今日のMSN産経ニュース(9/3分)(追記あり)

■【主張】宮崎駿監督の引退 発信力を担う若手よ続け
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130903/ent13090303260001-n1.htm

映画の黒澤明監督、漫画の手塚治虫氏の系譜にある巨匠

 産経の言う「系譜」の意味がさっぱりわからないんですが。宮崎氏は「黒沢監督、手塚氏の影響を受けてきた」ってことですかね。それ正しいんでしょうか?
 トンデモ記事を書くことに定評のある産経では「海外で評価された有名文化人つながりで並べてみました」「宮崎氏がアニメ映画監督と言うことで映画界と漫画界から有名人を1人ずつ持ってきました」ってだけではないかと疑います。

アルプスの少女ハイジ」などで知られる高畑勲氏に師事し

 師事ねえ。ブクマもつけたけど師事はしてないんじゃないですか?。
 高畑氏は先輩だから若い頃はいろいろと宮崎氏を指導もしただろうし、その後もナウシカとかいろいろと組んで仕事をしてるわけですが、それは師事って話じゃないでしょう。
 師事って言うのは「『まんが道』における手塚治虫トキワ荘連中(寺田ヒロオ、両藤子、赤塚不二夫石ノ森章太郎等)の関係」位、重い言葉だと思いますけど、そういう「師匠と弟子」の関係じゃないと思いますよ。「寺田ヒロオ満賀道雄*1(大先輩と後輩)」のような関係ですらないんじゃないか。もっと対等な関係でしょうよ。
 当の高畑氏が「宮崎氏っていつ俺に師事したんだろう?」と苦笑するんじゃないか。


■【産経抄】9月3日
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130903/trd13090303210000-n1.htm

宮崎駿監督のどの作品から見始めたのか。それでだいたいの世代がわかる。小欄の場合は、昭和59年公開の「風の谷のナウシカ」だった。感動のあまりすぐ取材を申し込むと、意外にも「不景気な話しかしませんよ」とクギをさされた。

・いやいや世代はわからないと思いますよ。「生まれたのがナウシカ発表後(20代後半以降)」なら話は別ですけど。たとえば1996年生まれの17歳(高校生)だと一番最初に見るのは「もののけ姫(1997年公開)」でしょうけど。
ナウシカ以前の宮崎は有名じゃないんで、見てなくても不思議じゃない。「毎年の宮崎映画が日本の風物詩」「寅さん映画に代わる日本映画風物詩として確立する」のは「ラピュタ」以後なんで。
 ナウシカ公開時は「寅さん第1作映画公開当時」と同じで誰も今の状況なんか予想してないわけです。
・たとえば「今日の抄子」の場合、「昭和59(1984)年に取材申し込み」なんで、仮に「昭和37(1962年)年生まれ。昭和59(1984)年に22歳(大学卒業直後)、現在51歳」としてみましょう。
 1962年生まれだったら、「ルパン三世 カリオストロの城」(1979年)を公開当時に高校生(17歳)として見ていて全くおかしくないでしょうが、抄子は見てないわけです。
・「感動のあまりすぐ取材を申し込むと」
 「え?。マジで感動したの?」って感じですよね。まあ、あれはフィクションですし、解釈難しいですけど、時代を考えると「巨神兵持ってるトルメキア」ってのは「核兵器持ってるアメリカ」を連想できるし、娯楽映画とは言えテーマは「反戦」とか「環境問題」とか産経が嫌いそうなネタなんですけど。

当時、すでに質量ともに世界一といわれていた日本のアニメ

そんな事言われてましたっけ?。そういう評価が出てくるのって「ナウシカ以後」では?

その宮崎監督の引退のニュースが世界をかけめぐった。72歳の監督は、肉体的にも精神的にも限界に達してしまったのか。それとも、ベネチア国際映画祭に出品中の最新作「風立ちぬ」の出来栄えが、百点満点となったからか。6日行われる記者会見で、本人の口から明かされるはずだ。

いや「百点満点だ」なんて言わないでしょうよ。実際百点満点じゃないんでしょうけど。
しかし「子ども向け作品じゃない」&「零戦設計者伝記映画とは戦前美化ではないかと一部から非難される作品」で引退ってそれでよかったんかい、という気はしますね。

韓国の聯合ニュースは、引退の背景について「安倍政権の右傾化の歩みに失望したのでは」との見方を伝えた。

まあ、そういう勝手な見方はしない方がいいと思いますね。「引退を当時から予定してたから」安倍批判したって可能性はあるかも知れませんが。

そういえばソウル駐在の黒田勝弘記者によれば、韓国メディアは先の参院選の前日、宮崎監督が憲法改正慰安婦問題で安倍首相を批判していると、大々的に報じたばかりだ。

「宮崎監督が憲法改正慰安婦問題で安倍首相を批判していると、大々的に報じた」
 別にそういう報道をしたのは韓国メディアだけじゃないんですけどね。日本国内メディアだってそう報じてるし。つうか報じてもらって迷惑だなんて言うのは産経のような右翼だけでしょうよ。
 「人気アニメ監督の宮崎が安倍批判→安倍の首相就任が問題ないとは言わないが、日本もまだ捨てたもんじゃない」と思ってもらって幸いですよ。逆に「宮崎が安倍礼賛」なんてしたら産経大喜びなんでしょうが、日本人にとっては不幸な話です。
 「人気アニメ監督の宮崎が安倍絶賛→やはり日本は極右化してるんだ!。宮崎ファンも極右に違いない」と思われて不幸ですよ。
 まあ、ありえないですけどね。
 彼はそもそも、そういう極右的な価値観じゃないでしょうし、そういう態度だと興業(特に海外興業)にも悪影響ですからね。

世界の巨匠となった今、作品とは関係がない言動も注目の的となる。

 そもそも例の発言って宮崎氏やジブリサイドから宣伝つうか、アピールしてたでしょうに。外部公開を予定していない内輪のつぶやきを、宮崎氏やジブリ無視して外部が勝手に大騒ぎしたんじゃ全然ないわけです。
 何訳のわからないこと言ってるんですかね。これが「アニメ界の大物」ジブリ、宮崎氏でなければ確実に「安倍批判なんて許せない」「河野談話支持なんてあの人は慰安婦問題がわかってない」と悪口言ってるでしょうが相手が大物だとびびって日和る産経が情けない。

それに嫌気がさしたのも引退の一因とみるのは、うがちすぎだろうか。

つうことで嫌気がどうとかなんて成り立たないでしょう。内輪の発言じゃなくて外部公開を予定している機関誌での発言だから当初から世間の反応(好意的でアレ敵対的でアレ)は覚悟してるでしょう。
 まだ「日本右傾化に失望した」の方が説得力があるでしょうよ。あるいは「零戦設計者映画なんて戦前美化ではないか、と非難されて無理解な世間に失望した」とか。
 つうか聯合ニュースも産経も、当人が言ってないことを勝手に憶測で物を言うなと。「体力の限界」と普通に解釈して何が悪いのかと。「体力の限界だから辞めたい」なんてずっと彼が言ってきたことじゃないですか。

*1:まんが道」の主人公。作者・藤子不二雄Aがモデル