見ると、同席していた党中央幹部(田村智子*4副委員長、山下芳生*5副委員長、岡嵜郁子*6自治体局長、坂井希*7ジェンダー平等委員会事務局長)が「綱領に『少子化傾向の克服』と掲げられているということを理解していませんね!」とか頭ごなしに批判することはもちろん、教育指導的に反論する様子も見せていません*8
 そして、雑誌掲載にあたって、この米倉発言を削除したり伏せたり、あるいは補足的な反論を載せたりすることもしていません。ズバリそのまま掲載しています。
 すばらしいなあと思います。
 たとえ綱領に関わる批判・疑問を持ったことでも、そして、それを党内で意見が割れるほどの論争*9をしている、そういう率直な議論が、自然な形で公開されているのです。
 (ボーガス注:松竹のように?)規約違反で処分されたりするようなことは全くありません。
 こうしたところに日本共産党の党内民主主義を私は感じます。
 なお、少子化傾向の克服と、一人ひとりの産む・産まないの選択の尊重をどう両立させるかについては、最近(2023年9月28日)でも共産党の「経済再生プラン」の中で述べられています。これが都議団の議論や米倉さんへの中央の“答え”でもあるのでしょう。

日本共産党の経済再生プラン 30年におよぶ経済停滞・暮らしの困難を打開するために 三つの改革で暮らしに希望を│くらし・社会保障・経済│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会
 子どもを産む、産まない、いつ何人産むかを自分で決めることは、とりわけ女性にとって大切な基本的人権です。リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康と権利)こそ大切にしなければなりません。少子化対策」と称して、個人の尊厳と権利を軽視し、若い世代、女性に社会的に(ボーガス注:子どもを産めという)プレッシャーをかけるようなことがあってはなりません。多様な家族のあり方やシングル*10など、どんな生き方を選択しても個人の尊厳と権利が尊重される社会にする必要があります。
 同時に、政治のあり方が大きな要因となって、子どもの数が減り続けることは克服しなければならない日本社会の重要な課題です。「対策」をすべきは、子どもを産み育てることへの困難を大きくした政治を変えることです。

 つまり「少子化問題(人口減少問題)」ではなく「子育て支援」という「打ち出し方」「アプローチ」を「党大会決議案」が言及する「日本共産党の経済再生プラン」はしているわけです。
 そこには「少子化克服(人口減少問題の解決)を理由に戦前の『産めよ殖やせよ - Wikipedia』を現代に復活させてはならない。それは女性の人権侵害でジェンダー平等に反する*11」「子育て支援(出産や育児を押しつけるのではなく、子どもを産み、育てたい人のみ支援)を進めれば自然と出産は増え、少子化は克服され、人口は増えるのではないか」といった共産党なりの「考えがある」と見るべきでしょう。
 「偶然発見した以下の記事」も「少子化克服(人口減少問題の解決)を理由に戦前の『産めよ殖やせよ - Wikipedia』を現代に復活させてはならない」という共産党執行部的な考えなのでしょう。

「少子化対策という言葉はやめたら」 社会人口学者が語る真意とは:朝日新聞デジタル2023.4.6
 「少子化対策という言葉をやめればいいのに」。
 少子化をめぐる問題を長年研究してきた社会人口学者の守泉理恵さん*12がそう語る真意はなんでしょうか。
◆守泉
 「少子化対策と聞くとネガティブな気持ちになる女性もいると思います。働いて、結婚もして、子どもを産んで、家事も育児もしろってことですかと。確かに現状のままではそう受け取られかねない。私自身は『少子化対策という言葉をやめればいいのに』と思っているんです。『子どもが減るのを食い止めて、もっと産んでもらおう』というイメージがありますよね。子どもを持たないことが、うしろめたい雰囲気になってしまう*13

 いずれにせよ「反党分子老害である広原の望む形ではない」「決議案本文自体で少子化について明確に触れたわけではなく、やや分かりづらい形である」とはいえ、党大会決議案は「経済再生プラン」に言及することで「人口減少問題(少子化問題)」に触れています。そうした「触れ方」の是非はともかく「触れてない」と評価する「反党分子老害広原の主張は端的に言って「間違い」でしょう。
 というか、おそらく「反党分子老害広原は「大会決議案」しか読んでないでしょう。
 大会決議案を正確に理解するには、『特に「反党分子老害広原のように批判する場合に、デタラメな批判にならないようにするため』には

日本共産党は、11月6日、声明「ガザでのジェノサイドを許すな――ガザ攻撃中止と即時停戦に向けての各国政府への要請」を発表
◆わが党は、日中両国が緊張と対立をエスカレートさせ、万が一にも戦争になることは絶対に回避しなければならないと考え、2023年3月30日、日中両国政府に対して、「日中両国関係の前向きの打開のための提言」を行った。
日本共産党は、2023年9月、「日本共産党の経済再生プラン――30年におよぶ経済停滞・暮らしの困難を打開するために」を発表
党史『日本共産党の百年』*14では、党の責任は「不作為」にとどまらず、旧「優生保護法」の成立と改定に賛成したという重大な誤りがあったことを明記した。
◆8中総の「特別決議」――「5年間で『数万の民青』『1万の青年・学生党員』実現へ党の総力をあげよう

として決議案が引用している「党の文献(例えば少子化について触れてる経済再生プラン)」もきちんと読むべきです(とはいえ、「党外の支持者で、党大会決議を理由に支持してるわけでもないこと」「党大会決議をざっと読む限り特に大きな異論、批判はないこと」もあって、無能な俺はそこまでやっていませんが)。
 それをしないから広原は「決議案は人口減少問題(少子化問題)に触れてない」という間違った認識をすることになる。
 いずれにせよ、その「大会決議案は人口減少問題(少子化問題)に触れてない」という間違った認識を元に、理解困難な「とんちんかんな共産党非難(広原の主張が意味不明すぎるので俺には説明できません、興味のある方は〝人口減少問題〟にまったく触れない決議案の不思議、第29回党大会決議案を読んで(2)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その9)、岸田内閣と野党共闘(74) - 広原盛明のつれづれ日記をご覧下さい)」を繰り広げる広原には「藁人形叩きも甚だしい」と心底呆れます。「お山の大将」「夜郎自大広原の周囲には1)「彼のバカさ」をたしなめてくれる人間がいないのか、2)たしなめる人間を広原が敵視して縁切りするのか、知りませんが滑稽極まりない。
 正直「広原の学者としての能力」もどれほど評価できることやら。

〝人口減少問題〟にまったく触れない決議案の不思議、第29回党大会決議案を読んで(2)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その9)、岸田内閣と野党共闘(74) - 広原盛明のつれづれ日記
 マルクス経済学からの人口問題に関する著作には、大西広*15(慶応大学名誉教授)『〈人口ゼロ〉の資本論、持続不可能になった資本主義』(講談社+α新書、2023年9月)がある。大西書は論旨が明確で読みやすく、結論も分かりやすい。
(中略)
第6章 ジェンダー差別は生命の再生産を阻害する*16

 さて、大西氏を高評価する広原ですが、

日本共産党第29回大会決議案│党紹介│日本共産党中央委員会
 ジェンダー平等、多様性を尊重する社会でこそ、一人ひとりが自分らしく生きることのできる社会でこそ、一人ひとりの力が豊かに発揮され、経済社会を発展させることが可能となる。

という党大会決議案(赤字部分:ジェンダー平等社会でこそ経済社会を発展させることが可能となる。)はむしろ「大西著書(赤字部分:ジェンダー差別は生命の再生産を阻害する)」と同様の認識ではないのか*17。大会決議案の「経済社会の発展」には当然「生命の再生産」も含まれるでしょう。
 もしそのように認識できないのなら、端的に言って広原には文章読解能力がなさ過ぎでしょう。
 なお、「ジェンダー平等、少子化」「ジェンダー差別、少子化」等でググれば分かりますが「そうした認識の是非はともかく」ジェンダー差別(ジェンダー不平等)は生命の再生産を阻害する(少子化を助長する)という認識は以下の通り、かなり広まっている認識であり、「共産党や大西氏のオリジナルな認識ではないこと」を「公平のために」指摘しておきます。
 ジェンダー格差の解消が最高の少子化対策(前編)(白河桃子) - エキスパート - Yahoo!ニュースに至っては、初出は「共産党の仇敵・公明党(支持母体・創価学会宮本顕治共産党委員長宅盗聴事件*18など数々の反共謀略を実行し、共産とは犬猿の仲)」の月刊誌「公明」の記事だそうです。
【参考:ジェンダー差別と少子化

1からわかる!少子化問題(3)解決のカギは“次元の異なるマインドチェンジ”?|NHK就活応援ニュースゼミ
 教えてくれるのは山本恵子解説委員。1995年に記者としてNHKに入局。社会部などで20年以上に渡り少子化問題の取材を続けている。現在は名古屋放送局のニュースデスクと解説委員(ジェンダー男女共同参画担当)を兼務。中学生の娘の母。
◆山本
 先進国では男女の格差、いわゆるジェンダーギャップが少ないほど出生率が高いという分析結果も出ています。
 日本は男女間の格差を示す「ジェンダーギャップ指数」が2022年で146カ国中116位でした。
 一方、先ほど出生率の高い国として紹介したスウェーデンジェンダーギャップ指数は5位、ドイツは10位、フランスは15位となっているんですね。ジェンダーギャップ指数が高い国ほど、つまり男女平等な国ほど、出生率が高い傾向にあることが見て取れます。

ジェンダー平等を阻む「家族主義」の諸相|特集|三田評論ONLINE阪井裕一郎(福岡県立大学人間社会学部専任講師*19
 デンマークの福祉社会学エスピン=アンデルセン*20は、EUのデータに基づいて、女性の就労が普及した国ほど出生率が高くなる傾向を明らかにし、就労率と出生率にはむしろ相関関係さえ存在すると指摘している(アンデルセンアンデルセン、福祉を語る:女性・子ども・高齢者』林昌宏訳、NTT出版、2008年)。
 さらに、アンデルセンは「男性の育児」が出生率上昇の鍵を握ると言う。国際比較データからは、男性の家事・育児に費やす時間の多い国、そして育児休業取得率の高い国が高い出生率を示している。

ジェンダー格差の解消が最高の少子化対策白河桃子*21)から一部引用
 2020年4月の内閣府政策統括官(経済社会システム担当)の資料には、「ジェンダーギャップ指数が高い(男女格差が少ない)ほど、出生率は高まる傾向」を示すグラフが掲載されている。
 先進国では女性の社会進出が進むと一度は合計特殊出生率が落ちる。しかしその後「ジェンダー平等」を社会全体で進めることで出生率が回復する。日本と韓国はジェンダーギャップ指数が低く、ジェンダー格差が大きい。そのような国は回復せずに落ちていくままである。
※月刊「公明*22」2021年10月号の特集「希望と活力あふれる未来を開く」に寄稿した原稿を許可を得て転載しました。

「男女格差」146カ国中125位と過去最低…「日本は本当に変える気あるのか」とG7諮問機関メンバー:東京新聞 TOKYO Web2023.6.27
 先進7カ国(G7)首脳に対し、ジェンダー平等に関して提言する外部諮問機関ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)」委員の黒田玲子*23・中部大特任教授(75)は、日本ではジェンダー・ギャップが少子化に深刻な影響を及ぼしていると指摘する。

 なお、ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)」委員ですがG7ジェンダー平等アドバイザリー評議会の招集|外務省によれば、日本からは黒田氏の他に、白波瀬佐和子*24国連大学上級副学長が委員(評議会議長)として任命されてるとのこと。

【参考:ジェンダー差別と少子化・終わり】

 なお、広原記事は触れていませんが以下の通り、「党の過去についての反省」が改めて示された点も大会決議案の注目点ではあるでしょう。

日本共産党第29回大会決議案│党紹介│日本共産党中央委員会
◆(ボーガス注:第28回)大会の結語では、過去、「赤旗」に掲載された論文などで、同性愛を性的退廃の一形態だと否定的にのべたことについて、全党討論を踏まえて、間違いであったことを表明し、党としての反省を明らかにした。
◆旧優生保護法(1948~96年)のもとで、障害者に強制的に不妊手術を行っていたことは、日本における戦後最大の国策による人権侵害である。同法は、1948年の成立と翌年の改定、1952年の「優生手術」の範囲を精神障害者に拡大する改定ともに、(ボーガス注:我が党を含む)全会一致で進められた。わが党は、2018年に、誤りを是正することへの「不作為の責任」があったと表明したが、(ボーガス注:2023年に刊行した)党史『日本共産党の百年』では、党の責任は「不作為」にとどまらず、旧「優生保護法」の成立と改定に賛成したという重大な誤りがあったことを明記した

 また、

日本共産党第29回大会決議案│党紹介│日本共産党中央委員会
 わが党は、ジェンダー平等を貫く努力を重ねてきたが、なおそれは途上にある。女性幹部を思い切って抜てきすることを含めて、さらなる努力をはらっていく。

と言う点は「巷間、噂される2023年の党大会での志位*25委員長(衆院議員)退任と田村政策委員長兼副委員長(参院議員)の後任委員長就任」を意味するのかも気になるところです。
 なお、上記は〝人口減少問題〟にまったく触れない決議案の不思議、第29回党大会決議案を読んで(2)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その9)、岸田内閣と野党共闘(74) - 広原盛明のつれづれ日記リベラル21 〝人口減少問題〟にまったく触れない決議案の不思議、日本の少子化・超高齢化は共産党の関心事ではないのか、第29回党大会決議案を読んで(2)、共産党はいま存亡の岐路に立っている(その8)に投稿しますが掲載拒否でしょう。批判意見を拒否する「裸の王様」である「広原&リベラル21一味(全員、70歳以上の男性高齢者(女性皆無)で、20代の若者どころか40~50代の中高年世代も皆無)」の「デタラメさ」には心底呆れます。

【参考: 産めよ殖やせよ

産めよ殖やせよ - Wikipedia
 1939年(昭和14年)9月30日、阿部*26内閣は、ナチス・ドイツの「配偶者選択10か条」に倣い「結婚十訓」を発表。この第十条の『生めよ育てよ国の為』が語源となり転じて「生めよ殖やせよ」が一般的になった。その後、1941年(昭和16年)1月、第二次近衛文麿*27内閣の閣議決定により「人口政策確立要綱」が制定される。この要綱は、当時7300万人だった日本の内地人口を、1950年(昭和25)年までに1億人とすることを目指し、初婚年齢を3歳引き下げて男性25歳、女性21歳とする人口増強策の提示と、国の理想である「一家庭に子供5人」を実現するために「独身者への独身税や結婚資金貸付」の検討を含め国民への上からの呼びかけとなっていた。 「産児報国」「結婚報国」をスローガンに、総力戦に必要な人的資源を確保するための人口政策となった。

TBS時事放談第五七五回(2015年11月29日放送)から一部引用
御厨貴*28(司会)
「まずは出生率からいきましょうか。野田さん、希望出生率1.8に向けて保育の受け皿50万人増といった政策が打ち出されました。これ、ずばりどうお考えでしょう」
野田聖子*29
「子どもは製造物じゃないんで。むしろ(ボーガス注:子育て支援で?)女性達が気付いたら、これだけたくさん子どもを産み育てられてたよ。ということが、本来の政治のデリカシーというか。数値目標を出せば到達出来るという日本人の考え方はあるけれど、こと子どもを生み育てるというのは、そういう簡単なことではないという事を男性はもっと知って頂きたいなと言うか」
藤井裕久*30
「子どもの話もね、 産めよ殖やせよって、どうしても戦前を思い出す人がいるんですよ。今、野田さんのおっしゃった通りなんです。結果としてそういう環境を作るということが大事だけれども、産めよ殖やせよという戦前の話で良いのかという事を、おそらくおっしゃってたと思いますよ。その通りだと私は思います」

公営の婚活サービス、戦前もあったの?|公文書に見る戦時と戦後 -統治機構の変転-
 はい。国や市町村による婚活サービスの提供は1940年代に盛んとなり、1940(昭和15)年に厚生省による国立の優生結婚相談所が三越デパートに開設され、1941(昭和16)年に東京市結婚相談所が設置されました。
 こうした公的な婚活サービスの背景にあったのは、いわゆる「産めよ殖やせよ」政策です。
 戦時体制下に入り、「産児報国」「結婚報国」をスローガンに、総力戦に必要な人的資源を確保するための人口政策が始まったのです。
 適齢期の男女をとにかく結婚させて子供を増やすことが人口政策の基本であるため、結婚の斡旋や紹介は単なる個人の商売や趣味ではなく、官民挙げての国策協力事業となったのです。
 近代日本の生殖をめぐる政治を研究した荻野美穂氏*31はこうした事態を、「いわば「仲人国家」の誕生である」と述べています。
 1941(昭和16)年に閣議決定された人口政策確立要綱は、兵力・労働力・「大東亜共栄圏」内への殖民人口の確保のため、内地人人口の「量的及質的の飛躍的発展」を目指すものでした。
 「量」的発展については1950(昭和25)年における内地総人口1億人を目指し(1940(昭和15)年は7300万人)、初婚年齢を3歳引き下げて男性25歳、女性21歳とし、一夫婦の平均出生児数を1人増やして5人とする目標が定められました。
 「人口の増加を図るには、まづ出生数を増加する必要がある。出生の増加を図るには、まづ結婚を促進する必要がある」(安井洋『結婚新道』広文堂、1942年、6頁)ということで、国を挙げての結婚奨励が行われるようになったのです。
 妊娠した女性の流産や死産を防ぐため、1942(昭和17)年に妊産婦手帳制が導入されました。これが、今もある母子手帳の始まりです。
 同時に助産婦(今の助産師)の資質向上、保健所と保健婦(今の保健師)の役割強化も行われました。
 厚生省は1940(昭和15)年5月に優良多子家庭表彰要綱を策定し、子ども10人を戦死や天災以外の原因で1人も死なせることなく育てた家庭を「優良多子家庭」として表彰することとしました。
 このように総動員体制は、国家が人口政策として個人の結婚や出産に積極的に関与した時期であり、「結婚はもはや個人の私事ではなく、国民としての大切な義務」(前掲安井、6頁)と考えられるようになったのです。

歴史から学ぶ ― 産めよ、殖やせよ:人口政策確立要綱閣議決定(1941年(昭和16年)) | お知らせ | 国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)2017.1.11
 1941年*32昭和16年)1月22日の(ボーガス注:第二次)近衛文麿内閣の閣議決定「人口政策確立要綱」は歴史的に見て、個人の権利を侵害する決定でした。当時日本は大東亜共栄圏の確立を目指していて、人口増強策をとっていました。その背景で生まれた「人口政策確立要綱」は軍国主義の象徴的な人口政策であったと言えます。
 当時の日本の総人口は7350万人でした。軍国主義を支えるべく人口増強策の提示として、具体的には、子どもを5人以上産むようにという国民への上からの呼びかけとなっています。日本は国として「産めよ、殖やせよ」という唱導とともに、「兵力・労働力の増強」を目指す要綱をもってして、「人口大国・日本」を目指すことになったのです。
 そして、多子家庭に対しての優遇策を提示しています。とくに多産の家庭には表彰制度があり、無子家庭や独身者には高率の課税を課すと政策は謳っています。優遇策と冷遇策が明確に提示されています。
 日本政府は、2016年5月、少子高齢化対策や働き方の改革を目指す「ニッポン1億総活躍プラン」をまとめました。「希望出生率1.8」を目指すなどがまとめられています。その中では、「人口1億人は、日本の豊かさの象徴的な数字である」とし、「人口1億人を維持する」と書かれています。
 活躍プラン案では、2025年までに「希望出生率1.8」を実現するために若者の雇用の安定化、待遇改善、結婚支援の充実、妊娠・出産・育児に関する不安の解消、多様な保育サービスの充実、保育サービスを支える人材の確保、働き方改革の推進、女性活躍の推進などを進めるとしています。
 生活の質の向上としての施策であれば大歓迎です。
 しかし、少子化を食い止めるために日本の人口を増やすことに重点を置いたものであるとしたならば、それは人口政策であり、わたしたちは注視していかなければならないと思います。
 先述したように、人口を増強するために、今から76年前「個人を基礎とする世界観を排して家と民族とを基礎とする世界観の確立、徹底を図ること」を目標の一つに掲げた「産めよ、殖やせよ」を目指した「人口政策確立要綱」が存在したことを思い出してほしいのです。そして、歴史の教訓を踏まえて、「ニッポン1億総活躍プラン」についても、引き続き注視していきたいと思っています。

*1:1938年生まれ、京都府立大名誉教授。著書『開発主義神戸の思想と経営』(2001年、日本経済評論社)、『日本型コミュニティ政策:東京・横浜・武蔵野の経験』(2011年、晃洋書房)、『観光立国政策と観光都市京都』(2020年、文理閣)、『評伝・西山夘三』(2023年、京都大学学術出版会)等

*2:若い世代(20代まで?)とシニア世代(60代以上?)の「真ん中の世代」の意味(30代から50代くらいか?、40代後半の俺もそれに該当しますが)

*3:米倉氏は1988年生まれの35歳(プロフィール | 米倉春奈 日本共産党 東京都議会議員【豊島区選出】参照)なので「真ん中世代」に該当すると思われる。

*4:1965年生まれ。参院議員。党政策委員長(常任幹部会委員兼務)

*5:1960年生まれ。党常任幹部会委員。元参院議員。元党書記局長

*6:党常任幹部会委員。元埼玉県戸田市

*7:党幹部会委員

*8:「俺の邪推」ですが「松竹氏は、長い間党に在籍しながら、綱領を真剣に学んだことがあるのでしょうか(赤旗規約と綱領からの逸脱は明らか/――松竹伸幸氏の一連の言動について/赤旗編集局次長 藤田健)」と言う松竹批判への神谷による「当てこすり」ではないか?

*9:俺個人はこの件はそこまでの話だとは思いませんが

*10:狭義では未婚者のことで、広義では「シングルマザー」など「(配偶者と死別や離婚した)既婚の独身者」も含む。

*11:一方、広原や「リベラル21一味(全員、70歳以上の男性高齢者(女性皆無)で、20代の若者どころか40~50代の中高年世代も皆無)」の側にそうした認識があるかは不明です。もしかしたら「ない」かもしれない。

*12:国立社会保障・人口問題研究所人口動向研究部第1室長

*13:少子化」という言葉は、そうした女性に対して「なんで子どもを産まないの?」と責める言葉になっているのではないか。この言葉の扱いは慎重でないといけないのではという疑問を会議で話したという米倉都議に似た認識かと思います。

*14:全文ではなく、決議案に関係する「優生保護法関係部分」だけですが

*15:1956年生まれ。京都大、慶應義塾大名誉教授。著書『資本主義以前の「社会主義」と資本主義後の社会主義』(1992年、大月書店)、『グローバリゼーションから軍事的帝国主義へ』(2003年、大月書店)、『中国はいま何を考えているか』(2005年、大月書店)、『チベット問題とは何か』(2008年、かもがわ出版)、『現場からの中国論』(2009年、大月書店)、『中国に主張すべきは何か』(2012年、かもがわ出版)、『長期法則とマルクス主義』(2018年、花伝社)、『ウクライナ戦争と分断される世界』(2022年、本の泉社)等

*16:「生命の再生産=出産や育児」「生命の再生産阻害=少子化」でしょう。

*17:勿論、大西氏は党支持者であるため、彼が党ブレーンとして決議案作成に関わり彼の認識が大会決議案に影響してる可能性は当然あります。

*18:この事件については例えば赤旗宮本顕治委員長(当時)宅電話盗聴事件の判決は?(2004.3.11)参照

*19:役職は当時。現在は大妻女子大学准教授。著書『仲人の近代:見合い結婚の歴史社会学』(2021年、青弓社ライブラリー)、『改訂新版・事実婚夫婦別姓社会学』(2022年、現代書館)等

*20:著書『ポスト工業経済の社会的基礎:市場・福祉国家・家族の政治経済学』(2000年、桜井書店)、『福祉資本主義の三つの世界:比較福祉国家の理論と動態』(2001年、ミネルヴァ書房)、『平等と効率の福祉革命:新しい女性の役割』(2011年、岩波書店→2022年、岩波現代文庫)。なお、話が完全に脱線しますが「人魚姫」「醜いアヒルの子」「マッチ売りの少女」「雪の女王」で知られる童話作家「ハンス・クリスチャン・アンデルセン」もデンマークの作家です。「アンデルセン(英語読みするとアンダーソン)」=「デンマークに多い姓」なのでしょう。

*21:1961年生まれ。昭和女子大学客員教授相模女子大学特任教授。著書『格付けしあう女たち:「女子カースト」の実態』(2013年、ポプラ新書)、『専業主婦になりたい女たち』(2014年、ポプラ新書)、『「専業主夫」になりたい男たち』(2016年、ポプラ新書)、『ハラスメントの境界線:セクハラ・パワハラに戸惑う男たち』(2019年、中公新書ラクレ)等

*22:勿論公明党の機関誌

*23:1947年生まれ。東京大学名誉教授、中部大学特任教授。1993年、優れた女性科学者に与えられる猿橋賞を、2013年、ロレアル・ユネスコ女性科学賞(物理科学)を受賞。著書『生命世界の非対称性:自然はなぜアンバランスが好きか』(1992年、中公新書)、『科学を育む』(2002年、中公新書)等(黒田玲子 - Wikipedia参照)

*24:1958年生まれ。国立社会保障・人口問題研究所室長、筑波大助教授、東大准教授、教授、副学長等を経て、現在、国連大学上級副学長。著書『少子高齢社会のみえない格差:ジェンダー・世代・階層のゆくえ』(2005年、東京大学出版会)、『日本の不平等を考える:少子高齢社会の国際比較』(2009年、東京大学出版会)、『生き方の不平等』(2010年、岩波新書)等(白波瀬佐和子 - Wikipedia参照)

*25:1954年生まれ。日本共産党書記局長を経て委員長

*26:1875~1953年。陸軍次官、台湾軍司令官、首相、朝鮮総督等を歴任

*27:1891~1945年。貴族院議長、首相を歴任。戦後、戦犯指定を苦にして自殺

*28:1951年生まれ。東大名誉教授。著書『オーラル・ヒストリー』(2002年、中公新書)、『近現代日本を史料で読む:「大久保利通日記」から「富田メモ」まで』(2011年、中公新書)、『戦前史のダイナミズム』(2016年、放送大学叢書)等

*29:1960年生まれ。小渕内閣郵政相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣総務相等を歴任

*30:1932~2022年。細川、羽田内閣蔵相、自由党幹事長兼政調会長民主党幹事長、代表代行(岡田代表時代)、鳩山内閣財務相等を歴任

*31:1945年生まれ。大阪大学名誉教授。著書『生殖の政治学』(1994年、山川出版社)、『中絶論争とアメリカ社会』(2001年、岩波書店)、『ジェンダー化される身体』(2002年、勁草書房)、『「家族計画」への道:近代日本の生殖をめぐる政治』(2008年、岩波書店)、『女のからだ:フェミニズム以後』(2014年、岩波新書)等

*32:1941年7月に日本は南部仏印侵攻を実行し、8月に米国が対抗措置として対日石油禁輸。12月に日本が対米開戦