今日の産経ニュース(12/5分)(追記あり)

■【水内茂幸の野党ウオッチ】共産党演説会で目立つ白髪、ハゲ頭…深刻な高齢化と党員減少 「赤旗」部数、野党共闘にも影
http://www.sankei.com/premium/news/161205/prm1612050008-n1.html
 タイトルから分かるようにただの悪口雑言です。正直「自公や民進党の演説会」だってそんなに若者がいるかどうかは疑問でしょう。
 結局「共産党に悪口して心の平穏を保ちたい」とか「共産党を罵倒して少しでも支持を減らしたい」とかいう話でしかないわけです。商業新聞の政治報道と言うより「日本会議相手の自民党持ち上げ商売」でしかない。

 民進党幹部は共産党の苦しい台所事情を見透かし、余裕の表情でこう語る。
 「共産党は『野党共闘』しか道がないのだから、向こうのハードルが低くなっていくのをじっと待てばいい。『相互推薦』などいずれ絶対条件にしなくなるはずだ」

 本気でこんな事言ってるのならただのバカですね。共産だって「党支持者」に「理念なき野合」と非難されてまでハードルをどんどん落とすわけもない。民進党野党共闘に敵対的なら「残念だが自公批判を理由に野合はできない」で終わる話でしょう。
 かつ「共産党が苦しい」以上に「民進党が苦しい」と思いますが。なにせ小生の選挙区なんか民進党の候補は「維新の党」からの鞍替え組ですからね。で、そやつが何で最初、維新から出たかと言えば「自民か民主から出たかったけど出られなかったから」というわけで、全然、民進党に基盤なんかない。鞍替えした彼が今後当選するかどうか知りませんが、当選したところでそれは「彼が個人的に築いた政治力」が恐らくメインであって民進党なんかあまり関係ない。
 そもそも我が選挙区に民進党なんて大して政治力もない。ぶっちゃけ民進党なんて「最大野党だ」と言ってみたところでそんなんが結構多いわけです。
 まあ、産経なので謀略報道(つまりデマ)の可能性ありますし、事実だとしても言ってる幹部とやらが一体誰なのか、つう問題もありますけど。


■共産、次期衆院選1次公認254人を発表 小池晃書記局長「一方的に下ろさない」
http://www.sankei.com/politics/news/161205/plt1612050039-n1.html

 候補者の積極的な擁立は、「相互推薦」などに難色を示している民進党を牽制(けんせい)する狙いもありそうだ。

 牽制も何も民進党に対し遠慮する必要は本来どこにもないわけです。
 しかし、この期に及んで、反共主義からか、「大局に立った行動が取れない」民進党には心底呆れます。こうした民進党の態度が「安倍の支持率が未だに50%台のこと」にもつながってるわけです(まあ民進党の問題を割り引いても安倍支持なんて愚劣だと思いますが)。


■【国政選挙分析】過去4回の国政選挙得票数 比例代表で自民は増加傾向 民進復調 共産は野党共闘裏目
http://www.sankei.com/politics/news/161205/plt1612050004-n1.html

 共産党は、24年衆院選で368万票と、小選挙区比例代表並立制が導入された8年衆院選の726万票から半減したが、25年参院選で515万票、26年衆院選で606万票と増やした。ただ28年参院選は601万票と微減した。

 得票数は「投票率」「選挙の争点」など、様々な要素があるので単純比較できないにせよ「606万が601万に微減(ほぼ横ばい)」というのは「裏目」と言う程でもないでしょう。これが「共闘しなければ515万→606万レベルに増やして700万越えた。過去最高値の726万に近づいた」とでもいうならともかく(産経もそこまで言う気はないようです)。共産党からすれば「ほぼ横ばいだし、票獲得という意味でも野党共闘に弊害はほとんどない」としか思ってないでしょう。
 むしろ野党共闘の抱える問題は「一部の民進党右派(例:前原*1元代表)」が勘違いして「野党共闘しなくてもやってける」と思い上がって野党共闘を妨害してるらしいことでしょうね。安倍が「カジノ法案」で無茶苦茶な態度とる理由の一つは「民進党内にはカジノ支持者もいるし、民進党なんて俺達の仲間みたいなもんだ。いざとなったら、カネやポストでいくらでも自民党に議員を引っ張れる自民党二軍だ」という「民進党に対する舐めた態度」があることは間違いないでしょう。実際そう見られても仕方がない点が民進党にはあるわけです。


■【大阪万博誘致】「絶好の機会」安倍首相、積極姿勢くっきり 関係省庁に協力を指示
http://www.sankei.com/west/news/161205/wst1612050107-n1.html
 誘致の是非や実現可能性は全く考えてなくて「維新を取り込むためだけ」でしょう。「政治を舐めるにも程がある」話です。


安倍晋三首相、26、27両日に米ハワイ訪問へ 真珠湾で慰霊も
http://www.sankei.com/politics/news/161205/plt1612050034-n1.html
 オバマが「俺が広島訪問したんだからお前も真珠湾訪問しろよ」ということで在任中の真珠湾訪問を安倍に求め、安倍が断り切れなかったという話でしょう。
 「強固な日米同盟」と言う安倍ですが、ご本人、その右翼的立場からして積極的に真珠湾訪問する気はないのをオバマに押し切られただけでしょうから、率直にいって安倍とオバマの間に「安倍が自慢する程の信頼関係」はどこにもないでしょう。そもそも本当に真珠湾訪問に意義があると安倍が思うなら、オバマの任期終わりに訪問などせず「安倍が靖国参拝した」総理就任1年目にでもとっとと訪問すればいい話です。安倍にとっては「靖国は訪問したい」が「真珠湾など訪問したくない」わけです。
 しかし「歴代総理で初」というのが意外ですね。歴代総理は右翼支持層の反発を恐れてたんでしょうか。


■ドゥテルテ*2比大統領に「閣議来るな」と言われ決意 女性副大統領が辞表を提出
http://www.sankei.com/world/news/161205/wor1612050054-n1.html

 フィリピンのロブレド副大統領(52)は5日、兼任する住宅都市開発調整委員会委員長(閣僚級)職について辞表をドゥテルテ大統領(71)に提出した。麻薬対策などでドゥテルテ氏との深い隔たりがあったためで、「全閣議にもう参加するな」と言われて決意したという。
 ロブレド氏は、ドゥテルテ氏が進める麻薬対策で「超法規的殺人」が行われていると指摘。故マルコス元大統領の英雄墓地埋葬をめぐっても、(ボーガス注:英雄墓地埋葬を希望するマルコス一族を支持する)ドゥテルテ氏との間で(ボーガス注:マルコス批判派として)深い隔たりがあったとした。副大統領にはとどまる。

 何故こうなるのかというと記事にも書いてありますが「副大統領は大統領の任命ではなく選挙で選ばれるから」「ロブレドはアキノ前大統領グループだから」です。


■【政界徒然草】先行き不明「小池新党」に頼れない… 自民都連に“降参”した「7人の侍」に武士の一分はあるのか
http://www.sankei.com/premium/news/161205/prm1612050004-n1.html
1)彼らに結局「離党して小池新党」などというほどの利用価値、政治力が小池*3にとってないし、今の小池には小池新党を作るだけの力もない
2)一方自民党も彼らを許す気もないが、「若狭と扱いが違う」と非難されるのを恐れ、速攻で断固処分する程の覚悟もなく「わびを入れれば許す」としている
辺りが話がぐだぐだになる理由でしょう。
 今回自民党から「区議がわびを入れてきたので寛大な処分を検討している」とリークがあったら区議から「わびてない」つう反発が出たんだそうです。まあ正直茶番劇であって当事者以外にはどーでもいい話です。 

【追記】
■【7人の侍処分】小池百合子氏支援の区議7人除名 自民党都連が決定
http://www.sankei.com/politics/news/161206/plt1612060033-n1.html
 「若狭は利用価値があるから許す、しかしお前らは許さない」という話です。結局7人を切って捨てても若狭も小池も彼らをかばわないし、マスコミも自民党批判しないし、彼らが政治力失うだけという判断でしょう。そして実際、その通りでしょうが。7人も若狭と同じで「信念」などではなく「ばくちに打って出て」しかしそのばくちに負けたわけです。「若狭容認で7人処分」は筋が通りませんがそもそも若狭容認自体が筋が通らないのであって「増田候補応援を断った7人は除名する」というのはむしろ正当な処分でしょう。
 この7人は「単なるばくち打ち」に過ぎず信念があるわけではないので何ら同情しません。「7人の侍」なんて呼ぶこと自体が黒沢映画に失礼です。
 そもそも本気で信念があるなら「お前ら出て行け」と言われた時点でとっとと出て行ったでしょう。
 それができなかったのは小池や若狭に「今出て行かれてもあんたら引き取れない、小池新党とか当面作れないし」「あたしらを頼りにしないでくれ、自民党を出て行くなら自分たちだけでやってくれ」と言われたからでしょう。


■【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】米国「根絶の政策」からいかに決別するか? 中国との力の差は拡大するばかり
http://www.sankei.com/premium/news/161205/prm1612050007-n1.html
 よしこ曰く「根絶の政策」とは「日本の非軍事化」であり、憲法九条だそうです。「決別するか」も何も「九条改憲による米軍支援」を日本に要求しているのは米国なのですが。
 そしてよしこ曰く「憲法九条を改正しないと中国の尖閣侵略の危機ガー」。本気で言ってるとはとても思えません。そんなことをするメリットは中国にないし、仮に尖閣攻撃があったとして、従来の政府解釈でも「専守防衛は合憲」で、自衛隊もあるのにどこに改憲の必要があるのか。


オーストリア大統領選、極右候補の敗北確実 国営放送、リベラル系勝利と報道
http://www.sankei.com/world/news/161205/wor1612050010-n1.html
 まあひとまず素直に喜びたいと思います。これで「フランス大統領選でのルペン勝利」の危険性も多少は減ったでしょう。


■【産経抄】安倍トランプ会談は正しかった 12月5日
http://www.sankei.com/column/news/161205/clm1612050003-n1.html
 未だ目に見える成果は何一つ出てない(リップサービスは成果とは言いません)のにこういう事が言える産経は度し難いですね。どう安倍に好意的に理解しても「成果は未知数」でしょう。

キッシンジャー氏の親中ぶりは際だっている。

 ニクソン訪中の立役者として中国側はキッシンジャーニクソン政権国務長官)を「米中友好の恩人」として持ち上げるし、それに対しキッシンジャーも「素っ気ない対応をする理由がない」ので「好意的対応をしている」だけの話です。
 もちろん中国、キッシンジャー共にお互い「実利も考えてる」わけで単純な善意でもない。反共だか中国人差別だか知りません*4が「日中貿易の利益」を無視してやたら中国を敵視するウヨ*5の方がよほど異常です。
 なお、以下の文章は小生の勝手な想像であることを断っておきますが、キッシンジャー共和党の大御所であり、彼が中国に行ったのも「トランプの要請ではないか」と言われています。
 となるとトランプは「共和党タカ派の支持を受ける立場」として蔡にもいい顔をしてみせる一方で、「景気回復を選挙スローガンにしてきたビジネスマンとしては」、中国と敵対関係になるわけにも行かず「双方にいい顔しようとした」のが今回の一件じゃないか。つまりは清和会出身で右翼の支持層をもつ小泉元首相の「靖国参拝」みたいなもんです。
 小泉氏が靖国参拝でウヨにいい顔をしてみせる一方で、「尖閣侵入漁船を逮捕などせず国外退去で片付けたり」、「不法入国した金正男を国内で裁いたりせず国外退去で片付けたり」して中国とのもめごとを避けたことを考えればトランプも同じじゃないかと思いますね。
 そもそもキッシンジャーの存在で分かるように歴代共和党主流派はなんだかんだ言って中国と経済的によろしくやってきたわけです。トランプが中国関係であまり無茶やると、共和党主流派やそのバックにいるであろう米国財界(中国ビジネスで儲けてる)と衝突して政権がやばいことになりかねません。

トランプ次期米大統領と台湾の蔡英文総統の電話協議という、衝撃的なニュース

 「米中国交正常化後はこうした例がない」そうなので衝撃的ではありますが、「ニクソン訪中発表」ほどの戦略や計画性がトランプ、蔡双方にあるのかどうかは甚だ疑問です。そして「衝撃的ではありますが」電話会談レベルではニクソン訪中程のショックはない。ニクソン訪中は明らかに「米中国交正常化」を前提にしてることは明らかだったでしょうが、トランプは「台湾とはつきあいがあるのだから電話会談しても問題ないだろう」というだけでこれがどこまで進むのかはさっぱり分かりません。
 いずれにせよこんなことは
1)蔡との電話会談は、安倍がトランプとの会談時にトランプに要請した
2)蔡とトランプの会談は日本の国益になる
という認識をしない限り「安倍トランプ会談は成功」という話には全くなりません。これが「安倍との会談でTPP脱退をしないことを約束」とかなら成果とも言えるでしょうが。
 こんなものしか成果として出せないのか、産経は?、て話です。
 そして1)、2)どちらも答えは「ノー」でしょう(まあ1)は事実の問題、2)は価値観の問題ですが)
 1)について言えば恐らくそんな事はない。
 2)について言えば価値観の問題ですので、1)と違って絶対的正解はない。ただ安倍ですら、「トランプが台湾に過剰に肩入れし米中関係が悪化の一途をたどること」なんか望んでないでしょう。

今なおキッシンジャー氏の影響下にある、米国の対中融和政策

 「大物政治家」キッシンジャーの影響がないとは言いませんが、基本的に「経済大国で米国企業も多数進出している中国」と敵対関係になる道など米国にはありません。
 キッシンジャーが死のうと状況は変わらない。

【追記】
■人民日報『「小細工」は中米関係の大構造を変えられない』
http://j.people.com.cn/n3/2016/1205/c94474-9150868.html

 12月2日、米次期大統領のトランプ氏と台湾地区指導者の蔡英文氏が電話会談した。
(中略)
 通話を行うという行為自体が「1つの中国」原則に背き、米国の遂行する「1つの中国」政策にも違反する点で悪質であると言える。さらには中米国交樹立以来、米国の現職大統領または次期大統領が台湾当局指導者と直接接触するという悪質な前例を作ることになり、中米間の関係にまで抵触する問題となる。
 通話のタイミングは敏感だ。第1に、「台湾独立」を党綱領に掲げる民進党が今年島内で再度政権を握り、民進党当局は92年コンセンサスを承認しようとせず、8年続いた両岸関係の平和的発展という良好な基調と成果は深刻な打撃を受けた。第2に、トランプ氏が米大統領に当選し、中米関係が平穏な移行を果たすかどうかには、まだ疑問符がつく。どのような中米関係を未来に持ち込むかは、中国が重視しているだけでなく、世界も大変注視している。
 では、通話事件はどのような結果をもたらすのか。台湾問題は中国の主権と領土の一体性に関わり、中国の核心的利益に属し、これまで一貫して中米関係における最も重要で敏感な核心的問題だった。台湾問題の2つの「核心」としての位置づけが、「1つの中国」原則が中米関係の政治的基礎であることを決定づけている。中米関係の歴史も、台湾問題をうまく処理すれば中米関係は着実に発展でき、両国協力が順調にいくことを示している。その逆の場合は、中米関係には波瀾が生じる。この問題で米国が曖昧なことをするのは、意図的であろうとなかろうと、中米関係に悪影響を与える。
(中略)
 トランプ氏及びその移行チームは、中米関係にトラブルをもたらすことが、米国自らにトラブルをもたらすことを認識すべきだ。トランプ氏の選挙戦時のスローガンは「米国を再び偉大にする」だった。中米両国の規模の大きさ及び日増しに高まる相互依存度を考えると、中国に難題を与えることで米国に大きなメリットがもたらされることはない。台湾など中国関連の重大な問題での「小細工」は、中米両国の戦略面の相互信頼を損ない、各分野での双方協力の将来にまで災いを及ぼすだけであり、米国にとっては得るものよりも失うものが大きい。中国を敵にまわしては、「米国を再び偉大にする」との目標は大きくそがれる。
 「米国優先」は中国の核心的利益を損なうことで実現しなければならないという意味ではない。中米間には確かに競争の一面があるが、依然共通利益が主導しており、協力が主流だ。戦略対立を避ける双方の意向は強く、国際社会も中米が連携してグローバルな試練に対処することを一致して期待している。これは中米関係の大きな趨勢であり、構造だ。
 「小細工」は中米関係の大きな趨勢、構造を変えられない。だが「小細工」が多ければ、中米関係の大局は深刻に妨害される。トランプ氏及びその移行チームは中国関連の問題において非常に慎重である必要がある。

 当然ながら中国は反発するわけです。

*1:鳩山内閣国交相菅内閣外相、民主党政調会長(野田代表時代)、野田内閣国家戦略担当相など歴任

*2:ダバオ市長を経て大統領

*3:小泉内閣環境相、第一次安倍内閣防衛相、自民党総務会長(谷垣総裁時代)を歴任

*4:多分両方でしょう。反共「だけ」なら、「ベトナムラオスキューバ」に対しそれほど敵対的でない理由が説明つきません。一方で台湾への異常な肩入れは反共の表れでしょう。

*5:産経もその一つですが経済面には割とまともな中国記事が載ることもあります