今日の朝鮮・韓国ニュース(2023年4月11日分)

国際環境激変と日朝関係打開可能性(浅井基文)
 引用は省略しますが「岸田が早期訪朝して拉致を解決したいようなことを言ってるが政権支持率が低いことで話題作りしようとしてるだけじゃないか?*1」「(和田春樹氏が批判する)安倍路線(救う会、家族会路線)から脱却して『即時一括全員帰国でなくていい』『段階的帰国でいい』『一人でも帰国すれば制裁解除し、日朝国交正常化に動く』としない限り拉致は解決しないだろうが、それは岸田にはできないだろう」という主旨の主張をする浅井先生です。
 その点は「勿論、主張の細部には違いがある」ものの、浅井主張は大筋では

安倍晋三も、首相を辞めても「中国との敵対関係も辞さない」ということはなかったらしいが、岸田政権もあまり成果は期待できそうにない - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)
 対北朝鮮関係も、安倍、菅といった前任者と同様、岸田も平壌に連絡事務所を設置することすらもできていません。たぶん今後も設置に動いたりはしなそうです。

という指摘と同じといえるでしょう。
 うがった見方をすれば「段階的帰国でもそれなりの評価をし、制裁一部解除しなければ話にならない」「勿論特定失踪者なんて論外だ」(北朝鮮の立場ではある意味当然の主張ですし、こんな態度を取るであろうことも、浅井記事が指摘するように容易に予想できますが)という北朝鮮の態度に「早期訪朝のやる気を失った」が故の岸田の「訪米での日米関係強化アピール」なのかもしれない。なお、浅井先生は岸田訪米での「日米安保強化アピール」を「そんなことをすれば日米安保を自国にとっての脅威とみなす北朝鮮が反発することは明らか(訪朝が困難になる)」であり、「岸田が本気で訪朝する気なら愚行」と評価していますが俺も同感です(まあ、浅井先生も俺も九条護憲派ハト派なのでそういうことに関係なく日米安保強化には否定的ですが)。
 また、浅井先生は
「大国・中国相手にすら、対中国で対立的姿勢を強める(台湾政権への迎合を強める)バイデン政権に迎合し、反中国的態度を取る岸田が小国・北朝鮮に対して融和的態度を取るとはとても思えない」
「米国の態度に反発を強める中国に、うまく迎合すれば、一定の北朝鮮支援が期待できる。バイデン政権が今の対中国外交を変えない限り、当面、中国の北朝鮮支援が期待できるから、本気か怪しい岸田の訪朝希望の相手をすることはない。」
ウクライナ戦争と中東紛争(ハマス、イランVSイスラエル)や、移民問題、トランプの予想以上の高支持率(バイデン落選の可能性もある)などで手一杯の米国(バイデン政権)は、北朝鮮問題で動くことはできない」
という「シビアな判断」を北朝鮮はしているだろうとも見ています。浅井先生も指摘していますが、最近「趙楽際・中国全人代委員長(中国共産党常務委員兼務)」という中国政府大幹部(趙氏は中国共産党の党内序列においては、習近平国家主席(党総書記兼務)、李強首相(中国共産党常務委員兼務)に次ぐナンバー3とされる)が訪朝し「中朝友好アピールした」のもそうした流れの一つでしょう。「ナンバー3が訪朝」というのは相当の好待遇とみるべきでしょう。岸田がよほど「事態打開の策」を打たない限り「訪朝するか怪しい日本より、長い付き合いのある中国」の経済支援が期待されるのは当然です。
 裏返せば、日本が「北朝鮮との関係を改善する」には「中国(北朝鮮の後ろ盾の一つ)との関係改善が必要」というのが浅井先生の主張であり、全く同感です。
 さすがに「ロシアが北朝鮮の後ろ盾(最近もロシアは安保理で拒否権を発動して北朝鮮監視専門家パネルの期間延長を潰し、パネル自体を消滅させ、北朝鮮をアシスト)だから、北朝鮮との関係改善のためにロシアと仲良くしよう。米英仏独などが反対しようが日本の対ロシア制裁も解除する。ロシアがウクライナ侵攻しようと知ったことか」と言うわけにはいきませんが、中国との友好関係にそうした問題はないでしょう。
 浅井先生は「岸田には外交上期待できない」「自民党内のポスト岸田(石破元幹事長、上川外相、林官房長官、茂木幹事長など)であれ、野党による政権交代であれ、対北朝鮮、対中国外交の改善を期待したい」としながらも「(岸政権時代に訪中した「親中国派」石橋湛山元首相などと違い)自民党から表向きはそんな声が全くないこと」「(政権交代の可能性がどれほど高いかはひとまず置くとしても、野党による政権交代は最大野党・立民党が中心になるだろうが)立民党の前身である民主党政権にそうした外交成果がないこと」から「一縷の望み」と書き、「岸田よりはマシになることを望むが劇的改善は諦めてること」をにじませています。


北九州市、朝鮮学校への補助金大幅削減 | 朝鮮新報

 3月25日、北九州市議会(福岡県)で、学校法人福岡朝鮮学園に対する補助金額を前年度から約40%削減する今年度予算案が可決された。

 「全額不支給の東京や大阪よりはまだマシ」とはいえ、こうした差別には怒りと屈辱感を禁じ得ません。心の底から恥ずかしい。


最大野党、過半数大幅超えの勢い 与党惨敗、対日関係影響も―韓国総選挙:時事ドットコム
 「韓国与党の右翼性(太陽政策否定、労組敵視など)」「大統領夫人の金銭疑惑」から韓国与党に批判的な俺にとっては「野党大勝、与党惨敗」は嬉しいニュースです。
 但し

赤旗韓国総選挙 野党圧勝/尹政権への厳しい審判
 正義党と緑の党の連合政党「緑の正義党」は、5選を目指した沈相奵*2(シム・サンジョン)氏をはじめ6議席すべてを失いました。

という「最大野党『共に民主党』勝利の影響で、一部の少数野党(緑の正義党)*3が惨敗し、壊滅的打撃」と言う事態は「同様の事態(選挙敗北による議席減)に見舞われるリスク*4」が否定できないミニ政党「日本共産党」の支持者としても「勿論、韓国と日本、緑の正義党と日本共産党は単純比較できない」とはいえ気になるところです。

*1:そもそも今の政権支持率では何時退陣してもおかしくないのですが。

*2:1959年生まれ。進歩新党共同代表(2008年3月~2009年3月)、統合進歩党共同代表(2011年12月~2012年4月:なお、統合進歩党は「親北朝鮮」を口実に、朴槿恵政権時に強制解散された)、正義党院内代表(2013年6月~2015年7月)、正義党代表(2015年7月~2017年7月)等を歴任(沈相奵 - Wikipedia参照)

*3:一方で新党「祖国革新党」は「選挙前0→選挙後12」と躍進

*4:「衰退が著しい社民党」ならともかく、共産党が「近い将来」に「緑の正義党」のように、国会議席全てを失うことはさすがに考えられませんが