「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2024年6/30日分:荒木和博の巻)

北方領土・シベリア抑留・そして拉致(R6.6.29)|荒木和博ARAKI, Kazuhiro

 令和6年6月29日土曜日「荒木和博のショートメッセージ」第1527号。民社党*1北方領土問題に長年取り組みました*2が、改めてシベリア抑留、そして拉致、つながるものがあるような気がします。

 荒木動画に関係なく俺の意見を書けば確かに「北方領土・シベリア抑留・拉致」の3つには共通点がいくつかあります(まあ、拉致とシベリア抑留には「事情が違うとは言え、日本人が外国に長期抑留されている」という共通点がありますが)。
 第一にソ連北方領土、シベリア抑留)も北朝鮮(拉致)も「共産国」であり、また、日本にとっては仮想敵扱いをされていた(北朝鮮の場合は今もされている)。そして荒木のようなウヨがこれらの事件をネタに「ロシア(北朝鮮)は酷い国だ」と反共攻撃をしていた。
 第二に、これらの問題は「軍事的措置」ではなく「外交交渉でしか解決しない」。
 「シベリア抑留者の帰国や遺骨返還」は外交交渉で実現しました。
 北方領土返還(個人的には韓国との間の竹島問題共々、返還は望み薄だと思いますが)や拉致も「外交交渉でしか解決しない」でしょう(例えば北方領土を戦争で奪還するというのがここまで批判されるのなら、拉致被害者の自衛隊による救出というのももっと批判されるべきだ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)。
 「外交をしない」のであればそれは「解決を諦める」ということにしかならない。
 そして外交する場合「俺(日本)の言うことを無条件で聞け(無条件で島や拉致被害者を帰せ)」は通る話ではない。
 拉致の場合、「制裁解除によるバーター取引」は不可避でしょう。
 また北方領土問題の場合、無人島の竹島と違い、ロシア人が住んでいる。
 このロシア人を
1)「一部負担か全部負担かはともかく」日本政府が移住の費用を負担して全てロシア本土に移住してもらうか(日本が費用負担せずロシアが費用負担では、ロシアが費用負担を拒否し移住は実現しないでしょう)
2)日本への返還後も、島への在住を認め、ロシア系日本人として受け入れるか(返還後「日本国籍を付与せず、外国人扱い」では島に住むロシア人が返還に反対するでしょう)
しない限り返還は実現しないと思います(また、バーター取引としてのロシアへの経済支援も必要かもしれない)。とはいえ、「元島民等の反発を恐れてか」日本において「北方領土在住のロシア人問題」を論じる個人、政党(自民、立民、維新、国民民主、共産、社民、れいわ等)はほとんどないのが困りものですが。
 まあ、プーチンウクライナ戦争をしている限り「ロシアとバーター取引で交渉→島返還」など「ウクライナや米英仏独等との関係」を考えれば「裏切り、利敵行為としてウクライナ等に日本が非難される」ので「現実問題としてできる話ではない」。ウクライナ戦争終結が「北方領土問題の解決」の前提ですが、「エリツィン時代」だって交渉の成果はないのだから今後「ウクライナ戦争が終結しよう」とも「プーチンが政治の表舞台から消えよう」とも北方領土問題で成果(返還)があるとは残念ながら思えません。
 第三に「(死亡した人間は除き)抑留者が全て帰国したシベリア抑留(後述するように遺骨返還問題はありますが)はともかく、拉致や北方領土問題は「解決していない(領土返還や政府認定拉致被害者全員帰国はない)」にもかかわらず、既に「元島民や拉致被害者家族」を除く国民の関心は薄れ風化しています。
 まあ、下記記事で分かるようにシベリア抑留も「遺骨が全て返還されたわけではなく」そういう意味では「当事者にとっては必ずしも終わった問題ではない(国民の関心が低くていいわけではない)」のですが。

シベリア抑留犠牲者の追悼式 元抑留者“遺骨収集推進を” 東京 | NHK | 東京都2023.8.23
 終戦直後、シベリアなどに抑留され、過酷な労働を強いられて亡くなった人たちを追悼する式典が都内で開かれ、元抑留者が国による遺骨収集を進めるよう訴えました。
 厚生労働省によりますと、抑留され犠牲になったおよそ5万5000人のうち、いまも3万2000を超える人たちの遺骨が日本に帰ってきていませんが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を受けて遺骨収集は中断されているということです。
 式典では4年間、シベリアに抑留された97歳の新関省二さんが「遺骨の3分の2は現地に眠ったままです。国が責任をもって犠牲者を追悼し、実態解明を進めてほしい」と述べ、遺骨の収集を進めるよう訴えました。

広島:遺骨返還「家族また一つに」:地域ニュース : 読売新聞2024.3.7
 終戦後のシベリア抑留中に死亡した廿日市市出身の松田宗三さん(当時30歳)の遺骨が7日、松田さんの長男・紀雄さん(2020年12月に80歳で死去)の妻・節子さん(77)に返還された。終戦から79年。高齢化で戦没者遺族の数も減る中、節子さんは「遺骨はその人が『生きた証し』。返還を望む人の元へ一日でも早く返してあげてほしい」と語る。(岡本与志紀)
 紀雄さんは1993年6月、シベリア墓参団に参加。宗三さんの埋葬地と記録されていた旧ソ連チタ州のカダラ村墓地に赴いた。だが遺留品も見つからず、現地の石だけ持ち帰り、自宅の裏手にある宗三さんの墓に入れた。
 しかし政府派遣の遺骨収集団が2001年から約4年かけ、カダラ村の墓地から381柱の遺骨を収容し、希望が見えた。厚生労働省は2003年から、遺族の希望に応じ遺骨のDNA鑑定を進め、紀雄さんも自身の髪の毛を送った。
 「鑑定の結果、松田宗三様のご遺骨だと判明しました」。
 その電話が厚労省の職員からあったのは、紀雄さんが亡くなってから約3年後の今年1月。節子さんは「もう半ば諦めていたのでびっくりした」と語る。
 今月下旬に葬儀を行い、遺骨は「あの石」の入った宗三さんの墓に入れるつもりだ。その墓には、(ボーガス注:宗三さんの妻)トシ江さんや紀雄さんも共に眠る。
 「もう少し早く判明していればと思うが、家族がまた一つになれたと思うと、よかった」と、節子さん。

シベリア抑留で亡くなる 遺骨はDNA鑑定で佐賀県出身の男性と分かる 遺族のもとへ返還 | NHK | 厚生労働省2024.6.3
 終戦後、シベリアに抑留されて亡くなった日本人の遺骨が、DNA鑑定の結果、佐賀県出身の男性だったことが分かり、3日、遺族のもとに返されました。
 返還されたのは、終戦後、旧ソビエトのシベリアに抑留されて亡くなった、佐賀県の旧東脊振村、現在の吉野ヶ里町出身の西村壽弥男さんの遺骨です。
 3日、県の職員が吉野ヶ里町に住むおいの正紘さんのもとを訪れ、遺骨を届けました。
 西村壽弥男さんは昭和19年10月に召集されて中国大陸に出征し、厚生労働省によりますと、終戦後シベリアに抑留されて、21歳の若さで亡くなったということです。
 厚生労働省によりますと、西村さんの遺骨は2002年にロシアのイルクーツク州の埋葬地で収集されましたが、身元につながる情報がなく、日本に安置されたままとなっていました。
 その後、国がロシア側から提供された資料の分析を進める中で、収容者リストの中に西村さんの名前や出生地に関する記載があることが分かり、DNA鑑定の結果、西村さんと確認されたということです。

シベリア抑留中に死去、80年を経て遺骨「帰郷」 待ち続けた母 [佐賀県]:朝日新聞デジタル2024.6.6
 太平洋戦争の終戦後、旧ソ連・シベリアでの抑留中に亡くなった男性の遺骨が佐賀県吉野ケ里町の遺族に渡された。戦争によって未来を奪われた若者は80年ぶりに、ようやく故郷に戻った。
 3日、佐賀県社会福祉課の担当者が、西村正紘さん(83)宅を訪れた。手にする箱を覆う布には「故陸軍伍長・西村壽弥男(すやお)之霊」と記される。
 壽弥男さんは正紘さんの父・正巳さんの弟だ。終戦後、故郷から3500キロ離れたシベリアの収容所に抑留され、亡くなった。
 終戦後、骨の入っていない木箱が届けられたらしい。遺族には旧牡丹江省で1946年1月に亡くなったと伝えられており、毎年の命日には、正巳さんが佐賀市護国神社に参拝し、正巳さんが20年以上前に亡くなってからは、正紘さんと妻の隆子さん(77)が続けた。
 「青天のへきれき」(隆子さん)と遺族を驚かせたのが、2022年11月、厚生労働省から届いた文書だ。
 そこには、壽弥男さんが旧ソ連に抑留され、1945年12月18日に死亡したと記されていた。命日も亡くなった場所も違った。栄養失調で亡くなったという。
 シベリアで多くの日本人捕虜が強制労働をさせられた旧ソ連では、モンゴルとあわせ、約5万5千人が亡くなったとされる。そのうち、国により遺骨が収集されているのは、約2万2千人だ。

佐賀 シベリア抑留者の遺骨 80年ぶり故郷へ | NHK2024.6.21
 終戦後、過酷な労働を強いられ、およそ5万5千人が亡くなったとされる「シベリア抑留」。
 これまでにおよそ2万2千体の遺骨が収容され、現在も身元を特定する作業が国で続けられています。こうした中、1人の男性の遺骨が吉野ヶ里町に住む遺族のもとに帰ってきました。
NHK佐賀放送局カメラマン 北島大和)
 遺族の西村正紘さん(83)です。遺骨は叔父・壽弥男さんのものでした。
 終戦から数年後、中国大陸で亡くなったと聞かされ、詳しいことがわからないまま葬儀をあげていました。
 壽弥男さんに関する情報が正紘さんのもとに寄せられたのは、おととし(2022年)のことでした。
 国の調査で、壽弥男さんが戦後シベリアに抑留され亡くなっていたことがわかったのです。
 そしてことし4月。
 DNA鑑定の結果、壽弥男さんはシベリアのイルクーツク州にある埋葬地で平成14年7月に収容され日本で保管されていた342人分の遺骨のうちの1人であることが確認されました。

 シベリア抑留も最近では

◆フジテレビ開局50周年記念ドラマ「不毛地帯」(2009年放送)
 山崎豊子の同名小説(新潮文庫)のドラマ化。唐沢寿明が演じた主人公「近畿商事重役・壱岐伊藤忠商事社長の瀬島龍三がモデルとされる)」はシベリア抑留経験者
◆映画「ラーゲリより愛を込めて」(2022年公開)
 講談社ノンフィクション賞(1989年)、大宅壮一ノンフィクション賞(1990年)を受賞した辺見じゅん『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(文春文庫)の映画化。抑留中に収容所で病死した山本幡男 - Wikipedia(主人公)を二宮和也が、山本の妻を北川景子が演じた。

で取り上げられましたし、だから若者でも知ってる方もいるでしょうが、一般的には風化したと言っていいのでしょう。

*1:民社党が解党し、新進党に参加するまで荒木は民社党職員だった。

*2:何も「北方領土問題」に取り組んだのは民社党だけではない。「国会質問」「元島民や地元自治体関係者との意見交換」等、いかなる形でも北方領土問題に関わってない政党はむしろないでしょう。