今日の産経ニュース(9/9分)(追記・訂正あり)

■【正論】北の体制に近づく韓国の危うさ 筑波大学大学院教授・古田博司
http://www.sankei.com/column/news/150909/clm1509090001-n1.html

 8月に発生した南北挑発事件の協議は、同22日から25日未明まで断続的に約43時間にわたって行われ、無事合意に達した。取りあえず東アジアの平和にとってめでたいといえる。
 当日、韓国側の交渉代表は、大統領府の金寛鎮国家安保室長と、洪容杓統一相だった。前者には、盧武鉉左翼政権下で最も出世した高官だとの評価がある。
(中略)
 もう一人の代表、洪容杓統一相は、10年末に朴槿恵大統領の母校・西江大学で発足した朴槿恵氏のシンクタンク「国家未来研究院」のメンバーで、(注:現在外相の)尹炳世氏と同僚だった。朴槿恵政権では外交安保秘書を経て、現統一相となる。彼は南北経済協力の支持者で金大中金正日首脳会談での「六・一五宣言」(緩やかな南北連邦統一案)を支持した学者として政権発足当初、保守陣営から起用を疑問視される声もあった。現政権の対北政策、「韓半島信頼プロセス」は尹炳世氏と洪容杓氏が中心となって作成されたものである。
 つまり今回の韓国側代表は、尹炳世外相を要とする「金大中盧武鉉左翼政権人脈」であり、それが親北朝鮮・親中国のルート、並びに「南北連邦統一構想」に連なっている。

 単に「金国防相、洪統一相が有能だから重用される」という話に過ぎないでしょうが「朴クネ政権とは性格がかなり違う盧武鉉政権下でもそれなりに出世したこと」から「やれ左翼だ、親北朝鮮だ」と因縁つける産経です。政権発足当初の「朴政権誕生万歳!」は何だったのかと聞きたくなります。
 以下、延々、古田の「韓国は与党も野党もメディアも親北朝鮮だ」などというデマカセが続きますがばかばかしいので突っ込みは省略します。


■「次は池田勇人*1路線」 総裁再選の安倍首相 支持つなぎ止め、日本取り戻す正念場〜阿比留瑠比
http://www.sankei.com/politics/news/150909/plt1509090002-n1.html

 「安全保障関連法案が成立したら、次は国民に喜んでもらえる政策に取り組みたい。経済最優先だ」
 安倍晋三首相は自民党総裁に再選される数日前、周囲にこう語っていた
(中略)
 また、安倍首相は今後の政権運営に関しては、周囲にこう強調している。
 「これからは(注:経済最優先の)池田勇人元首相路線でいく」

 やれやれですね。「アベノミクスとは一体何だったのか」と聞きたくなる珍発言です。これを聞いた人間もよほどの安倍シンパでない限り「え?、アベノミクスはあなたにとって何だったの?」と目が点になったんじゃないか。
 また、この安倍発言が赤旗辺りに乗って「やはり首相にとって経済はどうでも良かったようです」「やはり首相もアベノミクスの失敗を内心では認めてるようです」という批判記事が出る*2なら分かる。
 書いてるのは安倍の応援団を自他共に認める阿比留ですからね。阿比留は「安倍は経済のことを全く考えてない」「中国景気が停滞し日本経済にも悪影響を与え、世界経済危機も危惧される最中に安保法案最優先とは何を考えてるのか」と言う批判に慌てて「首相は経済のことだって考えてるのです」と言いたいのかも知れません。
 しかし、「安保法案が成立したら」なんて言ってる時点で経済は二の次、三の次じゃないですか。阿比留が植村氏の反論にまともに応対できずに墓穴掘ってた「植村氏インタビュー」といい「阿比留ってマジでバカじゃねえの」「こんなんが産経で出世するのかよ、そりゃ福島香織も会社やめるわ」と言いたくなります。
 まあそれはともかく安倍に「経済最優先の池田路線」なんか無理でしょう。安倍にそんな経済政策の能力はないでしょうし、そんな意思、興味関心もない。とにかく「極右的なことが好きでたまらない男」が池田勇人になれるわけがない。単に「今のママだと人気が出ないから」程度のスケベ心で「池田勇人に生まれ変われる」わけがない。
 というかあれだけ中韓との関係を悪くして「今日から池田勇人」ですむわけないでしょう。
 向こうがそんなふざけたこと許すわけがない。「何が今日から池田勇人だ、抗日戦争勝利記念式典開催(中国の場合。朴大統領の場合は式典出席)に散々文句つけといてふざけるな。それなりにあんたが今までの無礼についてわびを入れないとうちもそんな勝手な話飲めない」てなるでしょう。
 また「安保法制を仮につくった*3ら」、いずれは米国の要請で発動することになるわけです。安倍が「在任中は発動しない」といいそれを米国が受け入れるならともかく。また「これからは池田路線」という安倍はそれならば池田のように「在任中は改憲はしないと確約するのか」。「安倍本人が改憲したくてたまらないという意味でも」「改憲を望む支持層を激怒させることなど到底安倍にはできないという意味でも」安倍にそんな事はとてもできはしないでしょう。
 ただ安倍や阿比留ですら「俺たちのやりたい右翼的なことは国民に支持されてない(反対ないし無関心がほとんど)」「国民に受けるのは景気対策ではないか」ということは自覚し、「それを認めざる」を得ないようです。
 自覚してても「池田勇人をやりきるだけの意思も能力」も安倍にはないでしょうが。遅かれ早かれ「右翼の安倍」が顔を出してしまうでしょう。
 むしろあり得るとしたら「ポスト岸*4が池田だったように」、ポスト安倍が「池田のような人間」という話でしょう。可能性から言ったら「谷垣」てことになるんですかね。石破や麻生は池田って感じじゃないでしょう。

 自身が正しいと信じること、やりたいことばかりをしていても国民はついてこないし、物事を為すには回り道も必要だ。これは短命に終わった第1次内閣の経験に学んだ教訓だ。

 要するに安倍の主観では「今後は池田勇人」ということで「右翼的政策はペースダウンしていく」ということです(あくまでも安倍の主観でハト派からすれば「どこがペースダウン?」でしょうが)。
 安倍靖国参拝なんてことはもはや絶対にあり得ない。
 ただそうなると右翼サイドの「安倍に失望した」と言う批判は「今以上に」避けられない。そこで「安倍応援団」阿比留が機先を制して「政権維持が何より大事だ、今景気がやばいし、その結果支持率も下がってるんだ」「お前らの希望するウヨ路線なんか国民に受けないんだ」「景気が回復し支持率も安定したらお前らの希望する右翼的なことやると思うからそれまで我慢しろ」とウヨ仲間に説教するという話です。
 いつもながら「安倍応援団であること」を隠さない阿比留には呆れます。
と同時に
1)安倍の右翼的政策が国民に支持されてない(反対ないし無関心がほとんど)を阿比留が認めてること
2)「国民の支持を得ないと安倍さんのやりたいこと(改憲とか)がやれない、これが短命に終わった第一次内閣の教訓」と書くことによって「安倍首相病気辞任論*5」がデマであることを事実上、認めてることには苦笑させられます。
 阿比留は「安倍首相って病気辞任じゃなかったんですか?」と聞かれたら何と答える気でしょうか。
 「何とか安倍さんをウヨの批判からかばわないと」と思うあまり、「過去の阿比留の発言(安倍首相病気辞任論)との整合性」とかがお留守になってしまうあたり阿比留らしいデタラメさです。


■【自民総裁選】首相、谷垣氏*6に「総裁選の余裕ない」無投票実現へ野田陣営切り崩し
http://www.sankei.com/politics/news/150909/plt1509090004-n1.html
 ここで安倍が言ってる「余裕ない」とは「安保法案を通さないと行けないから時間の余裕がない」と言う話ですが実際はそうではなく「最近支持率が下がってるし、野田*7は一応大臣や党三役*8の経験者。古賀*9元幹事長が野田を応援してるようだし、場合に寄ったら、石原*10環境相など俺に干されてる連中が野田支持するかも知れない。野田と総裁選をやってどんな結果が出るか分からない、それを覚悟して総裁選をやる精神的余裕は俺にはない」が本当のところでしょう。ただ「野田が怖い」とは安倍もさすがに言えないわけです。
 石破*11(現地方創生相)を幹事長から安倍が外そうとし、それに石破が抵抗したのもそういうことです。安倍は「ライバルは早めに潰す」という小心者であり、「安倍が自画自賛しようとも」、実際には自分に対してそんなに自信はないでしょう。おそらく第一次内閣の崩壊が相当トラウマになってる。
 ただこうしたことを安倍がやればやるほど「今のママの極右路線でいいのか」「ポスト安倍をどうするのか」という問題になってしまうわけで、長期的には自民党にとって自殺行為も同然でしょう。
 自民党というのは歴史的には「極右の集まり」ではないし、自民党支持者だって皆がみな、極右じゃないでしょう。
 まあ、「俺の願望込みですが」安倍がやめたら「このままの右翼路線じゃまずい」と相当の反動が来るんじゃないですかね。小泉内閣終了後、安倍が慌てて訪中、訪韓したように。

首相は7日夜、岸田氏に「ありがとう」と電話。岸田氏は周辺に「こういうことを言う人でないのに」と驚きを隠さなかった。

 「何だかなあ」ですね。「こういう事を言う人じゃない」というのは素直に考えれば「ろくに他人に礼も言わない奴」ということでしょう。でそんな奴が礼を言うとは「相当追い詰められてる*12」と理解もできるわけですがこういう文章を書く産経の気持ちがよく分かりません。

*1:吉田、石橋内閣蔵相、岸内閣通産相などを経て首相

*2:そういう記事が出たら安倍は「デマ記事」と言いだしかねない男です「掲載紙が産経で産経の主観では安倍応援」では批判するわけにいかず無視するしかないでしょう。まさか「そう言う発言は確かにしました」とも言えないでしょう。

*3:もちろん成立しないことを俺は望んでますが

*4:自民党幹事長、石橋内閣外相を経て首相

*5:病気辞任論が事実だとしても、そもそも病気の原因は「第一次安倍内閣不支持によるストレス」ですが

*6:小泉内閣国家公安委員長財務相自民党政務調査会長(福田総裁時代)、福田内閣国交相、第二次安倍内閣法相、自民党幹事長(第二次安倍総裁時代)を歴任

*7:小渕内閣郵政相、福田内閣食品安全担当相、麻生内閣消費者問題等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*8:大臣はともかく党三役に野田を任命したのは安倍ですが。

*9:橋本内閣運輸相、自民党幹事長(森総裁時代)など歴任

*10:小泉内閣国交相自民党政務調査会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相を歴任

*11:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政務調査会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生相を歴任

*12:安倍のような小心者にとって「支持率がいわゆる危険水域(30%台前半)に行かなくても」、野田出馬のような動きが出るだけでも「追い詰められる」のでしょう。