珍右翼・高世仁に悪口する(2023年12/31日分)

年の瀬にウクライナとの連帯を訴える - 高世仁のジャーナルな日々

 年末には『中村哲*1という希望』(旬報社)を出版することができた。

 とはいえ、旬報社から『佐高信評伝選』(全7巻、2023年)を刊行しており

◆『佐高信の昭和史』(2018年、角川ソフィア文庫)
◆『日本の権力人脈』(2018年、講談社+α文庫)
◆『反・憲法改正論』(2019年、角川新書)
◆『企業と経済を読み解く小説50』、『時代を撃つノンフィクション100』(以上、2021年、岩波新書)
◆『反戦川柳人・鶴彬*2の獄死』(2023年、集英社新書)
◆『日本の闇と怪物たち:黒幕、政商、フィクサー』(共著、2023年、平凡社新書)
→アマゾンの紹介によれば「ロッキード事件児玉誉士夫(大物右翼)、小佐野賢治国際興業社主)、「競艇のドン」笹川良一などを取り上げている

等の著書を大手出版社(岩波書店KADOKAWA講談社集英社平凡社等)から出している作家・佐高信氏との共著であり、『娘をかえせ息子をかえせ:北朝鮮拉致事件の真相』(1999年、旬報社)のような高世個人の著書ではない。
 というか、近年の高世の著書は『イスラム国とは何か』(常岡浩介*3との共著、2015年、旬報社)、『自由に生きていいんだよ:お金にしばられずに生きる「奇跡の村」へようこそ』(森本喜久男*4との共著、2017年、旬報社)と共著ばかりです。所詮今の高世は「常岡、森本、佐高氏」という他人(虎)の威を借る狐でしかない。常岡本がろくに売れず*5、森本は2017年に死去、高世が新しく見つけた「虎」が佐高氏の訳です。
 しかし佐高氏も高世なんぞと付き合わなくてもいいのに。

 ロシアの世論調査で、「特別軍事作戦*6」(ウクライナ侵攻のこと)を今年の重要ニュースに挙げた人は22%と、昨年の62%から3分の1に減り、侵攻への関心低下傾向を示したとのニュース。侵攻に続いて2位となったのは、経済成長やインフレ、制裁対策、利上げといった「経済関連*7」だった。発表した「全ロシア世論調査センター」は政府系なので、そのつもりで数字を見ないといけないが、これには驚いた。たった22%か

 勿論「政府系」ということは1)迫害を恐れて正直に回答しなかった可能性、2)センター側のアンケート改竄の可能性と言う意味で割り引く必要はあります。「独立系」の調査結果が欲しいですが、既に「特別軍事作戦」の日常化で関心が薄れてる(実際に数値は低い)のかもしれない。
 「特別軍事作戦」が「ロシア(逆にウクライナ)の勝利」「交渉による終戦(停戦)=双方痛み分け」の見込みが出れば関心も高まるのでしょうが。

 ウクライナ侵攻の目的を聴かれたプーチンは、「我々の目的は変わらない。ウクライナの非ナチ化、非軍事化、中立化*8だ」と答えたが、これは侵攻時の「目的」そのまま。ロシアは侵攻をやめる気がまったくない。

 これを高世のように「プーチンの本心」と見なせるかは「?」でしょう。プーチンが戦争目的を変更すれば「何故変更したのか?」「ロシア軍が苦戦してるからか?」となる。あくまでも建前では「従来方針は変わらない」と強気の姿勢を示しながらも、本音では「ロシアの利益保持(現在の占領地域の確保、ウクライナNATO非加盟など)、面目保持(ICCによるプーチン逮捕状の撤回など)ができれば早期停戦(又は終戦)してもいい」と思ってる可能性は十分あるでしょう。
 勿論その場合でもプーチンは「占領地帯からの全面撤退」「ICCの逮捕状の執行」など「ロシアに不利な条件」は「可能限り」認める気はないでしょうが。

 ロシアの「余裕」は、一つには、ロシア侵攻が不均衡、不釣り合いな戦争になっていることを示す。戦闘で破壊されるのはもっぱらウクライナで、ロシアは(ドローンがモスクワに飛んできてニュースになったりしたが)傷つかないのだ。欧米はウクライナに対して、ロシア本土を攻撃することを禁止しているからである。そのわけは、ロシアを「刺激」すると、第三次世界大戦を招く、あるいは核戦争になる可能性が高まるからだという。欧米はウクライナに長い射程の飛び道具を与えてこなかった。

 第一に「積極的なロシア本土攻撃」をNATOが認めない以上、それを前提に話をせざるを得ない。「NATOは腰抜けだ」等、悪口しても何もどうにもならない。
 第二に「ロシアとウクライナの国力の差(ウクライナNATOの軍事支援を受けてはいますが)」を考えれば「積極的なロシア本土攻撃」が当然にウクライナを利したと言えるかは疑問(ロシアのウクライナに対する無差別報復がもっと酷くなっただけかもしれない)という意味で高世のこうした主張は俺的には「何だかなあ?」ですね。
 なお、高世の書きぶりではロシアに何の被害もないかのようですが、以下の通り被害が出ているようです。

ロシア領内、侵攻後最大の被害か ウクライナ軍砲撃、100人超死傷 | 毎日新聞
 ウクライナと国境を接するロシア西部ベルゴロド州で29日夜から30日にかけて、ウクライナ軍による大規模な砲撃があり、同州のグラトコフ知事によると、少なくとも24人が死亡し、100人以上が負傷した。

 あくまでも「長距離の飛び道具」がないのでモスクワなど「ウクライナから離れた場所」が攻撃できないだけで、ウクライナの隣接地は被害を受けてるようです。そしてこうした隣接地攻撃はNATOも大目に見ているようです。

 首都キーウでは、12月に入り、前線にいる兵士の家族など数百人が集まり、「夫や子どもが無期限で戦地に派遣されている」などと抗議デモも起きている。

 戦争長期化で、ウクライナでも不満が表面化しているわけです。

 ここまでウクライナが追い詰められるとは思っていなかったが、ロシアの思い通りにさせることは許されない。

 今日のロシアニュース(2023年12月31日分) - bogus-simotukareのブログにも書きましたがそうした感情論は止めたらどうか。
 「与えられた現状」でしか物事は動かないのであって「NATO軍(米英仏独軍など)がロシアと直接は戦闘しない」「NATO諸国の支援疲れ」「ウクライナ国民の戦争疲れ」「(ロシアも苦しい状況ではあるが)戦争中止をロシア側から表明するまでには至っていない」という条件下で「ウクライナ戦争を何時までも継続していいのか」と言う話です。

*1:1946~2019年。ペシャワール会現地代表。著書『医者・井戸を掘る:アフガン旱魃との闘い』(2001年、石風社)、『ほんとうのアフガニスタン』(2002年、光文社)、『医者よ、信念はいらないまず命を救え!:アフガニスタンで「井戸を掘る」医者・中村哲』(2003年、羊土社)、『アフガニスタンの診療所から』(2005年、ちくま文庫)、『アフガニスタンで考える』(2006年、岩波ブックレット)、『医者、用水路を拓く:アフガンの大地から世界の虚構に挑む』(2007年、石風社)、『天、共に在り:アフガニスタン三十年の闘い』(2013年、NHK出版)、『アフガン・緑の大地計画』(2017年、石風社)、『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る:アフガンとの約束』(2021年、岩波現代文庫)等

*2:1909~1938年。1937年12月3日に治安維持法違反容疑で検挙され、1938年9月14日に獄中で病死。1972年9月、郷里の石川県高松町(現・かほく市)に句碑が建立。それにあたっては同級生の自民党代議士・小川半次(1909~1994年)の尽力があったという(鶴彬 - Wikipedia参照)

*3:著書『ロシア・語られない戦争:チェチェンゲリラ従軍記』(2011年、アスキー新書)

*4:1948~2017年。著書『カンボジア絹絣の世界』(2008年、NHKブックス)、『カンボジアに村をつくった日本人』(2015年、白水社

*5:その結果、高世は常岡について言及しなくなり、事実上縁切りしています。

*6:戦前日本が「満州事変」と呼び戦争とは呼ばなかったのと同様の理由(大した問題ではないように思わせたい)があるのでしょう。

*7:但し経済問題には「戦争の影響による物」も一部ありますが

*8:ゼレンスキー政権打倒とは言ってないことに注目したい。勿論「ゼレンスキー政権打倒が戦争目的ではなかった」と言う意味ではなく「ゼレンスキー政権打倒」をしなくても「ウクライナの非ナチ化、非軍事化、中立化(中立化はNATO非加盟のことか?)」が可能とすれば、早期停戦が可能だ(恐らくゼレンスキー政権打倒が挫折したときに備えて、プーチンは当初からゼレンスキー政権打倒とは言ってこなかった)という話ですが。